キリアン・マーフィー

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キリアン・マーフィー
Cillian Murphy
Cillian Murphy
ベルリン国際映画祭にて(2024年)
生年月日 (1976-05-25) 1976年5月25日(47歳)
出生地 アイルランドの旗 アイルランド コーク
身長 175cm
活動期間 1996年 -
配偶者 イボンヌ・マクギネス(2004年 - )
主な作品
映画
28日後...
真珠の耳飾りの少女
ダークナイト トリロジー
パニック・フライト
プルートで朝食を
麦の穂をゆらす風
サンシャイン 2057
インセプション
TIME/タイム
トランセンデンス
ダンケルク
クワイエット・プレイス 破られた沈黙
オッペンハイマー
テレビドラマ
ピーキー・ブラインダーズ
 
受賞
アカデミー賞
主演男優賞
2023年オッペンハイマー
放送映画批評家協会賞
アンサンブル演技賞
2023年『オッペンハイマー』
英国アカデミー賞
主演男優賞
2023年『オッペンハイマー』
ゴールデングローブ賞
主演男優賞(ドラマ部門)
2023年『オッペンハイマー』
全米映画俳優組合賞
主演男優賞
2023年『オッペンハイマー』
キャスト賞
2023年『オッペンハイマー』
その他の賞
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キリアン・マーフィー(Cillian Murphy, 1976年5月25日 - )は、アイルランド出身の俳優[1][2]。2020年にアイリッシュ・タイムズ紙が彼を史上最も偉大なアイルランド映画俳優の一人に挙げた[3]

2023年公開の『オッペンハイマー』でアカデミー賞を受賞。アイルランド出身の俳優で初の主演男優賞を受賞した俳優となった。

生い立ち[編集]

文部省で働く父(ブレンダン・マーフィー)とフランス語教師の母[4]の間にコーク郊外で生まれる。叔父、叔母、祖父も教師。4人兄弟の長男で弟が1人、妹が2人いる[5]。音楽好きの家系[6]で、自身も10歳から演奏や作曲をするようになった。弟と共にいくつかのバンドでギターを弾いていたが、中でもフランク・ザッパに影響され、弟と結成したロックバンドThe Sons of Mr.Green genesはマーフィーがボーカルとギターを務め、レコード会社から契約のオファーが来るほどだった。しかし、当時弟がまだ中等教育にあったことや、契約条件が悪かったことなどから両親が反対、契約に至らなかった[6][7][8]。1996年にユニバーシティ・カレッジ・コークで法律を学び始めるが、演劇活動が忙しくなり1年で中退。

英語アイルランド語ゲール語を操る。フランス語に関しては、2014年のインタヴューで「嘗ては話す事が出来たが、今は違う。(中略)ヴォキャブラリーを忘れてしまった」と語っている[9]

15年ほどベジタリアンであり続けてきたが、『ピーキー・ブラインダーズ』の役作りのため、肉食を再開した[10]。本人曰く、ベジタリアンを志向したのは道徳的観念からではなく、狂牛病に感染するのが怖かったからとのこと[11]

キャリア[編集]

1996年からコークを拠点とした劇団に参加。エンダ・ウォルシュ作の舞台『Disco Pigs』で主役を演じ注目を集める。当初コークのみで3週間の上演予定だったが、好評を得て最終的にヨーロッパカナダオーストラリアを股にかけた2年間に及ぶロングランとなった。このツアーのために大学を中退、バンド活動からも離れていった[12]。(しかし大学については「入学してすぐに法律は肌に合わないと感じ、勉強する意欲を失っていた[12]」と語っている)。 1990年代後半~2000年代前半にかけてアイルランドやイギリスの映画、舞台などで活動。

2001年に映画『Disco Pigs』で舞台版と同じ役で出演。これを観たダニー・ボイル監督が『28日後…』の主演にマーフィーを抜擢。この作品がヒットし、国際的に名前が知られるようになった。また、この演技によりエンパイア賞MTVムービー・アワードにノミネートされた。2003年公開の『コールド マウンテン』でハリウッド作品に初出演。

2005年には主演のスリラー映画『パニック・フライト』、ジョナサン・クレイン / スケアクロウ役で出演した『バットマン ビギンズ』がヒット。また、ニール・ジョーダン監督の『プルートで朝食を』では、性同一性障害を抱えた青年をコミカルに演じゴールデングローブ賞 主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)にノミネートされた。翌年公開の『麦の穂をゆらす風』(ケン・ローチ監督、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作)では、アイルランド独立戦争アイルランド内戦によって運命を狂わされてゆく青年を演じ、高い評価を得た。

『ピーキー・ブラインダーズ』第2シーズンのプレミアでのキリアン・マーフィー(2014年)

2013年から2022年までBBCのテレビシリーズ『ピーキー・ブラインダーズ』にて主人公のトーマス・シェルビーを演じており、同作はシーズン6まで制作された。2024年現在続編となる映画版の企画が進行中である[13]

2023年、クリストファー・ノーラン監督の『オッペンハイマー』にタイトルロールの主人公であるJ・ロバート・オッペンハイマー役で出演。ノーラン作品にはこれまで幾度となく脇役として出演しており、この作品が満を持しての主演としての参加となった。この作品の演技で自身初となるアカデミー賞候補の指名を受け、2024年3月10日に行われた第96回アカデミー賞授賞式では主演男優賞を受賞した。また他にも英国アカデミー賞主演男優賞全米映画俳優組合賞主演男優賞ゴールデングローブ賞主演男優賞(ドラマ部門)等多くの賞を受賞している。

エピソード[編集]

  • 『バットマン ビギンズ』では、当初バットマン役のオーディションを受けていた。落選したもののクリストファー・ノーラン監督に気に入られ、スケアクロウ役に抜擢された。ノーランは「彼はとても魅力的で稀有な眼を持っていて、僕はジョナサン・クレインが眼鏡を外しクローズアップするシーンを入れようと必死だった」と語っている[15]
  • 演技イメージが定着されるタイプキャストを望んでおらず、こと2005年には悪役で出演した『バットマン ビギンズ』『パニックフライト』の2作品が大ヒットしたことなどから、今後悪役を演じるのは遠慮したいと語っている[16]

私生活[編集]

2004年の夏にフランスプロヴァンスにて、1996年にバンド活動をしていた頃に知り合った[18]アーティストのイボンヌ・マクギネス(Yvonne McGuinness)と結婚。2005年に長男のMalachy、2007年に次男のCarrickが誕生[19]

俳優になった今でも、音楽は未だに人生の一部として欠かせない存在で、現在も趣味で曲作りをしたり、友人らと共に演奏したりしている[20]。俳優業とミュージシャンの仕事を両立する著名人もいるが、マーフィーは新たにバンド活動を始める予定はないとしている[8]

以前はカトリック教徒だったが、現在は無神論者であると言われている[21]

交友関係[編集]

同じアイルランド出身のコリン・ファレル[22]リーアム・ニーソン[23]と親しく、マーフィーが有名になる以前から親交がある[20]

出演作品[編集]

映画[編集]

公開年 邦題
原題
役名 備考 吹き替え
1997 Quando パット 短編
1998 女性大使の闘い
The Tale of Sweety Barrett
パット・ザ・バーマン テレビ映画
1999 Sunburn ダヴィン
At Death's Door グリム・リーパー・ジュニア 短編
ザ・トレンチ(塹壕)
The Trench
ラグ・ロックウッド
2001 オン・エッジ 19歳のカルテ
On the Edge
ジョナサン・ブリーチ 日本劇場未公開 竹若拓磨[24]
How Harry Became a Tree ガス
Disco Pigs ダーレン / ピッグ
2002 28日後...
28 Days Later...
ジム 三木眞一郎
2003 Zonad ガイ・ヘンドリクソン クレジットなし (吹き替え版なし)
ダブリン上等!
Intermission
ジョン
真珠の耳飾りの少女
Girl with a Pearl Earring
ピーター 中國卓郎
コールド マウンテン
Cold Mountain
バードルフ
2005 バットマン ビギンズ
Batman Begins
ジョナサン・クレイン / スケアクロウ 遊佐浩二(劇場公開版)
関俊彦日本テレビ版)
内田夕夜フジテレビ版)
パニック・フライト
Red Eye
ジャクソン・リップナー 日本劇場未公開 遊佐浩二
プルートで朝食を
Breakfast on Pluto
パトリック・“キトゥン”・ブレイデン 内田夕夜
2006 麦の穂をゆらす風
The Wind That Shakes the Barley
デミアン・オドノヴァン
2007 サンシャイン 2057
Sunshine
ロバート・キャパ 田中実
Watching the Detectives ネル
2008 ダークナイト
The Dark Knight
ジョナサン・クレイン / スケアクロウ 遊佐浩二(ソフト版)
諏訪部順一テレビ朝日版)
ザ・エッジ・オブ・ウォー 戦火の愛
The Edge of Love
ウィリアム・キリック 日本劇場未公開 (吹き替え版なし)
Wave Riders ナレーター 声の出演
2009 Perrier's Bounty マイケル・マクリー
2010 サイコ リバース
Peacock
ジョン・スキルパ / エマ 日本劇場未公開 (吹き替え版なし)
Hippie Hippie Shake リチャード・ネヴィル
インセプション
Inception
ロバート・フィッシャー 三木眞一郎(劇場公開版)
小山力也(テレビ朝日版)
トロン: レガシー
Tron: Legacy
エドワード・デリンジャー カメオ出演 土田大
2011 リトリート・アイランド
Retreat
マーティン 日本劇場未公開 (吹き替え版なし)
TIME/タイム
In Time
タイムキーパー・レオン 内田夕夜[25]
2012 レッド・ライト
Red Lights
トム・バックリー 桐本琢也
ブロークン
Broken
マイク・キールナン 日本劇場未公開 (吹き替え版なし)
ダークナイト ライジング
The Dark Knight Rises
ジョナサン・クレイン 遊佐浩二[26]
2014 Aloft アイヴァン
トランセンデンス
Transcendence
ドナルド・ブキャナン捜査官 鈴木正和[27]
2015 白鯨との闘い
In the Heart of the Sea
マシュー・ジョイ 高橋広樹
2016 ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦
Anthropoid
ヨゼフ・ガプチーク曹長 内田夕夜
フリー・ファイヤー
Free Fire
クリス
2017 サリー・ポッターのパーティー
The Party
トム 日本劇場未公開 (吹き替え版なし)
ダンケルク
Dunkirk
謎の英国兵 内田夕夜
2018 The Delinquent Season ジム
2019 ANNA/アナ
Anna
レナード・ミラー 津田健次郎
2020 クワイエット・プレイス 破られた沈黙
A Quiet Place Part II
エメット 内田夕夜
2023 Kensuke's Kingdom Dad 声の出演
オッペンハイマー
Oppenheimer
J・ロバート・オッペンハイマー
2024 Small Things Like These ビル・ファーロング 兼製作
TBA Blood Runs Coal チップ・ヤブロンスキ

テレビ[編集]

放映年 邦題
原題
役名 備考 吹き替え
2001 The Way We Live Now Paul Montague 計4話出演 N/A
2013-2022 ピーキー・ブラインダーズ
Peaky Blinders
トーマス・シェルビー 主演、計36話出演
兼製作総指揮
内田夕夜
2015 Atlantic: The Wildest Ocean on Earth ナレーター 計3話出演 N/A

舞台[編集]

日本語吹き替え[編集]

プルートで朝食を』以降、内田夕夜が大半の作品を担当している。

このほかにも、遊佐浩二三木眞一郎小山力也なども声を当てている。

脚注[編集]

  1. ^ Denby, David. "Taking Sides", The New Yorker, 19 March 2007. Accessed 18 July 2007.
  2. ^ Dudek, Duane. "Actor sets sight on role variety", Milwaukee Journal Sentinel, 11 September 2005. Accessed 24 September 2007.
  3. ^ Clarke, Donald; Brady, Tara (2020年6月13日). “The 50 greatest Irish film actors of all time”. Irish Times. オリジナルの2020年8月5日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200805112424/https://www.irishtimes.com/culture/film/the-50-greatest-irish-film-actors-of-all-time-in-order-1.4271988 2020年6月14日閲覧。 
  4. ^ Walsh, John. "Murphy's lore: Meet the action hero who looks on the verge of tears", The Independent, 31 March 2007. Accessed 18 July 2007.
  5. ^ a b c Wolf, Matt. "Acting Up", Strut, March 2004. Accessed 18 July 2007.
  6. ^ a b O'Donoghue, Donal. "Western Hero", RTÉ Guide, 6 February 2004.
  7. ^ Kaufman, Anthony. "Blue Streak", Time Out New York, 10 November 2005. Accessed 19 July 2007.
  8. ^ a b O'Hagan, Sean. "'I just want to challenge myself with each role'", The Observer, 11 June 2006. Accessed 8 August 2007.
  9. ^ AROUND THE WORLD WITH CILLIAN MURPHY”. 2017年10月25日閲覧。
  10. ^ CILLIAN MURPHY DITCHED VEGETARIAN DIET TO BULK UP”. 2017年7月4日閲覧。
  11. ^ CILLIAN MURPHY DITCHED VEGETARIAN DIET TO BULK UP”. 2017年7月4日閲覧。
  12. ^ a b Jackson, Joe. "From Cork to Gotham", Sunday Independent Life Magazine, 8 February 2004.
  13. ^ 人気ドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」が映画化 キリアン・マーフィ主演で9月撮影開始”. eiga.com (2024年3月26日). 2024年3月29日閲覧。
  14. ^ Brady, Tara. "Here Comes the Sun", Hot Press, 19 April 2007. Accessed 18 July 2007.
  15. ^ Itzkoff, Dave. "Cillian's Irish Dread", Spin, June 2005.
  16. ^ Naughton, John. "Actor of the Year – Cillian Murphy", GQ UK, October 2006.
  17. ^ O'Sullivan, Michael. "For Cillian Murphy, A Transformative Year", The Washington Post, 23 December 2005. Accessed 18 October 2007.
  18. ^ McLean, Craig. "A Close Shave", Telegraph Magazine, 24 December 2005.
  19. ^ Maher, Kevin. "Cillian Murphy:"I'm not ambitious", The Times, 19 March 2010. Accessed 19 March 2010.
  20. ^ a b Cashin, Declan. "Reluctant Hero", Irish Independent, 6 April 2007. Accessed 15 May 2012.
  21. ^ Fulton, Rick. "Danny's New Golden Boy", The Daily Record, 30 March 2007. Accessed 18 July 2007.
  22. ^ Didcock, Barry. "The Man Behind the Mask: The Scarecrow Speaks", The Sunday Herald, 12 June 2005. Archived on FindArticles.com, accessed 21 July 2007.
  23. ^ Halper, Jenny. "Interview: Cillian Murphy on Breakfast on Pluto", Cinema Confidential, 15 November 2005. Accessed 20 July 2007.
  24. ^ オン・エッジ 19歳のカルテ”. スター・チャンネル. 2021年3月8日閲覧。
  25. ^ TIME/タイム”. ふきカエル大作戦!!. 2021年3月8日閲覧。
  26. ^ ダークナイト ライジング”. ふきカエル大作戦!!. 2021年3月8日閲覧。
  27. ^ トランセンデンス”. ふきカエル大作戦!! (2014年6月3日). 2021年3月8日閲覧。

外部リンク[編集]