ウェリントンカップ

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ウェリントンカップ
(Wellington Cup)
2004年ウェリントンカップ
主催者 ウェリントン競馬会(WRC)
競馬場 NZ/ウェリントン,トレンサム競馬場
距離 芝3200メートル(2016年現在)
格付け G3(2017年現在)
賞金 賞金総額35万NZドル(2013年現在)
出走条件 3歳以上ハンデ
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ウェリントンカップWellington Cup)は、ニュージーランドの競馬の競走で、3200メートルのハンデキャップ競走である。ニュージーランドで最も重要な競走の一つで、国内最古クラスの歴史をもち、「二大カップ戦」のひとつをなしている。

概要[編集]

ウェリントンカップ(Wellington Cup)は、ニュージーランドの首都ウェリントンで開催される、ニュージーランド国内屈指の競馬のイベントである。オークランドカップとともに国内二大カップ戦を形成している。

ニュージーランドでも屈指の歴史を持ち、創設1874年は国内最古級である。当初はハットパーク競馬場(Hutt Park Racecourse)の距離2マイル(約3218メートル)で行なわれていた。過去には1マイル半(約2414メートル)で行なわれていた時期もある[1]

毎年1月にニュージーランドのトレンサム競馬場でウェリントン競馬会(WRC、Wellington Racing Club)が開催する。

長い間G1競走として認められていたが、2009年からG1からG2に降格することになった。これを受け、ウェリントン競馬会(WRC)は距離を2400メートルに変更し、競馬の質を高めてG1への昇格を目指している[2]

2016年より距離を3200メートルに変更した。

ウェリントンカップカーニバル[編集]

1月下旬に行われるウェリントンカップにあわせて、トレンサム競馬場では「ウェリントンカップカーニバル開催」が行なわれる。この開催中は、メインイベントのウェリントンカップのほか、テレグラフハンデ(G1)やソーンドンマイル(G1)などの重賞競走が集中開催される。

歴史[編集]

ウェリントンでは、はじめハットパーク競馬場(Hutt Park Racecourse)で競馬が行なわれた。「ウェリントンカップ」という名前の競走の記録が最初に登場するのは、1867年である[1]

当時は車も鉄道もなかったが、競馬場は馬や馬車でやってきた観衆で埋め尽くされた。現在の2マイルのウェリントンカップの形で創設されたのは1874年で、この年、オークランドで創設されたオークランドカップとあわせて、ニュージーランドの二大カップ戦となった[1]

1906年にトレンサム競馬場が新設されると、ウェリントンカップもトレンサム競馬場で行なわれるようになった。以来、2度の世界大戦中も含めて、休むこと無く毎年開催されている[1]

優勝杯[編集]

1892年に、ウェリントン競馬会はクラシック競走に相応しい新たな優勝杯をつくるため、当時最高峰の宝飾品をつくるイギリスのマッピン&ウェッブ社(en:Mappin & Webb)に優勝杯の作成を依頼した[1]

このとき作られた5つの優勝杯の一つは、1894年の優勝馬ヴォーゲンギャング(Vogengang)に授与された。この優勝杯はヴィクトリア朝時代の最も優雅な作品の一つとして知られ、使用された銀は現在の価値で12万NZドル[3]にのぼる。こうした優勝杯は20世紀初頭まで用いられた[1]

1970年代から1980年代には、ウォーカー&ホール社(Walker & Hall)による金と銀のハンドメイドの優勝杯が用いられていた[1]

沿革[編集]

  • 1867年 ハットパーク競馬場でウェリントン競馬会(WRC)による競馬「ウェリントンカップ」が行なわれる[1]
  • 1868年 4月、ハットパークの競馬にエディンバラ公アルフレッド王子が臨席[1]
  • 1874年 ウェリントンカップ創設。距離は2マイル(約3218メートル)。
  • 1890年 距離が1マイル半(約2414メートル)になる。
  • 1907年 トレンサム競馬場に移転。
  • 1942年 距離が2マイル(約3218メートル)に戻る。
  • 1974年 ニュージーランドがメートル法を採用し、距離が3200メートルになる。
  • 2009年 距離が2400メートルになる。G1からG2に降格。
  • 2016年 距離を3200メートルに変更。

できごと[編集]

  • 1892年 サイニスカ(Cynisca)が3連覇を達成。
  • 1963年 グレートセンセイション(Great Sensation)が3連覇を達成。
  • 1994年 キャッスルタウン(Castletown)が3勝目(1991年、1992年、1994年)。

レコードタイム[編集]

  • 2マイル時代(約)- 3分16秒2:1974年イルテンポ(Il Tempo)
  • 3200メートル時代 - 3分15秒59:1988年ダリアズファン(Daria's Fun)
  • 2400メートル時代 - 2分27秒42:2010年レッドルーラー(Red Ruler)

歴代勝馬[編集]

2000年以前[編集]

  • 1874: Castaway
  • 1875: Tambourini
  • 1876: Korari
  • 1877: Guy Fawkes
  • 1878: Lara
  • 1879: Maritana
  • 1880: Foul Play
  • 1881: Natator
  • 1882: Hilda
  • 1883: Mischief
  • 1884: The Poet
  • 1885: Tasman
  • 1886: Nelson
  • 1887: Pasha
  • 1888: Beresford
  • 1889: Dudu
  • 1890: Cynisca
  • 1891: Cynisca
  • 1892: Cynisca
  • 1893: Retina
  • 1894: Vogengang
  • 1895: Mahaki
  • 1896: Brooklet
  • 1897: Strath Braan
  • 1898: Uniform
  • 1899: Daunt
  • 1900: Djin Djin
  • 1901: Renown
  • 1902: St. Michael
  • 1903: Advance
  • 1904: Convoy
  • 1904: Gladsome
  • 1905: Nightfall
  • 1906: Ropa
  • 1907: Achilles
  • 1908: Moloch
  • 1909: Blue Ribbon
  • 1910: Crucinella
  • 1911: Miss Mischief
  • 1912: Undecided
  • 1913: Sir Solo
  • 1914: Kilrain
  • 1915: Pavlova
  • 1916: Bee
  • 1917: Bunting
  • 1918: Nobleman
  • 1919: Oratress
  • 1919: Red Ribbon
  • 1919: Rewi Poto
  • 1920: Kilmoon
  • 1921: Maioha
  • 1922: Insurrection
  • 1923: Rapine
  • 1924: Loughrea
  • 1925: Surveyor
  • 1926: Enthusiasm
  • 1927: Rapier
  • 1928: Star Stranger
  • 1929: Vertigern
  • 1930: Concentrate
  • 1931: Stanchion
  • 1932: Compris
  • 1933: Royal Artist
  • 1934: Grand Jury
  • 1935: Vintage
  • 1936: Queen of Song
  • 1937: Ponty
  • 1938: Padishah
  • 1939: Defaulter
  • 1940: Old Bill
  • 1941: Happy Ending
  • 1941: Kindergarten
  • 1943: The Joker
  • 1944: Don Quex
  • 1945: Lambourn
  • 1946: Golden Souvenir
  • 1947: Bruce
  • 1948: Spare Part
  • 1949: Royal Tan
  • 1950: Beaumaris
  • 1951: Almora
  • 1951: Prawns
  • 1952: Reformed
  • 1953: Crimson King
  • 1954: Golden Tan
  • 1955: Golden Galleon
  • 1956: Fox Myth
  • 1957: Sombrero
  • 1958: Yeman
  • 1959: Ark Royal
  • 1960: Jalna
  • 1961: Great Sensation
  • 1962: Great Sensation
  • 1963: Great Sensation
  • 1964: Gay Filou
  • 1965: Eiffel Tower
  • 1966: Red Crest
  • 1967: Michael Molloy
  • 1968: Loofa
  • 1969: City Court
  • 1970: Il Tempo
  • 1971: Ansin
  • 1972: Simon de Montfort
  • 1973: Rustler
  • 1974: Battle Heights
  • 1975: Timon
  • 1976: Guest Star
  • 1977: Good Lord
  • 1978: Good Lord
  • 1979: Big Gamble
  • 1980: Cubacade
  • 1981: Koiro Trelay
  • 1982: Ruanuku
  • 1983: Kiwi
  • 1984: Secured Deposit
  • 1985: Imaprince
  • 1986: Samasaan
  • 1987: Rastes
  • 1988: Daria's Fun
  • 1989: Noble Khan
  • 1990: Flying Luskin (AUS)
  • 1991: Castletown
  • 1992: Castletown
  • 1993: Dancing Lord
  • 1994: Castletown
  • 1995: Ed
  • 1996: Yes Indeed
  • 1997: Ed
  • 1998: Aerosmith
  • 1999: Miss bailey
  • 2000: Second Coming

2001年以降[編集]

格付け 距離 勝馬 馬齢 備考
2001 G1 3200メートル Smiling Like 6歳
2002 G1 3200メートル Cyclades 6歳
2003 G1 3200メートル Oarsman 5歳
2004 G1 3200メートル Cluden Creek 5歳
2005 G1 3200メートル Zabeat 5歳
2006 G1 3200メートル Envoy 7歳
2007 G1 3200メートル Willy Smith 5歳
2008 G1 3200メートル Young Centaur 5歳
2009 G2 2400メートル Megapins 5歳
2010 G2 2400メートル Red Ruler 5歳
2011 G2 2400メートル Spiro 5歳
2012 G2 2400メートル Six O'Clock News 7歳
2013 G2 2400メートル Blood Brotha 7歳
2014 G2 2400メートル Graphic 5歳
2015[4] G2 2400メートル Maygrove 5歳
2016[5] G2 3200メートル Mister Impatience
2017[6] G3 3200メートル Savaria
2018[7] G3 3200メートル Magic Chai
2019[8] G3 3200メートル Gorbachev
2020[9] G3 3200メートル Soleseifei
2021[10] G3 3200メートル Waisake
2022[11] G3 3200メートル Lincoln King
2023[12] G3 3200メートル Leaderboard
2024[13] G3 3200メートル Mary Louise

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i トレンサム競馬場公式HP ウエリントンカップの歴史
  2. ^ サラブレッドヘリテイジ ウェリントンカップ
  3. ^ 2013年12月の相場で換算すると約1000万円
  4. ^ 2015年レース結果レーシングポスト 2015年1月26日閲覧
  5. ^ 2016年結果breednet.com 2016年3月4日閲覧
  6. ^ 2017年結果breednet.com 2017年1月21日閲覧
  7. ^ 2018年結果breednet.com 2018年5月14日閲覧
  8. ^ 2019年ウェリントンC”. breednet.com (2019年1月19日). 2019年1月21日閲覧。
  9. ^ 2020年ウェリントンC”. breednet.com (2020年1月18日). 2020年1月19日閲覧。
  10. ^ 2021年ウェリントンC”. breednet.com (2021年1月30日). 2021年1月30日閲覧。
  11. ^ 2022年ウェリントンC”. breednet.com (2022年1月29日). 2022年1月29日閲覧。
  12. ^ 2023年ウェリントンカップbreednet.com、2023年1月28日配信・閲覧
  13. ^ 2024年ウェリントンカップbreednet.com、2024年1月20日配信・閲覧

参考文献[編集]

外部リンク[編集]