セイジスフィヨルズル
セイジスフィヨルズル (Seyðisfjörður) | |
アイスランド島の中での位置 | |
県 | セイジスフィヨルズル市 (Seyðisfjarðarkaupstaður) |
選挙区 (en) | Northeast |
人口 | 802 (2005年) |
郵便番号 | 710 |
緯度 経度 |
北緯65度09分 西経13度36分 / 北緯65.15度 西経13.60度 |
セイジスフィヨルズル市ウェブページ |
セイジスフィヨルズル(氷語: Seyðisfjörður、ラテン文字表記 Seydisfiordur、「かまどの火の峡湾」の意[1])は、アイスランドの東アイスランドにある、同名のフィヨルドのもっとも奥にある村である。
地理[編集]
セイジスフィヨルズルへは、島内からはリングロード沿線のエイイルススタジルから付近の山フィヤルザルヘイジ (Fjarðarheiði) を越えて約27kmの道のりである。セイジスフィヨルズルは、西のビョゥルブル(Bjólfur 、1085m)および東のストラゥンダルティンドゥル(Strandartindur、1010m)をはじめとして四方を山に囲まれている。村の中心を通る道路が1本あり、フィヨルドには村のどこからでも行ける。フィヨルドの外側は村のどこからも遠いが、ニシツノメドリの営巣地などをはじめとする豊かな自然と、近くにあるヴェストダールスエイリ(Vestdalseyri、現在の教会がもとあった場所)のような遺跡などがある。
気候[編集]
他のアイスランドの都市と同様に気温の年較差は小さい。しかし、降水量は他都市と比較して多く、レイキャビクの約2倍である。
セイジスフィヨルズル (1981-2000)の気候 | |||||||||||||
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月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
最高気温記録 °C (°F) | 17.5 (63.5) |
16.0 (60.8) |
15.4 (59.7) |
21.0 (69.8) |
21.5 (70.7) |
26.6 (79.9) |
27.0 (80.6) |
25.0 (77) |
25.0 (77) |
22.0 (71.6) |
20.7 (69.3) |
18.0 (64.4) |
27 (80.6) |
平均最高気温 °C (°F) | 3.0 (37.4) |
2.9 (37.2) |
3.1 (37.6) |
4.7 (40.5) |
8.4 (47.1) |
11.3 (52.3) |
13.0 (55.4) |
13.2 (55.8) |
10.0 (50) |
6.4 (43.5) |
4.4 (39.9) |
2.7 (36.9) |
6.93 (44.47) |
日平均気温 °C (°F) | −0.2 (31.6) |
−0.3 (31.5) |
−0.1 (31.8) |
1.4 (34.5) |
4.9 (40.8) |
7.8 (46) |
9.9 (49.8) |
9.9 (49.8) |
7.2 (45) |
3.8 (38.8) |
1.5 (34.7) |
−0.2 (31.6) |
3.8 (38.83) |
平均最低気温 °C (°F) | −3.5 (25.7) |
−3.5 (25.7) |
−3.5 (25.7) |
−1.6 (29.1) |
1.8 (35.2) |
4.8 (40.6) |
7.1 (44.8) |
7.0 (44.6) |
4.2 (39.6) |
0.8 (33.4) |
−1.5 (29.3) |
−3.3 (26.1) |
0.73 (33.32) |
最低気温記録 °C (°F) | −18.0 (−0.4) |
−15.2 (4.6) |
−18.0 (−0.4) |
−12.6 (9.3) |
−8.4 (16.9) |
−3.5 (25.7) |
1.0 (33.8) |
0.0 (32) |
−5.7 (21.7) |
−9.9 (14.2) |
−14.0 (6.8) |
−15.8 (3.6) |
−18 (−0.4) |
降水量 mm (inch) | 210.7 (8.295) |
156.1 (6.146) |
160.5 (6.319) |
94.2 (3.709) |
67.0 (2.638) |
55.9 (2.201) |
56.8 (2.236) |
95.0 (3.74) |
173.4 (6.827) |
214.2 (8.433) |
178.1 (7.012) |
188.6 (7.425) |
1,650.5 (64.981) |
出典:Icelandic Met Office[2] |
歴史[編集]
セイジスフィヨルズルへの入植は、アイスランドの歴史の中でも早い方であった。最初の入植者はビョゥルブル(Bjólfur)であり、このフィヨルドの全体を治めた。ソルンナルスタジル (Þórunnarstaðir) にある焼けた教会の遺跡は、炭素年代測定により10世紀のものとされており、墓地の発掘では8世紀のものが見つかっている。
セイジスフィヨルズルの街としての発展はノルウェーの漁師たちにより1848年に始まった後、彼らによる木造の建築物が現在も残っている。上述のヴェストダールスエイリには世界初の近代的な、工業化された捕鯨基地があった。この捕鯨基地は1864年にアメリカの捕鯨漁師であったトーマス・ウェルカム・ロイスが建設し、1866年まで彼らが捕鯨基地および貿易拠点の営業をしていた。セイジスフィヨルズルには1906年、ヨーロッパ大陸とアイスランドを結ぶ初の海底ケーブルが敷設され、20世紀中ごろまでアイスランドの国際通信の拠点として機能した。1930年には村の中心部の川(の上流)にダムが建設され、これによって初めてインフラとして電力が供給され始め、電気による街灯も設置された。第二次世界大戦中には、イギリス及びアメリカの軍の基地としても利用された。現在も、使われていない滑走路や燃料輸送船の El Grillo が爆撃され、沈没したままの様子など、軍の基地としての名残がフィヨルドに散見される。海底に沈む El Grillo はダイバーが潜水し、その様子を見ることができる。
近年では村にあった水産加工所が閉鎖になったため、村の経済は観光に移行しているが、アイスランドの東部には現在も、漁港や造船所などの重要な漁業施設がある。
現在[編集]
セイジスフィヨルズルは古い木製の建築物と、かつて反映していた頃の名残をとどめる史跡で知られている。現在は設備の整ったキャンプ場、ホテル、プール、図書館、病院、郵便局、酒店などがある。また、芸術活動の場としてのアート・センターや通信博物館があり、さらにアイスランド東部には2館しかない映画館がどちらもセイジスフィヨルズルにある。7月には LungA 芸術祭が開かれている。細かく分解、再構成した美術書で知られるドイツ系の芸術家ディーター・ロスの使っていた、住居とアトリエがある。スカフタフェットル文化センターには、ディーター・ロス・アカデミーの本拠地がある。
村には滝が数箇所ある。ハイキング・コースとしては、村の中心を流れる川フィヤルザルアゥ (Fjarðará) の東岸に沿って進むコースが一般的である。この川を遡ると、滝が25箇所ある。冬期にはフィヤルザルヘイジ (Fjarðarheiði) の山中のスキー場が往来にも使われる。
村の約17km東のスカゥラネースには、付近の自然および遺跡の案内所がある。その付近は自然保護区になっており、案内所ではセイジスフィヨルズルのあるフィヨルドの南側を訪れる観光客やハイカーに、食料などを提供している。
セイジスフィヨルズルには毎週、デンマークのヒァツハルスおよびフェロー諸島のトースハウンからスミリル・ラインのカーフェリーが来ている。2009年まではノルウェーのベルゲンおよびスコットランドのスクラブスターからも就航していた。
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セイジスフィヨルズルの海からの遠景(2008年撮影)
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港に停泊するフェリー
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山からの遠景
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村の教会
姉妹都市[編集]
脚注[編集]
- ^ 浅井、森田「アイスランド地名小辞典」、1980(帝国書院から販売)[要ページ番号]。
- ^ “Monthly Temperature and Precipitation Averages for Seyðisfjörður”. Icelandic Meteorological Office. 2016年6月5日閲覧。