「パスワード (コンピュータゲーム)」の版間の差分

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以上のパスワードはいずれもプレイヤーのもたらした結果を文字列に置き換えたものであるが、ゲームの制作者側で予め設定され、特定の状況下で入力すべき文字列もパスワードと呼ぶ。この場合は本来のセキュリティ目的の[[パスワード]]に近い。ゲーム中特定の場所で入力すると貴重なアイテムやキャラが得られたり、隠された要素が現れる(アンロックされる)例があり、用途としては[[隠しコマンド]]に近いと言える。これらは雑誌や周辺商品と連動して展開されるゲームや[[アーケードゲーム]]によく見られる。例えば『[[遊☆戯☆王デュエルモンスターズ (コンピューターゲーム)|遊☆戯☆王デュエルモンスターズ]]』シリーズでは、実際に発売されているカードに書かれている数字をパスワードとして入力すると、ゲーム内でそのカードを入手できる。
以上のパスワードはいずれもプレイヤーのもたらした結果を文字列に置き換えたものであるが、ゲームの制作者側で予め設定され、特定の状況下で入力すべき文字列もパスワードと呼ぶ。この場合は本来のセキュリティ目的の[[パスワード]]に近い。ゲーム中特定の場所で入力すると貴重なアイテムやキャラが得られたり、隠された要素が現れる(アンロックされる)例があり、用途としては[[隠しコマンド]]に近いと言える。これらは雑誌や周辺商品と連動して展開されるゲームや[[アーケードゲーム]]によく見られる。例えば『[[遊☆戯☆王デュエルモンスターズ (コンピューターゲーム)|遊☆戯☆王デュエルモンスターズ]]』シリーズでは、実際に発売されているカードに書かれている数字をパスワードとして入力すると、ゲーム内でそのカードを入手できる。

また、[[流星のロックマン2]]の'''タッチコマンドシステム'''はカードをタッチスクリーンに重ねカードに表示された穴を順番にタッチすることで、周辺機器を使わずに外部からのデータを取り込むことができる。カード無しでもタッチスクリーンの特定の位置を順番にタッチすることで外部からのデータを取り込むことも可能。


== パスワード解析 ==
== パスワード解析 ==

2009年3月24日 (火) 11:24時点における版

コンピュータゲームにおけるパスワードとは、ゲームを途中で中断する際にゲームプログラムによって発行され、ゲームを再開するときに入力する文字列などのことである。日常でセキュリティの目的で使用される「パスワード」とは用途が異なる。

目的

現在のゲームプレイ状況を数文字から数十文字の文字列で表すことで、ゲーム再開時にそれを入力することで同じ状態から再開することができる。かつて、1日のプレイだけでクリアすることが困難なゲームにおいて、ゲームの進行状況を保存(セーブ)するための手段としてパスワードが使用されることが多かった。特に、ロールプレイングゲームアドベンチャーゲームなどで多く使用されたが、ステージの多いアクションゲームなどでも使用されることがあった。

しかし今日では、パスワード方式よりも保存作業が容易なバッテリーバックアップ方式やメモリーカード方式が普及したため、保存目的においてパスワードはほとんど使用されなくなった。だがデータを文字に置き換える事で手軽にやりとり出来るという特性上、他の用途に使われることはある。詳細は後述。

パスワード誕生の歴史的背景

パスワードを最初に採用したのは1985年8月に発売されたアクションロールプレイングゲームの原典である『ハイドライド』(T&E SOFT)MSX版のROMカセットからである。「パスワード」という名称が初めて名付けられたのも同作品である。

当初、1985年3月に、あまり普及していなかったカセットテープデータレコーダ)用でMSX版の『ハイドライド』を発売していた。当時カセットテープ用のソフトを動かすにはメインメモリが64KB(キロバイト)必要だったのだが、最も普及していたMSXのメインメモリは8KBしかなく、ROMカセット用のソフトしか動かすことができなかった。ROMカセットではSRAMを使ったバッテリーバックアップしか方法が無かったのだが、当時の状況ではカセットにSRAMを搭載すると価格が極端に高価になるため採用できなかった。

しかし、当時のユーザーにはそのような専門的知識は無く、誕生したばかりのアクションロールプレイングゲームを遊んでみたい思いから、T&E SOFTにはROMカセット版の『ハイドライド』を発売してほしいという投書が毎日のように送られていた。そこでT&E SOFTでは、それまで他のゲームメーカーが行わなかった、「バッテリーバックアップを使わない新しい記録方法を発明する」ことに挑戦した。こうして考案されたのが、パスワードによって進行状況を記録する方式であった。

『ハイドライド』のパスワードは、0-9までの数字とA-Zまでのアルファベットと "." と "," のみを使いながら最大11文字(ファミコン版はMPと魔法があるため最大14文字)だけで現在のレベル・現在の体力の状態・現在までに集めたアイテム・現在の位置情報などを完全に記録するもので、当時としてはかなり完成度の高いものであった。

技術的には「コロンブスの卵」的な物だったらしく、翌年にはエニックス(当時)のファミリーコンピュータ(ファミコン)用ソフト『ドラゴンクエスト』でも使われている。同作より前に発売されていたエニックスのファミコンソフト『ポートピア連続殺人事件』では、パスワードどころか記録方法自体が無かったため、『ドラゴンクエスト』ではゲームの途中から続きができるようにするべく、パスワードが採用された。

以後も多くのゲームがパスワードを採用したが、中にはプレイ内容に一部記録できないものがあったり、50文字を超えるものもあるなど非常にストレスを感じるほど長かったり、フォント次第では文字が判別しにくかったり(「ぬ」と「め」、「ね」と「れ」と「わ」等)、少々間違えていてもパスワードを受け付けるがプレイ内容の異常により後で取り返しのつかないことになることがあるなど、開発者やメーカーによってその完成度はかなり異なった。

パスワードの使い方

プレイヤーは中断時に、ゲーム画面に表示されるパスワードをメモ帳などに書きとめておく。そして次回のゲーム開始時に、書き留めておいたパスワードを正確にゲーム画面に入力すれば、前回中断したときと同じ状態で、あるいは同じ場所から再開することができる。

しかし、入力したパスワードが1箇所でも間違っていると、エラーとなり、ゲームを再開することができない。メモしたパスワードが書き写し間違いでないのであれば、メモしたものと画面に入力したものとをもう一度照合・確認して入力しなおすことで再開可能だが、書き写し間違いの場合はゲームを続行することが不可能となり、それ以前のデータから再開せざるをえなくなる。そのときのプレイ内容によってはプレイヤーはかなりの精神的ダメージを負ってしまう。

さらに、もしメモ用紙にパスワードを書いていて、一度使って不要になったものを廃棄していると、そのゲームを全く続行できなくなってしまう。そのため書き写しの際には細心の注意を払って正しいかどうかを何度も確認する必要がある(特に紛らわしい字には注意が必要)。一部のゲーム公式ガイドブックでは、予備のパスワードでプレイできるように、パスワードを2回表示させてメモすることを推奨している。中には書き間違いを極端に恐れ、画面をビデオに録画したり、画面写真を撮影したりするなどして間違いを回避する者もいた。

なお、バッテリーバックアップ方式の場合、一度ゲームを保存するとデータが上書きされたことになり、それ以前のデータは消えてしまうが、パスワード方式の場合、新しいパスワードを発行させても、今までに発行させたパスワードは引き続き有効のままである。そのため、どうしても最新パスワード発行以前のデータからやり直したい場合は、今までに発行された古いパスワードを入力して再開することができる。

パスワードの仕組み

生成されるパスワードは、パスワード発行時のプレイヤーキャラクターの状態や場所、所持しているアイテムなどのデータを、ゲームプログラム内で独自に定められた法則で暗号化(エンコード)し、文字列などにしたものである。そしてゲーム再開時にパスワードが入力されると、そのパスワードがプログラムによって再びゲーム内のデータに変換(デコード)される仕組みとなっている。このときに、プログラムがパスワードを正常にデコードできない場合は、入力したパスワードが誤っているということになり、エラーメッセージを画面に表示させ、プレイヤーに再入力を促す。

しかし、ゲーム途中のパスワードをメモしていなくても、適当な文字列を入力することによって、偶然、デコードに成功し、ゲームを途中から始めることができてしまう場合もある。また、開発者が故意にパスワードを仕込み、それを入力することで特殊な状態(能力値最大、強力アイテム所持など)でプレイしたり、特別な画面が表示されたりするようなものも存在することがある。これらは同じ文字を連続させたもの、あるいは文章として読むことの可能なものであることが多い。このようなパスワードはゲーム雑誌裏技として紹介されることもあった。

多種多様なパスワード

パスワードの文字列の長さ、使用できる文字の種類などもゲームによって異なる。また、常に一定の長さではなく、中断時の状態によってパスワードの長さが異なるゲームもある。

パスワードはゲームによって独特の呼称が付けられていることがある。例えばドラゴンクエストシリーズでは「復活の呪文」という呼称が付けられていて、王様や村の古老に教えてもらうという設定になっている。

中には、『悪魔城伝説』のように、文字の代わりに記号を入力する方式になっているものもある。ロックマンシリーズでは格子状の座標の上に玉を置く形式のものが採用されていた。

このように、単なる文字の羅列にとどまらないパスワードは、そのゲームの世界観を構築するために一役買っていると言えよう。

ゲーム継続以外の目的を持つパスワード

以前は通信機能、メモリーカード等の外部記録媒体の使用が難しかったため、ソフトにバッテリーバックアップ機能が内蔵されているものであっても、ユーザー間でデータのやりとりをするためにパスワードが使用されることがあった。現在でも、アナログ環境(雑誌等)での配布が可能、ハードの差違を問わない等の利点を活かして(通信や外部記録媒体と併用されつつも)使用されることがある。

最初にゲーム継続以外の目的でパスワードを使用したのは、パスワードの発明者でもあるT&E SOFTが1986年から1988年にかけて発売した『DAIVA(ディーヴァ)』シリーズである。『DAIVA(ディーヴァ)』では、7つの異なるストーリーが6つのパーソナルコンピュータファミリーコンピュータで発売され、各々のストーリーが相互に関連性を持つため、例えば、1つの機種をクリアした時に手に入るパスワードを他の機種へ入力すると今まで使っていた艦隊を援軍として送り込むことが出来る。

似たケースとして『実況パワフルプロ野球』『ダービースタリオン』シリーズなどでは、育てた選手や馬のパスワードを表示・登録できる。異なる機種(携帯機と据え置き機など)へのデータ移行や、お互いの育てたキャラで対戦をする時に使用される。ゲーム雑誌で関係者や読者のデータが公開されたり、ユーザー自身がインターネット等で公開するケースも多い。

また、スコアやタイムアタック等の全国ランキングが行われる場合、パスワードを介して記録が集計されることもある。もちろん実際には出ていない数値で不正に応募することを防ぐためである(→ウソスコア)。

さらに異なるケースとして『風来のシレン(GB2以降)』『ポケモン不思議のダンジョン』では、ゲームオーバー時に「救助パスワード」が表示される。これを他のプレイヤーが入力すれば「救助」に向かうことが出来、成功すれば「復活パスワード」が表示され、救助パスワードを出力したプレイデータにそれを入力することでゲームオーバーが無効になるというシステムとなっている。パスワードという性質を活かし、ゲーム自体とは無関係なインターネット掲示板やメールを利用してこのシステムを活用できる。

以上のパスワードはいずれもプレイヤーのもたらした結果を文字列に置き換えたものであるが、ゲームの制作者側で予め設定され、特定の状況下で入力すべき文字列もパスワードと呼ぶ。この場合は本来のセキュリティ目的のパスワードに近い。ゲーム中特定の場所で入力すると貴重なアイテムやキャラが得られたり、隠された要素が現れる(アンロックされる)例があり、用途としては隠しコマンドに近いと言える。これらは雑誌や周辺商品と連動して展開されるゲームやアーケードゲームによく見られる。例えば『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』シリーズでは、実際に発売されているカードに書かれている数字をパスワードとして入力すると、ゲーム内でそのカードを入手できる。

また、流星のロックマン2タッチコマンドシステムはカードをタッチスクリーンに重ねカードに表示された穴を順番にタッチすることで、周辺機器を使わずに外部からのデータを取り込むことができる。カード無しでもタッチスクリーンの特定の位置を順番にタッチすることで外部からのデータを取り込むことも可能。

パスワード解析

チート行為の一種として、コンピュータゲームにおけるパスワードはしばしばマニアの間で解析の対象となる。基本的には個人の楽しみの範疇であるが、上述のようなキャラのデータを別プレイヤー間でやりとりできるゲームにおいては、解析によって作成されたパスワードおよびその生成手段が広まることで、一般ユーザーのゲームプレイを混乱させる恐れがある。