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[[画像:Eleusis.JPG|thumb|250px|right|テレステリオン(秘儀堂)跡]]
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デメテルの祭儀はエレウシスの祭儀、または'''エレウシスの秘儀'''と呼ばれ、古典古代時代最もよく知られた秘儀のひとつであり、しばしばたんに「秘儀」として言及されることもある。エレウシスの秘儀は[[紀元前1700年]]頃[[ミケーネ文明]]の時代に始まったと言われている。マーティン・P・ニールソンはこの秘儀が「人を現世を超えて神性へと到らせ、業の贖いを保証し、その人を神と成し、その人の不死を確かなものとなす」事を意図されていたと述べている。
デメテルの祭儀はエレウシスの祭儀、または'''エレウシスの秘儀'''と呼ばれ、[[古典古代]]時代最もよく知られた秘儀のひとつであり、しばしばたんに「秘儀」として言及されることもある。エレウシスの秘儀は[[紀元前1700年]]頃[[ミケーネ文明]]の時代に始まったと言われている。マーティン・P・ニールソンはこの秘儀が「人を現世を超えて神性へと到らせ、業の贖いを保証し、その人を神と成し、その人の不死を確かなものとなす」事を意図されていたと述べている。


その内容を語ることは許されなかったため、断片的な情報のみが伝えられている。参加者の出身地を問わないこと([[アリストパネス]]の断片による)、娘[[ペルセポネー]]を探すデメテルの放浪およびペルセポネーの黄泉からの帰還の演劇的再現が一連の秘儀の中核をなしていたであろうことが推定されている。秘儀への参加者には事前に身を浄めることが要求され、その秘儀は神の永遠なる浄福を直接見ることといわれた。
その内容を語ることは許されなかったため、断片的な情報のみが伝えられている。参加者の出身地を問わないこと([[アリストパネス]]の断片による)、娘[[ペルセポネー]]を探すデメテルの放浪およびペルセポネーの黄泉からの帰還の演劇的再現が一連の秘儀の中核をなしていたであろうことが推定されている。秘儀への参加者には事前に身を浄めることが要求され、その秘儀は神の永遠なる浄福を直接見ることといわれた。

2009年2月25日 (水) 09:18時点における版

エレウシスギリシア語:Ελεύσινα英語:Eleusis)とは、古代ギリシアアテナイに近い小都市(現代のElefsina)。ギリシア神話に登場する女神デメテルの祭儀の中心地として知られる。また、古代の悲劇詩人アイスキュロスの生誕地でもある。

エレウシスの秘儀

テレステリオン(秘儀堂)跡

デメテルの祭儀はエレウシスの祭儀、またはエレウシスの秘儀と呼ばれ、古典古代時代最もよく知られた秘儀のひとつであり、しばしばたんに「秘儀」として言及されることもある。エレウシスの秘儀は紀元前1700年ミケーネ文明の時代に始まったと言われている。マーティン・P・ニールソンはこの秘儀が「人を現世を超えて神性へと到らせ、業の贖いを保証し、その人を神と成し、その人の不死を確かなものとなす」事を意図されていたと述べている。

その内容を語ることは許されなかったため、断片的な情報のみが伝えられている。参加者の出身地を問わないこと(アリストパネスの断片による)、娘ペルセポネーを探すデメテルの放浪およびペルセポネーの黄泉からの帰還の演劇的再現が一連の秘儀の中核をなしていたであろうことが推定されている。秘儀への参加者には事前に身を浄めることが要求され、その秘儀は神の永遠なる浄福を直接見ることといわれた。

キリスト教が広まり、ローマ皇帝テオドシウス1世により多神教的異教の祭儀が禁止されると、エレウシスの祭儀も絶えた。ドイツの哲学者フリードリヒ・シェリングは、その著書の中で、前哲学的思惟の形態としてのエレウシスの秘儀をしばしば論じている。