佐藤碧子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

佐藤 碧子(さとう みどりこ、1912年2月15日 - 2008年7月5日)は、日本の作家。小磯なつ子の筆名を持つ。また佐藤みどりと表記し、「碧子」で「みどり」と読ませたりする。菊池寛愛人でもあり秘書代作を行った。

経歴[編集]

本名・石井光枝。東京市下谷区龍泉寺生まれ。精華高等女学校卒。文藝春秋社に入社、菊池寛の秘書を務める。小説も書き、またその代作を行い『新道』などは佐藤の作である。川端康成にもかわいがられた。六興出版社長となる石井英之助と結婚。戦後1950年小磯なつ子の筆名で「雪化粧」により直木賞候補。1961年『人間・菊池寛』を刊行。

猪瀬直樹が菊池伝『こころの王国 菊池寛と文藝春秋の誕生』を『文學界』2002年4月号から2003年12月号まで連載中、佐藤の甥(姉の息子)である矢崎泰久[1]に『人間・菊池寛』からの「剽窃であり、盗作とも言える」と言われたこともあって、連載途中で猪瀬は佐藤との対談[2]を行って協力を得ていたことを明らかにした。対して矢崎は『口きかん わが心の菊池寛』を著し、佐藤の菊池寛との関係などについて異なった見方を示した。

晩年は、埼玉県新座市の老人福祉施設に入居し、猪瀬の対談もその施設に猪瀬が出向いて行われた。

著書[編集]

  • 『人間・菊池寛』佐藤みどり 新潮社 1961
    • 『人間・菊池寛』佐藤碧子 新風舎 2003
  • 『大阪の人山本為三郎』アルプス 1962
  • 『滝の音 懐旧の川端康成』東京白川書院 1980

参考[編集]

  • 『人間・菊池寛』
  • 「対談 生きている菊池寛」佐藤碧子、猪瀬直樹「文學界」2002年11月号
  • 『菊池寛の航跡 初期文学精神の展開』 片山宏行 和泉書院 1997
  • 『口きかん わが心の菊池寛』 矢崎泰久 飛鳥新社 2003.4
  • 『こころの王国 菊池寛と文藝春秋の誕生』 猪瀬直樹 文藝春秋, 2004.4
    • 丘を越えて』のタイトルで2008年に映画化された。映画では佐藤をモデルとした細川葉子というヒロインが登場する。

脚注[編集]

  1. ^ 「写真戯評 第36回」『週刊金曜日』10巻41号(通巻442号)43頁 2002/10/25
  2. ^ 「対談 生きている菊池寛」『文學界』2002年11月号