エドウィン・モーゼス

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獲得メダル

エドウィン・モーゼス
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
陸上競技
オリンピック
1976 モントリオール 400mハードル
1984 ロサンゼルス 400mハードル
1988 ソウル 400mハードル
世界陸上競技選手権大会
1983 ヘルシンキ 400mハードル
1987 ローマ 400mハードル

エドウィン・モーゼスEdwin Corley Moses, 1955年8月31日 - )は、アメリカの男子陸上競技障害種目選手。オハイオ州デイトン生まれ。1983年ジェームスサリバン賞受賞。

経歴[編集]

400mハードルモントリオールオリンピック全米最終予選に全くのノーマークで登場した21歳のモーゼスは、オリンピック本番でも金銀候補と言われていた当時のアメリカ400mH界の2枚看板、2年間無敗のジム・ボールディング1972年ミュンヘンオリンピック銀メダリストのラルフ・マンを破り、48秒30の全米新記録(当時)で優勝、初の海外レースとなったモントリオールオリンピックでは47秒63の世界新記録(当時)を打ち立て、金メダルを獲得した。

その後は無敵の代名詞となり、あらゆる競技会でライバルを寄せ付けず常に10m以上の大差で勝ち続けた。世界に47秒台で走れる選手はモーゼス唯一人で、じりじり差を詰めつつあったハラルト・シュミット西ドイツ)が47秒台に入ったのは1980年代になってからであった。1台目のハードルから最終10台目まで全てのハードル間を13歩で跳べる脚力と持久力が最大の持ち味であり、そのような走りが出来る選手は現在においても稀である。

1987年世界陸上競技選手権大会でのモーゼス

ボイコット問題で出場できなかった1980年モスクワオリンピックがあったにも拘らず、続く地元ロサンゼルスオリンピックでもモーゼスは金メダルを獲得した。また、世界陸上競技選手権大会でも1983年ヘルシンキ大会1987年ローマ大会で優勝した。同種目の決勝レースにおいて107連勝という驚異的な連勝記録を樹立したことでも有名である。オリンピック3度目の優勝を目指した1988年ソウルオリンピックでは、同じアメリカのアンドレ・フィリップスに敗れて金メダルを獲得することができなかったものの、銅メダルを獲得している。

またモーゼスはドーピングに対して反対の立場を明確にとり、ドーピング検査を導入することに尽力し、後のドーピング対策に貢献した。

エピソード[編集]

  • モーゼスは実直な性格を買われ、ロサンゼルスオリンピックでは選手宣誓の大役に抜擢されたが、緊張のあまり途中で宣誓が止まる場面があった。まじめなモーゼスらしい一面でもあった。
  • 菜食主義者でもある。

記録[編集]

  • 400mH 47秒02 (1983年8月31日、世界歴代5位)

モーゼスは、400mハードルで以下のように世界記録を更新している[1]

記録 場所 日付
47秒63 モントリオールカナダ 1976年7月25日
47秒45 ウェストウッドアメリカ合衆国 1977年6月11日
47秒13 ミラノイタリア 1980年7月3日
47秒02 コブレンツドイツ 1983年8月31日

主な成績[編集]

大会 場所 種目 結果 記録
1976 オリンピック モントリオールカナダ 400mハードル 1位 47秒63
1977 IAAF陸上ワールドカップ デュッセルドルフドイツ 400mハードル 1位 47秒58
1979 IAAF陸上ワールドカップ モントリオールカナダ 400mハードル 1位 47秒53
1981 IAAF陸上ワールドカップ ローマイタリア 400mハードル 1位 47秒37
1983 世界陸上競技選手権大会 ヘルシンキフィンランド 400mハードル 1位 47秒50
1984 オリンピック ロサンゼルスアメリカ合衆国 400mハードル 1位 47秒75
1987 世界陸上競技選手権大会 ローマイタリア 400mハードル 1位 47秒46
1988 オリンピック ソウル大韓民国 400mハードル 3位 47秒56

外部リンク[編集]

  1. ^ World Record Progression (Men) -Track and Field Statistics