レッド・ハウス

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庭園方向から見たレッドハウス
ファイル:Red House window (ground floor)detail.JPG
レッドハウスの窓ガラス

レッドハウス(Red House、赤い家)は、イングランドケント州ベクスリヒース(現在のベクスリー・ロンドン特別区)に建てられたウィリアム・モリスの自邸。アーツ・アンド・クラフツ運動の原点となった郊外住宅である。現在ナショナル・トラストにより管理されている。

概要[編集]

1859-1860年にウィリアム・モリスの自邸として建てられた。モリスの友人フィリップ・ウェッブが設計し、ウィリアム・ケントの施工で建設された。

1858年、モリスとウェッブらはフランス旅行に出かけ、モリスの結婚後の新居について議論し、中世風の住宅を建てることに決めた。翌年4月、25歳のモリスと10代のジェーンが結婚し、同じ頃設計図が完成。ロンドン郊外に建設が始まり、1860年夏に竣工した[1]。 煉瓦造2階建、赤煉瓦の壁は中世風の外観である。L字型の平面で、1階(ground floor)に玄関ホール、応接間、食堂、台所など、2階(first floor)に書斎、談話室、寝室などを配する。住宅にふさわしいテーブル、椅子、戸棚など家具類一式をウェッブがデザインし、友人らも協力して制作した。調度装飾を整えるのに何年もかかった。

この家の調度品を制作する過程で、モリス、ウェッブ、ロセッティバーン=ジョーンズらはロンドン中心部のレッドライオン・スクエアにモリス・マーシャル・フォークナー商会を設立した(1861年)。

1865年に大英博物館近くのブルームスベリーに住まいと商会が移転し、レッドハウスはモリスの手を離れた。

参考資料[編集]

  • 『生活と芸術-アーツアンドクラフツ展 ウイリアム・モリスから民芸まで』朝日新聞社(2008年)
  • 『モダンデザインの父 ウイリアム・モリス』東京国立近代美術館(1997年)

注釈[編集]

  1. ^ 鈴木博之『建築の世紀末』(1977,晶文社)pp138-140。小野二郎『ウィリアム・モリス』(中公文庫、1992年)pp72-73。

外部リンク[編集]