リズ・キャロル

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リズ・キャロル
Liz Carroll
2011年8月、ダブリン・アイリッシュ・フェスティバル(en:Dublin Irish Festival)でのリズ・キャロル。(撮影: Cindy Funk)
基本情報
生誕 1956年(67 - 68歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 イリノイ州 シカゴ
ジャンル アイルランド音楽ケルト音楽、民俗音楽
職業 ミュージシャン作曲家、音楽教師
担当楽器 フィドル
活動期間 1974年–現在
レーベル コンパス・レコード(en:Compass Records)
共同作業者 ストリング・シスターズ(en:String Sisters)、グリーン・フィールズ・オブ・アメリカ(en:Green Fields of America)、トライアン(Trian)、ジョン・ドイル(en:John Doyle (musician))、ダヒー・スプロール(en:Dáithí Sproule)
公式サイト Official website

リズ・キャロル(Liz Carroll、1956年 - )はアイルランド系アメリカ人のミュージシャン。 彼女は全米芸術基金(NEA:en:National Endowment for the Arts)から、アメリカのフォーク・トラッド音楽における最高の名誉であるen:National Heritage Fellowship Awardを受賞している[1]

生い立ちと教育[編集]

キャロルの両親はアイルランドで生まれた。キャロルはシカゴの南側で育てられた。キャロルの父はアコーディオンを弾いた。毎週日曜の夜にキャロルと家族は、アイルランド伝統音楽のラジオ生放送を主催している南側にあるアイリッシュパブを訪れた。キャロルはデポール大学(en:DePaul University)で社会心理学学位を得た[1]

コンクール出場歴[編集]

キャロルは1973年にフラー・キョール(CCÉの運営するアイルランド音楽のコンクール)で、18歳以下のフィドルフランキー・ギャヴィンに次ぐ2位を受賞した[2]。 キャロルは翌年戻ってきて同部門で一位となった。翌1975年の18歳の時、彼女はシニア部門のフィドルで一位となり、当時アメリカ人として二人目のAll-Ireland Senior Fiddle Championshipとなった。同年、キャロルはシカゴのピアノアコーディオン(en:piano accordion)奏者ジミー・キーン(Jimmy Keane)と共にシニア部門の二重奏で優勝しsenior duet championshipを獲得した。

録音、演奏、著作の来歴[編集]

1978年、キャロルはアコーディオン奏者トミー・マグワイア(Tommy Maguire)との共演で最初の録音をKiss Me Kateのタイトルでリリースした。 次の年に彼女は、マーティン・ファーヒー(Marty Fahey)のピアノ伴奏で最初のソロ・アルバムA Friend Indeedを録音した。 彼女自身の名前を冠した2枚目のソロ・アルバムは、アイリシュ・ギター奏者ダヒー・スプロール(en:Dáithí Sproule)の伴奏を得て1988年にリリースされた。

1992年にキャロルはスプロール、アコーディオン奏者ビリー・マコミスキー(Billy McComiskey)と3人でトライアン(Trian)を結成し、すぐに2つのアルバムをレコーディングした。

2001年にキャロルはアイルランド系アメリカ人の作家フランク・マコートと、シカゴにあるステッペンウルフ・シアター・カンパニーでの朗読会で共演した[3]

リズ・キャロルとジョン・ドイル、2007年6月21日マサチューセッツ州ケンブリッジのクラブ・パッシム(en:Club Passim)にて。

2002年以降、キャロルはアイリッシュギター奏者ジョン・ドイル(en:John Doyle (musician))の伴奏で、それぞれレイク・エフェクト(Lake Effect)、イン・プレイ(In Play)、ダブル・プレイ(Double Play)と題した3枚のアルバムをレコーディングした。

キャロルはストリング・シスターズ(en:String Sisters)のメンバーの一人であり、2005年に録音し2007年にリリースしたLiveと題した彼らのライヴ・アルバムおよびDVDで演奏している[4]

2010年8月、録音されたもの録音されていないもの含めて200のキャロルの作品が Collected: Original Irish Tunesとして出版された。 アイリッシュ・エコー は、Collectedを2010年の最高のチューン集に挙げた[5]エディンバラコンパクト判新聞スコッツマンは、"彼女の作ったチューンの多くが現代のスタンダードになっている"と書いている[6]

受賞歴[編集]

1994年、キャロルは全米芸術基金(NEA:en:National Endowment for the Arts)から、優れた民俗音楽・伝統音楽のミュージシャンに終身名誉として贈られるen:National Heritage Fellowshipを受賞した。

ケルティック・フェスト・シカゴ(en:Celtic Fest Chicago)にて、シカゴ市長 リチャード・M・デイリー(en:Richard M. Daley)はシカゴで1999年9月18日を"リズ・キャロルの日"(Liz Carroll Day)と宣言した[2]

ニューヨークの週刊新聞アイリッシュ・エコー’(en:Irish Echo)は、キャロルを2000年のtraditional musician of the yearに挙げた[7]

2010年、キャロルとジョン・ドイルのコンパス・レコード(en:Compass Records)でのレコーディングダブル・プレイグラミー賞の"Best Traditional World Music Album"部門にノミネートされ[8]、キャロルは最初にグラミー賞にノミネートされたアメリカ生まれのアイリッシュミュージシャンとなった。

2011年、キャロルはその作曲で、アイルランドで最も重要な伝統音楽の賞であるCumadóir TG4 awardを受賞した。 彼女はこの賞を受賞した 初めてのアメリカ生まれの作曲家である[9]

ディスコグラフィー[編集]

  • 1978年 – Kiss Me Kate (トミー・マグワイアとの共演) (en:Shanachie Records)
  • 1979年– A Friend Indeed (マーティン・ファーヒー(Marty Fahey)との共演) (1枚目のソロ・アルバム、1995年に再リリース) (Shanachie Records)
  • 1988年– Liz Carroll (2枚目のソロ・アルバム、1993年に再リリース) (グリーン・リネット)
  • 1992年– Trian (トライアンとして) (en:Flying Fish Records)
  • 1995年– Trian II (トライアンとして) (グリーン・リネット)
  • 2000年– Lost in The Loop (3枚目のソロ・アルバム) (グリーン・リネット)
  • 2002年– Lake Effect (4枚目のソロ・アルバム) (グリーン・リネット)
  • 2005年– In Play (ジョン・ドイルとの共演) (コンパス・レコード(en:Compass Records))
  • 2007年– Live (ストリング・シスターズとして) (コンパス・レコード)
  • 2009年– Double Play (ジョン・ドイルとの共演) (コンパス・レコード) (グラミー賞ノミネート)
  • 2013年– On the Offbeat (5枚目のソロ・アルバム) (自主製作盤)
  • 2015年– Ireland, Crossroads of Art and Design, 1690-1840: The Music (Liz Knowlesとの共同制作) (The Art Institute of Chicago)
  • 2018年– Between Wind and Water (ストリング・シスターズとして) (自主製作盤)


著書[編集]

  • Carroll, Liz (2010). Collected: Original Irish Tunes. ISBN 978-0-615-37814-5 

脚注[編集]

  1. ^ a b Weigel, Jenniffer (2015年3月15日). “Fiddler, composer Liz Carroll on the life she has woven around Irish music”. シカゴ・トリビューン. http://www.chicagotribune.com/lifestyles/ct-remarkable-liz-carroll-0315-20150309-story.html 2015年3月25日閲覧。 
  2. ^ a b Parrish, Michael (2000年4月28日). “Chicago's Gifted Irish Musician Is Back In The Limelight”. シカゴ・トリビューン. http://articles.chicagotribune.com/2000-04-28/features/0004280020_1_irish-music-today-musicians-accordion 2015年3月25日閲覧。 
  3. ^ Stein, Anne (2001年1月10日). “Irish Fiddler Strikes A Harmonious Chord With Author Of `Angela's Ashes'”. http://articles.chicagotribune.com/2001-01-10/features/0101100354_1_fiddle-liz-carroll-irish-song 2015年3月25日閲覧。 
  4. ^ Hitchner, Earle (2008年2月17日). “It’s a string thing with these ‘sisters’”. en:Irish Echo. http://irishecho.com/2011/02/its-a-string-thing-with-these-sisters-2/ 2015年3月25日閲覧。 
  5. ^ Hitchner, Earle (2011年1月19日). “Joe Derrane is the Irish Echo’s top traditional artist of 2010”. en:Irish Echo. http://irishecho.com/2011/01/joe-derrane-is-the-irish-echo%E2%80%99s-top-traditional-artist-of-2010/ 2015年3月25日閲覧。 
  6. ^ “Liz Carroll and Friends and Mairearad and Anna, Glasgow royal Concert”. スコッツマン. (January 18, 2011). http://www.scotsman.com/news/gig-review-liz-carroll-amp-friends-and-mairearad-amp-anna-1-1497342 2015年3月25日閲覧。 
  7. ^ Hitchner, Earle. “Carroll is Echo’s top trad musician”. en:Irish Echo. http://irishecho.com/2011/02/carroll-is-echos-top-trad-musician-2/ 2015年3月25日閲覧。 
  8. ^ Hitchner, Earle (2010年2月17日). “Carroll and Doyle get Grammy nod”. en:Irish Echo. http://irishecho.com/2011/02/carroll-and-doyle-get-grammy-nod-2/ 2015年3月25日閲覧。 
  9. ^ TG4 Composers Award”. TG4. 2015年3月25日閲覧。

外部リンク[編集]