「立ち食いそば・うどん店」の版間の差分

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現在では味への要求から、市街地に立地する店を中心に[[生麺]]を用意し、注文後生麺から茹で上げる店も増えてきている。茹でたあと、冷たい水で麺のヌメリを取り締めるため、本来の味を楽しむことが出来る。だがこのような店でも、茹で上げる手間を減らし提供の早さを維持するため、一定量の麺を一度に茹で上げておく店では麺が伸びてしまっている場合もある。
現在では味への要求から、市街地に立地する店を中心に[[生麺]]を用意し、注文後生麺から茹で上げる店も増えてきている。茹でたあと、冷たい水で麺のヌメリを取り締めるため、本来の味を楽しむことが出来る。だがこのような店でも、茹で上げる手間を減らし提供の早さを維持するため、一定量の麺を一度に茹で上げておく店では麺が伸びてしまっている場合もある。


[[関東地方|関東]]では概ね「そば・うどん」と表記されるように、そばがメインの商品として扱われてるが、これが[[近畿地方|関西]]になると「うどん・そば」との表記が増え、うどんがメイン商品として扱われている。ちなみに富山県のJR高岡駅の「今庄そば」には、丼に「そば」と「うどん」が一緒に入った「ちゃんぽん」というメニューがあり、ここが関東圏(そば)と関西圏(うどん)の境界とする意見もある。
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=== つゆ ===
=== つゆ ===

2008年3月14日 (金) 04:36時点における版

立ち食いそば・うどん店たちぐいそば・うどんてん)は、主にそばうどんなどを供し、客が店内のカウンターで立ったまま食べるスタイルの営業形態(立ち食い)を基本とした飲食店である。日本の都市圏の鉄道駅などにしばしば見られる。

概要

手早い食事を可能とすることを基本的なコンセプトとしており、移動途中に簡単に食事をすませたい場合等に重宝されている。日本特有のファーストフードとも言える。戦後鉄道駅の構内営業が発祥とも言われ、現在も鉄道駅の構内や近隣に多く立地しているため、俗に駅そば駅うどんとも呼ばれる。また、大都市圏を中心に、駅周辺やビジネス街などの市街地商業地域で営業する店、あるいは遊園地野球場競馬場などの遊興施設で営業をする店も多々ある。店によっては、立ち食いではなく、カウンターに簡易椅子を設け、腰掛けられるようになっている場合もある。

高速道路サービスエリアパーキングエリア一般道路道の駅などにある立食スタイルの軽食コーナーにも、そば・うどんのメニューがあるので、広義にはこれらを含むこともできる。

2006年現在の相場で、具がのみの「かけそば」「かけうどん」で200~300円程度であり、外食の中では安価に提供されることも特徴とされる。

そば・うどんを知らない外国人や、地域によるメニューの違いを考慮して、メニューや看板の写真を掲載している店もある。

営業形態

基本的に客は店内のカウンター越しに厨房内にいる従業員へ料理を直接注文し、カウンター越しに出来上がった料理を直接受け取る。

かつては、出来上がった料理と引き換えに、従業員へ代金の現金を手渡しするスタイルが標準的だったが、近年では立ち食いそばチェーンの普及による金銭管理の徹底化、および保健所からの衛生上の観点による指導により、食券販売機を使用する店舗が増えている。また、JR東日本首都圏エリアの店舗では、電子マネーSuicaPASMO)が利用できるものも登場している。ただし、トッピングの追加のみ現金可の場合も多いほか、今でも手渡しで全商品の代金収受を行っている店も少なくない。長距離列車の発着するホームでは、車内持込用の簡易容器を用意しているところもあり(地域によっては通勤・通学列車の発着ホームにもある)、その代金はおよそ20円程度である。

商品形態

立ち食い店では商品を短時間に提供することが売り物のひとつであるため、市中のそば・うどん店とは異なり、あらかじめ製麺所で茹で上げられた麺を注文後再度短時間湯通しし、かつ熱めのつゆをかけて提供される場合が多い。これは、生麺から茹でていては客の「短時間で食事を済ませたい」要求に対応できない事ことから生まれたものである。また、この方法では調理が短時間かつ簡単なため、店員数が少なくて済み、コスト削減の効果もある。

最近では茹で麺に加えて、冷凍麺も増えてきている。茹で麺は消費期限が製造から3日程度で毎日納品する必要があるが、冷凍麺は賞味期限が1年と長持ちすることで週1回程度での納品で済むなどの利点があり、茹で麺で提供するには客が少ない店で導入されている。逆に、冷凍庫を設置しなければならないことや、茹で麺に対して2分程度の茹で時間がかかるという欠点がある。

現在では味への要求から、市街地に立地する店を中心に生麺を用意し、注文後生麺から茹で上げる店も増えてきている。茹でたあと、冷たい水で麺のヌメリを取り締めるため、本来の味を楽しむことが出来る。だがこのような店でも、茹で上げる手間を減らし提供の早さを維持するため、一定量の麺を一度に茹で上げておく店では麺が伸びてしまっている場合もある。

関東では概ね「そば・うどん」と表記されるように、そばがメインの商品として扱われてるが、これが関西になると「うどん・そば」との表記が増え、うどんがメイン商品として扱われている。ちなみに富山県のJR高岡駅の「今庄そば」には、丼に「そば」と「うどん」が一緒に入った「ちゃんぽん」というメニューがあり、ここが関東圏(そば)と関西圏(うどん)の境界とする意見もある。

つゆ

一般のそば・うどんと同様に、立ち食いそば・うどんでもつゆは、東日本では濃口醤油を用いた黒い色の関東風、西日本では薄口醤油の風味を生かした透き通った関西風が主流である。

日本海側での味付けの境界は概ね、直江津駅富山駅とされる。しかし、富山駅のものにしても完全に関西風とは言い難い。金沢駅では汁が関西風になることや、富山県内にある高速道路のサービスエリアパーキングエリアにおいては西進するにつれ徐々に味が関西風に近づいている[1]ことなどを鑑みると、立ち食いにおいては富山県内が境界である可能性が高い。

太平洋側では、静岡県が全県で関東風、三重県は名古屋の影響の強い東部でも薄口醤油による関西風のつゆが主流のため、愛知県を境界とする説が濃厚である。同じ愛知でも、豊橋など東三河地方では、静岡県と同様の「鰹出汁に濃口醤油」の関東風そのものだが、名古屋岡崎など尾張地方西三河地方では味醂等の甘味が効いた独特な「名古屋風」のつゆである。ただしそれも濃口醤油ベースのため、広義では関東風に含めることが多い。

内陸部の米原駅の立ち食い店は、薄口醤油の風味を生かした、明らかに関西風のつゆの立ち食い店である。東海道本線沿線で米原の東隣に位置する立ち食い店設置駅はかつては大垣駅、2006年現在では岐阜駅で、いずれも濃口醤油ベースの名古屋風つゆの店である。この事から立ち食いそば・うどん店のつゆもまた、「関ヶ原」が東西の境目になっていると言える。

2000年12月22日に放送された『タモリ倶楽部 さよなら20世紀SPECIAL』(テレビ朝日、90分拡大SP)の企画で、東海道新幹線各駅のうどんだしの濃さを調査した。関東~東海にかけては所謂関東風で、特に小田原駅から豊橋駅までが最も濃く、また西に進むにつれむしろ濃くなっていった。豊橋駅の次の三河安城駅でやや薄くなる変化が現れ始め、名古屋駅は三河安城駅とほぼ同じ、その隣の岐阜羽島駅ではそれより更に薄くなり、次の米原駅からは完全な関西風の薄いだしになるという結果だった[2]。また、2001年10月28日放送『所さんの目がテン!』でも同様の調査が行われ、やはり米原駅で関西風に切り替わるという結論に至った[3]

なお、例外的に関東でも関西風のつゆを出す店はある。関東の駅で主流の日本レストランエンタプライズ(NRE)の店の一部では、そば・うどんともにつゆを関東風・関西風から選択可能である。ただし、ネギはすべて関東で主流の白ネギを用いており、青ネギを用いる関西風のうどんとは厳密には異なるため、つゆのみが変わる事で「関西風」とされる事には異論もある。

種物・薬味

  • 立ち食い店における天ぷらとは基本的に掻き揚げのことを指すが、この由来は立ち食いそば発祥の頃にまで遡る。当時はつゆにあまりコストを掛けられなかったため出汁が薄く醤油味の濃いつゆが多かった。しかしそのままでは塩辛くて食べ難いため、種物の中でも油分の多い掻き揚げを載せることでつゆと麺を油分の甘味で結びつけ、食べ易くしたことによる。また、立ち食いでない店に比べて薄利多売であり、廉価で供するために天ぷらを掻き揚げにする事情もある。薄く柔らかい揚げ置きの既製品を使用する店もあるが、店内で揚げるスタイルの店も増えている。天ぷらの素材は、チェーン店では業務用の冷凍製品が用いられるが、小規模の個人店舗ではオリジナルの材料や揚げ方などにより独自性を発揮している例も多い。チェーン店でも「薬膳天」なる独自種物があるところ(梅もと)がある。
  • 一般のそば・うどん店と同様、天かす(揚げ玉)や油揚げも種物として一般的。関東では天かすが乗れば「たぬきそば・うどん」、具が油揚げに変われば「きつねそば・うどん」となるが、関西(主に大阪)では、うどんに油揚げが乗れば「きつね」、そばに油揚げでは「たぬき」と呼ぶのもやはり同様である。大阪では揚げ玉が乗ったものを「ハイカラうどん」「ハイカラそば」、京都では「あんかけうどん」「あんかけそば」などとも称するが、天かす入れ放題の店もあり、特に名称がない場合も多い。
  • 以前はサービスの一形態として、カウンター上に葱や天かすが盛られた容器があり、客が自分で好きなだけ入れられる店も多く存在したが、最近は減少している。
  • 一般のそば・うどん店よりも種物のバラエティに富む店もある。箱根そばチェーンの2006年までの夏季限定メニュー「冷やし豆腐一丁」は、冷やし麺に絹ごし豆腐を一丁そのまま載せたもので、それまで一般の店には全く見られなかった種物である。その一方で、利用者が多くない店舗では、極端に種物を絞る店も多い。たとえば、種物としてと掻き揚げしか用意せず、かけ・天ぷら・月見・天玉の4つしかメニューがない店もある。これらの種物は冷蔵庫で保管すれば複数日に渡って保存可能で、コスト削減の一環である。
  • 立ち食い店においてコロッケを種物として採用したのは神奈川県内の駅の店とされる。このコロッケそば・うどんは首都圏各地へと広まったが、これが浸透している地域には限りがある。そのため、他地域に在住している人間からは、うどんやそばにコロッケをトッピングすることが信じられないと言われることが多い。駅そばで提供されるコロッケはそば・うどん用に衣が厚く硬く作られており、イモ部分も水分が少なく、じっくり汁に浸してからでないと箸を通せないようにできている。なお、小田急電鉄の「箱根そば」ではコロッケはカレー味の「カレーコロッケ」になっている。
  • 首都圏では「肉うどん」に豚肉を使用、牛肉を使用したものは「牛肉そば」としている店舗もあり、「肉=牛肉」と考える関西以西の出身者は驚くことがある。これは、関東では関西と比較すると養豚が盛んだったことが要因とされ、関東と関西の文化の違いを窺わせる。

冷やし

一般的なそば・うどん店では普通に供される冷やしメニューは、置かないか、置いても夏季限定とする店が多い。これは、一度暖めた麺をもう一度流水で冷やす手間がかかり、客回転の点からも好ましくないからである。価格も高めに設定されている。常備メニューにあっても多くは「冷やしたぬき」か「冷やしきつね」が一般的だが、これは「ざる」・「もり」は麺を冷やす手間に加え、蒸篭(せいろ)とつゆを入れる容器を用意する煩雑さを嫌われることと、他のメニューと具材が共用できないためである。冷たい汁でどんぶりスタイルのメニューもあるが、具材が共有できても、価格が暖かい麺と同じであることは少ない。反面、「冷やし」メニューが通年提供の店も一部にはある。

飯物

いくつかの店舗では、ご飯物も供している。多くの店では、白米のライスかしわめしなどの炊き込みご飯系・少し凝ったものではとろろ飯などの茶碗に盛るだけのもの、カレーライス・かきあげ天丼などの麺類と具が共通のもの、または稲荷寿司おにぎりなどのその場で調理の必要のないものに限られるが、通常の蕎麦屋のメニューのようにカツ丼牛丼・季節限定で夏季に鰻丼などの丼物を置く店もある。駅弁販売業者が運営する駅内にある店舗では駅弁を扱うところもあるが、あくまでも持ち帰り用である。

その他の麺類

定常メニューとしてラーメンがある店舗もある。そば・うどんと同じネタをトッピングすることが可能な場合が多い。きしめんなどの地域性に富むものや、季節限定で夏季に素麺冷麦を出すところもある。

また、そば・うどんを全く置かないため本項で語るべき範疇からは外れるが、ラーメン専門の立ち食い店も各地に存在する。かつては「ホームラーメン」という名称の立ち食いラーメンチェーン店が秋葉原駅浜松町駅などの構内にあったが、現在は存在しない。

各地の特徴

北海道

音威子府駅駅蕎麦。鉄道ファンの人気は高く、旅行雑誌やテレビでもよく紹介される。
  • 北海道の立ち食い店における天ぷらは、揚げ玉を円盤状に固め、表面に乾燥小海老がついたものが多く見受けられる。ナルトは、外側の波型の部分が赤色で、中の渦巻きの絵柄が緑色をしたものがほとんどである。
  • 音威子府駅の濃い黒色をした蕎麦はテレビ雑誌などでも取り上げられ、良く知られている。ただし営業時間、営業日は不定。駅前右側の商店においても販売されている。
  • 新得駅のそばは、音威子府駅のものと同様に手打そばであり、定評がある。昼食時には旅行者だけでなく地元民にも食されている。
  • 遠軽駅では、定番メニューのきつねそば・うどんはない代わりに、合鴨そばや、卵、かきあげ、山菜、あいがも入りのスペシャルというオリジナルメニューがある。
  • 札幌駅では、通勤電車の発着ホームも含めて全てのホームの店で車内持ち込み用の容器が売られている。また、店の作りも屋内にあるのは厨房のみで、カウンターは屋外にある。かつて構内飲食店が他にほとんどなかった頃は、冬場は発車まで時間があっても、寒風に晒されるホームを避けて車内で食すために利用する客も少なくなかった。

東北

関東

  • JRでは以前は各駅毎に様々な業者が入り営業していたが、1990年代半ば頃からこれらの業者を排除し、東日本旅客鉄道(JR東日本)の連結子会社であるNREとへと統合してきた。これにより仕入れを共通化でき原価を低減させたが、個性がなく批判的に受け止める人が多い。NREではこの批判の声を受け、近年は各地へ出店の際に、独自メニューが含まれたり、具の内容が異なる店も出現している。また、多くは「あじさい茶屋」の名称だが、最近では別の名称で出店している駅もあり、東京近辺を中心に様々な駅に出店している。秋葉原駅など一部の駅には生そばを扱う「生そば あじさい茶屋」もあり、麺やつゆの質が向上している分、通常の店より数十円価格が高い。
    • 具の内容が異なる店として、品川店のみの「しながわ」、西船橋店では他店と異なるかき揚げを使用、などがある。
    • 「あじさい茶屋」以外の名称で出店している駅としては錦糸町駅の「本所そば」、品川駅の「しながわそば」、吉祥寺駅の「そば処 井の頭」などがある。
    • 全国的な讃岐うどんブームが起こった2002年(平成14年)より、NREが四国旅客鉄道(JR四国)系列の「めりけんや」と業務提携を行い、恵比寿駅上野駅新橋駅など一部の駅で讃岐うどんの専門店を営業している。
  • JR東日本系列のジェイアール東日本フードビジネス(JEFB)も独自に「あずみ」「生そば あずみ」を展開しており、同じ駅にNREの「あじさい茶屋」や前述の讃岐うどん店が共存することがある。その他、JR東日本直営系では、各支社子会社であるジェイアール東京企画開発、ジェイアール宇都宮企画開発が展開する「喜多そば」、ジェイアール神奈川企画開発、ジェイアールかいじ企画開発が展開する「小竹林(旧・そばたいむ小竹林)」があり、旧各鉄道管理局直営店舗となっている。
    • 小竹林の特徴として冷凍麺を使用している。特にそばは独特の食感があるので人により評価が分かれやすい。
  • 品川駅構内の立ち食いそばはホームや場所ごとに内容が全て異なる。駅弁業者でもある常盤軒が営業する東海道本線下りホーム10号車付近の立ち食いそばには、かけそばがない代わりに「お好みそば」がある。注文すると葱さえも盛られていない「そば・うどん」が提供され、そこに刻みネギ・わかめ・鰹節・揚げ玉・きつね・ごぼうさんま天など、複数用意された種物を好きなだけ載せて食べることができる。2008年現在、生卵もしくはゆで卵1個が無料サービスされている。1杯380円のため、全く種物を載せずに食べると他の立ち食い店に比べて割高となるので、客は皆かなり多めに種物を入れる傾向にある。
  • 立川駅ホームの立ち食い店(奥多摩そば)には「おでんそば・うどん」がある。甘辛く煮た薩摩揚げが種物として載せられている。
  • 東京都心に乗り入れるJRの路線でも、常磐線の駅には山手線等と重複する上野駅日暮里駅を除けば、NRE・JEFBの立ち食いそば・うどん店は全く存在しない。JR系列では東日本キヨスクが運営する店があるのみで、他は業者もまちまちで、比較的変化に富んでいる。
  • 常磐線我孫子駅ではから揚げが載った「から揚げそば」が有名である。営んでいる弥生軒はかつては駅弁業者で、過去に画家山下清が働いていた。
  • 茨城県内の主要駅では納豆そば(うどん)が食べられる。
  • 水戸駅けんちんそば(うどん)は、冬季メニューとして伝統がある。
  • 宇都宮駅の「野州そば」では餃子そばが食べられる。
  • 新前橋駅にある「麦和楽」(むぎわら)のうどん・そばは、自社麺房の手打麺を使用している。
  • 私鉄の場合、その鉄道会社の系列の店が出店する傾向が強い。小田急電鉄の「箱根そば」などが代表格である。このほかに、東京急行電鉄の「渋谷しぶそば」、京王電鉄の「高幡そば」、西武鉄道の「狭山そば」、東京地下鉄(東京メトロ)の「ちかてつそば」(主に駅敷地内の地上で展開、運営はメトロフードサービス)、関東鉄道の関鉄プラザなどがある。鉄道会社とは直接関係のない業者が出店する場合も多々ある。京浜急行電鉄の「えきめんや」は店の屋号が統一されているだけで、実際は各駅様々な業者が運営している。
  • 東武伊勢崎線久喜駅構内には立ち食いラーメン店では、そば・うどんも取り扱っている。東武鉄道の駅の立ち食いラーメン店は他に3店舗存在するが、いずれもそば・うどんは無い。
  • 立ち食い店で初めて生麺を導入したのは、1987年、富士そばである[4]とされる。「小諸そば」を生麺導入の先駆け的存在とした記事もある[5]が詳細は不明。
  • 首都圏の主な駅周辺には「富士そば」チェーンや「梅もと」の店舗がよく見られる。

甲信越

北陸

  • ますのすし」で知られる株式会社源が運営する、富山駅にある「立山そば」のホーム内店舗では、車内持込用の容器を用意していない代わりに、持ち込み料金を払うことで丼ごと販売されている。
  • 富山県の高岡駅にある「今庄そば」(今庄は経営者の)ではそばとうどんを一緒に盛り付けたメニューを「チャンポン」と称して供する。また、副食として供されるおにぎりは、主にこの地域でしか見られない、とろろ昆布巻きのおにぎりも売られており、人気も高い。
  • 福井駅のうどん・そばは、鰹節を散らすのが特徴。

東海

  • 静岡県では、鉄道駅での営業もさることながら、市街地国道沿いなどさまざまな場所に立ち食いそば・うどん店が存在する。静岡がサクラエビシラスの産地であることから、サクラエビやシラスの掻き揚げ天ぷらを乗せたそば・うどんが普通である[要出典]エラー: タグの貼り付け年月を「date=yyyy年m月」形式で記入してください。間違えて「date=」を「data=」等と記入していないかも確認してください。。なお、県内全域でつゆは関東風にいりこだしを加えた甘めのものが使われる。
  • 豊橋駅の「壷屋」ではすべてのメニューにきざんだ油揚げがのっている。これは豊川稲荷にちなんだものである。
  • 名古屋駅ホーム上の立ち食いきしめんは有名で、中でも新幹線ホーム(4号車付近)の店舗が美味と好評である。この店舗は、他ホーム(在来線)と異なり、店舗内で出汁を取っているのが旨さの秘訣とされる。ただし駅構内全ての店できしめんを扱っている訳ではない。
  • 松阪駅では牛肉を用いた肉うどんの人気が高いようである。また、伊勢うどんを食べられる。伊勢うどんを出す店はかつては伊勢市駅にもあったが、現存しない。

関西

  • 米原駅の立ち食い店には、粉末にしたよもぎをそば粉に混ぜて打った「よもぎそば」がある。
姫路駅名物「えきそば」。鹹水を使用しているため、麺が黄色い
  • JR姫路駅構内の「えきそば」(店名)は、前述の直江津駅燕三条駅と同様に中華麺が薄口の和風つゆに入っており、同駅の名物となっている[6]。こうした中華麺を使用したそばは、近畿地方では大衆食堂学食などにおいてもしばしば散見され、蕎麦粉を用いた通常のそば(和そば、黒そば)と区別するために「黄そば」(きそば、きぃそば)と呼ばれる。
  • 関西の私鉄駅構内の立ち食いそば・うどん店は、メニューはうどんが先に記されている場合がほとんどであるにも関わらず、阪急電鉄の「阪急そば」、阪神電気鉄道の「阪神そば」、南海電気鉄道の「南海そば」(ただし新今宮駅のみ「戎そば」)、山陽電気鉄道の「山陽そば」、神戸高速鉄道の「高速そば」など、蕎麦が無いと誤解されないために店名が「○○そば」の例が多い。なお、京阪電気鉄道では「麺座」で、店名に「そば」も「うどん」もつかないが、かつては枚方市駅にのみ「京阪そば」があった。近畿日本鉄道は、難波駅が「麺と串」、上本町駅が「上本町麺類」、鶴橋駅が「うどん亭」、大阪阿部野橋駅が「阿倍野庵」と、駅ごとに店名が異なる。いずれの店でも提供されるのは、純然たる関西風のつゆによるそば・うどんである。
  • 京阪神地区には駅のそばや商店街などに大阪誠和食品グループが経営する「都そば」という立ち食いそば・うどん店がある(屋号は○に"せ")。素うどん(かけうどん)を180~200円と安価で提供しているのが特徴。ラーメンも販売している。東京の誠和食品が経営する同系列店は、秋葉原などにも数店舗存在している。
  • 「天ぷらそば」は、店員に「天そ」と略されることが多い。
  • 神戸地区の高速そば・山陽そば等を中心に「ぽっかけ」うどん(そば)というものがあり、スジ肉をじっくり煮込んだものがトッピングされる。

中国

  • ほぼ関西と同様の昆布鰹節出汁を取り、薄口醤油の風味を生かしたつゆの立ち食い店が多い。
  • うどんそばとも供されているが、ややうどんの比率が高い傾向が覗える。
  • 出雲そばで名高い島根県にあるJR木次線亀嵩駅は簡易委託駅で、駅舎内の蕎麦店「扇屋そば」の店主が駅業務を兼業している。扇屋そばは立ち食いではないが、中国地方の駅蕎麦として代表的なものの一つである。事前に電話予約(トロッコ列車のみ予約不要)をすることで亀嵩駅に到着する列車に出前をする「弁当そば」(500円)も販売している。
  • 広島駅では、駅弁業者の広島駅弁当が1番ホーム、4・5番ホーム、7・8・9番ホームで営業しているが、地元民の噂によると1番ホームが最も美味しいとの評判が出ている。しかし、実際はどのホームも全く同じメニューやスープを供している。また、1番ホームの店が最も遅くまで営業している。
    新幹線ホームの店は「味一」という屋号である。過去に横川駅に同一名称のJR直営立ち食いうどん店が存在した事から、この店も同様と推測される。
    過去には「広島駅弁当」が可部線下祇園駅の駅舎近くでも立ち食いうどん店を経営していた。現在は居酒屋となっており、うどんは取り扱っているが立ち食いではない。
  • 徳山駅肉うどんは、肉の出汁がスープに染みて、美味しいと高評価である。
  • 下関駅ホームの店のメニューはふくてん、かやく、てんぷらの3種で、並うどん・そばが無い。名産のふぐ(しろさばふぐ)を用いたふく天うどんが人気であり、東京発九州方面行きブルートレイン機関車の付け替えで長時間停車している時には、朝食代わりに多数買い求める客が多い。また、かやくうどんも一部の愛好者には評価が高い。

四国

  • 讃岐うどんの文化が根強くうどんのみの店が多く、そばがある場合でもうどんの金額に50円~100円の追加が必要な場合もある。店内には椅子席が中心のため立ち食い式も少ない。しかし阿波池田駅の祖谷そばなど例外もある。
  • 高松駅の構内では、かつて宇高連絡船の甲板で営業していたうどん店が立ち食いで営業しており、連絡船時代の味を残している。ただし、当時の味を再現したものであり、麺だけはJR四国グループのうどん店「めりけんや」が作ったものである。そのため、雰囲気を重視するか、味を重視するかで賛否が分かれるが、連絡船のうどんを知らない観光客には、おしなべて好評の様子。
  • 松山駅の構内では、愛媛県名物のじゃこ天うどん(そば)が好評。

九州

  • うどん中心の地域であり、うどん麺は常にすぐ出せるように準備されているが、蕎麦はすぐ出せないという店が多い。
  • 特徴的な種物としては「ごぼう天」(「ごぼ天」とも言う)と「丸天」が挙げられる。「ごぼう天」とは、主にゴボウ掻き揚げを指すが、斜め切りまたは拍子木切りにして個別に揚げたものを用いる地域もあり、シャキシャキとした食感が好まれる。「丸天」とは薩摩揚げに似た大判の蒲鉾天ぷらの事である。甘みは薩摩揚げほどではなく、また前述の立川駅で見られる「おでん」とは異なり、特に味付はなされていない。
  • 「天ぷらうどん」あるいは「天ぷらそば」を注文すると、上記の「丸天」が乗って出てくる場合がある。
  • 九州地方の立ち食い店では、大抵プラスチック製の丼で供され、わずかな容器代を追加すれば車内に持ち込む事も可能である。
  • 福岡県を中心とした北部九州地区では、柔らかい食感とやや平たい断面が特徴的の「博多うどん」が提供される。また、北部九州の代表的な駅弁の「かしわめし」を販売する業者が駅のうどん店を営業している場合が多く、葱以外に具のない「かけ」を注文した場合でも、「鶏肉」鶏肉の細切れを甘辛く煮た「かしわ」が入っている場合が多い。
  • 博多駅では、葱を客が好きなだけトッピングするシステムとなっている。かしわと葱のトッピングは、ホームによって異なる。
  • 鳥栖駅の立ち食い店でも、かけうどんかけそば)の状態で、かしわが載っている。5・6番ホームが美味しいと評判だが経営している業者は全て同一である。
  • かしわうどんは小倉駅ぷらっとぴっと」も人気がある。漫画クッキングパパ』でも紹介された。
  • 熊本駅0番ホームではかつて、阿蘇名物高菜を載せた、「高菜うどん(そば)」が味わえたが、現存しない。また、九州新幹線建設のあおりを受けて、ホームが改装・整備され、立ち食いうどん店その物がない。

沖縄

  • 鉄道が存在しなかった時期が長く、またそば・うどんの消費量も非常に少ない[7]。そのため立ち食いそば・うどん店も少なく、市場繁華街、道路沿いのPASAなどの立ち食い店では沖縄そばが主流である[8]

脚注

  1. ^ 新潟テレビ21「小野沢裕子のいきいきワイド」取材に基づく。
  2. ^ 『タモリ倶楽部のへや』 番組レビュー2000年12月22日参照。なお、番組レビューページの日付は「1月22日」となっているが、このサイトのフレーム2000年のカレンダーやこの放送のサブタイトルなどから12月22日が正しい模様。
  3. ^ 所さんの目がテン! 2001年10月28日放送 大阪うどん うす味の謎(第604回)より。
  4. ^ 読売新聞ジョブサーチ2007年3月28日演歌に癒やされ、そばに真心より。
  5. ^ dancyu 2001年12月号
  6. ^ 駅そばの話(まねき食品株式会社)
  7. ^ 総務省統計局>家計調査>都道府県庁所在市別ランキング>外食(注:エクセルファイル)「日本そば・うどん」より。
  8. ^ gooタウンページ>沖縄県>沖縄そば店/立ち食いうどん店/立ち食いそば店より。

関連項目

  • saku saku - テレビ神奈川の番組。視聴者から各地の立ち食いそばの情報をもらい紹介する「駅そばキング」というコーナーがある。