川井友香子

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川井 友香子
個人情報
生誕名川井友香子
国籍日本の旗 日本
生誕 (1997-08-27) 1997年8月27日(26歳)
石川県河北郡津幡町
身長162 cm (5.31 ft; 64 in)
家族川井梨紗子(姉)
スポーツ
競技レスリング
大学チーム至学館大学
クラブジャパンビバレッジ
獲得メダル
日本の旗 日本
女子 レスリング・フリースタイル
オリンピック
2020 東京 62kg級
世界選手権
2018 ブダペスト 62kg級
2019 ヌルスルタン 62kg級
U-23世界選手権
2018 ブカレスト 62kg級
世界カデット選手権
2014 スニナ 60kg級

川井 友香子(かわい ゆかこ、1997年8月27日 - )は、日本の女子レスリング選手。石川県河北郡津幡町出身。階級は63kg級。身長162cm。サントリービバレッジソリューション所属[1]。姉はリオデジャネイロオリンピックの63kg級で優勝した川井梨紗子[2]東京オリンピックでは姉妹優勝を果たした[3]

来歴[編集]

父親はグレコローマンレスリングの元学生チャンピオンで、母親は1989年の世界選手権53kg級に出場して7位というレスリング一家の下に生まれた[4][5]。レスリングは姉の梨紗子に続いて妹の優梨子とともに金沢ジュニア教室で始めた[6]津幡中学3年の時にはジュニアクイーンズカップ中学生の部48kg級で優勝した[2]。姉を追って至学館高校に進むと、1年の時にはジュニアクイーンズカップとクリッパン女子国際大会カデットの部56kg級で優勝した[2]。2年の時にはジュニアクイーンズカップとジュニアオリンピックカデットの部60kg級で優勝すると、世界カデット選手権でも3位に入った[2]。3年の時にはFILAゴールデングランプリの60kg級で3位になった[2]全日本選手権では決勝で姉の梨紗子と姉妹対決になったが0-10のテクニカルフォール負けを喫した[7]

2016年には至学館大学に進学すると、1年の時にはジュニアクイーンズカップジュニアの部63kg級で優勝した。全日本レスリング選手権大会では60kg級で3位だった[2][8]。2年の時にはジュニアクイーンズカップとジュニアオリンピックジュニアの部63kg級でそれぞれ優勝するが、全日本選抜選手権では3位だった[2]世界ジュニアでは9位にとどまった[2]。なお、63kg級の世界選手権代表だった伊藤彩香がケガで出場できなくなったために、世界ジュニアからの帰国直後に代替選手の決定戦に参加することになり、そこで伊藤友莉香と源平彩南を破って世界選手権代表に決まった。当初は全日本レスリング選手権大会と全日本選抜選手権でともに3位だったことから決定戦に参加する予定はなかったものの、オリンピック金メダリストの姉が首脳陣に妹も参加させるように直談判した結果、決定戦への参戦が決まったという[5]。姉妹での世界選手権同時出場は伊調千春伊調馨坂本日登美坂本真喜子に続いて3組目となった[9]。世界選手権ではオリンピックで優勝した姉と間違われて第2シードに選ばれた。審判団に間違いであることを素直に申告するも、抽選はやり直されず「ラッキーだと思った」とコメントした。だが、試合では3回戦でコロンビアの選手に敗れて8位だった[10][11]全日本学生選手権では優勝した[2]ワールドカップでは決勝の中国戦でフォール勝ちしたのを始め全勝してチームの優勝に貢献した[2][12]。全日本選手権では59kg級に出場すると、決勝で日本大学1年の熊野ゆづるを破って初優勝を飾った。姉も62kg級で優勝したので姉妹優勝となった[13][14]

2018年3月に高崎で開催されたワールドカップでは決勝の中国戦で2016年の60㎏級世界チャンピオンである裴星茹を破るなど姉ともども全勝して日本チームの優勝に貢献した[15][16]。3年の時には全日本選抜選手権の62kg級に出場して優勝した。前年12月の全日本選手権ではこの階級で姉が優勝していたために、7月には姉とのプレーオフにより世界選手権代表が決まるはずだったが、姉が今大会では59kg級で優勝したためにプレーオフは行わずに、62kg級で世界選手権代表に決まった[17]。10月の世界選手権では決勝でブルガリアのタイベ・ユセインに2-6で敗れて、59㎏級で優勝した姉の梨紗子との姉妹優勝はならなかった[18][19][20]。11月のU-23世界選手権では全試合をテクニカルフォール勝ちして優勝を飾った[2][21][22]。12月の全日本選手権は決勝で日大2年の熊野ゆづるを3-0で破って優勝した[23]

2019年、大学4年の時には4月のアジア選手権決勝でキルギスのアイスルー・ティニベコワに終了間際逆転負けを喫して2位に終わった[24]。6月には全日本選抜選手権の決勝で稲垣柚香を破って2連覇を果たして、世界選手権に選ばれた[25]。9月の世界選手権では3回戦でティニベコワにフォール負けを喫した[26]。その後、敗者復活戦を勝ち上がって3位になった。今大会でメダルを獲得したため、規定によりオリンピックの代表権を得た。姉は57kg級で優勝しているため、姉妹でのオリンピック出場が決まった[27]。11月に成田で開催されたワールドカップでは全勝して日本チームの大会5連覇に貢献した[28][29]。2020年2月のアジア選手権では初戦でティニベコワを破るなどして優勝を飾った[30]

2021年8月の東京オリンピックでは準決勝で元世界チャンピオンであるブルガリアのタイベ・ムスタファ・ユセインを3-2で破ると、決勝ではティニベコワを4-3で破って優勝した[31]。なお、翌日に姉はオリンピック2連覇を達成したため、同一大会で姉妹金メダリストにもなった[32]。日本の選手としては夏季・冬季と通じて、髙木菜那髙木美帆姉妹、阿部一二三阿部詩兄妹に続く3組目の姉妹金メダリストになった[3]。同年、紫綬褒章受章[33]

2022年6月の全日本選抜選手権では決勝で世界3位である慶応大学2年の尾﨑野乃香に1-3で敗れて、世界選手権代表を逃した[34]。12月の全日本選手権では準決勝で59㎏級世界3位である育英大学3年の元木咲良に敗れると、3位決定戦は腰のケガにより棄権して5位だった[35]

2023年には腰の負担を軽減するために背が高い選手の多い68㎏級に階級を上げた。6月の全日本選抜選手権では予選で65㎏級世界チャンピオンの森川美和を破るも、決勝で森川に0-3で敗れて2位にとどまり、パリオリンピック出場は極めて厳しくなった[36][37]。7月には非オリンピック階級である世界選手権65㎏級代表決定プレーオフで尾﨑に敗れた[38]。12月の全日本選手権では女子で唯一オリンピック代表が決まっていない68㎏級に出場するも、準々決勝で自衛隊体育学校の吉川海優に敗れたため、2大会連続のオリンピック出場はならなかった[39]

2024年1月1日、かねてより付き合いのあった総合格闘家の恒村俊範と婚姻したことを自身のInstagramにて報告した[40][41][42]

人物[編集]

倖田來未のファン[43]東京オリンピック レスリング 女子フリースタイル62kg級において金メダルを獲得した功績をたたえ、2021年12月13日、石川県津幡町の津幡町役場前に記念のゴールドポスト(第22号)が設置された(ゴールドポストプロジェクト[44])。 2024年4月には日大大学院の総合社会情報研究科に姉の梨紗子とともに進学した[45]

主な戦績[編集]

  • 2010年 - 全国中学生選手権 3位(41kg級)
  • 2011年 - ジュニアクイーンズカップ 中学生の部 3位(44kg級)
  • 2011年 - ジュニアオリンピック カデットの部 2位(46kg級)
  • 2011年 - 全国中学生選手権 3位(46kg級)
  • 2012年 - ジュニアクイーンズカップ 中学生の部 優勝(48kg級)
  • 2012年 - 全国中学生選手権 3位(48kg級)
  • 2013年 - ジュニアクイーンズカップ カデットの部 優勝(56kg級)
  • 2013年 - ジュニアオリンピック カデットの部 3位(56kg級)
  • 2014年 - クリッパン女子国際大会 カデットの部 優勝(56kg級)
  • 2014年 - ジュニアクイーンズカップ カデットの部 優勝(60kg級)
  • 2014年 - ジュニアオリンピック カデットの部 優勝(60kg級)
  • 2014年 - 世界カデット選手権 3位(60kg級)
  • 2014年 - 全日本女子オープン 高校生の部 優勝(60kg級)
  • 2015年 - ジュニアクイーンズカップ ジュニアの部 3位(59kg級)
  • 2015年 - ジュニアオリンピック ジュニアの部 3位(59kg級)
  • 2015年 - インターハイ 2位(60kg級)
  • 2015年 - 全日本女子オープン シニアの部 優勝(60kg級)
  • 2015年 - FILAゴールデングランプリ 3位(60kg級)
  • 2015年 - 全日本選手権 2位(60kg級)
  • 2016年 - クリッパン女子国際大会 3位(63kg級)
  • 2016年 - ジュニアクイーンズカップ ジュニアの部 優勝(63kg級)
  • 2016年 - 全日本選手権 3位(60kg級)

63kg級での戦績

59kg級での戦績

  • 2017年 - 全日本選手権 優勝
  • 2018年 - ワールドカップ 優勝

62kg級での戦績

68㎏級での戦績

  • 2023年 - 全日本選抜選手権 2位
  • 2023年 - 全日本選手権 5位

(出典[2])

脚注[編集]

  1. ^ 川井 友香子 | 選手紹介 | WRESTLING | ジャパンビバレッジ”. www.jbinc.co.jp. 2021年8月6日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l 川井友香子 | JWF WRESTLERS DATABASE : 日本レスリング協会 選手&大会データベース”. db.japan-wrestling.jp. 2022年5月12日閲覧。
  3. ^ a b 川井梨紗子が五輪2連覇 姉妹Vに「こんないい日があっていいのか」”. デイリースポーツ (2021年8月5日). 2022年5月12日閲覧。
  4. ^ Japan Wrestling Federation”. 日本レスリング協会 (2012年6月25日). 2022年5月12日閲覧。
  5. ^ a b リオ金の川井、妹の世界選手権代表を直談判でゲット”. 日刊スポーツ (2017年8月9日). 2022年5月12日閲覧。
  6. ^ 津幡中の川井選手、日本代表入り 女子レスリング、来月上旬に国際大会”. 北國新聞 (2010年2月13日). 2014年5月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  7. ^ 川井梨紗子、姉妹対決制しリオ五輪代表決定/レスリング”. サンケイスポーツ (2015年12月21日). 2015年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  8. ^ 至学館大学(旧中京女子大学)レスリング部”. ameblo.jp. 2022年5月12日閲覧。
  9. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2017年8月9日). “五輪「金」川井の妹・友香子、63キロ級代表に決定/レスリング”. サンスポ. 2022年5月12日閲覧。
  10. ^ “川井違い”の珍事…第2シード不審に思い申告も抽選やり直しなし/レスリング”. サンケイスポーツ (2017年8月23日). 2018年8月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  11. ^ 川井友は「実力不足」=世界レスリング”. 時事ドットコム (2017年8月23日). 2017年8月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  12. ^ 日本が3連覇、中国破る レスリング女子W杯”. 日本経済新聞 (2017年12月3日). 2022年5月12日閲覧。
  13. ^ 川井友香子が初V…全日本レスリング59キロ級”. 読売新聞 (2017年12月21日). 2017年12月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  14. ^ 女子62キロ級・川井梨紗子が3連覇 妹・友香子と姉妹V達成”. 東京スポーツ (2017年12月23日). 2022年5月12日閲覧。
  15. ^ 日本、中国下し4連覇 レスリング女子W杯(写真=共同)”. 日本経済新聞 (2018年3月18日). 2022年5月12日閲覧。
  16. ^ 川井梨紗子&友香子姉妹6戦全勝「監督考えながら」”. 日刊スポーツ (2018年3月18日). 2022年5月12日閲覧。
  17. ^ 川井梨紗子、妹友香子に続きVも「まだ実力不足」”. 日刊スポーツ (2018年6月18日). 2022年5月12日閲覧。
  18. ^ 須崎、奥野が2大会連続金=川井友は姉妹Vならず-世界レスリング”. 時事ドットコム (2018年10月26日). 2018年11月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  19. ^ 【レスリング世界選手権】川井友香子は女子62キロ級で銀 消極的な試合運び悔やむ”. 東京スポーツ (2018年10月26日). 2022年5月12日閲覧。
  20. ^ jeandaniel. “World Championships” (英語). United World Wrestling. 2022年5月12日閲覧。
  21. ^ 角谷、川井友らが優勝 レスリングU23世界選手権”. 日刊スポーツ (2018年11月17日). 2018年11月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  22. ^ 角谷萌々果、川井友香子、源平彩南が優勝、2年連続で団体優勝…U-23世界選手権・第5日(2)”. 日本レスリング協会 (2018年11月17日). 2022年5月12日閲覧。
  23. ^ 妹川井友香子「良かった」姉につなげた62キロ級V”. 日刊スポーツ (2018年12月22日). 2022年5月12日閲覧。
  24. ^ 伊調馨、準決勝敗戦も3位「練習を変えないと」 川井友香子、向田真優は準優勝/レスリング”. サンケイスポーツ (2019年4月26日). 2019年4月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  25. ^ 川井友、高橋ら代表入り=伊調と川井梨が決勝へ-全日本選抜レスリング”. 時事ドットコム (2019年6月15日). 2019年7月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  26. ^ 川井友香子、敗者復活戦から「銅」で姉妹五輪決める「後悔だけはしたくない」 スポーツ報知 2019年9月19日[リンク切れ]
  27. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2019年9月20日). “世界レスリング川井友香子、銅メダル 姉妹で東京五輪へ”. 産経ニュース. 2022年5月12日閲覧。
  28. ^ レスリング女子W杯、日本V5 決勝で米国下す”. 47NEWS (2019年11月17日). 2019年11月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年5月12日閲覧。
  29. ^ レスリング女子W杯、日本V5 決勝で米国下す”. 共同通信 (2019年11月17日). 2022年5月12日閲覧。
  30. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2020年2月21日). “川井姉妹がそろって優勝 レスリングのアジア選手権”. 産経ニュース. 2022年5月12日閲覧。
  31. ^ 川井友香子が金メダル「本当に夢みたい」レスリング初「姉妹金」達成…姉・梨紗子は同一大会姉妹金へ決勝”. スポーツ報知 (2021年8月4日). 2022年5月12日閲覧。
  32. ^ INC, SANKEI DIGITAL (2021年8月5日). “川井梨紗子、五輪連覇&妹・友香子と姉妹金メダル!女子57キロ級/レスリング”. サンスポ. 2022年5月12日閲覧。
  33. ^ 『官報』第250号、令和3年11月4日
  34. ^ レスリング全日本選抜 女子50キロ級 須崎優衣が優勝 NHK 2022年6月19日
  35. ^ 五輪女王の川井友香子が3決を棄権 パリへ試練 レスリング全日本選手権 スポーツニッポン 2022年12月25日
  36. ^ 川井友香子が準決勝へ 世界選手権からパリへ「今回がラストチャンスだと分かっている」/レスリング サンケイスポーツ 2023年6月16日
  37. ^ 川井友香子、自ら褒める2位「やり切るというテーマは達成できた。頑張ったと思う」/レスリング サンケイスポーツ 2023年6月16日
  38. ^ 五輪2連覇の金城梨紗子、終了間際に逆転負け 世界選手権代表逃すも「でもレスリングが好き。簡単に引退、さよならとは言えない」/レスリング サンケイスポーツ 2023年7月17日
  39. ^ 五輪女王の川井友香子、パリ五輪は消滅…階級転向の挑戦終え晴れやか「よく頑張った」「五輪への道は回数重ねるごとに難しい」進退は未定 デイリースポーツ 2023年12月23日
  40. ^ 2024年 あけましておめでとうございます🐉✨ Yukako kawai Instagram 2024年1月1日
  41. ^ "東京五輪レスリング金・川井友香子が総合格闘家・恒村俊範と結婚「支え合いながら日々成長していきたい」". Sponichi Annex. スポーツニッポン新聞社. 2 January 2024. 2024年1月2日閲覧
  42. ^ “川井友香子、総合格闘家の恒村俊範と結婚「お互い支え合いながら日々成長していきたい」”. ORICON NEWS. (2024年1月1日). https://www.oricon.co.jp/news/2309247/full/ 2024年3月9日閲覧。 
  43. ^ 倖田來未 レスリング・川井友香子の金メダルに「大号泣」姉・梨紗子と共に親交”. デイリースポーツ (2021年8月5日). 2021年8月5日閲覧。
  44. ^ ゴールドポストプロジェクト”. 首相官邸. 2022年6月7日閲覧。
  45. ^ 五輪レスリング金・金城梨紗子&川井友香子姉妹が日大大学院に入学「たくさん学びたいと思います」 スポーツニッポン 2024年4月7日

関連項目[編集]

外部リンク[編集]