ジェレッド・ウィーバー

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ジェレッド・ウィーバー
Jered Weaver
ロサンゼルス・エンゼルス・オブ・アナハイムでの現役時代
(2011年7月23日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 カリフォルニア州ロサンゼルス市ノースリッジ英語版地区
生年月日 (1982-10-04) 1982年10月4日(41歳)
身長
体重
6' 7" =約200.7 cm
210 lb =約95.3 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2004年 MLBドラフト1巡目(全体12位)でアナハイム・エンゼルスから指名
初出場 2006年5月27日
最終出場 2017年5月19日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)
国際大会
代表チーム アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
獲得メダル
男子 野球
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
パンアメリカン競技大会
2003 野球

ジェレッド・デビッド・ウィーバーJered David Weaver, 1982年10月4日 - )は、アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス市ノースリッジ英語版地区出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。

兄のジェフ・ウィーバーも元MLBの選手(投手)だった。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校在学中の3年間で37勝9敗・防御率2.43・370イニングで431奪三振(学校記録)を記録。

2003年7月に開催されたサントドミンゴパンアメリカン競技大会野球アメリカ合衆国代表に選出された[1]

2004年の3年生時には15勝1敗・防御率1.62・144イニングで213奪三振(1シーズンの学校記録)と抜群の成績で、全米アマチュア野球の最優秀選手に贈られるゴールデンスパイク賞と全米大学最優秀投手に贈られるロジャー・クレメンス賞をダブル受賞するなど輝かしい成績を残す。

プロ入りとエンゼルス時代[編集]

2004年のMLBドラフトの目玉選手だったが、代理人がスコット・ボラスであるため指名を回避する球団が続出。それでも資産家のアルトゥーロ・モレノ英語版オーナーの後押しもあってアナハイム・エンゼルスから1巡目(全体12位)に指名を受ける[2]。しかしやり手のボラスとの交渉は案の定すんなりとは行かず、翌年のドラフトに再度かかるのではと心配されたが、結局交渉期限直前の5月31日に契約に合意[3]

契約後はブランクがあったが、マイナーリーグ(A級ランチョクカモンガ・クエークスとAA級アーカンソー・トラベラーズ)で15試合先発し、防御率3.91、7勝4敗の好成績を残す。2006年にはAAA級ソルトレイク・ビーズに昇格。ここでも防御率でリーグ2位、奪三振でリーグ1位を記録し、ケビン・グレッグの球団記録に並ぶ27.1イニング連続無失点を記録するなど好調を維持していた[4]バートロ・コローン故障者リスト入りなどもあり、満を持して5月26日エステバン・ジャンに代わりメジャー昇格[4]、翌27日のボルチモア・オリオールズ戦に先発し7回無失点で見事初勝利をおさめた。その後も勝ち星を重ね4連勝中であったが、コローンが故障者リストから戻ってくるため、一旦AAA級ソルトレイクに降格することとなるが、兄ジェフが絶不調のためセントルイス・カージナルスに放出され、6月30日に再昇格した[5]。その後も勝ち続け、8月18日シアトル・マリナーズ戦にかけてリーグタイ記録となるデビュー9連勝を記録[6]

2009年6月20日ロサンゼルス・ドジャース戦で兄ジェフと2002年アンディアラン英語版のベネス兄弟以来、1967年以降では15例目となる兄弟対決が実現[7]。5回1/3を6失点で敗戦投手となり、兄弟対決に敗れた[7]。またこの試合では両親がエンゼルスとドジャースのユニフォームを半分ずつあしらった、特注のユニフォームで兄弟を応援していた[8]

2011年は開幕から好調で、7月11日時点で11勝4敗・防御率1.86を記録し、オールスターの先発投手を務めた。
8月21日に5年総額8500万ドルでエンゼルスと契約延長した。翌年のシーズン終了後にフリーエージェント資格が得られる見込みで、さらなる高額契約が期待できることから代理人のボラスは反対したが、ウィーバーは生まれ育ったカリフォルニアのエンゼルスを選んだ。
この年の防御率はリーグ2位で、1位のバーランダーとの差は厳密にはわずか0.004。あと打者2人に投げて自責0なら逆転していた。

2012年5月2日ミネソタ・ツインズ戦でノーヒットノーランを達成。2回の振り逃げと7回の四球での出塁を許しただけで、打者29人に対して9奪三振という内容だった[9]5月28日に腰を痛め、15日間の故障者リスト入りをするも、復帰後はエースとして奮闘し、9月28日テキサス・レンジャーズ戦で自己最多の20勝を挙げ、この年の最多勝に輝いた。

2013年は、開幕して早々の4月7日の対テキサス・レンジャーズ戦で、ライナー性の打球を避けた際に変な手の付き方をし、肘を骨折。約1ヵ月半、故障者リスト入りした為[10]、2007年以来となる規定投球回未達のシーズンとなった。しかし、復帰して6月に入ってからは調子を取り戻し[10]、最終的にはメジャーデビュー年から8年連続2ケタ勝利となる11勝を挙げた。

2014年は、ア・リーグ最多タイとなる34試合に先発登板し、3年ぶりに200.0イニングを突破。18勝を挙げてデビュー年からの連続2桁勝利記録を9年に伸ばしたばかりか、デトロイト・タイガースマックス・シャーザークリーブランド・インディアンスコーリー・クルーバーと最多勝のタイトルを分け合った。他方で、防御率3.59・WHIP1.21という成績は、いずれも2009年以来となる防御率3.50・WHIP1.20超えでもあり、不安感も残ったシーズンだった。守備では、2失策を記録した。

2015年は26試合の先発登板に留まり、規定投球回に届かなかった。防御率は2008年以来となる4.00超えで、自己ワーストの4.64だった。また、7勝12敗と負け越して、ルーキーイヤーから続いていた連続2桁勝利・勝ち越しの記録は9年連続でストップした。奪三振も同様に、100未満に終わって100以上が9年連続で途切れた。

2016年は31試合に先発し2年ぶりの2桁勝利・規定投球回到達を成し遂げたが、リーグワーストの37被本塁打を喫し防御率も5.06と、投球内容は前年よりも悪化した。オフの11月3日にFAとなった[11]

パドレス時代[編集]

2017年2月19日サンディエゴ・パドレスと1年300万ドルで契約を結んだ[12]。シーズンでは9試合で0勝5敗・防御率7.44と勝利を挙げられないまま5月20日に故障者リスト入りした後は登板が無く、8月16日に引退を表明した[13]

選手としての特徴・人物[編集]

GO/AO(ゴロアウト/フライアウト)通算が0.6台と、MLBでも屈指のフライボールピッチャーである。かつてはフォーシーム主体だったが、近年はツーシームを多投しており、他にチェンジアップスライダーカーブが主な持ち球である。速球の球速は85-89mph(136-143km/h)だが、軸足を極端に三塁側寄りに起き、更に三塁側に踏み込むインステップの投球フォームが長身と長い腕と相まって球に角度を与え、テイクバックの大きいやや変則的なフォームもあって打者が投球を見極めるのが困難になっている[14]

長髪の風貌は兄と良く似ている。また代理人も兄と同じスコット・ボラスに任せている。

2009年に事故死した同僚のニック・エイデンハートのイニシャルをマウンドの土に書いてから登板している[9]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2006 LAA 19 19 0 0 0 11 2 0 0 .846 490 123.0 94 15 33 1 3 105 2 0 36 35 2.56 1.03
2007 28 28 0 0 0 13 7 0 0 .650 695 161.0 178 17 45 3 2 115 4 0 77 70 3.91 1.39
2008 30 30 0 0 0 11 10 0 0 .524 745 176.2 173 20 54 4 6 152 3 0 88 85 4.33 1.29
2009 33 33 4 2 1 16 8 0 0 .667 882 211.0 196 26 66 3 4 174 3 0 91 88 3.75 1.24
2010 34 34 0 0 0 13 12 0 0 .520 905 224.1 187 23 54 0 0 233 7 1 83 75 3.01 1.07
2011 33 33 4 2 1 18 8 0 0 .692 926 235.2 182 20 56 0 3 198 8 0 65 63 2.41 1.01
2012 30 30 3 2 2 20 5 0 0 .800 739 188.2 147 20 45 0 4 142 2 0 63 59 2.81 1.02
2013 24 24 0 0 0 11 8 0 0 .579 634 154.1 139 17 37 0 7 117 2 0 58 56 3.27 1.14
2014 34 34 1 0 0 18 9 0 0 .667 888 213.1 193 27 65 1 6 169 3 0 87 85 3.59 1.21
2015 26 26 1 1 1 7 12 0 0 .368 669 159.0 163 24 33 3 12 90 2 0 84 82 4.64 1.23
2016 31 31 1 1 0 12 12 0 0 .500 767 178.0 209 37 51 2 4 103 1 2 106 100 5.06 1.49
2017 SD 9 9 0 0 0 0 5 0 0 .000 191 42.1 51 16 12 0 4 23 0 0 41 35 7.44 1.46
MLB:12年 331 331 14 8 5 150 98 0 0 .605 8531 2067.1 1912 262 551 17 55 1621 37 3 879 833 4.07 1.19
  • 各年度の太字はリーグ最高

タイトル[編集]

表彰[編集]

記録[編集]

背番号[編集]

  • 56(2006年)
  • 36(2007年 - 2016年)
  • 27(2017年)

代表歴[編集]

  • 2003年パンアメリカン競技大会野球アメリカ合衆国代表

脚注[編集]

  1. ^ 2003 Pan American Team Roster USABaseball.com: The Official Site of USA Baseball (英語) (2010年9月21日) 2017年7月2日閲覧
  2. ^ Doug Miller (2004年6月7日). “Weaver falls into Angels' lap” (英語). MLB.com. 2017年2月20日閲覧。
  3. ^ Angels, Jered Weaver agree to terms” (英語). MLB.com (2005年5月31日). 2017年2月20日閲覧。
  4. ^ a b Thomas Harding (2006年5月26日). “Rockies' Angels designate pitcher Esteban Yan for assignment; Club selects contract of Jered Weaver from Triple-A Salt Lake” (英語). MLB.com. 2017年2月20日閲覧。
  5. ^ ESPN.com news services (2006年7月1日). “Angels swap Weavers, call up Jered, designate Jeff” (英語). ESPN. 2009年7月11日閲覧。
  6. ^ Greg Wagner (2006年8月19日). “9 and oh: Weaver's a perfect match” (英語). MLB.com. 2017年2月20日閲覧。
  7. ^ a b Lyle Spencer (2009年6月21日). “Weaver bested by Dodgers, big brother Jered surrenders six runs on 10 hits over 5 1/3 innings” (英語). MLB.com. 2009年6月29日閲覧。
  8. ^ Quinn Roberts (2009年6月21日). “Weaver parents have 'emotional' night Mother, father sport dual jerseys to cheer on Jeff, Jered” (英語). MLB.com. 2017年2月20日閲覧。
  9. ^ a b 亡き戦友とともに…エ軍右腕 ノーヒットノーラン達成”. スポニチ Sponichi Annex (2012年5月4日). 2012年5月4日閲覧。
  10. ^ a b 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2014』廣済堂出版、2014年、219頁。ISBN 978-4-331-51809-0 
  11. ^ MLB公式プロフィール参照。2017年1月13日閲覧。
  12. ^ AJ Cassavell (2017年2月19日). “Padres ink deal with veteran pitcher Weaver” (英語). MLB.com. 2017年2月20日閲覧。
  13. ^ AJ Cassavell (2017年8月16日). “Weaver calls it a career after 12 MLB seasons” (英語). MLB.com. 2017年8月16日閲覧。
  14. ^ Pitching Mechanics Analysis: Jered WeaverThe Ultimate Pitcher September 25, 2012 by Nathan Gotch

関連項目[編集]

外部リンク[編集]