z/Architecture

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z/Architecture
開発者 IBM
ビット数 64ビット
発表 2000年
バージョン ARCHLVL 2, ARCHLVL 3 (2008)
デザイン CISC
タイプ Register-Memory/Memory-Memory
エンコード Fixed (2, 4, 6 バイト長)
エンディアン Big
レジスタ


  • 16個の64/32ビット 汎用レジスタ
  • 16個の64ビット 浮動小数点数レジスタ
  • 16個の32ビット アクセスレジスタ
  • 16個の64/32ビット コントロールレジスタ

z/Architecture(ゼットアーキテクチャ、ズゥイーアーキテクチャ)は、IBMの現在のメインフレームコンピュータ用の64ビットアーキテクチャである。

概要[編集]

z/Architectureは、当初は単に「ESA Modal Extensions」(ESAME)と呼ばれていた。

IBMは2000年に、最初のz/ArchitectureベースのシステムであるzSeriesモデル900(z900)を発表した。後にz/Architectureは、z800、z990、z890、更にSystem z9System z10を含むようになった。

z/Architectureは、前身の32ビットデータ/31ビットアドレッシングのアーキテクチャであるESA/390や、更に祖先の32ビットデータ/24ビットアドレッシングのSystem/360とも、完全な互換性を維持している。

z/Architectureに基づく最新のマイクロプロセッサIBM z13である。

詳細[編集]

z/Architectureは複数のオペレーティングシステムやアプリケーションを、それらが異なる「アドレッシングモード」を使用していても、同時稼働をサポートする。このため開発者は、アプリケーションやデータ構造の観点から、どのアドレッシングモードが最も有利か、選択できる。

IBMは現在、z/Architectureの2つのArchitecture Level Sets (ALS, ARCHLVL)を持っている。ARCHLVL 2ARCHLVL 3である。ALSはIBMのオペレーティングシステムのサポートや、特にALSプラクティスに準拠するIBMや他のベンダーによるソフトウェアなどに参照される。IBMのプラクティスは、IBMのソフトウェア製品が、特定の最低限のALS要件(前提)を満たすことである。それによりそのソフトウェア製品は、最低限のALSを実装した全てのマシン(更に通常は上位のALSを実装した全てのマシン)で、技術的に互換性がある。ソフトウェアは、ALSでは定義されていない、特定のモデルに存在する新しいあるいは拡張されたCPU命令を使用する事もでき、その拡張の利点を得る事もできるが、しかしソフトウェアはALS以外の命令を要求すべきではない(特定のモデル依存となってしまうため)。

IBMは、新しいソフトウェアが新しいまたは拡張された命令が必要と考えた場合に、新しいALSを発表する。IBMの z900、 z800、z990、z890、System z9 EC、System z9 BC はARCHLVL 2で実装されている。System z10 EC、System z10 BC のマシンは、z/Architectureの2番目のALSであるARCHLVL 3で実装されている。IBMはこの新しいALSを、新しいALSを前提とするz/VMバージョン6.1の発表と同時に、2009年7月に発表した[1]

オペレーティングシステム[編集]

z/Architectureシステムで稼働するオペレーティングシステムには、z/OSz/VSEz/VMz/TPF、そしてz/Architecture版のLinuxLinux on System zやz/Linuxとも呼ばれる)があり、それぞれの特徴と64ビットの設計を持っている。

現在でもz/OSを含む多くのオペレーティングシステムは、アーキテクチャ上の制約よりも、効率と互換性のために、従来の各アドレス空間が2GB31ビットアドレッシング)でデータオブジェクトのみが64ビットのアドレッシングレンジを使用できるという、制約された過去の拡張を維持し続けている。z/OSの仮想記憶の実装は、複数の2GBのアドレス空間をサポートするが、2GBを超えるレジデントプログラムコードも同時稼働できる。Linux on System zの64ビット版では、コードは64ビットレンジで実行できる。

メジャーなオペレーティングシステム達の中で、z/VSEバージョン4、z/TPFバージョン1、z/VMバージョン5は、それぞれのオペレーティングシステムの直系の後継であり、全てz/Architectureで稼働する。

なおOpenSolaris for System zは、IBMのALSパターンのまれな例外で、System z9またはその上位モデルで稼働する。

互換環境[編集]

過去にはPlatform Solutions, Inc.(PSI)がz/Architectureと互換性のあるItaniumベースのサーバーを販売していたが、2008年7月にIBMがPSIを買収し、このシステムは現在は提供されていない[2]

FLEX-ESやHercules emulatorもz/Architectureを実装した。

新しいリリースのVOS3オペレーティングシステムを稼働させる日立製作所のメインフレームは、主に日本で営業・販売され、ESA/390および日立独自のCPU命令を持ち、64ビット命令も含まれている。しかし日立はz/Architectureの影響を受けているが、そのマシンは技術的にはz/Architectureマシンと同一ではない。

参照[編集]

  1. ^ [1]
  2. ^ “IBM Acquires Platform Solutions” (プレスリリース), IBM, (2008年7月2日), http://www-03.ibm.com/press/us/en/pressrelease/24560.wss 2008年9月6日閲覧。 

外部リンク[編集]

IBMメインフレーム
シリーズ名 アーキテクチャ 主なモデル 主なOS 主な特徴
1952 701シリーズ - 701, 704, 709, 7090, 7040, 7094 - 科学技術計算用、真空管/トランジスタ
1953 702シリーズ - 702, 705, 7080 - 真空管/トランジスタ
1953 650シリーズ - 650, 7070, 7074, 7072 - 科学技術計算用、真空管/トランジスタ
1959 1401シリーズ - 1401, 1410, 1440, 7010, 1460 - 商用計算用、オールトランジスタ
1961 その他 - 305(RAMAC), 7030(Stretch) - ディスク装置(RAMAC)、マルチタスク(Stretch)
1964 System/360 S/360 20 - 195 OS/360, DOS/360, CP-67/CMS 汎用機アーキテクチャIC24ビットアドレッシング、仮想機械
1970 System/370 S/370 115 - 195 OS/VS(MVS), DOS/VS, VM/370 仮想記憶マルチプロセッサPPAR
1977 30x0, 4300, 9370 S/370, S/370-XA 303x/308x/3090, 43x1, 937x MVS/XA, DOS/VSE, VM/XA 31ビットアドレッシング・動的チャネルサブシステム(S/370-XA)
1990 ES/9000 S/390, ESA/390 9021, 9121, 9221 MVS/ESA, VSE/ESA, VM/ESA, AIX/ESA 64ビットデータ空間、拡張ストレージ(ES)、LPARESCONFICON
1994 S/390 ESA/390 9672/9674(G1 - G6), IBM Multiprise 2000/3000 OS/390, VSE/ESA, VM/ESA, Linux CMOS, 並列シスプレックス, UNIX互換環境(OS/390 USS)、Linuxサポート
2000 eServer zSeries z/Architecture z800/z900, z890/z990 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux 64ビットアドレッシング、IFL、zAAP、zIIP、IPv6
2005 System z z/Architecture z9, z10 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux IRD
2010 zEnterprise z/Architecture z114/z196, z12 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux ブレード拡張(POWER, x86)
2015 z System z/Architecture z13 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux
2017 IBM Z z/Architecture z14 z/OS, z/VSE, z/VM, Linux 暗号化zHyperLink