アメリカシロヅル

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アメリカシロヅル
アメリカシロヅル
アメリカシロヅル Grus americana
保全状況評価
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 鳥綱 Aves
: ツル目 Gruiformes
亜目 : ツル亜目 Grues
: ツル科 Gruidae
亜科 : ツル亜科 Gruinae
: ツル属 Grus
: アメリカシロヅル G. americana
学名
Grus americana (Linnaeus, 1758)
和名
アメリカシロヅル
英名
Whooping crane

アメリカシロヅルGrus americana)は、ツル目ツル科ツル属に分類される鳥類

分布[編集]

アメリカ合衆国カナダ

夏季にウッド・バッファロー国立公園で繁殖し、冬季になるとテキサス州(アランサス国立野生生物保護区)へ南下し越冬する[1][2][3][4]。再導入された個体群として夏季はアイダホ州、冬季はニューメキシコ州で越冬する個体群とフロリダ州に周年生息する個体群[1]がいる[4]

形態[編集]

全長125-160cm[1][3]。翼開張200-240cm[4]。体重7.5kg[4]。全身は白い羽毛で被われる[1]。額や眼先から耳孔を被う羽毛(耳羽)にかけて黒い筋模様が入る[1]。初列雨覆や初列風切の色彩は黒い[3]

額から頭頂にかけてと嘴基部には羽毛がなく、赤い皮膚が露出する[3][4]虹彩は黄色。嘴の色彩は灰褐色[4]で、先端は暗灰色[3]。後肢の色彩は黒い[3]

生態[編集]

繁殖地では湿性草原に生息する[4]。渡りの途中では河川農耕地などにも飛来する[1]

食性は動物食傾向の強い雑食で、昆虫、魚類、カエル、爬虫類、小型哺乳類、動物の死骸、植物の根、果実種子などを食べる[4]

繁殖形態は卵生。塩性湿原で4-5月に1回に2個の卵を産む[4]。抱卵期間は34-35日[3]

人間との関係[編集]

開発による生息地の破壊、乱獲などにより生息数は激減した[4]。以前はアメリカ合衆国中部でも繁殖しメキシコでも越冬していたが、現在は確認されている繁殖地・越冬地は共に限られている[3]。アメリカ合衆国・カナダ両政府により大規模な保護活動が進められている[1]。2個の卵のうち1つを回収して人工孵化させたり[3]カナダヅルに抱卵させ飼育下での個体数を増加している[2]1993年からは人から隔離して成長させた飼育下繁殖個体がフロリダ州に再導入され始め、さらに2000年からはウィスコンシン州でも再導入の試みが進められている[1]。生息数は増加傾向にあるが、一方で巣立った幼鳥の電線への衝突、越冬地の水質汚染などの問題も発生している[4]1938年における個体数は14羽、1999年における個体数は野生個体265羽、飼育個体132羽が確認されている[1]

関連項目[編集]

参考文献[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社2000年、93、190頁。
  2. ^ a b 黒田長久監修 C.M.ペリンズ、A.L.A.ミドルトン編 『動物大百科7 鳥類I』、平凡社1986年、160-161頁。
  3. ^ a b c d e f g h i 黒田長久、森岡弘之監修 『世界の動物 分類と飼育10-II (ツル目)』、東京動物園協会、1989年、71、159頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k 『絶滅危惧動物百科1 アイアイ―ウサギ(アラゲウサギ)』 財団法人自然環境研究センター監訳、朝倉書店2008年、32-33頁。

外部リンク[編集]