「ビデオCD」の版間の差分

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== 規格 ==
== 規格 ==
ビデオCDに収録される形式は標準化されている。映像の解像度は[[NTSC]]では352×240[[ピクセル]]、[[PAL]]では352×288ピクセルとなっており、通常の[[テレビ受像機|テレビ]]画面と比較した場合、約4分の1の画素数である。再生の際に少ない[[画素]]を演算処理で[[映像のコンバート#アップコンバート|補完]]する事により、テレビ画面では[[NTSC]]の場合では720×480ピクセル、[[PAL]]では720×576ピクセルで出力される。また、[[SECAM]]でも画素が補完される。映像の圧縮形式は[[MPEG-1]]で、1秒当たり1150kbit(キロ[[ビット]])、オーディオの圧縮形式は[[MPEG-1]] Layer 2で、1秒当たり224kbitが割り当てられている。
ビデオCDに収録される形式は標準化されている。映像の解像度は[[NTSC]]では352×240[[ピクセル]]、[[PAL]]では352×288ピクセルとなっており、通常の[[テレビ受像機|テレビ]]画面([[標準画質映像|SD画質]])と比較した場合、約4分の1の画素数である。再生の際に少ない[[画素]]を演算処理で[[映像のコンバート#アップコンバート|補完]]する事により、テレビ画面では[[NTSC]]の場合では720×480ピクセル、[[PAL]]では720×576ピクセルで出力される。また、[[SECAM]]でも画素が補完される。映像の圧縮形式は[[MPEG-1]]で、1秒当たり1150kbit(キロ[[ビット]])、オーディオの圧縮形式は[[MPEG-1]] Layer 2で、1秒当たり224kbitが割り当てられている。


ビデオCDではシステムストリームがCD-ROMフォーマットに準拠して記録されるが、セクタ長が2048byteであるモード1ではなく、誤り訂正能力が落ちる反面ビットレートや容量を大きく確保できるモード2フォーム1(CD-ROM XAフォーマット)が採用されており、[[ビット毎秒|ビットレート]]はオーディオCDとほぼ等しい。そのため、容量が650MB([[メガバイト]])のコンパクトディスクには、オーディオCDと同じ長さである74分の映像が収録できる計算となる。
ビデオCDではシステムストリームがCD-ROMフォーマットに準拠して記録されるが、セクタ長が2048byteであるモード1ではなく、誤り訂正能力が落ちる反面ビットレートや容量を大きく確保できるモード2フォーム1(CD-ROM XAフォーマット)が採用されており、[[ビット毎秒|ビットレート]]はオーディオCDとほぼ等しい。そのため、容量が650MB([[メガバイト]])のコンパクトディスクには、オーディオCDと同じ長さである74分の映像が収録できる計算となる。
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== 同様の形式 ==
== 同様の形式 ==
本規格を改良し、映像を[[MPEG-2]]に対応させ、より圧縮率の高めた[[スーパービデオCD]](SVCD)も存在するほか、[[KVCD]]と呼ばれるものも存在する。これらは通常のビデオCDの録画時間を上回る120分以上もの映像を、DVDに近い品質でCDに収録する技術であり、NTSC・PALいずれにも対応している。また、圧縮率を高めることにより、ビデオCDと同程度の画質で6時間以上の映像を収録することもできる。これらの形式は正式に標準化はされていないものの、[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]のCD-ROMドライブでの再生に対応しており、いくつかのDVDプレイヤーでの再生にも対応している。
本規格を改良し、映像を[[MPEG-2]]に対応させ、より圧縮率の高めた[[スーパービデオCD]](SVCD)も存在するほか、[[KVCD]]と呼ばれるものも存在する。これらは通常のビデオCDの録画時間を上回る120分以上もの映像を、DVDに近い品質でCDに収録する技術であり、NTSC・PALいずれにも対応している。また、圧縮率を高めることにより、ビデオCDと同程度の画質であれば6時間以上の映像を収録することもできる。これらの形式は正式に標準化はされていないものの、[[パーソナルコンピュータ|パソコン]]のCD-ROMドライブでの再生に対応しており、いくつかのDVDプレイヤーでの再生にも対応している。


そのほかにも[[中華人民共和国|中国]]だけで普及している形式として、[[DVCD]]や[[ダブルビデオCD]]も存在する。
そのほかにも[[中華人民共和国|中国]]だけで普及している形式として、[[DVCD]]や[[ダブルビデオCD]]も存在する。

2008年10月28日 (火) 05:46時点における版

ビデオCDVCD)は、CD-ROMに動画や音声などを記録し、対応機器で再生するための規格。

概要

DVDがまだ登場していない1993年に、カラオケ業界や映画販売業界などからの「動画をCDに記録したい」という需要に答えるため、ビクターソニーなどによって策定された。

ビデオCDの映像画質は「VHS(ノーマルVHS)の3倍モードと同程度」とされるが、VHSのアナログ形式と異なりデジタル形式で格納されているため、画像の劣化がVHSよりも極端に少ない、という特徴を持つ。特に、ジッターと呼ばれる映像の横揺れはほとんどなく、アナログビデオ特有の色むらなども少ない。プレーヤーとテレビをS端子D端子などで接続すれば、スッキリとした映像で再生可能という特徴があるが、ビットレートが低いため、映像によっては、ブロックノイズが多発する場合もある。

DVDが普及する過程で、より安価に製造できる点が香港フィリピンなどのアジア地域で重宝され、「DVDより安くVHSより高品質なメディア」として普及した。しかし、手軽に製造できる為に海賊版の存在がハリウッド等から問題視される事もある。現在も同ディスクにはコピーガードおよびリージョンコードは導入されていない。

旧来の一般的なDVDプレーヤーには、ビデオCDの再生に対応しているものが多かったが、2000年半ば以降は記録型DVDや、MPEG-4フォーマットの普及に伴い対応機器の数は減っている。2008年現在で広く普及しているDVDレコーダーBDレコーダーなど、録画機能付き機器でその傾向にある。

規格

ビデオCDに収録される形式は標準化されている。映像の解像度はNTSCでは352×240ピクセルPALでは352×288ピクセルとなっており、通常のテレビ画面(SD画質)と比較した場合、約4分の1の画素数である。再生の際に少ない画素を演算処理で補完する事により、テレビ画面ではNTSCの場合では720×480ピクセル、PALでは720×576ピクセルで出力される。また、SECAMでも画素が補完される。映像の圧縮形式はMPEG-1で、1秒当たり1150kbit(キロビット)、オーディオの圧縮形式はMPEG-1 Layer 2で、1秒当たり224kbitが割り当てられている。

ビデオCDではシステムストリームがCD-ROMフォーマットに準拠して記録されるが、セクタ長が2048byteであるモード1ではなく、誤り訂正能力が落ちる反面ビットレートや容量を大きく確保できるモード2フォーム1(CD-ROM XAフォーマット)が採用されており、ビットレートはオーディオCDとほぼ等しい。そのため、容量が650MB(メガバイト)のコンパクトディスクには、オーディオCDと同じ長さである74分の映像が収録できる計算となる。

Version 2.0では簡易メニュー機能(プレイバックコントロール)を持たせ、高精細な静止画の再生もできるようになっている。

同様の形式

本規格を改良し、映像をMPEG-2に対応させ、より圧縮率の高めた「スーパービデオCD(SVCD)」も存在するほか、「KVCD」と呼ばれるものも存在する。これらは通常のビデオCDの録画時間を上回る120分以上もの映像を、DVDに近い品質でCDに収録する技術であり、NTSC・PALいずれにも対応している。また、圧縮率を高めることにより、ビデオCDと同程度の画質であれば6時間以上の映像を収録することもできる。これらの形式は正式に標準化はされていないものの、パソコンのCD-ROMドライブでの再生に対応しており、いくつかのDVDプレイヤーでの再生にも対応している。

そのほかにも中国だけで普及している形式として、DVCDダブルビデオCDも存在する。

関連項目