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'''ボーイング7J7'''(Boeing 7J7)は[[アメリカ合衆国]]の[[航空機]]メーカーである[[ボーイング]]社が、[[1980年代]]に中距離[[旅客機]]として構想していた旅客機(計画)である。当時に世界中で就航していた[[ボーイング727]]の代替航空機として構想されたが、実際には開発されなかった。
'''ボーイング7J7'''(Boeing 7J7)は[[アメリカ合衆国]]の[[航空機]]メーカーである[[ボーイング]]社が、[[1980年代]]に中距離[[旅客機]]として構想していた旅客機(計画)である。当時に世界中で就航していた[[ボーイング727]]の代替機として構想されたが、実際には開発されなかった。より効率の高い[[プロップファン]]エンジンの採用を構想していた。


== 計画概要 ==
== 計画概要 ==
計画では150席級の旅客機にするとしており、様々な新技術を盛り込んで、操縦系統の革新と燃料効率のいいエンジンを搭載し、[[1992年]]までに就航するのが可能であるとしていた。具体的には[[グラスコクピット]]化や[[炭素繊維]]の使用、[[エンジン]]は[[ターボファン]]を逆向きに付けて揚力を得る「[[プロップファン]]」である[[GE・アビエーション|ゼネラル・エレクトリック]]製のGE-36 UDFを採用していた。これにより、燃料効率が従来機に比べ60パーセントもよくなるとしており、座席配置も2+2+2として広いキャビンにするというものであった。また、計画にはボーイング社に加え[[日本]]の航空産業も[[YXX]]として参加し、共同開発することになっていた。
計画では150席級の旅客機にするとしており、様々な新技術を盛り込んで、操縦系統の革新と燃料効率のいいエンジンを搭載し、[[1992年]]までに就航するのが可能であるとしていた。具体的には[[グラスコクピット]]化や[[炭素繊維]]の使用、[[エンジン]]は[[ターボファン]]を逆向きに付けて揚力を得る「[[プロップファン]]」である[[GE・アビエーション|ゼネラル・エレクトリック]]製の[[ゼネラル・エレクトリック GE-36|GE-36]] UDF(アンダクテッドファン)の採用を想定していた。これにより、燃料効率が従来機に比べ60パーセントもよくなるとしており、[[アブレスト|座席配置]]も2+2+2として広いキャビンにするというものであった。また、計画にはボーイング社に加え[[日本]]の航空産業も[[YXX]]として参加し、共同開発することになっていた。


だが、全く新しいプロップファンエンジンの開発が難航し、また顧客である航空会社から経済性と騒音問題が疑問視されたため、[[1987年]]に計画は破棄され、[[ボーイング737]]と[[ボーイング757]]の改良に力を入れるようになった。
だが、全く新しいプロップファンエンジンの開発が難航し、また顧客である航空会社から経済性と騒音問題が疑問視されたため、[[1987年]]に計画は破棄され、[[ボーイング737]]と[[ボーイング757]]の改良に力を入れるようになった。


一方、日米の航空機メーカーの連合が進み、現在開発中の[[ボーイング787]]に至るまで、日本のメーカがボーイングの下請けに入ったため、ボーイングによる日本市場の独占が進んだともいわれている。
一方、日米の航空機メーカーの連合が進み、現在開発中の[[ボーイング787]]に至るまで、日本のメーカがボーイングの下請けに入ったため、ボーイングによる日本市場の独占<ref>この時期には、[[日本航空]]と[[全日空]]はボーイング社の航空機の導入を相次いで進めていた</ref>が進んだともいわれている。


== そのほか ==
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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[YXX]] - 7J7に協力した日本側の事情が良くわかる。
* [[YXX]] - 7J7に協力した日本側の事情が良くわかる。

==脚注==
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2008年11月27日 (木) 05:04時点における版

ボーイング7J7(Boeing 7J7)はアメリカ合衆国航空機メーカーであるボーイング社が、1980年代に中距離旅客機として構想していた旅客機(計画)である。当時に世界中で就航していたボーイング727の代替機として構想されたが、実際には開発されなかった。より効率の高いプロップファンエンジンの採用を構想していた。

計画概要

計画では150席級の旅客機にするとしており、様々な新技術を盛り込んで、操縦系統の革新と燃料効率のいいエンジンを搭載し、1992年までに就航するのが可能であるとしていた。具体的にはグラスコクピット化や炭素繊維の使用、エンジンターボファンを逆向きに付けて揚力を得る「プロップファン」であるゼネラル・エレクトリック製のGE-36 UDF(アンダクテッドファン)の採用を想定していた。これにより、燃料効率が従来機に比べ60パーセントもよくなるとしており、座席配置も2+2+2として広いキャビンにするというものであった。また、計画にはボーイング社に加え日本の航空産業もYXXとして参加し、共同開発することになっていた。

だが、全く新しいプロップファンエンジンの開発が難航し、また顧客である航空会社から経済性と騒音問題が疑問視されたため、1987年に計画は破棄され、ボーイング737ボーイング757の改良に力を入れるようになった。

一方、日米の航空機メーカーの連合が進み、現在開発中のボーイング787に至るまで、日本のメーカがボーイングの下請けに入ったため、ボーイングによる日本市場の独占[1]が進んだともいわれている。

そのほか

この機体の想定ライバルとして、エアバスA320マクドネル・ダグラスMD-91XMD-94Xがあった。前者は従来型のターボファンエンジンを搭載していたが、後者はMD-90のエンジンをプロップファンエンジンにする計画であった。しかし、プロップファンエンジン搭載の機体はいずれも実現することは無かった。

関連項目

  • YXX - 7J7に協力した日本側の事情が良くわかる。

脚注

  1. ^ この時期には、日本航空全日空はボーイング社の航空機の導入を相次いで進めていた