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=== 現状 ===
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総務省の全国的調査によれば、「たらい回し」の主な原因は、「処置困難」が2~4割、「ベッド満床」が2割前後、「手術中・患者対応中」が2割前後、「専門外」が1割前後、「医師不在」が1割以下程度となっている。なお、ここでの「処置困難」とは医療機関が、傷病者の症状に対処する設備・資器材がない、手術スタッフが不足している、傷病者の症状から手に負えないことを理由に受入できないと回答したものを表す。近年の産科医療崩壊を反映して、照会回数4回以上の産科・周産期傷病者搬送事案は、平成16年の255件から平成19年の1084件と、4倍にも増加している。
総務省の全国的調査によれば、「たらい回し」の主な原因は、「処置困難」が2~4割、「ベッド満床」が2割前後、「手術中・患者対応中」が2割前後、「専門外」が1割前後、「医師不在」が1割以下程度となっている。なお、ここでの「処置困難」とは医療機関が、傷病者の症状に対処する設備・資器材がない、手術スタッフが不足している、傷病者の症状から手に負えないことを理由に受入できないと回答したものを表す。近年の産科医療崩壊を反映して、照会回数4回以上の産科・周産期傷病者搬送事案は、平成16年の255件から平成19年の1084件と、4倍にも増加している。

最近の医療訴訟でも、<医師が専門的な知識を持っていたら救命できた>とか<専門医がおれば救命できた>などという病院側敗訴判決が連発され、それを反映して専門医がないのでその患者は受け入れできない(受け入れてはいけない)という解釈が医療側に定着しつつある。


=== 対策 ===
=== 対策 ===

2008年4月30日 (水) 16:14時点における版

たらい回し(たらいまわし、盥回し)とは、たらいを足などで回す曲芸。転じて、面倒な案件などを部署間で押し付け合って責任逃れ(俗に言う「責任のなすり合い」)や責任転嫁などをすることをそう呼ぶようになった。

曲芸における「たらい回し」

明治、大正時代にかけて隆盛した曲芸の1つ。鉄割熊蔵による鉄割一座による足芸が有名。

次第に欧米との文化交流が活性化していく中で、海外ではその芸の価値を認められ、優れた芸人は欧米に招聘されてエンターティナーとして活躍した。かのエジソンにも感銘を与えたと言われ、その撮影した映像が残っている。

一方で、日本では欧米ほどにはその芸の価値を認められず、むしろ社会的に軽んぜられため、優れた芸人の海外への移住を促し、現在の日本ではもはやかつての優れた足芸の伝統を継承する者は途絶えてしまったという。

外部リンク

医療における「たらい回し」

概念

医療における「たらい回し」は、近年独特の意味で用いられているマスコミ用語である。報道で見られる用法のほとんどは「受け入れ不可能」の言い換えであり、119番通報した患者の元へ救急車でかけつけた救急隊員が、医療機関に受け入れ可能かを問い合わせ、「受け入れの人手・物資が足りない」などの理由で断られること、また医療機関がより高次の別の医療機関に搬送可能かを問い合わせて同様に断られることなど、全体のほとんどを占める不可避な理由での「受け入れ不可能」な事例を全て一緒くたにしてそう報道されているのが現状である。

なお、救急受け入れ要請は救急隊が現場で患者をケアしつつ複数の病院に要請を行うのが常であり、患者の身柄があちこちへ「回されて」いる訳では無い。むしろ、受け入れ困難な病院に無理矢理押し込めば、その後の急変或いは入院ベッドが無いと言う理由で結局救急車を使って転院することになり、この場合は実際に患者の身柄が「たらい回し」される事となる。

この用法に関して医療側からは「不適切な用法で読者・視聴者の印象を歪めるものだ」と強い反発が出ている。また、真の原因である医療費削減問題や医療制度の不備といったシステム上の問題から目を背け、病院への安易な印象批判へと繋げることで医療崩壊の本質から国民の目を逸らしている、との批判がある。医療関係報道の問題に関連して、西川京子厚生労働副大臣は、「安全で安心な食物にコストがかかるという意識は国民の間に育ってきたが、医療の分野では国民の意識が育っていない。今日はマスコミの方もいるようだが、すべて受け入れる側が悪いという指摘の仕方ではなく、一緒に医療を構築するという方向性を持たないと不毛の議論になっていく」とコメントしている。

現状

総務省の全国的調査によれば、「たらい回し」の主な原因は、「処置困難」が2~4割、「ベッド満床」が2割前後、「手術中・患者対応中」が2割前後、「専門外」が1割前後、「医師不在」が1割以下程度となっている。なお、ここでの「処置困難」とは医療機関が、傷病者の症状に対処する設備・資器材がない、手術スタッフが不足している、傷病者の症状から手に負えないことを理由に受入できないと回答したものを表す。近年の産科医療崩壊を反映して、照会回数4回以上の産科・周産期傷病者搬送事案は、平成16年の255件から平成19年の1084件と、4倍にも増加している。

最近の医療訴訟でも、<医師が専門的な知識を持っていたら救命できた>とか<専門医がおれば救命できた>などという病院側敗訴判決が連発され、それを反映して専門医がないのでその患者は受け入れできない(受け入れてはいけない)という解釈が医療側に定着しつつある。

対策

アメリカでは、1986年以降EMTALA(緊急的診療・分娩法)という法律があり、救急・出産に関し病院が症状安定の義務を負うため、たらいまわしができない構造になっている。病院は優先順位の高い患者から順に振り分け受け入れなくてはならないし、この症状安定の義務に反した場合厳しい罰則を受けることとなる(ただし医療過誤よりはるかに軽い)。この法律は、病院の救急車であっても病院の所有物とみなされ適応されるし、病院以外の救急車を調達する事は特別な理由を除き許されないとされている。

外部リンク

関連項目

たらい回し関数

竹内関数の別名。たらい関数とも。