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2008年4月29日 (火) 13:29時点における版

ニガー(Nigger)は、主に英語圏において、一般に黒人を指す蔑称として用いられるスラングの一つである。ニガ(Nigga)とも。和訳は黒んぼ、黒奴[1]など。

少なくともアメリカ合衆国においては、アフリカ系アメリカ人を指して使うところのまさしく差別用語と見做されることから、今日ではこれの暗喩である"N-Word"という婉曲的表現が用いられることもしばしばである。

歴史

ラテン語Negro(ネグロ:黒色のこと。長じて黒人を意味する。)を語源とし、このnegroまたはnegerからnegarフランス語(nègre)の影響を受けながらやがてniggerに転じ、大英帝国によるインド植民地化の過程で、イギリス人が現地人に対して用いたのが直接的な起源であるといわれている。大西洋奴隷貿易の時代にはまだ軽蔑的な意味合いは薄い言葉で、黒人に対する何気ない呼称として用いられていたが、そののち時を経るごとにしだいに侮蔑的な意味を持つようになっていった。

アメリカ合衆国では、公民権運動が活発化する1960年代までには白人および黒人の両者において自由に用いられていた単語であったが、今日では単語それ自体が強烈な社会的タブーとして扱われている。例えば多くの新聞や雑誌が、単語としてniggerを扱う場合、そのまま印刷することがなく、n*gg*rn**gern——というように6字中の幾字かを欠落させるか、またはthe N-wordという表現で代替するほどである。

2007年2月28日ニューヨーク市にてニガーという言葉の使用を禁止する条約が制定された。

例外的用法

非黒人が黒人に対して侮蔑の意味合いを込めて用いる場合ではなく、黒人が黒人同士でこの単語を用いることがある。"Hi , Brother"(やあ、兄弟)などと似た親近的な意味合いの濃い表現として、黒人が同じ黒人を呼ぶのに用いる場合である。とりわけ若者が多く使う。ただし教養のある黒人の中にはこの語の由来から、このような用法に反対する向きもある。

大衆文化における用例

アメリカ合衆国においては歴史的にも社会的にも重要な意味を持つ単語であることから、映画や音楽といった大衆文化における用例は枚挙に暇が無い。例えば、人種混合ファンクロックバンドのスライ&ザ・ファミリー・ストーンはアメリカ合衆国の人種対立を諷刺してDon't Call Me Nigger, Whitey(クロンボと呼ぶな、シロンボ)という曲を作った。また、ジョン・レノンフェミニズムについて歌った曲"Woman Is The Nigger Of The World"(邦題:女は世界の奴隷か!)を作った。この曲では、女性が黒人に擬せられている。

派生語

主にアメリカ合衆国において、次のような派生語が確認されている。

  • ウィガー(Wigger、時にWigga/Whigger/Whigga)
かばん語(White + Nigger)であり、都市部の黒人(のステレオタイプ)と似た振舞いや身なりの白人を指して用いられるスラング。郊外の裕福な家庭に育った白人の若者が多く、いわゆるギャングスタの黒人の身なりを真似し、ヒップホップ文化に陶酔するというのがその類型である。近年では(アメリカ合衆国に限らず)黒人やその文化に憧れる白人の若者が増えてきており、一般的に差別語とは見做されていないが、『いくら黒人が格好良いからといって、ちんちくりんの白人が真似しても滑稽なだけだ』という卑下のニュアンスを含んでもいる。著名な用例は、米国の白人ラッパーエミネムの楽曲『The Way I Am』の歌詞の一部として現れるものなど。
Wigger同様のかばん語(Chinese + Nigger または Chink + Nigger)であり、都市部の黒人(のステレオタイプ)と似た振舞いや身なりの中国系アメリカ人を指して用いられるスラング。

脚注と資料

  1. ^ 例として、『闇の奥』に現れるniggerという単語は中野好夫によりこう和訳されたうえで、『くろんぼ』というルビが付されている。

関連項目