ラリーチャレンジ

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TGRラリーチャレンジから転送)
サービスパークの様子(2019年八ヶ岳

TOYOTA GAZOO Racing ラリーチャレンジは、トヨタ自動車が主催する入門者向けラリーシリーズ。俗称としてラリチャレと略される場合もある。

概要[編集]

2001年に誕生した、トヨタテクノクラフト(現トヨタカスタマイジング&ディベロップメント)によるTRDヴィッツチャレンジを源流に持つ。当初はヴィッツのみのラリーであったが、2012年にはヴィッツ以外の車両も参戦できるTRDラリーチャレンジに発展[1]。2016年にはTOYOTA GAZOO Racingの公認と支援を受けて現在の名称となった。略してTGRラリーチャレンジとも呼ばれる。なおトヨタカスタマイジング&ディベロップメントは2018年から中級者向けに『TRD RALLY CUP』を開催しているが、こちらは全国のJMRC(JAFの各地域クラブ協議会)の支援を受けており、ラリーチャレンジとは区別される。

国内では自動車メーカーが主催する唯一のラリーシリーズである。全日本ラリー選手権に次ぐ規模を誇り、2018年開幕戦の長野県茅野市で行われた「ラリーチャレンジin八ヶ岳 茅野」では過去最多となる100台以上のエントリー申請と90台の出走[2]を記録した。また観客数2万3000人[3]は「日本一速い男決定戦」の全日本スーパーフォーミュラ選手権と比べても遜色のない数字であった。

ラリー大会のみならず、入門者に向けてラリーのレッスン・講習会も開催しており、ラリーの基礎を1から学ぶことができる[4]

レギュレーション[編集]

以下は2020年時点の内容である。

競技規則[編集]

ドライバー・コドライバーともに、普通自動車以上の運転免許とJAF国内B級ライセンスを必要とする。参加上限は75 - 90台。参加費は学生は割引があるほか、一部大会では、遠方からの参加の場合、キャッシュバックもある。

WRCや全日本ラリー選手権と同じSSラリーで、リエゾン区間も設置される。SSは5 - 8本程度で、コース構成は林道・ミニサーキット・ジムカーナコース・ダートトライアルコースなど、公道が少ないのが特徴である。また気軽に参戦できるよう日曜日のみの「ワンデイ開催」を掲げているため、レッキは早朝に行われる。

2018年 - 2019年には東西の2つのシリーズ(TGRRCまたはRC)と、北海道・九州のジョイントカップ(TGRRCCまたはRC-C)という構成で開催されていた[5]

2020年からは東西シリーズが統合されている。

クラス区分[編集]

トヨタ・MR-S
諏訪姫レーシングのヴィッツ

データは2020年現在のものである。技術的な規則はJAF国内競技車両規則第2編に準じているが、ごく一部の例外を除いて純正またはTRD製の部品しか使用できない。なおATCVT車やGR SPORTワンメイクレース用車(86・ヴィッツ)もラリー装備を装着すれば参戦可能である。タイヤはダンロップの「DIREZZA」、またはヨコハマの「ADVAN」ブランドの市販ラリー用タイヤが指定されている。

  • C-1・・・アクア
  • C-2・・・ヴィッツ(気筒容積1500cc)
  • C-3・・・86
  • E-1・・・ヴィッツ(気筒容積1500cc)
  • E-2・・・86
  • E-3・・・トヨタ車(気筒容積1500cc以下)/ダイハツ軽自動車(気筒容量660cc以下)
  • E-4・・・トヨタ車(気筒容積1501cc以上)
  • OPEN・・・全自動車メーカー車両(気筒容積区分無し)

「C=チャレンジ」、「E=エキスパート」を指す。ジョイントカップはE-3、E-4クラスのみとなる。また全日本以上の格の競技(ジムカーナ等含む)で一定以上の成績を収めた者は、C-2、C-3、E-1、E-2クラスには参加できない。

過去のシーズン[編集]

シリーズ名称 大会数 レポート・リザルト 主な参加車両
2019 TGR Rally Challenge 12戦 リザルト 86(ZN6)・ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)・アクア(NHP10)
2018 TGR Rally Challenge 12戦 リザルト 86(ZN6)・ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)・アクア(NHP10)
2017 TGR Rally Challenge 12戦(内1戦中止) レポート・リザルト 86(ZN6)・ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)・アクア(NHP10)
2016 TGR Rally Challenge 16戦 レポート・リザルト 86(ZN6)・ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)・アクア(NHP10)
2015 TRD Rally Challenge 10戦 レポート・リザルト 86(ZN6)・ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)・アクア(NHP10)
2014 TRD Rally Challenge 7戦 レポート・リザルト 86(ZN6)・ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)
2013 TRD Rally Challenge 5戦 レポート・リザルト 86(ZN6)・ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)
2012 TRD Rally Challenge 5戦 レポート・リザルト 86(ZN6)・ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)
2011 TRD Vitz Challenge 5戦 レポート・リザルト ヴィッツ(NCP131/NCP91/SCP10)
2010 TRD Vitz Challenge 5戦 レポート・リザルト ヴィッツ(NCP91/SCP10)
2009 TRD Vitz Challenge 5戦 レポート・リザルト ヴィッツ(NCP91/SCP10)
2008 TRD Vitz Challenge 6戦 レポート・リザルト ヴィッツ(NCP91/SCP10)
2007 TRD Vitz Challenge 7戦 レポート・リザルト ヴィッツ(NCP91/SCP10)
2006 TRD Vitz Challenge 6戦 レポート・リザルト ヴィッツ(SCP10)【ワンメイク】
2005 TRD Vitz Challenge 6戦 レポート・リザルト ヴィッツ(SCP10)【ワンメイク】
2004 TRD Vitz Challenge 6戦 リザルト ヴィッツ(SCP10)【ワンメイク】
2003 TRD Vitz Challenge 6戦 リザルト ヴィッツ(SCP10)【ワンメイク】
2002 TRD Vitz Challenge 7戦 リザルト ヴィッツ(SCP10)【ワンメイク】

著名な参戦ドライバー・ナビゲーター[編集]

哀川翔のヴィッツ
MORIZOの86

※過去参戦していたドライバーも含む。

脚注[編集]

  1. ^ ラリーチャレンジとは | TRDラリーチャレンジ2015”. TRD. 2018年4月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月29日閲覧。
  2. ^ ラリー競技の1日に密着。“参加できる”モータースポーツ!TOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジ参戦記”. GAZOO (2018年4月29日). 2018年4月29日閲覧。
  3. ^ 茅野を疾走 ラリー大会 2万3000人沸く”. 信濃毎日新聞 (2018年4月23日). 2018年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年4月29日閲覧。
  4. ^ 2020ラリー講習会テキスト”. TOYOTA Gazoo Racing (2020年2月22日). 2020年6月15日閲覧。
  5. ^ ラリーチャレンジとは”. TOYOTA GAZOO Racing. 2018年4月29日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]