ポップアップ・ストア
ポップアップ・ストア(英語:Pop-up Store)は空き店舗などに突如出店(ポップアップ)し、一定期間で突如消えてしまう店舗のこと。ポップアップ・リテール(Retail)、フラッシュ・リテーリング(Flash retailing)、アイルランドやイギリス、オーストラリアではポップアップ・ショップ(Pop-up shop)とも呼ばれる。開店から閉店まで数日ないし数週間と短く、一時的な流行やイベント、試験販売など短期販売を行うために設営される例が多い。
概要[編集]
仮店舗であるため内装には費用を掛けず、むしろ商品のイメージを明快に表すデザインとなっている。期間は長くても3か月とも謂われ、短いと3日で消えてしまう店もある。また、単に店舗を増やすだけでなく、プロモーションの一環として用いられることもある。ポップアップ・ストアと期間限定ショップは殆ど同じ意味となるが、前者はよりイベント性を重視し、イギリスを始め海外では一から店舗から作り期間が終わると壊してしまうといったこともある。
2021年時点でカナダ、中国、日本、メキシコ、フランス、ドイツなど先進国で数多く見受けられる。ポップアップ・ストア業界は500億ドルの経済規模と推定されている[1]。
歴史[編集]
ポップアップ・ストアの前身となる期間限定の店舗は1298年、オーストリアウィーンのクリスマスマーケットで開催されたものが最古とみられている[2]。
見本市における一時的な即売会もポップアップ・ストアの一例として挙げられるが[3]、1997年、アメリカロサンゼルスで行われたイベントで「パトリック・クーリエルシュ(Patrick Courrielche)」により制作された一日限定の「究極のヒップスター・モール(ultimate hipster mall)」としてブランド化されたものがポップアップ・ストアの起源と見られている[4][5][6][7]。このイベントは大手企業の目に留まり、若者に向けた自社製品の宣伝や認知度向上、新製品販売などのイベントに使用されている。2004年コム・デ・ギャルソンによって開設された店舗は「ゲリラショップ」と命名され1年間限定で開設されている。2004年1月Trendwatching.comは「ポップアップ・リテール」と言う用語を作り出したと主張している[8]。
ポップアップ・ストアは家電業界やファッション業界、自動車業界などにも利用が拡大したことで一大ブームとなっており、この流行は2009年頃から他業界にも波及し、飲食業界ではイベントに廃工場や自宅などを利用した「ポップアップ・レストラン」として同様に流行した。2010年代に起きたアメリカ合衆国における小売業の衰退により閉鎖された店舗をハロウィンなどのイベントに期間限定で貸し出しており近年増加傾向にある。
脚注[編集]
- ^ “The Magic of Pop-Up Shop Marketing”. United States: American Marketing Association. (2017年10月1日) 2021年7月16日閲覧。
- ^ “Christmas markets in Vienna”. オーストリア観光協会. 2021年7月17日閲覧。
- ^ Moore, Booth, (July, 1999) LA Times. "Cutting-Edge Clothes and Music at Ritual Expos." http://articles.latimes.com/1999/jul/09/news/cl-54193[リンク切れ]
- ^ Baltin, Steve, (October, 2000). “Ritual in the Making, Creative Fields Converge To Form Ultimate Hipster Mall In A Nightclub Atmosphere”. Chicago Tribune. 2021年7月16日閲覧。
- ^ Swystun, Jeff (September, 2015). “"Pop-Up Retail: Where Will It Go Next?"”. Business 2 Community. 2021年7月16日閲覧。
- ^ Kelly, Sean (April 2016). “Pop-Up Power”. IN_retail .
- ^ “Pop-Up Retail”. Trend Watching. 2021年7月16日閲覧。
関連項目[編集]
外部リンク[編集]
- 『ポップアップストア』 - コトバンク
- ポップアップストアとは - POPUP
- SHOPCOUNTER