武士道シックスティーン

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武士道シックスティーン』(ぶしどうシックスティーン)は、誉田哲也による日本の小説作品。

剣道青春をかける対照的な2人の女子高生をユーモラスかつ爽やかに描く。続編に『武士道セブンティーン』、『武士道エイティーン』及び『武士道ジェネレーション』がある。

2009年5月から『月刊アフタヌーン』(講談社)、『デラックスマーガレット』、『ザ マーガレット』(集英社)にて漫画化作品が連載開始。2010年に映画が公開された。

あらすじ[編集]

警察官である厳格な父親への反発心から、剣の道を猪突猛進する勝利至上主義者・磯山香織。

そして、日本舞踊の経験を活かすため、中学校入学時に剣道を始めた変わり者の遅咲き剣士・西荻早苗。

全く異なる剣道観を持つ二人の少女が初めて出会ったのは、地元で開催されたローカルな剣道大会"横浜市市民秋季剣道大会"であった。

先の全中大会では準優勝という輝かしい成績を収めながらも、負けを認められず、気持ちがどこか不完全燃焼のように燻っている香織。中学生最後の試合を、スッキリと気分良く優勝で飾るため、その大会に出場するが、4回戦目で全くの無名選手である早苗に面を取られて、まさかの敗退をしてしまう……

東松学園高校・女子部に進学した二人は入学式の日、再び出会うが、屈辱の敗戦を胸に刻み、再戦の機会をうかがう香織に対し、早苗は香織と対戦した事すらきれいさっぱり忘れていて、全く覚えていない様子。

自分を打ち負かすほどの実力がありながら、精神修養を重視し、勝敗への執着が無いがため、試合では勝ちきれない早苗に対し、口では「チャンバラ・ダンス」などと批判する香織であるが、早苗を強く意識し、彼女の剣道に近づけば近づくほど、自分の剣道を見失い、スランプに陥ってゆく……

父親への反発心だけでは剣道を続けられなくなった香織は、初めて経験する"迷い"のなか、自分が見失ってしまった、剣道を始めた頃の大切な記憶を一つ一つ拾い集めてゆく……

そして香織と早苗、二人が出会った、あの"横浜市市民秋季剣道大会"が開催される季節がまためぐってくる……

登場人物[編集]

磯山 香織(いそやま かおり)
東松学園高等部一年生。剣道部。新免武蔵を心の師と仰ぐ。性格は攻撃的かつ勝利至上主義。剣道以外はほとんど眼中に無い。勉強は苦手。
西荻 早苗(にしおぎ さなえ)
東松学園高等部・一年生。剣道部。中等部から剣道を始めた変わり者。性格は温厚でマイペース。日本舞踊から習得した個性的な足捌きと、基本に忠実な剣筋が特徴。専門誌『剣道日本』のインタビュー記事、愛知の外山浩規選手の「人より長く構えていたい」という言葉に出会い、剣士として急成長を遂げる。旧姓は甲本
岡 巧(おか たくみ)
東松学園高等部・二年生。剣道部のエース。爽やかで女子人気も高い。香織の父・憲介の教え子で早苗の姉・緑子の彼氏。
桐谷 玄明(きりたに よしあき)
桐谷道場・道場主。厳しく香織を指導する。剣道関係者からは、音読みしてげんめいと呼ばれる事の方が多い。
蒲生 辰二郎(がもう たつじろう)
蒲生武具店・店主。通称”たつじい” 香織に五輪書を読むように薦めるなど、気にかけている。桐谷玄明とは幼馴染だが、その指導法には否定的。
磯山 憲介(いそやま けんすけ)
香織の父。警察官。選手として長く活躍したのち、勤務の傍ら助教として後進の指導をする。岡巧は都筑警察署勤務時代の教え子。多感な時期の子供達との接し方に難があり、特に香織との関係には溝がある。
磯山 和晴(いそやま かずはる)
香織の兄。進学校である私立・白秀院高等部に通う。小学生時代は岡巧のライバルであったが、今は剣道を辞めボート部に所属。家族の心の機微に敏感。
小柴 (こしば)
東松学園高等部・教員。女子剣道部の顧問。 六段 勝利至上主義で相手を思いやれない香織の社会性の無さを心配している。早苗の中等部時代の恩師、北島は大学時代の後輩にあたる。
甲本 肇(こうもと はじめ)
早苗の父親。開発した指紋認証システムを、技術を売りに行った大企業に盗まれる。裁判で争うものの敗訴、経営していた会社は倒産してしまう。早苗の母と離婚し、失踪。

書籍情報[編集]

文藝春秋(後に文春文庫)より刊行されている。

  • 『武士道シックスティーン』
    • 単行本:2007年7月26日発売[1]ISBN 978-4-16-326160-7
    • 文庫本:2010年2月10日発売[2]ISBN 978-4-16-778001-2
  • 『武士道セブンティーン』
  • 『武士道エイティーン』
  • 『武士道ジェネレーション』

漫画[編集]

月刊アフタヌーン』(講談社)、『デラックスマーガレット』、『ザ マーガレット』(集英社)、と異なる出版社での同時連載が行われる。

『月刊アフタヌーン』では安藤慈朗の作画で2009年7月号(5月25日発売)から2010年12月号(10月25日発売)[9]まで連載された。

『デラックスマーガレット』、『ザ マーガレット』では尾崎あきらの作画で2009年7月特大号(5月28日発売)から2010年7月特別号(最終号、5月28日発売)までシリーズ連載された。

映画[編集]

武士道シックスティーン
監督 古厩智之
脚本 古厩智之
大野敏哉
出演者 成海璃子
北乃きい
音楽 上田禎
主題歌 MiChi
「Together again」
撮影 清久素延
編集 大重裕二
製作会社 「武士道シックスティーン」製作委員会
配給 ゴー・シネマ
公開 日本の旗 2010年4月24日
上映時間 109分
製作国 日本の旗 日本
言語 日本語
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2010年4月24日に公開。

スタッフ[編集]

主題歌[編集]

キャスト[編集]

関連テレビドラマ[編集]

ブカツ道 (WOWOW)

映画公開を記念しWOWOWで放送される短編ドラマ集。成海璃子、北乃きいがそれぞれさまざまな部活動に挑戦。

脚注[編集]

  1. ^ 武士道シックスティーン|誉田 哲也|単行本|文藝春秋BOOKS”. 文藝春秋. 2020年5月31日閲覧。
  2. ^ 武士道シックスティーン|誉田 哲也|文春文庫|文藝春秋BOOKS”. 文藝春秋. 2020年5月31日閲覧。
  3. ^ 武士道セブンティーン|誉田 哲也|単行本|文藝春秋BOOKS”. 文藝春秋. 2020年5月31日閲覧。
  4. ^ 武士道セブンティーン|誉田 哲也|文春文庫|文藝春秋BOOKS”. 文藝春秋. 2020年5月31日閲覧。
  5. ^ 武士道エイティーン|誉田 哲也|単行本|文藝春秋BOOKS”. 文藝春秋. 2020年5月31日閲覧。
  6. ^ 武士道エイティーン|誉田 哲也|文春文庫|文藝春秋BOOKS”. 文藝春秋. 2020年5月31日閲覧。
  7. ^ 武士道ジェネレーション|誉田 哲也|単行本|文藝春秋BOOKS”. 文藝春秋. 2020年5月31日閲覧。
  8. ^ 武士道ジェネレーション|誉田 哲也|文春文庫|文藝春秋BOOKS”. 文藝春秋. 2020年5月31日閲覧。
  9. ^ 「げんしけん 二代目」スタート、木尾士目サイン会も決定”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2010年10月25日). 2017年12月26日閲覧。
  10. ^ 【11月20日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2009年11月20日). 2017年12月26日閲覧。
  11. ^ a b 【4月23日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2010年4月23日). 2017年12月26日閲覧。
  12. ^ 【12月22日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2010年12月22日). 2017年12月26日閲覧。
  13. ^ 【11月25日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2009年11月25日). 2017年12月26日閲覧。
  14. ^ 【11月25日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2010年11月25日). 2017年12月26日閲覧。
  15. ^ 【4月25日付】本日発売の単行本リスト”. コミックナタリー. 株式会社ナターシャ (2011年4月25日). 2017年12月26日閲覧。

外部リンク[編集]