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[[浮動小数点数|浮動小数点演算]]の[[IEEE 754]]標準策定の際のアーキテクト代表であり、有限の精度の浮動小数点数の列を加算する際に入り込む誤差を最小にする重要なアルゴリズム([[カハンの加算アルゴリズム]])も開発した。
[[浮動小数点数|浮動小数点演算]]の[[IEEE 754]]標準策定の際のアーキテクト代表であり、有限の精度の浮動小数点数の列を加算する際に入り込む誤差を最小にする重要なアルゴリズム([[カハンの加算アルゴリズム]])も開発した。


カハンは "paranoia" という有名なプログラムも開発した。これは浮動小数点演算に関するバグを検出するベンチマークである。1980、これによって[[Pentium]]の[[Pentium FDIV バグ|除算バグ]]が発見され、今日でもよく使われている。
カハンは "paranoia" という有名なプログラムも開発した。これは浮動小数点演算に関するバグを検出するベンチマークである。1994年、これによって[[Pentium]]の[[Pentium FDIV バグ|除算バグ]]が発見され、今日でもよく使われている。


カハンは[[1989年]]に[[チューリング賞]]を受賞し、[[1994年]]には[[Association for Computing Machinery|ACM]]の[[フェロー]]となった。
カハンは[[1989年]]に[[チューリング賞]]を受賞し、[[1994年]]には[[Association for Computing Machinery|ACM]]の[[フェロー]]となった。

2007年8月27日 (月) 05:35時点における版

ウィリアム・モートン・カハンWilliam Morton Kahan1933年6月5日 - )は、数学者情報工学者。主な研究分野は数値解析である。

カハンはカナダトロントで生まれた。トロント大学で数学を学び、1954年に学士号、1956年に修士号、1958年に博士号を取得した。

浮動小数点演算IEEE 754標準策定の際のアーキテクト代表であり、有限の精度の浮動小数点数の列を加算する際に入り込む誤差を最小にする重要なアルゴリズム(カハンの加算アルゴリズム)も開発した。

カハンは "paranoia" という有名なプログラムも開発した。これは浮動小数点演算に関するバグを検出するベンチマークである。1994年、これによってPentium除算バグが発見され、今日でもよく使われている。

カハンは1989年チューリング賞を受賞し、1994年にはACMフェローとなった。

カハンは2006年現在、カリフォルニア大学バークレー校で数学、情報工学、電子工学の教鞭をとり、IEEE 754改訂版の策定にも関わっている。IEEE 754の仕様策定への貢献から「浮動小数点の父」とも呼ばれている。

彼は浮動小数点演算に関する教育に熱心で、浮動小数点数に関して間違った設計のハードウェアやプログラミング言語に対して厳しい。

カハンは超越関数の丸めのコストに対して「テーブルメーカーのジレンマ」という用語を作った。「ふたつのオーバーフローもアンダーフローもしていない浮動小数点数について y^w を正しく丸めつつ計算するコストは不明である」[1]

参考文献

  • Richard Karpinski, 1985年, Paranoia: A floating-point benchmark, Byte Magazine 10, 2 (Feb.), 223-235
  • IEEE. 1987. IEEE standard for binary floating-point arithmetic [url]. ACM SIGPLAN Notices 22, 2 (Feb.), 9-25

外部リンク