X線小角散乱

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X線小角散乱(Xせんしょうかくさんらん、small angle X-ray scattering)とは、X線を物質に照射して散乱する X線のうち、散乱角が小さいものを測定することにより物質の構造情報を得る手法である。略して SAXS ということも多い。あるいは、X線の小角度の散乱(小角散乱)の現象のことを指す。

X線の散乱を、角度によって分類した場合、小角散乱と広角散乱(回折)とに大別される。どの程度の散乱角度から小角散乱というかは場合によって異なるが、通常は10度以下の場合をいう。広角散乱を利用する分析法(X線回折)が結晶中の原子配列のようなオングストロームオーダーの分析に使用されるのに対し、小角散乱法では微粒子液晶合金の内部構造といった数ナノメートルレベルでの規則構造の分析に用いる。

小角散乱法では、入射光に非常に近い位置での測定を行うため、精密な光学系と、場合によっては強力なX線源が必要となる。SPring-8やPF(PFリング)などの放射光を利用することも多い。(国内の放射光施設では、KEK/PF、Spring-8、SAGA-LSに測定用ビームラインが設置されている)

蛋白質のX線溶液散乱法[編集]

SAXS は蛋白質の溶液内の構造を決める目的に良く用いられる。この場合必ずしも小角に限らないため X線溶液散乱法と呼ばれることが多い。X線溶液散乱法から得られる情報としては、まず Guinier plot による慣性半径、Kratky plot から得られる蛋白質がコンパクトか unfold しているか、等である。最近では Svergun らの開発した DAMMIN,GASBORなどの プログラムにより立体構造の推定もできるようになった。