松の実

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松の実
チョウセンゴヨウの種子と殻、食用とする胚乳
松の実(dried)
100 gあたりの栄養価
エネルギー 2,816 kJ (673 kcal)
13.08 g
糖類 3.59 g
食物繊維 3.7 g
68.37 g
飽和脂肪酸 4.899 g
一価不飽和 18.764 g
多価不飽和 34.071 g
0.112 g
0.456 g
13.69 g
トリプトファン 0.107 g
トレオニン 0.37 g
イソロイシン 0.542 g
ロイシン 0.991 g
リシン 0.54 g
メチオニン 0.259 g
シスチン 0.289 g
フェニルアラニン 0.524 g
チロシン 0.509 g
バリン 0.687 g
アルギニン 2.413 g
ヒスチジン 0.341 g
アラニン 0.684 g
アスパラギン酸 1.303 g
グルタミン酸 2.926 g
グリシン 0.691 g
プロリン 0.673 g
セリン 0.835 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(0%)
17 µg
9 µg
チアミン (B1)
(32%)
0.364 mg
リボフラビン (B2)
(19%)
0.227 mg
ナイアシン (B3)
(29%)
4.387 mg
パントテン酸 (B5)
(6%)
0.313 mg
ビタミンB6
(7%)
0.094 mg
葉酸 (B9)
(9%)
34 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(11%)
55.8 mg
ビタミンC
(1%)
0.8 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(62%)
9.33 mg
ビタミンK
(51%)
53.9 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
2 mg
カリウム
(13%)
597 mg
カルシウム
(2%)
16 mg
マグネシウム
(71%)
251 mg
リン
(82%)
575 mg
鉄分
(43%)
5.53 mg
亜鉛
(68%)
6.45 mg
マンガン
(419%)
8.802 mg
セレン
(1%)
0.7 µg
他の成分
水分 2.28 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)
100g中の主な脂肪酸の種類[1]
項目 分量(g)
脂肪 68.37
飽和脂肪酸 4.899
一価不飽和脂肪酸 18.764
16:1(パルミトレイン酸 0.017
18:1(オレイン酸 17.947
多価不飽和脂肪酸 34.071
18:2(リノール酸 33.15
18:3(α-リノレン酸 0.112

松の実(まつのみ、英語: pine nutイタリア語: pinoli)は、マツ科マツ属の植物の種子胚乳(雌性配偶体)の部分で、食用になる。

概要[編集]

世界では20種ほどの種が、食用に充分な大きさの種子をつけ、食用に適する。日本人にとって身近なクロマツアカマツの種子は、翼を有して風によって分散することもあって比較的小さく、食用にはあまり向かない。しかし、マツ科の植物の中には種子に翼がなく、リスネズミカラス類のような貯食行動を示す種子食動物に種子を提供し、食べ残されたものが親木から遠く離れた場所で発芽するという種子散布様式を持つものがあり、これらは比較的大きな種子を形成する。このような大型種子を形成するマツ類の種子は古くから人類の食料としても利用されており、その食文化もアジア東北部、ヨーロッパ中東(東地中海地方)、北米大陸など世界各地に広がりを持つ。現代日本では、朝鮮半島の朝鮮料理や、ヨーロッパイタリア料理における松の実利用が、比較的身近である。松の球果、つまりいわゆる松ぼっくり(松笠)を構成する鱗片を剥いて取り出したあと、煎ったり、揚げたりして加熱し、そのまま食用にしたり、料理に加えて食べる。

木材部分は建築パルプなどに用いたり、庭園木、盆栽にする。種子の部分が可食であり、その部分のみが「松の実」として利用される。また、松の実は海松子と呼ばれ漢方薬に利用されることもあり、韓国では葉も利用するようである[2]

種類[編集]

食用に使われる松の種類には主に下記がある。

栄養[編集]

松の実はタンパク質を100g中14g程度と豊富に含み、特に油脂が豊富である。油脂の成分としてオレイン酸リノール酸などの不飽和脂肪酸が多い[3]。また、ピノレン酸 (Pinolenic acid) という特殊な成分を含む。灰分ではマグネシウム亜鉛が豊富という特徴がある。

薬効[編集]

漢方薬としては、「海松子」(かいしょうし)、「松子仁」(しょうしにん、しょうしじん)、「松子」(しょうし)などと呼び、体を温める性質があり、気を補い、肌を潤し、咳を鎮め、内臓機能を調節し、脳を活性化するとしている。このため、高齢者や虚弱体質の人に薬膳として食べることを勧める場合がある。

脚注[編集]

  1. ^ USDA栄養データベースUnited States Department of Agriculture
  2. ^ 御影雅幸・李奉柱・朴鐘喜・難波恒夫(1991)韓国産生薬の研究(第7報) : 民間薬「Jad Na Mu Ip」の基源. 生薬学会誌45(4), 336-341.
  3. ^ USDA栄養データベース

関連項目[編集]