吉村萬壱

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吉村 萬壱(よしむら まんいち、本名:吉村浩一、1961年2月19日[1] - )は、日本小説家

経歴[編集]

愛媛県松山市生まれ、大阪府大阪市枚方市育ち。大阪府立長尾高等学校京都教育大学教育学部第一社会科学科卒業。1997年、「国営巨大浴場の午後」で第1回京都大学新聞社新人文学賞受賞。2001年、「クチュクチュバーン」で第92回文學界新人賞受賞。実はプロの小説家になるつもりはなかったが、選考委員の山田詠美に叱咤され、それを覚悟することになる[2]2003年、「ハリガネムシ」で第129回芥川龍之介賞受賞。大阪府立佐野支援学校に勤めていたが退職する。

「芥川賞の賞味期限は10年しかない」と知り合いの編集者に言われ、退職して作家専業となる[3]2016年、『臣女』で第22回島清恋愛文学賞受賞。

SFの影響を受けた、退廃的かつ破壊的な作風が特徴。漫画家のTHE SEIJIは双子の弟[4]

作品リスト[編集]

小説[編集]

  • 『クチュクチュバーン』2002年8月、文藝春秋、のち文庫 2005年、ISBN 978-4167679477
    • クチュクチュバーン(『文學界』2001年6月号)
    • 人間離れ(『文學界』2001年11月号)
    • 国営巨大浴場の午後(文庫版のみ収録)
  • 『ハリガネムシ』2003年8月、文藝春秋、のち文庫、ISBN 978-4167679989
    • ハリガネムシ(『文學界』2003年5月号)
    • 岬行(文庫版のみ収録、『文學界』2004年3月号)
  • 『バースト・ゾーン 爆裂地区』(書き下ろし長編)2005年5月、早川書房、のち文庫 
  • 『ヤイトスエッド』講談社 2009 のち徳間文庫化
    • B39(『文學界』2007年1月号)
    • B39-II(『群像』2007年3月号)
    • イナセ一戸建て
    • 鹿の目
    • ヤイトスエッド
    • 不浄道
  • 『独居45』文藝春秋、2009年9月
  • 『ボラード病』文藝春秋、2014年6月 のち文庫
  • 『臣女』徳間書店、2014年12月 のち文庫
  • 『虚ろまんてぃっく』文藝春秋 2015
    • 行列/夏の友/虚ろまんてぃっく/家族ゼリー/コップ2030/樟脳風味枯木汁/大穴(ダイアナ)/希望/歯車の音/大きな助け
  • 『回遊人』徳間書店 2017 のち文庫
  • 『前世は兎』集英社 2018
    • 前世は兎/夢をクウバク/宗教/沼/梅核/真空土練機/ランナー
  • 『出来事』鳥影社 2019
  • 『流卵』河出書房新社 2020
  • 『死者にこそふさわしいその場所』文藝春秋 2021
  • 『CF』 徳間書店 2022
  • 『みんなのお墓』 徳間書店 2024

単行本未収録作品[編集]

  • 居候(『群像』2005年7月号)
  • 指定席(『小説現代』2007年1月号)
  • 深海巡礼(『小説現代』2007年6月号)

エッセイ他[編集]

  • 『生きていくうえで、かけがえのないこと』亜紀書房 2016
  • 『流しの下のうーちゃん』(漫画作品)文藝春秋 2016
  • 『うつぼのひとりごと』亜紀書房 2017
  • 『哲学の蝿』創元社 2021
  • 『萬に壱つ (まんにひとつ)』 あゆみ書房 2023

脚注[編集]

  1. ^ 『文藝年鑑』2015
  2. ^ "「小説家とは常にバンジージャンプに挑戦しているような仕事」吉村萬壱「デビュー20周年の芥川賞作家の巻」珍談案内人・吉村智樹のこの人、どエライことになってます!". 日刊大衆. 双葉社. 19 February 2022. 2022年2月19日閲覧
  3. ^ 『あとがきのあと 「ポラード病」 「みんな」から外れた人の悲劇』2014年6月15日日本経済新聞朝刊23面
  4. ^ http://www.garden-label.com/manriki/profile.php

外部リンク[編集]