四万川ダム

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
奥四万湖から転送)
四万川ダム
四万川ダム
所在地 群馬県吾妻郡中之条町大字四万
位置 北緯36度41分47秒 東経138度46分53秒 / 北緯36.69639度 東経138.78139度 / 36.69639; 138.78139
河川 利根川水系四万川
ダム湖 奥四万湖
ダム諸元
ダム型式 重力式コンクリートダム
堤高 89.5 m
堤頂長 330.0 m
堤体積 516,000
流域面積 28.4 km²
湛水面積 32 ha
総貯水容量 9,200,000 m³
有効貯水容量 8,600,000 m³
利用目的 洪水調節不特定利水
上水道発電
事業主体 群馬県
電気事業者 群馬県企業局
発電所名
(認可出力)
日向見発電所
(1,000kW)
施工業者 大成建設佐藤工業間組
着手年/竣工年 1980年/1999年
出典 [1]
テンプレートを表示

四万川ダム(しまがわダム)は、群馬県吾妻郡中之条町四万地先、利根川水系四万川に建設された重力式コンクリートダムである。堤高の89.5メートルは群馬県が運営するダムとしては最も高い[2]。国土交通省の地域に開かれたダムに指定されており[3]、西洋の城を想起させるデザインが施されている[4]監査廊は見学者のために整備されており、予約制ではあるものの見学が可能[4]

沿革[編集]

群馬県による「四万川総合開発事業」の一環として四万川には既に砂防発電を目的に中之条ダムアーチ式コンクリートダム。高さ42メートル。群馬県管理)が建設されていたが、四万川・吾妻川流域の治水・利水を行う為に最上流部に1980年(昭和55年)より建設が開始された。ダムは洪水調節不特定利水四万温泉郷や太田市、その他地域への上水道供給・ダム直下の日向見発電所における最大1,000キロワットの水力発電を目的とした多目的ダム補助多目的ダム)であり[5]、19年の歳月を掛け1999年(平成11年)に完成した。

奥四万湖[編集]

奥四万湖
コバルトブルーを呈する奥四万湖

ダムは四万温泉街の直上流にあって、周辺は公園として整備・開放されている。ダムを真下から見上げることができ、その佇まいは壮観であるが、特筆すべきはダムによってできた人造湖・奥四万湖である。

奥四万湖の湖水は透き通ったコバルトブルーで[6]、山の緑と湖の青のコントラストは、人造湖でありながら天然湖のような様相を見せる。下流の中之条ダムによってできた四万湖もまたコバルトブルーの湖水である。

湖水は酸性が強く魚は見られない[6]。ただし、イオンイオン濃度はきわめて低いため、湖水がコバルトブルーを呈するのは、酸性水に溶出するこれらの金属イオンによる長波長光吸収のためではなく、湖水に含まれるアロフェンアルミニウムケイ酸塩粒子)のレイリー散乱によるものと考えられている。これは、裏磐梯五色沼(瑠璃沼、青沼)と同様の呈色機構である[7][8]

出典[編集]

  1. ^ 発電所名およびその認可出力は吾妻発電事務所管内(2) - 群馬県ホームページ
    それ以外の項目は四万川ダム - ダム便覧(いずれも2015年3月1日閲覧)による
  2. ^ 群馬県内のダム一覧”. 群馬県. 2015年3月1日閲覧。
  3. ^ 四万川ダム~地域に開かれたダム~”. 群馬県. 2015年3月1日閲覧。
  4. ^ a b ダムの秘密調査団 2013, p. 47.
  5. ^ 四万川ダムの役割”. 群馬県. 2015年3月1日閲覧。
  6. ^ a b ダムの秘密調査団 2013, p. 46.
  7. ^ 岩崎麻美; 高松信樹; 功刀正行; 大沢信二 (2004-11-26). “群馬県四万湖における青色呈色因子”. 日本陸水学会 講演要旨集 (日本陸水学会) (68): 158. doi:10.14903/jslim.R68.0.158.0. https://ci.nii.ac.jp/naid/130005022119. 
  8. ^ 岩崎麻美; 高松信樹; 功刀正行; 大沢信二 (2005-09-21). “アルミノケイ酸塩粒子の散乱によって呈色している青色天然水について”. 日本陸水学会 講演要旨集 (日本陸水学会) (69): 191. doi:10.14903/jslim.69.0.191.0. https://ci.nii.ac.jp/naid/130005021788. 

参考文献[編集]

  • ダムの秘密調査団『すごい! 日本のダム 巨大建造物の魅力と仕組みに迫る!』PHP研究所、2013年7月3日。ISBN 978-4-569-81304-2 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]