「契約理論」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
小太刀 (会話 | 投稿記録)
15行目: 15行目:


[[Category:経済学|けいやくりろん]]
[[Category:経済学|けいやくりろん]]

[[Category:理論|けいやく]]
[[en:Contract theory]]
[[en:Contract theory]]

2005年7月14日 (木) 16:00時点における版

契約理論(けいやくりろん)とは、取引の基礎をなす当事者間の合意事項、すなわち契約に関して、それ自体に費用がかかったり、そのために必要な情報が不完全であったり、情報を処理する能力が限定的であったり、契約の履行を監視する機構が不完全であったりするために生じる諸現象を説明するミクロの理論である。

契約理論の扱う問題

契約理論は、契約の当事者の間で情報が非対称的に所有されていることから生じる問題を扱うものと、情報処理能力の限界または契約履行を司る制度の不完全性によって情報が不完備となることから生じる問題を扱うものとに分けられる。

情報の非対称性からは、逆選抜モラル・ハザードといった問題が生じる。この問題に対して契約理論では、経済主体に正のインセンティブを与えるような契約はいかにして作れるかということを扱っている。

他方、制度の不完全性や限定合理性からは、不完備契約という問題が生じる。将来起こり得ることのすべてを予見して、起こり得るすべての自体への対処を契約に書き込むことはできない。そこから、後で生じた事態に合わせて契約の当事者が行動を変える機会主義の問題が発生する。機会主義的行動を予想すると、特定の取引に特殊的な投資が不適切に抑制されるという問題が生じる。この問題に対して契約理論では、関係的契約を扱っている。

参考文献

  • P. Milgrom and J. Roberts, Economics, Organization and Management, 1992, ISBN: 0132239671
  • P. Bolton and M. Dewatripont, Contract Theory, 2004, ISBN: 0262025760
  • O. Hart, Firms, Contracts, and Financial Structures, 1995, ISBN: 0198288816