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'''銃剣術'''(じゅうけんじゅつ)とは、[[白兵戦]]・[[CQB|近接戦闘]]において、先端に[[銃剣]]を装着(着剣)した[[小銃]]を武器にして敵を制圧する技術である。戦技であるのでルールは無いが、訓練時には安全性の確保のため一定のルールが設けられ、そこからスポーツされものは'''銃剣道'''と呼ばれる。
'''銃剣術'''(じゅうけんじゅつ)とは、[[白兵戦]]・[[CQB|近接戦闘]]において、先端に[[銃剣]]を装着(着剣)した[[小銃]]を武器にして敵を制圧する技術である。戦技であるのでルールは無いが、訓練時には安全性の確保のため一定のルールが設けられる。[[日本軍|旧日本軍]]の銃剣術を競技[[武道]]に[[銃剣道]]がある。


かつて小銃の装弾数が少なかった時代は、銃剣術は重要な白兵戦技術だったが、[[第一次世界大戦]]においては銃剣による死傷者は1パーセントに満たなかったといわれる。[[第二次世界大戦]]以降は、ハイテク技術や銃器、兵器の進歩によって、儀仗以外での使用頻度がより少なくなり、現在では野戦において塹壕内に残った敵や藪に隠れる敵を掃討する場合、倒れた敵兵の死亡確認のため突く場合、占領地の警備や捕虜の護送等で相手にプレッシャーを与えるために銃剣を装着して警備に当たる場合など、限定された局面のみでしか用いられなくなった。このため多くの軍事組織で銃剣術の訓練は減少、もしくは廃止された。
かつて小銃の装弾数が少なかった時代は、銃剣術は重要な白兵戦技術だったが、[[第一次世界大戦]]においては銃剣による死傷者は1パーセントに満たなかったといわれる。[[第二次世界大戦]]以降は、ハイテク技術や銃器、兵器の進歩によって、儀仗以外での使用頻度がより少なくなり、現在では野戦において塹壕内に残った敵や藪に隠れる敵を掃討する場合、倒れた敵兵の死亡確認のため突く場合、占領地の警備や捕虜の護送等で相手にプレッシャーを与えるために銃剣を装着して警備に当たる場合など、限定された局面のみでしか用いられなくなった。このため多くの軍事組織で銃剣術の訓練は減少、もしくは廃止された。
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第二次世界大戦末期に日本で行われた[[竹槍]]の訓練も内容は槍術ではなく銃剣術であった。
第二次世界大戦末期に日本で行われた[[竹槍]]の訓練も内容は槍術ではなく銃剣術であった。

==大日本帝国陸海軍の銃剣術==
''[[日本軍|旧日本軍]]の銃剣術については、[[銃剣道]]を参照。''
日露戦争における旅順や奉天の戦いでの壮烈な白兵戦に勝利し自信を深めた日本軍は、明治初期にフランスやプロイセンの軍事マニュアルを翻訳して作られた陸戦の綱領「歩兵操典」を、1909年、戦訓をもとに独自に改訂した。この改訂で日本軍は、「大和魂・攻撃精神・銃剣突撃」を核とする精神論で敵に立ち向かえば、戦果はおのずとついて来るものだ、とする「教義」を確立したとされる。この操典の綱領では「戦闘に最終の決を与えるのは銃剣突撃とす。」「皇軍一貫精神。」と、精神力至上主義が強調されている。この後、日本では銃剣術や竹槍の猛訓練が大東亜戦争の終戦まで軍民を挙げて行われた。

== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
*[[白兵戦]]
*[[白兵戦]]

2008年3月9日 (日) 10:43時点における版

銃剣術(じゅうけんじゅつ)とは、白兵戦近接戦闘において、先端に銃剣を装着(着剣)した小銃を武器にして敵を制圧する技術である。戦技であるのでルールは無いが、訓練時には安全性の確保のため一定のルールが設けられる。旧日本軍の銃剣術を競技化した武道銃剣道がある。

かつて小銃の装弾数が少なかった時代は、銃剣術は重要な白兵戦技術だったが、第一次世界大戦においては銃剣による死傷者は1パーセントに満たなかったといわれる。第二次世界大戦以降は、ハイテク技術や銃器、兵器の進歩によって、儀仗以外での使用頻度がより少なくなり、現在では野戦において塹壕内に残った敵や藪に隠れる敵を掃討する場合、倒れた敵兵の死亡確認のため突く場合、占領地の警備や捕虜の護送等で相手にプレッシャーを与えるために銃剣を装着して警備に当たる場合など、限定された局面のみでしか用いられなくなった。このため多くの軍事組織で銃剣術の訓練は減少、もしくは廃止された。

冷戦終結後、大国が総力を挙げて衝突しあう大戦争の脅威は去ったがテロゲリラ等の低強度紛争という新たな脅威が世界の安全保障を脅かすようになり、近接戦闘の技術力強化が求められるようになったが、銃剣術については重要性はあまり高まっていない。これは屋内突入時に着剣していると銃剣が邪魔になるため近接戦闘が生起しやすい市街地戦では銃剣が用いられることが少ないことと、近接戦闘が生起しやすい屋内や船舶内などでは銃剣を用いるスペースが無いことが多いためである。

銃剣術の技は、刺突(突き)、斬撃(斬りつけ)、小銃のストック(台尻)部分を利用した打撃が基本であるが、弾倉部分や銃全体での打撃や敵の銃剣攻撃をかわす方法、敵に剣を刺突したままでの発砲や蹴りの反動を利用して引き抜くなどの技術もある。

銃剣の攻撃主眼は、相手の心臓を一突きして即死させることにある。このとき銃身に極力ストレスを加えないよう、正確にまっすぐ刺突して、より刃先が相手の肉体を貫通するよう十分に荷重をかけることを求められる。

第二次世界大戦時には前時代的でありながら、最も簡易な武器を取り扱う技術として敗戦色の濃くなった国で広く教えられた。

イギリスではバトル・オブ・ブリテンの時期に鉄パイプの先端に銃剣の刃を溶接した簡易槍が作られ、これを支給された市民は銃剣術の訓練を受けた。 この槍の長さはイギリス軍の正式小銃と同じで既存の銃剣術の訓練で扱えるように作られていた。

第二次世界大戦末期に日本で行われた竹槍の訓練も内容は槍術ではなく銃剣術であった。

旧日本軍の銃剣術については、銃剣道を参照。

関連項目

外部リンク