VERSION

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VERSION』(バージョン)は、坂口尚漫画作品。1989年から1991年にかけて潮出版社の「コミックトム」誌で連載された。同社からの単行本全3巻のほか、講談社から文庫版(上下巻)も出版されている。

あらすじ[編集]

私立探偵の八方塞は、バイオ企業の元研究者と名乗る大沢木から、日暮博士の捜索を依頼される。博士は3年前、開発途上でその危険性ゆえに凍結された生体情報素子「我素(がそ)」とともに失踪していた。

八方は、博士が消息を絶ったオーストラリアへと飛び、博士の娘である映子と会うが、直後に博士の死亡が確認される。釈然としないまま帰国するものの、今度は映子からの依頼により八方は我素の探索に付き合わされることになる。やはり我素を追い求める国家秘密機関や謎の組織レリギオ教団に付け狙われ、人魚を追い求めるペピ船長一味に助けられながら、八方と映子は我素の正体へと迫る。

登場人物[編集]

八方 塞(はっぽう みつる)
私立探偵。氏名は「ハッポウフサガリ」と誤読される。機械や技術には弱く、ほとんど我素の謎解きには寄与しない。狂言回し的な存在。
日暮 映子(ひぐれ えいこ)
日暮博士の娘であり、我素の謎を解く記憶を持つ。
日暮 月光(ひぐれ つきみつ)
我素の開発メンバーの1人。オーストラリアで死亡するが、その記憶は増殖した我素の中に存在し続け、娘の映子に我素の正体へとつながる様々な示唆を与える。
大沢木 四郎(おおさわぎ しろう)
我素の開発メンバーの1人。当初は八方や映子と行動をともにするが、やがて「自我」に囚われてしまう。
ブラックエコー
レリギオ教団の首領。物語後半では生命に寄生する「自我」の大元であるブロックマスターとなり、人類なき後の新たな寄生種を作り出すために我素を利用しようともくろむ。
ペピ船長、ドルフィン、マオ
かつて人魚に出会い、それ以来人魚を追って世界中を航海し続ける船長とその仲間。八方や映子をしばしば救出する。

他作品との関連[編集]

本作品は坂口による長編3部作の1つである。前作『石の花』では戦争という極限状態下を舞台に提起された「生命進化と人の意思」というテーマを、本作ではSF的視点から再構成している。一方、本作品では敵役として現れる「私=自我」という存在について、絶筆『あっかんべェ一休』において一定の回答を与えている。

また、特に自我が命に寄生する存在であるとするストーリー設定は、瀬名秀明のデビュー作『パラサイト・イヴ』にも影響を与えたといわれる。