ラシャド・エヴァンス

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ラシャド・エヴァンス
UFC 145の記者会見にて (2012年)
本名 ラシャド・アントン・エヴァンス
(Rashad Anton Evans)
生年月日 (1979-09-25) 1979年9月25日(44歳)
出身地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ニューヨーク州ナイアガラフォールズ
通称 シュガー
(Suga)
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
身長 180 cm (5 ft 11 in)
体重 93 kg (205 lb)
階級 ライトヘビー級
リーチ 191 cm (75 in)
スタイル レスリング
スタンス オーソドックス
拠点 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
フロリダ州ボカラトン
チーム サンフォードMMA
ランク ガイドージュツ (黒帯)
ブラジリアン柔術 (黒帯)
レスリング NCAAディビジョン1
現役期間 2003年 - 2018年
2021年 -
総合格闘技記録
試合数29
勝利20
ノックアウト7
タップアウト2
判定11
敗戦8
ノックアウト3
判定5
引き分け1
その他
大学 ミシガン州立大学
子供 4人
著名な親族 ランス・エヴァンス (弟)
ウェブサイト http://www.rashadevans.tv/
総合格闘技記録 - SHERDOG
獲得メダル
カレッジスタイル
ビッグ10チャンピオンシップ
2003 オハイオ州 174lb級
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笑顔を見せるエヴァンス

ラシャド・エヴァンスRashad Evans1979年9月25日 - )は、アメリカ合衆国男性総合格闘家ニューヨーク州ナイアガラフォールズ出身。フロリダ州在住。サンフォードMMA所属。元UFC世界ライトヘビー級王者。TUF 2ヘビー級優勝。UFC殿堂入り。ラシャード・エバンスとも表記される。

身長180cmと小柄ながら、The Ultimate Fighter 2のヘビー級トーナメントを制し、その後無敗のままUFC世界ライトヘビー級王座を獲得した。2019年7月には、現役時代の功績が評価され、UFC殿堂入りを果たした。

来歴[編集]

幼い頃に空手を経験。ナイアガラ・ウィートフィールド高校時代はレスリングを経験し、ニューヨーク州王者に2度輝き、州代表にも2度選出された。その後、1999年にはNJCAAで第4位、2000年にはNJCAA王者に輝いた。ミシガン州立大学時代はNCAAディビジョン1に参加し、大学時代の戦績は通算48勝34敗だった。

元UFCスーパーファイト王者ダン・スバーンのコーチで総合格闘技を始め、2004年にプロ総合格闘技デビュー。その後、小規模大会で5戦全勝の記録を残し、この活躍によりThe Ultimate Fighterへの出場が決定する。

The Ultimate Fighter[編集]

2005年UFCリアリティ番組The Ultimate Fighter」のシーズン2に参加し、リッチ・フランクリンのチームに所属。身長180cmと出場選手9人の中で最も身長が小柄で、体重も2番目に軽かったため、全試合でアンダードッグとなっていたが、トム・マーフィー、マイク・ホワイトヘッドキース・ジャーディンに判定勝ちを収めヘビー級トーナメントの決勝進出を果たした。11月5日に行なわれた決勝では身長201cmのブラッド・アイムスに2-1の判定勝ちを収め、UFCとの契約を獲得した。

UFC[編集]

2006年4月6日、UFC本戦初出場となったUltimate Fight Night 4でサム・ホーガーと対戦し、2-1の判定勝ち。なお、エヴァンスはこの試合から階級をライトヘビー級に落とした。

2006年6月28日、Ultimate Fight Night 5The Ultimate Fighter シーズン1ファイナリストのステファン・ボナーと対戦し、2-0の判定勝ち。

2007年1月25日、UFC Fight Night: Evans vs. Salmonでショーン・サーモンと対戦。2Rに右ハイキックで失神KO勝ち。ノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2007年7月7日、UFC 73で元UFC世界ライトヘビー級王者のティト・オーティズと対戦。2Rにオーティズがエヴァンスのテイクダウンを防ぐ際に金網を掴んで減点1を受け、0-0の判定ドロー。

2007年11月17日、UFC 78で同じくThe Ultimate Fighter優勝者のマイケル・ビスピンと対戦し、2-1の判定勝ち。ビスピンにキャリア初黒星を付けた。

2008年6月7日、UFC 85で元UFC世界ライトヘビー級王者のチャック・リデルと対戦予定であったが、リデルの右大腿屈筋損傷により試合は中止となった。同年9月6日、UFC 88で改めてリデルと対戦し、2Rにカウンターの右フックで失神KO勝ち。ノックアウト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

UFC世界王座獲得[編集]

2008年12月27日、UFC 92のUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチで王者フォレスト・グリフィンに挑戦。3R中盤にグリフィンのミドルキックをキャッチし右ストレートでダウンを奪い、グラウンドコントロールからパウンドでTKO勝ちを収め王座獲得に成功。ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

世界王座陥落[編集]

2009年5月23日、UFC 98のUFC世界ライトヘビー級タイトルマッチで挑戦者のリョート・マチダと対戦し、2Rに左フックでKO負け。キャリア15戦目で初黒星を喫すると同時に王座陥落となった。

2009年9月から12月にかけて放送された「The Ultimate Fighter」シーズン10でヘッドコーチを務めた。同じくヘッドコーチを務めたクイントン・"ランペイジ"・ジャクソンとはシーズン中から舌戦を繰り広げるなど因縁を深めたが、シーズン終了後ランペイジは映画出演を優先しコーチ対決を拒否した[1]

2010年1月2日、UFC 108チアゴ・シウバと対戦し、3-0の判定勝ち。試合後、「アクター(ジャクソン)がUFCのファイトに戻ってくると聞いている。ランペイジとやりたい」とジャクソンに対戦要求した[2]

2010年5月29日、UFC 114で因縁浅からぬクイントン・"ランペイジ"・ジャクソンと対戦し、3-0(30-27、30-27、29-28)の判定勝ちを収めた[3]。なお、この試合のPPV販売件数は約105万件に昇った。

2011年、ジャクソンズMMAを離れインペリアル・アスレチックスへ移籍。ラシャド本人のコメントによると、チームメイトのジョン・ジョーンズがUFCライトヘビー王座戴冠後にラシャドとの対戦を受け入れる旨の発言をし、そのことがきっかけで軋轢が生じることとなり、最終的に移籍するに至ったことが示唆されている。

2011年8月6日、UFC 133ティト・オーティズと約4年ぶりに再戦。2R終盤にグラウンドでオーティズのボディーへ膝蹴りを突き刺しパウンドで2RTKO勝ち。ファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞した。

2012年1月28日、UFC on FOX 2のライトヘビー級王座挑戦者決定戦でフィル・デイヴィスと対戦。フルラウンドに渡ってデイヴィスを圧倒し、ジャッジ3人が50-45の採点をつける内容で3-0の判定勝ちを収め、ジョン・ジョーンズが持つUFC世界ライトヘビー級王座への挑戦権を獲得した。

2012年4月21日、UFC 145で元チームメイトであるジョン・ジョーンズの持つUFC世界ライトヘビー級王座に挑戦。スタンドの攻防で劣勢となり、0-3の5R判定負けを喫し王座再獲得に失敗した。

2013年2月2日、UFC 156アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラと対戦し、0-3の判定負け。自身初の連敗となった。

2013年6月15日、UFC 161でライトヘビー級ランキング3位のダン・ヘンダーソンと対戦し、2-1の判定勝ち。

2013年11月16日、UFC 167でライトヘビー級ランキング6位のチェール・ソネンと対戦し、1R終盤にバックマウントからのパウンド連打でTKO勝ちを収めた。

2014年2月22日、UFC 170ダニエル・コーミエと対戦予定であったが、大会10日前に足の怪我により欠場した。

2015年1月24日、UFC on FOX 14アレクサンダー・グスタフソンとの対戦が予定されるが、エヴァンスは負傷した膝のリハビリが長引いて出場できず、同年2月22日のUFC Fight Night: Bigfoot vs. Mirグローバー・テイシェイラとの対戦が決定するも、テイシェイラが膝の負傷により欠場したため、エヴァンスの復帰戦は再び延期となった。

2015年10月3日、約2年ぶりの復帰戦となったUFC 192でライトヘビー級ランキング4位のライアン・ベイダーと対戦し、0-3の判定負け。

2016年4月16日、UFC on FOX 19でライトヘビー級ランキング4位のグローバー・テイシェイラと改めて対戦し、スタンドパンチ連打で1RKO負け。

2017年には階級をミドル級に下げるも、UFC 209ダニエル・ケリーに1-2の判定負け、UFC Fight Night: Pettis vs. Morenoではサム・アルヴィーに1-2の判定負けを喫し、ミドル級での試合は結局この2試合のみとなった。

2018年6月9日、ライトヘビー級復帰戦となったUFC 225アンソニー・スミスと対戦し、開始53秒に右膝蹴りでKO負けを喫し、5連敗となった。

2018年6月25日、現役引退を表明[4]

2019年7月5日、UFC殿堂入り。

2019年9月20日、エヴァンスがUFCにリリースを要求し、リリースされた[5]

Eagle FC[編集]

2022年1月28日、ハビブ・ヌルマゴメドフがプロモーターを務めるEagle FC初参戦となったEagle FC 44でガブリエル・チェッコと約3年7カ月ぶりの復帰戦を行い、3-0の判定勝ち[6]

ファイトスタイル[編集]

スピーディーかつ重い打撃と高いレスリングスキル、また、テイクダウンからの強烈なパウンドを武器とし、スタンド、グラウンド共に穴のないスタイルを持つ。

人物・エピソード[編集]

  • 現役時代からUFCのコメンテーターを務めている。
  • 同じく総合格闘家のランス・エヴァンスは実弟。

戦績[編集]

総合格闘技[編集]

総合格闘技 戦績
29 試合 (T)KO 一本 判定 その他 引き分け 無効試合
20 7 2 11 0 1 0
8 3 0 5 0
勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
ガブリエル・チェッコ 5分3R終了 判定3-0 Eagle FC 44 2022年1月28日
× アンソニー・スミス 1R 0:53 KO(右膝蹴り) UFC 225: Whittaker vs. Romero 2 2018年6月9日
× サム・アルヴィー 5分3R終了 判定1-2 UFC Fight Night: Pettis vs. Moreno 2017年8月5日
× ダニエル・ケリー 5分3R終了 判定1-2 UFC 209: Woodley vs. Thompson 2 2017年3月4日
× グローバー・テイシェイラ 1R 1:48 KO(スタンドパンチ連打) UFC on FOX 19: Teixeira vs. Evans 2016年4月16日
× ライアン・ベイダー 5分3R終了 判定0-3 UFC 192: Cormier vs. Gustafsson 2015年10月3日
チェール・ソネン 1R 4:05 TKO(パウンド) UFC 167: St-Pierre vs. Hendricks 2013年11月16日
ダン・ヘンダーソン 5分3R終了 判定2-1 UFC 161: Evans vs. Henderson 2013年6月15日
× アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ 5分3R終了 判定0-3 UFC 156: Aldo vs. Edgar 2013年2月2日
× ジョン・ジョーンズ 5分5R終了 判定0-3 UFC 145: Jones vs. Evans
【UFC世界ライトヘビー級タイトルマッチ】
2012年4月21日
フィル・デイヴィス 5分5R終了 判定3-0 UFC on FOX 2: Evans vs. Davis 2012年1月28日
ティト・オーティズ 2R 4:48 TKO(パウンド) UFC 133: Evans vs. Ortiz 2011年8月6日
クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン 5分3R終了 判定3-0 UFC 114: Rampage vs. Evans 2010年5月29日
チアゴ・シウバ 5分3R終了 判定3-0 UFC 108: Evans vs. Silva 2010年1月2日
× リョート・マチダ 2R 3:57 KO(スタンドパンチ連打) UFC 98: Evans vs. Machida
【UFC世界ライトヘビー級タイトルマッチ】
2009年5月23日
フォレスト・グリフィン 3R 2:46 TKO(パウンド) UFC 92: The Ultimate 2008
【UFC世界ライトヘビー級タイトルマッチ】
2008年12月27日
チャック・リデル 2R 1:51 KO(右フック) UFC 88: Breakthrough 2008年9月6日
マイケル・ビスピン 5分3R終了 判定2-1 UFC 78: Validation 2007年11月17日
ティト・オーティズ 5分3R終了 判定0-0 UFC 73: Stacked 2007年7月7日
ショーン・サーモン 2R 1:06 KO(右ハイキック) UFC Fight Night: Evans vs. Salmon 2007年1月25日
ジェイソン・ランバート 2R 2:22 KO(マウントパンチ) UFC 63: Hughes vs. Penn 2006年9月23日
ステファン・ボナー 5分3R終了 判定2-0 Ultimate Fight Night 5 2006年6月28日
サム・ホーガー 5分3R終了 判定2-1 Ultimate Fight Night 4 2006年4月6日
ブラッド・アイムス 5分3R終了 判定2-1 The Ultimate Fighter 2 Finale
【ヘビー級トーナメント 決勝】
2005年11月5日
ジェイミー・ジャラ 5分3R終了 判定3-0 Gladiator Challenge 27: FightFest 2
【ライトヘビー級トーナメント 決勝】
2004年6月3日
ヘクター・ラミレス 5分2R終了 判定3-0 Gladiator Challenge 27: FightFest 2
【ライトヘビー級トーナメント 準決勝】
2004年6月3日
ブライアン・パードー 1R 3:24 TKO(パンチ連打) Gladiator Challenge 26: FightFest 1
【ライトヘビー級トーナメント 1回戦】
2004年6月2日
ダニー・アンダーソン 1R 3:09 ギブアップ(パンチ連打) Dangerzone 26: Professional Level Cage Fighting
【決勝】
2004年4月10日
デニス・リード 1R 0:50 ギブアップ Dangerzone 26: Professional Level Cage Fighting
【1回戦】
2004年4月10日

総合格闘技エキシビション[編集]

勝敗 対戦相手 試合結果 大会名 開催年月日
キース・ジャーディン 5分3R終了 判定3-0 The Ultimate Fighter 2
【ヘビー級 準決勝】
2005年7月11日
マイク・ホワイトヘッド 5分3R終了 判定3-0 The Ultimate Fighter 2
【ヘビー級 エリミネイションバウト】
2005年7月8日
トム・マーフィー 5分3R終了 判定3-0 The Ultimate Fighter 2
【ヘビー級 エリミネイションバウト】
2005年6月25日

獲得タイトル[編集]

表彰[編集]

  • ノーギ・ブラジリアン柔術 黒帯
  • ガイドージュツ 黒帯
  • UFC ファイト・オブ・ザ・ナイト(2回)
  • UFC ノックアウト・オブ・ザ・ナイト(2回)
  • UFC ノックアウト・オブ・ザ・イヤー(2008年/チャック・リデル戦)
  • UFC殿堂入り(2019年)
  • SHERDOG ファイター・オブ・ザ・イヤー(2008年)
  • SHERDOG ノックアウト・オブ・ザ・イヤー(2008年/チャック・リデル戦)

ペイ・パー・ビュー販売件数[編集]

開催年月日 イベント 販売件数 備考
2013年06/15_6月15日 UFC 161: ラシャド・エヴァンス vs. ダン・ヘンダーソン 014_14万件
2012年04/21_4月21日 UFC 145: ジョン・ジョーンズ vs. ラシャド・エヴァンス 070_70万件
2011年08/06_8月6日 UFC 133: ラシャド・エヴァンス vs. ティト・オーティズ 2 031_31万件
2010年05/29_5月29日 UFC 114: クイントン・"ランペイジ"・ジャクソン vs. ラシャド・エヴァンス 022_105万件
2010年01/02_1月2日 UFC 108: ラシャド・エヴァンス vs. チアゴ・シウバ 030_30万件
2009年05/23_5月23日 UFC 98: ラシャド・エヴァンス vs. リョート・マチダ 063_63万5千件
2008年12/27_12月27日 UFC 92: フォレスト・グリフィン vs. ラシャド・エヴァンス 100_100万件
2008年09/06_12月27日 UFC 88: チャック・リデル vs. ラシャド・エヴァンス 048_48万件
2007年11/17_11月17日 UFC 78: ラシャド・エヴァンス vs. マイケル・ビスピン 040_40万件

出演[編集]

映画[編集]

CM[編集]

脚注[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

前王者
フォレスト・グリフィン
第9代UFC世界ライトヘビー級王者

2008年12月27日 - 2009年5月23日

次王者
リョート・マチダ