富士急行2000形電車

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富士急行2000形電車(ふじきゅうこう2000がたでんしゃ)は、富士急行が所有していた特急形車両。主に充当される富士急行線特急列車名称でもある「フジサン特急」の愛称でも呼称されていた。

概要[編集]

クロ2002
クロ2002
クモロ2202
クモロ2202
クロ2000形の展望席
クロ2000形の展望席
座席車
座席車

2001年(平成13年)9月に東日本旅客鉄道(JR東日本)所有の165系電車から改造されたジョイフルトレインパノラマエクスプレスアルプス」を富士急行が購入し整備ならびに仕様変更を施工した車両である。

  • 本形式は「パノラマエクスプレスアルプス」時代にも団体専用列車臨時列車などで富士急行線への入線実績がある。

2002年年始臨時列車に充当後、同年2月28日より「フジサン特急」としての運行を開始した。

外装は白を基調とし、富士山をモチーフとしたキャラクターが車体外部に98種類、車内に3種類の計101種類が描かれた。また「フジサンクン」は2編成共通のキャラクターであるが、それ以外のキャラクターは2編成ですべて異なる。

内装は「パノラマエクスプレスアルプス」時代とは大きな変更はなく、モケットの張替え程度である。1,350mmのシートピッチやクロ2000形の展望室・ラウンジ席ならびにモロ2000形の個室もそのままの状態であるほか、モロ2000形・クモロ2000形の車内では、クロ2000形からの前面展望をモニターで視聴可能とされた。

編成[編集]

 
号車 1 2 3
編成 2001号編成
(2016年廃車)
★クロ2001
(クロ165-3)
モロ2101
(モロ164-803)
クモロ2201
(クモロ165-3)
2002号編成
(2014年廃車)
クモロ2202
(クモロ165-4)
モロ2102
(モロ164-804)
★クロ2002
(クロ165-4)
  • ( )内はJR時代の車両番号
  • ★は展望車

後継車導入による廃車[編集]

2002号編成 「パノラマエクスプレスアルプス」色復元
2002号編成
「パノラマエクスプレスアルプス」色復元
2001号編成 ラストラン塗装
2001号編成
ラストラン塗装

2013年10月11日に小田急電鉄から20000形RSE車1編成7両を同年11月11日に譲渡。3両編成に短縮改造を施工し8000系として2014年夏から運行することが発表された[1]

それに伴い2002号編成は塗装をJR東日本時代の「パノラマエクスプレスアルプス」色に復元し、2013年11月30日に富士急電車まつりで公開。同日より運用を開始した[2]。同編成は2014年2月9日にイベント運用で終了予定だったが、記録的な大雪により中止となり[3]、同月10日付で廃車[4]され年度内に解体[5]。同年5月18日には同編成を含むフジサン特急関連記念グッズ販売会が開催された[6]

一方の2001号編成も2015年度中にJR東海から譲渡された371系を改造した8500系への置換えに伴い[7]、2016年2月7日で運用終了[8][* 1]。富士山駅で運転台見学イベントと記念グッズ販売会が開催された[9]。廃車後はクロ2001号車が下吉田駅構内で保存されている。

その他[編集]

  • モロ2101のパンタグラフはシングルアーム式に換装されたが、モロ2102は菱形のままとされた。
  • 2000形と同時に三鷹電車区(現・三鷹車両センター)からクモハ169-27+モハ168-27+クハ169-18も部品取りとして譲渡された。モハ168-27・クハ169-18は解体。クモハ169-27は富士山駅構内に留置されていたが、後に下吉田駅構内に移送しカットボディとして保存された。
  • 譲渡前はグリーン車であったが富士急行では特急料金もしくはフリーきっぷが、さらに展望車全席と2号車個室は別途料金が必要になる。
  • クモロ2202・モロ2102の種車であるクモハ165-123・モハ164-846は、急行「かわぐち」用[10]として富士急行が引受元となり[10]、昭和43年度利用債で製造された[11]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ これにより国鉄165系電車は譲渡されたものも含めてすべて引退し、国鉄の直流急行形電車はすべて引退したことになる。
  2. ^ キャラクターすべてを紹介。なお「フジ風紀委員長」は独自キャラクターではなく、富士山美化キャンペーンなどで配布されるごみ袋に描かれているキャラクターである。

出典[編集]

  1. ^ 小田急ロマンスカー20000形車両の富士急行への譲渡について』(PDF)(プレスリリース)小田急電鉄株式会社、富士急行株式会社、2013年10月11日http://www.odakyu.jp/program/info/data.info/8027_3257345_.pdf2013年10月11日閲覧 
  2. ^ ありがとうフジサン特急2002号編成 ~懐かしのカラーで富士山麓を駆け抜けます~”. 2014年7月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月10日閲覧。 - 富士急行公式サイト
  3. ^ 2月9日(日)2002号編成引退記念イベント中止について”. 2014年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月10日閲覧。 - 富士急行公式サイト
  4. ^ 『鉄道車両年鑑 2014年版』
  5. ^ 『第113期有価証券報告書』P99
  6. ^ 5月18日(日)河口湖駅にて「ありがとうフジサン特急2002号編成引退記念グッズ」を販売します”. 2014年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2015年12月10日閲覧。 - 富士急行公式サイト
  7. ^ 【ニュース】東海旅客鉄道株式会社371系車両購入について』(PDF)(プレスリリース)富士急行株式会社、2014年12月15日http://www.fujikyu-railway.jp/upload/file/371kounyuu.pdf2014年12月15日閲覧 
  8. ^ プレスリリースフジサン特急2000系車両、平成28年2月7日(日)引退』(PDF)(プレスリリース)富士急行株式会社、2015年12月9日http://www.fujikyu.co.jp/data/news_pdf/pdf_file2_338.pdf2015年12月9日閲覧 
  9. ^ プレスリリース2月7日(日)フジサン特急2000系ラストランイベント開催』(PDF)(プレスリリース)富士急行株式会社、2016年1月15日http://www.fujikyu.co.jp/data/news_pdf/pdf_file2_1452848394.pdf2016年1月15日閲覧 
  10. ^ a b ネコ・パブリッシング『写真とイラストで見る国鉄急行型電車の全て』p49
  11. ^ 『鉄道ピクトリアル』通巻433号 p13掲載 製造予算一覧

関連項目[編集]