WD 1425+540

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
WD 1425+540[1]
星座 うしかい座[2]
見かけの等級 (mv) 14.99[1]
分類 白色矮星[1]
位置
元期:J2000.0[1]
赤経 (RA, α)  14h 27m 36.032s[1]
赤緯 (Dec, δ) +53° 48′ 28.42″[1]
赤方偏移 0.000112[1]
視線速度 (Rv) 33.7 km/s[1]
固有運動 (μ) 赤経: -354 ミリ秒/[1]
赤緯: 142 ミリ秒/年[1]
年周視差 (π) 16 ± 4ミリ秒[1]
(誤差25%)
距離 189 ± 42 光年
(58 ± 13 パーセク[3])
物理的性質
表面重力 7.95 (log g)[3]
スペクトル分類 DBAZ4[1]
表面温度 14,490 K[3]
色指数 (B-V) 0.02[3]
他のカタログでの名称
WD 1425+54[1]
2MASS J14273615+5348280[1]
GSC 03859-01272
IDS 14244+5414 A
Template (ノート 解説) ■Project
NLTT 37441[4]
見かけの等級 (mv) 11.90[4]
分類 恒星
位置
元期:J2000.0[4]
赤経 (RA, α)  14h 27m 37.070s[4]
赤緯 (Dec, δ) +53° 47′ 49.14″[4]
固有運動 (μ) 赤経: -354 ミリ秒/[4]
赤緯: 142 ミリ秒/年[4]
年周視差 (π) 17.3 ± 3.9ミリ秒[4]
(誤差22.5%)
物理的性質
スペクトル分類 K[3]
sdM[4]
地球から見た位置 (WD 1425+540との関係)
元期 1981[3]
角距離 40 秒角(2,240 au[3]
他のカタログでの名称
2MASS J14273707+5347491[4]
IDS 14244+5414 B[4]
Template (ノート 解説) ■Project

WD 1425+540は、地球から見てうしかい座の方向に約190光年離れた位置にある白色矮星である[2]

特徴[編集]

WD 1425+540は、恒星がすでに主系列星と段階を終えて、残骸として残る天体である白色矮星である。表面温度は14,490Kである。WD 1425+540が主系列星だった頃は、太陽の約2倍の質量と約10倍の光度を持っていたと考えられている[3]

2,240au離れた位置に、「NLTT 37441」と呼ばれるK型主系列星があり、固有運動がWD 1425+540と一致しているため、NLTT 37441はWD 1425+540の伴星であるとされている[3]

オールトの雲の可能性[編集]

エッジワース・カイパーベルトオールトの雲の模式図。

2017年、许偲艺らの研究チームがハッブル宇宙望遠鏡でWD 1425+540のスペクトルを分析した結果、WD 1425+540の表面には、炭素窒素酸素マグネシウムケイ素硫黄カルシウムが含まれている事が分かった[3]。これらの元素の割合や含有量を測定した結果、ハレー彗星の核の成分とほぼ同じである事が判明した[3]。これまで、小惑星帯のような、岩石質の小天体から成る領域がを持つ白色矮星はいくつか発見されていたが、今回の発見は、その小天体が岩石質ではなく、彗星の核である可能性を示唆している。このような彗星の核が集まる領域として、太陽系では、エッジワース・カイパーベルトオールトの雲[注 1]と呼ばれるものがある。WD 1425+540は太陽系以外で、エッジワース・カイパーベルト、あるいはオールトの雲のような、彗星の核から成る構造が直接発見された、最初の天体である[2]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 非周期彗星や長周期彗星が存在する事から、オールトの雲の存在は有力視されているが、太陽系のものも含めて、未だに直接観測には成功していない。仮に、WD 1425+540の彗星の核からなる構造をオールトの雲とみなす場合、初めて直接発見されたオールトの雲となる。

出典[編集]