旧ロシア領事館 (函館市)

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旧ロシア領事館

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情報
旧名称 在函館ロシア帝国領事館(1908-1925)、在函館ソビエト連邦領事館(1925年-1944年)、函館市立道南青年の家(1965-1996)
用途 不使用(公有財産)
旧用途 領事館、青少年研修施設(函館市立道南青年の家)
設計者 リヒャルト・ゼール(Richard Seel),ゲオルグ・デ・ラランデ(Georg de Lalande).(ゼールの帰国によりラランデが引継)
施工 佐藤誠(函館市旅籠町の棟梁)
建築主 ロシア帝国
管理運営 函館市(現在)
構造形式 木骨レンガ造2階建(本館), ブロック造2階建(宿泊棟)
敷地面積 3732.23 ㎡
延床面積 428.12㎡(本館1階), 253.90㎡(本館2階), 416.26㎡(宿泊棟1階), 192.77㎡(宿泊棟2階)
階数 2階建
着工 明治40年
竣工 1908(明治41年)12月
改築 1965(昭和40年)、1972(昭和47年)
所在地 040-0055
北海道函館市船見町17番4
座標 北緯41度46分3.7秒 東経140度42分5.8秒 / 北緯41.767694度 東経140.701611度 / 41.767694; 140.701611 (旧ロシア領事館)座標: 北緯41度46分3.7秒 東経140度42分5.8秒 / 北緯41.767694度 東経140.701611度 / 41.767694; 140.701611 (旧ロシア領事館)
文化財 景観形成指定建築物等
指定・登録等日 1989(平成元年)3月1日
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旧ロシア領事館(きゅうロシアりょうじかん、ロシア語: Старое русское консульство英語: Old Russian Consulate)は、北海道函館市船見町にあるかつてのロシア帝国およびソビエト連邦領事館建物である。函館市の「景観形成指定建築物」に指定されており[1]、日本で現存する唯一のロシア帝国による在外公館建築である[2]

ロシア領事館は安政5年(1858年)に箱館(大工町、現・元町)に開設され、1872年明治5年)にいったん閉鎖されたが、1906年(明治39年)に現在地に再度設置された(建物は1908年の再建)。函館の領事館としては最も早く開設された。ロシア革命後、日ソ基本条約締結によりソビエト連邦の領事館となった。太平洋戦争末期の1944年に閉鎖され、以降は在外公館としては使用されていない[4]。戦後は1952年から外務省の管理となり、1964年に函館市が購入、「函館市立道南青年の家」となった[2]。「道南青年の家」は1996年で廃止となり[2]、長年閉鎖されたままの状態であった。2020年に1日だけ一般公開された。

2021年に名古屋市内の企業に売却され、2023年3月にホテルとして再生する工事が始まった[5]

沿革[編集]

[2][6][7]

  • 1858年(安政5年) - ロシア領事館が箱館に開設される。初代領事にヨシフ・ゴシケーヴィチが着任。亀田にロシア病院を開院[8]
  • 1860年万延元年)- 大工町(現・函館ハリストス正教会の敷地)に領事館竣工。同地内に教会も併設される。
  • 1861年文久元年)- 司祭マホフの後任としてニコライ着任。同年、ロシア病院が火災で焼失、1863年(文久3年)頃に領事館隣に再建するが、1866年(慶応2年)に再度焼失[8]
  • 1865年慶応元年)- 英国領事館の火事でロシア領事館も類焼する。
  • 1869年(明治2年)- 箱館戦争が旧幕府軍の降伏により終結する。開拓使設置される。
  • 1870年(明治3年)- アレクサンドル・オラロフスキーロシア語版領事着任。ロシア領事と開拓使の間でロシア人墓地の正式契約が交わされる。
  • 1872年(明治5年)- オラロフスキーがロシアへ帰国。事実上領事館は閉館。ニコライ司祭が上京する。
  • 1906年(明治39年)- ワシリイ・トラウトショリド副領事(トラウドショリド領事)着任。領事館開庁[9]
  • 1907年(明治40年)- 明治40年函館大火により領事館や正教会が焼失する。
  • 1908年(明治41年) - 燃失地にロシア領事館が再建される(現存の建物)。
  • 1925年大正14年) - 日ソ基本条約締結に伴い、ソ連領事館となる。
  • 1944年(昭和19年)10月1日 - ソ連領事館が閉鎖となる[10]
  • 1952年(昭和27年) - 外務省の所管となる。
  • 1964年(昭和39年) - 函館市が外務省から土地・建物を購入
  • 1965年(昭和40年) - 「函館市立道南青年の家」がオープン
  • 1996年平成8年)- 道南青年の家、廃止。
  • 2013年(平成25年)9月28日 - NPO法人はこだて街なかプロジェクト主催により17年ぶりの一般公開。一日の来館者1200人[11]
  • 2014年(平成26年)8月23日 - ハコダテ☆ものづくりフォーラム主催により利活用をテーマにした国際設計コンペ開催。同率一等 LUCIEN PUECH ・小椋 祥司 [12]
  • 2020年令和2年)
    • 2月 - 函館市が次年度予算で旧ロシア領事館売却を検討していることが報道される
    • 3月6日 - 8市民団体が共同で売却反対要望書を函館市に提出[13]
    • 6月26日 - 日本建築学会が保存に関する要望書を函館市に提出[14]
    • 9月4日 - 函館市が「もと道南青年の家(旧ロシア領事館)活用事業プロポーザル」について情報開示[15]
    • 9月12日 - 7市民団体が共同で一般公開。荒天の中で来館者200人[16]
    • 9月13日 - 7市民団体が共同で函館市亀田交流プラザにて「旧ロシア領事館の価値を学ぶ集い」を開催。参加者120名[17]

脚注[編集]

  1. ^ 景観形成指定建築物等一覧”. 函館市. 2015年10月18日閲覧。
  2. ^ a b c d 旧ロシア領事館 - 函館市
  3. ^ 在札幌ロシア連邦総領事館在函館支部”. 在日ロシア連邦大使館. 2015年10月18日閲覧。
  4. ^ 函館市は戦後も領事館の誘致活動をおこなっていたが、2003年9月19日、専修学校ロシア極東大函館校内に在札幌ロシア連邦総領事館在函館支部が開設された[3]
  5. ^ 「函館 旧ロシア領事館の改修工事始まる」(3月1日、NHKニュース)[1]
  6. ^ 函館市史年表編
  7. ^ 函館日ロ交流史研究会 函館・ロシア略年表”. 2015年10月17日閲覧。
  8. ^ a b 函館市史通説編第2巻”. 函館市. pp. 1368-1369. 2015年10月18日閲覧。
  9. ^ 函館市史通説編第3巻”. 函館市. pp. 1032-1034. 2015年10月18日閲覧。
  10. ^ 函館市史通説編第3巻”. 函館市. pp. 1232-1233. 2015年10月18日閲覧。
  11. ^ 一般公開は17年ぶり! 函館「旧ロシア領事館」に長蛇の列 北海道ファンマガジン”. 2013年9月30日閲覧。
  12. ^ 「ハコダテ☆ものづくりフォーラム」設計競技2014”. 2014年8月25日閲覧。
  13. ^ 旧ロシア領事館売却再考を 市民団体が要望書 函館新聞電子版”. 2020年3月7日閲覧。
  14. ^ 旧ロシア領事館の保存活用に関する要望書”. 2020年6月30日閲覧。
  15. ^ もと道南青年の家(旧ロシア領事館)活用事業プロポーザル”. 2020年9月18日閲覧。
  16. ^ 旧ロシア領事館で見学会、市民ら館内に見入る e-HAKODATE”. 2020年9月18日閲覧。
  17. ^ 講演会のご案内はこだて街なかプロジェクト”. 2020年9月18日閲覧。

外部リンク[編集]