ファンキーハットの快男児シリーズ

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ファンキーハットの快男児シリーズ』(ファンキーハットのかいだんじシリーズ)は、主演千葉真一監督深作欣二にてシリーズ化された日本映画1961年に全2作が封切り公開された。映画風来坊探偵シリーズ』で組んだ千葉&深作コンビで、現代的な若者が探偵として、誘拐殺人と次々発生する事件を快刀乱麻に解決していく作品である[1][2][3][4]

解説[編集]

談合インサイダー取引日本プロ野球の新人争奪戦など、世相を反映した社会問題を題材にアクションサスペンスミステリ・コメディタッチを織り交ぜて、スリルに謎解きが展開されていく物語。ニュー東映のホープとして躍り出ていた千葉真一主人公に扮し[1]中原ひとみヒロインに迎えた青春痛快シリーズとなっている[1][2][3][4]

コミカルに遊び盛りの坊ちゃん探偵・天下一郎を演じている千葉真一は、学生時代に器械体操で培った筋骨隆々な肉体美を大車輪で見せ、左右に開脚して2人の敵を同時に倒す跳び蹴りをするなど、吹き替えなしで数々のスタントをこなしている[5]深作欣二は同年の映画風来坊探偵シリーズ』では、主人公にウィンチェスターライフルを持たせ西部劇ばりの銃撃戦を展開させるスピーディーかつ乾いた演出をしているものの[6]東映から映画『渡り鳥シリーズ』のような無国籍映画を作るよう指示されていたため、それを意識した作品となっている。しかし本シリーズはこのような条件を付けられず、オリジナルな演出がされており、一郎を今風な青年で拳銃を持たず現実的なキャラクターとし、内田安夫に手持ちカメラで撮影させ、映画音楽にはジャズを全編に流し、勢いのある映像に仕上げた[6]。同シリーズは1966年の映画『カミカゼ野郎 真昼の決斗』や、1968年から1973年に放送されたテレビドラマキイハンター』の原型にもなっている[6][7]

全作の映画スタッフは同じ陣容、配役は天下一郎、一郎の相棒・茂、天下探偵事務所関係者がシリーズ通して登場し、そのほかの全作に出演している俳優の役柄はみな異なっており、第1作『ファンキーハットの快男児』の製作はニュー東映だが、第2作『ファンキーハットの快男児 二千万円の腕』は東映となった[8]

一覧[編集]

年月日は日本での公開初日。

出演 - 千葉真一中原ひとみ新井茂子岡本四郎八代万智子 ほか
監督 - 深作欣二
脚本 - 田辺虎男・池田雄一
製作 - ニュー東映
出演 - 千葉真一・中原ひとみ・小川守・岡本四郎・波島進 ほか
監督 - 深作欣二
脚本 - 田辺虎男・池田雄一
製作 - 東映

脚注[編集]

  1. ^ a b c ファンキーハットの快男児”. 日本映画製作者連盟. 2012年2月1日閲覧。
  2. ^ a b ファンキーハットの快男児 二千万円の腕”. 日本映画製作者連盟. 2012年5月21日閲覧。
  3. ^ a b ファンキーハットの快男児”. 東映チャンネル. 2013年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月13日閲覧。
  4. ^ a b ファンキーハットの快男児 二千万円の腕”. 東映チャンネル. 2013年3月13日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年3月13日閲覧。
  5. ^ 『SPORTS CITY』第1巻第2号、鎌倉書房、1981年8月、32頁。 
  6. ^ a b c JJサニー千葉『千葉流 サムライへの道』ぶんか社、2010年、140 - 141頁。ISBN 4821142694 
  7. ^ 菅原文太、ほか「映画監督 深作欣二の軌跡」『キネマ旬報 臨時増刊』第1380号、キネマ旬報社、2003年、154頁。 
  8. ^ 本作のクレジットタイトルより。

関連項目[編集]