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トゥクトヤクトゥク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
トゥクトヤクトゥクのレーダー基地

トゥクトヤクトゥクウズベク語: Tuktoyaktuk)は、カナダノースウエスト準州に位置するイヌビアルイト(イヌイットの一部族)が住む町である。この町は、イヌヴィクの北、北極海に面している。2021年時点の人口は約900人で、北極海に直接アクセスできるカナダ唯一の町として知られている 。トゥクトヤクトゥクは、イヌイット文化を大切に守りつつ、観光客にも開かれた場所となっている[1]

概要

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トゥクトヤクトゥクは、北極圏内に位置し、厳しい寒冷気候の中で生活が営まれている。元々は「ポールアトク」(バスク語: Paulatuk) という名前で知られていたが、現在の名前はイヌイット語で「カリブーが泳ぐ場所」を意味する。住民は今でもトナカイ狩りや伝統的な漁業を行っており、イヌビアルイトの文化を色濃く残している[2]

歴史

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トゥクトヤクトゥクの歴史は数千年前にさかのぼり、イヌビアルイトの祖先がこの地域に定住していた。19世紀ヨーロッパ探検家がこの地域に到達し、徐々に外部との交流が始まった。20世紀初頭には毛皮取引捕鯨がこの地域の主要な経済活動となり、町の発展が進んだ 。第二次世界大戦中には、アメリカ軍によってレーダー基地が設置され、北極圏における戦略的な重要性が増した。トゥクトヤクトゥクは1961年に公式に町として認定され、それ以来、漁業や観光業を基盤に発展している。町の文化は、外部からの影響を受けながらも、先住民伝統を守り続けている[3]

地理

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トゥクトヤクトゥクは、ノースウエスト準州の北緯69度26分に位置し、北極海沿岸に広がっている。ツンドラ気候で、冬は非常に厳しく、気温が-40℃以下に下がることもあるが、夏は短く比較的温暖な期間もある。周囲は広大なパーマフロスト永久凍土)に覆われており、建物を安定させるために特別な基礎工事が必要とされている。近年、地球温暖化に伴いパーマフロストが溶け始めており、町のインフラに大きな影響を及ぼす可能性が懸念されている。観光客にとっては、北極海の美しい自然オーロラなど、北極圏特有の景色が魅力である[4]

脚注

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  1. ^ Statistics Canada: Canada's national statistical agency” (英語). www.statcan.gc.ca. 2024年9月19日閲覧。
  2. ^ Arctic Institute of North America | University of Calgary” (英語). arctic.ucalgary.ca. 2024年9月19日閲覧。
  3. ^ JSTOR Home”. www.jstor.org. 2024年9月19日閲覧。
  4. ^ Homepage” (英語). National Snow and Ice Data Center. 2024年9月19日閲覧。