僕の歌は君の歌 (曲)

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僕の歌は君の歌
エルトン・ジョンシングル
初出アルバム『僕の歌は君の歌
B面 アメリカ合衆国の旗 パイロットにつれていって
イギリスの旗 つよき親父の存在
リリース
規格 7インチ シングル
録音 ロンドン(1970年1月)
ジャンル ポップス
時間
レーベル アメリカ合衆国の旗 Uniレコード
イギリスの旗 DJMレコード
作詞・作曲 エルトン・ジョン、バーニー・トーピン
プロデュース ガス・ダッジョン
チャート最高順位
8位(アメリカ)/ 7位(イギリス
エルトン・ジョン シングル 年表
パイロットにつれていって
(1970年)
僕の歌は君の歌
(1970年)
「フレンズ」
(1971年)
ミュージックビデオ
「Your Song」 - YouTube
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僕の歌は君の歌」(ぼくのうたはきみのうた、原題:Your Song)は、イギリスのミュージシャンであるエルトン・ジョン楽曲。作曲はエルトン・ジョン自身、作詞はバーニー・トーピン

最初にリリースしたスリー・ドッグ・ナイトの後、1970年4月10日発売のアルバム『僕の歌は君の歌』に収録され、アメリカでは10月にシングル「パイロットにつれていって」のB面として発売された。しかし、ディスクジョッキーには「僕の歌は君の歌」の方がA面の「パイロットにつれていって」より好まれて取って代わられた結果、イギリスアメリカのチャートでトップ10ヒットを記録した。

デモバージョンは、1990年に発売されたエルトン・ジョンのボックスセット・アルバム『トゥ・ビー・コンティニュード』に収録されている[2]。この曲は複数のアーティストにカバーされており、エリー・ゴールディングによるカバーは全英シングルチャートで2位を記録している。

構成とインスピレーション[編集]

「僕の歌は君の歌」はフォークジャズの融合である。レオン・ラッセルにインスピレーションされたエルトン・ジョンのピアノ演奏の上に、アコースティックギターポール・バックマスターによるストリングス、リズム・セクションが重なっている。

バーニー・トーピンによる歌詞は、ロマンチックな想いが表現されていて、自虐的な表現と芝居がかった表現を用い、オールミュージックでは「感動的で甘い」(effective and sweet) と批評されている[3]

この曲はエルトン・ジョンとバーニー・トーピンが一緒に暮らしていた頃に作り溜めしていたものの一部で、1969年10月27日に作曲されたものである。バーニーが朝食を採っている間、エルトンはバーニーが以前から作成していた歌詞に対してわずか10分間で作曲した。エルトンは「リヴィングに持っていって、ピアノに座って一読したんだ。美しい歌詞だったし、良すぎて台無しにしないようにしなければと思った。インスピレーションが凄く湧いて、一気に曲書き上げてバーニーを呼んだんだよ。二人とも聴いた時に気がついていたと思う、これは成功に向かって進んでいる確信があった」と回想している[4]。以来、エルトンはコンサートでほとんど欠かさず演奏するほど気に入っており、バーニーもインタビューで「私はそれ以来すばらしいラブソングを書いていない」と言っている。

「僕の歌は君の歌」は、エルトン自身のその後の楽曲「幼き恋の日々」(1975年発売のアルバム『キャプテン・ファンタスティック』に収録)にインスピレーションを与えた[5]。元の手書きの歌詞は、朝食の後の卵とコーヒーの汚れとともに、『キャプテン・ファンタスティック』の歌詞小冊子で見ることができる。

評価[編集]

「僕の歌は君の歌」は発表されて以来、批評家たちによって称賛されている。オールミュージックのビル・ジャノビッツは、「完璧に近い歌」と評している[3]ジョン・レノンは、「僕ら(ビートルズ)の出現以降、最初に起こった新しいこと」と述べた。ローリングストーンジョン・メンデルゾーンは、「マッカートニーっぽいかわいらしいバラード」と表現した[6]。2004年に発表された「ローリング・ストーンの選ぶオールタイム・グレイテスト・ソング500」では、136位にランクインしている。

チャート・アクション[編集]

この曲はエルトン・ジョンの最初のポップ・ヒットで、Billboard Hot 100では最高8位まで上昇し、全英シングルチャートでは最高7位を記録した。2002年にチャリティで発表されたオペラ歌手アレッサンドロ・サフィーナとのデュエット・バージョンは、イギリスで最高4位を記録した。

日本のオリコンシングルチャートでは1970年当時は総合チャートの100位以内にチャートインしていないが、1992年11月11日に映画『エンジェル 僕の歌は君の歌』の主題歌としてシングルが再発(このときのカップリングは「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」)された際に、同チャート93位を記録し、1996年5月13日にはテレビドラマ『イグアナの娘』の主題歌として再発され(このときのカップリングは「イエス・イッツ・ミー」)、同チャート49位を記録した。

チャート[編集]

チャート(1971年) 最高位
Dutch Top 40[7] 10
UK Singles Chart[8] 7
US Billboard Hot 100[9] 8
チャート(1992年) 最高位
オリコンシングルチャート[10] 93
チャート(1996年) 最高位
オリコンシングルチャート[11] 49
チャート(2002年) 最高位
Canadian Singles Chart[9]

Version with Alessandro Safina

8
Dutch Single Top 100[12]

Version with Alessandro Safina

88
UK Singles Chart[13]

Version with Alessandro Safina

4
チャート(2003年) 最高位
US Hot Dance Club Play[9] 5
チャート(2007年) 最高位
Norwegian Singles Chart[14] 10

タイアップ[編集]

パフォーマンスとカバー[編集]

エルトン・ジョンは2007年7月1日の「コンサート・フォー・ダイアナ」で、この曲を演奏した。2010年1月31日には第52回グラミー賞で、エルトンとレディー・ガガが「僕の歌は君の歌」とガガの「スピーチレス」をメドレーで演奏した[16]

その他のアーティストによる主なカバーを以下に記述する。

エリー・ゴールディングによるカバー[編集]

Your Song
エリー・ゴールディングシングル
初出アルバム『Bright Lights』
リリース
規格 デジタル・ダウンロード
ジャンル ポップスフォーク
時間
作詞・作曲 エルトン・ジョン、バーニー・トーピン
プロデュース ベン・ラヴェット
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イギリスのアーティストであるエリー・ゴールディングはデビューアルバムの再リリース盤に追加するため、「僕の歌は君の歌」(原題:Your Song)のカバーを録音した。アルバムは『Bright Lights』と改名された。「Your Song」はアルバムのリードシングルとして、2010年11月12日にイギリスでデジタル・シングルとして発売された[21]。プロデュースはマムフォード&サンズのベン・ラヴェットで、シングルは2010年11月20日に全英シングルチャートで39位にチャートインした。翌週には3位へ上昇し、3週目でピークとなる2位を記録した。この曲は百貨店ジョン・ルイスのテレビ・コマーシャルで使用された[22]

2011年4月29日、エリー・ゴールディングはバッキンガム宮殿で行われたウィリアム王子とキャサリンの結婚式でこの曲を演奏し、王子夫妻にとって最初のダンスの場を提供した[23]。2011年5月7日には、『サタデー・ナイト・ライブ』でこの曲を演奏した[24]

評価[編集]

デジタル・スパイのニック・レヴィンはこの曲について5点満点中4点をつけ、「彼女の美しくはためくボーカルを少しのピアノとストリングスで包み込み、最後にわずかなハーモニーを付け加えるだけで、バーニー・トーピンの書く歌詞の優しさと、エルトン・ジョンの作る最高のメロディーの完璧な魅力を引き立たせている。結果としては、静かでささやかな勝利だったが、そうだとしても勝利している」とコメントした[25]スピン誌のキャリン・ガンツは、彼女のカバーバージョンを「ガガのグラミー賞バージョンには無かったすべてのもの—優しくて感傷的なギフト」と表現した[26]オールミュージックのジョン・オブライエンは『Bright Lights』のレビューの中で、このトラックについて「冒険的な残りの他のトラックと比べると、一緒に収録されているのが不適当に聴こえる」とコメントした[27]。uDiscoverMusicは2010年代の音楽を振り返る記事の中で、「"Your Song"をあれほど心のこもった素朴なサウンドに仕上げられるのは、エルトン・ジョン以外にはいないと思うだろう。しかしエリー・ゴールディングがこれをやってのけ、エルトン同様に、同曲で世界的ブレイクを果たした」とコメントした[28]

ミュージック・ビデオ[編集]

ベン・コーランとマックス・ナイトによって制作されたミュージックビデオ[29]は、2010年11月14日にYouTubeで最初に公開された。スーパー8のホームビデオ風の映像で、エリー・ゴールディングが友人との日常生活を表している。ゴールディングの出身地であるヘレフォードの風景は、ヘレフォード駅とともにビデオを通して見ることができる。

チャート[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 45cat - Elton John - Your Song / Into The Old Man's Shoes - DJM - UK - DJS 233
  2. ^ To Be Continued: Elton John”. Amazon.com. 2009年9月27日閲覧。
  3. ^ a b Janovitz, Bill. “Your Song”. 'Allmusic'. Rovi Corporation. 2012年6月29日閲覧。
  4. ^ [1]
  5. ^ We All Fall In Love Sometimes, Iconic Songs with Glenn A. Baker, Afternoons with Tim Webster, Radio 2UE, 20 November 2008
  6. ^ Mendelsohn, John. “Elton John”. Rolling Stone. Super Seventies RockSite!. 2006年7月16日閲覧。
  7. ^ Nederlandse Top 40 – week 10 – 1971” (Dutch). 'Radio 538'. top40.nl. 2010年11月20日閲覧。
  8. ^ ChartArchive – Elton John – Your Song”. 'The Official Charts Company'. ChartArchive. 2012年7月2日閲覧。
  9. ^ a b c Elton John – Billboard Singles”. 'Allmusic'. Rovi Corporation. 2012年6月29日閲覧。
  10. ^ 僕の歌は君の歌、oricon style。(2012/03/20閲覧)
  11. ^ ユア・ソング、oricon style。(2012/03/20閲覧)
  12. ^ Elton John & Alessandro Safina – Your Song” (Dutch). 'MegaCharts'. Hung Medien. 2011年5月4日閲覧。
  13. ^ ChartArchive – Elton John And Alessandro Safina – Your Song”. 'The Official Charts Company'. ChartArchive. 2012年7月2日閲覧。
  14. ^ Elton John – Your Song”. Verdens Gang. Hung Medien. 2011年11月20日閲覧。
  15. ^ 「CM音楽から消えた『時代の音』」『朝日新聞』1988年10月29日東京夕刊、7頁。
  16. ^ Smith, Lizzie (2010年2月1日). “Elton John gets dirty with Lady Gaga as they duet at the Grammys”. Daily Mail. Mail Online. 2010年2月9日閲覧。
  17. ^ Heroes – David Benoit”. 'Allmusic'. Rovi Corporation. 2012年6月29日閲覧。
  18. ^ Heroes : David Benoit”. Concord Music Group. 2010年7月1日閲覧。
  19. ^ ユア・ソング~エルトン・ジョン ベスト・ヒッツ・カヴァー”. ユニバーサルミュージックジャパン. 2020年6月22日閲覧。
  20. ^ Chart History Lady Gaga”. ビルボード. 2020年6月22日閲覧。
  21. ^ Your Song – Single by Ellie Goulding”. 'iTunes Store UK'. Apple Inc.. 2010年11月12日閲覧。
  22. ^ Beasley, Mark. “Our Christmas 2010 TV advert”. 'John Lewis'. John Lewis Partnership. 2010年11月20日閲覧。
  23. ^ Ellie Goulding covers The Killers, Stevie Wonder at Royal Wedding reception”. NME. IPC Media (2011年5月1日). 2011年5月4日閲覧。
  24. ^ Watch Ellie on SATURDAY NIGHT LIVE this weekend”. Interscope Records (2011年5月4日). 2012年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年5月8日閲覧。
  25. ^ Levine, Nick. “Ellie Goulding: 'Your Song'”. Digital Spy. 2011年5月4日閲覧。
  26. ^ Ganz, Caryn. “Ellie Goulding, 'Lights'”. Spin. Spin Media LLC. 2020年6月22日閲覧。
  27. ^ O'Brien, Jon. “Bright Lights – Ellie Goulding – Review”. 'Allmusic'. Rovi Corporation. 2020年6月22日閲覧。
  28. ^ 2010年代世界の音楽シーン総まとめ:大きな変革の10年を9つの要素で振り返る”. uDiscoverMusic. 2020年6月22日閲覧。
  29. ^ Knight, David (2010年11月18日). “Ellie Goulding's Your Song by Ben Coughlan/Max Knight”. Promo News. 2010年11月20日閲覧。
  30. ^ Ellie Goulding – Your Song”. 'IFPI Denmark'. Hung Medien. 2011年2月4日閲覧。
  31. ^ Top 50 Singles, Week Ending 9 December 2010”. 'Irish Recorded Music Association'. Chart-Track. 2011年2月10日閲覧。
  32. ^ Ellie Goulding – Your Song”. 'Swedish Recording Industry Association'. Hung Medien. 2011年2月4日閲覧。
  33. ^ Ellie Goulding – Your Song”. 'Media Control'. Hung Medien. 2011年1月18日閲覧。
  34. ^ ChartArchive – Ellie Goulding – Your Song”. 'The Official Charts Company'. ChartArchive. 2012年7月2日閲覧。
  35. ^ Official Scottish Singles Sales Chart Top 100 28 November 2010 - 04 December”. Official Charts Company. 2020年6月22日閲覧。
  36. ^ AUSTRIA TOP 40 - SINGLES 22.02.2013”. 2020年6月22日閲覧。
  37. ^ EURO DIGITAL SONG SALES The week of December 4, 2010”. 2020年6月22日閲覧。
  38. ^ The Biggest Tracks of 2010”. 'The Official Charts Company'. BBC Radio 1. 2010年12月26日閲覧。[リンク切れ]