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2009年1月29日 (木) 00:22時点における版
ブルーギル | |||||||||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Lepomis macrochirus Rafinesque, 1819 | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Bluegill |
ブルーギル(Bluegill, 学名Lepomis macrochirus) は、スズキ目・サンフィッシュ科に属する魚の一種。北アメリカ原産の淡水魚だが、日本でも分布を広げた外来種である。
単に「ギル」と呼ばれることもある。"Gill"は「えら」を意味するため、特定種の魚の呼称とするには不適切といえるが、日本でえらをわざわざギルと呼ぶ事は殆ど無く、混乱は生じない。日本における標準和名は「ブルーギル」。原産地のアメリカ合衆国やカナダでは"Bluegill"または"Bluegill sunfish"と称され、"Gill"と称されることはない。
特徴
成魚の全長は20cm前後。体は円形に近く、左右に平たい(側扁する)。体色は変異があるが、およそ淡い緑褐色で、体側に細い横しまが10本前後ある。左右の鰓蓋の上部に突出した皮弁があり、その部分が紺色になっている。この部分に由来して"Bluegill sunfish"(ブルーギル・サンフィッシュ : 青い鰓蓋のサンフィッシュ)、略してブルーギルと呼ばれる。日本のブルーギルは、大きくても25cm前後だが原産地の北アメリカでは40cm近くに成長する。
なお、サンフィッシュ類は北米大陸に広く分布し、現地では多くの種が生息し、ごく一般的な淡水魚であるため、文学作品にもしばしば登場する。しかしマンボウの英名が Ocean Sunfish で、こちらも単に Sunfish とも呼ばれるため、英語圏の文学書を日本語に翻訳した際に、淡水産のサンフィッシュ類をマンボウと誤訳していることがある。英文学の和訳作品で、湖沼、河川といった陸水域の場面で「マンボウ」が登場したら、ほぼブルーギルなどのサンフィッシュ類の誤訳とみてよい。
生態
湖や池など、水の流れがあまりない淡水域に生息する。雑食性で、水生昆虫・甲殻類・貝類・小魚・魚卵などいろいろな小動物を捕食するが、餌料生物が少ないときには水草も食べる。大型個体はブラックバスの巣を襲い、親魚の隙を突いて卵や仔魚を捕食することもある。
繁殖期は初夏で、この時期になるとオスは水底の砂泥を口で掘って浅いすり鉢状の巣を作り、メスを呼びこんで産卵させる。産卵・受精が終わった後もオスは巣に残り、卵に新鮮な水を送ったり、ゴミを取り除いたり、卵を狙う他の動物を追い払ったりして卵を守る。仔魚が孵化した後もしばらくは仔魚の保護を行う。仔魚の生存率は4%ほどだが、それでも他の淡水魚に比べて高い。
外来種としての経緯
ブルーギルはもともと北アメリカの中部・東部に広く分布する魚だが、移入された先々に定着し、今や世界各地に分布している。
小動物から水草までなんでも食べ、汚染などにも適応力がある。さらに卵と稚魚は親が保護しているため捕食者は手を出せない。これらの習性からブルーギルは短期間で個体数を増やすことができ、各地で分布を広げている。
日本への移入は、1960年にミシシッピ川水系原産のものが当時明仁皇太子が外遊の際、シカゴ市長から寄贈されたものを日本に持ち帰り、食用研究対象として飼育したのち、1966年に静岡県伊東市の一碧湖に放流したのが最初とされている。それについて天皇即位後の2007年第27回全国豊かな海づくり大会において明仁天皇は「ブルーギルは50年近く前、私が米国より持ち帰り、水産庁の研究所に寄贈したもの。食用魚として期待が大きく養殖が開始されましたが、今このような結果になったことに心を痛めています」と発言した。[1]
当初は食用として養殖試験なども行われ、各地の試験場にも配布されたが、成長が遅く養殖には適さないことが判明した。以後は釣りの対象として、またはブラックバスの餌などとして各地の湖沼に放流された。
水生昆虫や魚卵・仔稚魚を捕食して在来の生態系を脅かすものとして、日本では1990年代頃から駆除がおこなわれるようになった。
ブルーギルに関する問題
ブルーギルの繁殖力と生命力、捕食力は日本の池や湖の生態系には十分脅威で、生態系維持と漁業の観点から日本中の湖沼でその存在数はかなりの問題とされている。それに生活廃水で汚れた水でも生息できる為個体を減らす事は難しい。 一方でこのような主張を過剰反応であると考える見解もある。
簡単に釣れ引きはある程度強い為子供や釣り初心者のターゲットにされることも多い。食材として利用する事はあまり無いがムニエルなどにするととても美味である。 また漁獲対象種への圧迫のみならず、網にかかったブルーギルを取る際に背びれが手に刺さるため、漁業従事者からは大変嫌われている。
国などからは釣り上げた際に再放流しないことが推奨されるが、投棄するとブルーギルはその場で腐り、烏などの餌になってカラスを増やす原因になったり、夏は異臭や害虫を増やす結果になり周辺環境を悪化させる。琵琶湖に関しては持ち帰るか設置された回収ボックスに入れることになっている。再リリース禁止の効果はブルーギルの数や繁殖力をみれば微々たるものであるとする見解もある。
他に駆除策として漁業従事者からの買い上げの他、産卵床を浅瀬に設置し、産卵後に卵ごと撤去するという方法も試みられている。
利用
観賞魚
観賞魚としては、生命力が強く、雑食で適応力があるため初心者にも飼育は容易であったが、国内では2005年6月に施行された特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)で特定外来生物に指定されたため、愛がん・鑑賞の目的で新たに飼養することは禁止されている。研究や教育などの目的で飼養する場合には主務大臣から許可を受けなければならない。
食用
原産地の北米では大型のものが釣れ、体が丸くフライパンにすっぽりと収まり、バター焼きなどに適することからpan fishと称され食べられている。食味は、タイに似るとよくいわれる[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。
中国では、1987年に観賞魚として移入された後、食用に転用された。一般に、英語名を直訳した藍鰓太陽魚(ランサイタイヤンユー、lánsāi tàiyángyú)、または、単に太陽魚と呼ばれ、湖北省、広東省などで養殖が行われている。中国での養殖には主に顆粒の配合飼料が使われ、臭みも少ない事から、蒸し魚としての利用が多い。
日本ではあまり食用とはされていない。肉の味は決して悪くないが、日本のものは小型で身が薄い一方骨が多く、調理や食べる際に手間がかかる。また体の割りに腸の内容物の量が多く、悪臭の強い内容物が身に付着してしまうと風味を損ねるため、食材としては扱いにくい魚である。ただし日本で捕獲されたブルーギルも、しばらく養殖し、大きくするとともに臭みを減らせば食材としての価値は高まると考えられる。滋賀県では琵琶湖のブルーギルをビワコダイという名称で、鮒寿司のフナの代用魚としてなれずしとして利用したり、揚げ物などの材料としたものが試験的に作られており、県のサイトでも調理方法を公開している。[2]また個人的に大型の個体を食用に供する釣客もいる。
脚注
関連項目
参考文献
- 川那部浩哉・水野信彦・細谷和海編『山渓カラー名鑑 改訂版 日本の淡水魚』ISBN 4-635-09021-3
- 佐久間功・宮本拓海『外来水生生物事典』柏書房 ISBN 4-7601-2746-1
- 日本生態学会編『外来種ハンドブック』地人書館 ISBN 4-8052-0706-X