TANTATATAN

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タンタタタン』(TANTATATAN)は、会田寅次郎の構想・製作総指揮による映像作品[1]東京都現代美術館で2015年7月から10月開催の作品展「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」にて上映された[2]

概要[編集]

美術家の会田誠岡田裕子の息子、会田寅次郎(トラ)が3歳から11歳までの9年間に撮影し続けた長編物語である。両親に内容を秘密にしながら製作し、毎年正月や夏に家に遊びに来ていたアーティスト集団Chim↑Pomや美術家の松田修ら若手美術家たちをキャストに撮影は続けられた。2015年にトラ、卯城(Chim↑Pom)、松田によって、100時間を越える素材から3時間半に編集された実験映画とテキストへと整理され、東京都現代美術館にて開催された「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」展にて初めて上映された。

基本的には子どもの空想劇であるが、成長中であったひとりの人間によって長期間進められたこともあり、哲学的かつ難解な内容となっている。紙幣鉱物といった科学や経済など現実社会からのアイデアの引用や、ノイズミュージック現代詩、歌など前衛的な演出が散りばめられている一方で、照明や撮影はパソコンのカメラや部屋の明かりだけが用いられ、画面構成はシンプルなものとなっている。

監督 
会田寅次郎
脚本 
会田寅次郎
原作 
会田寅次郎
製作 
会田寅次郎
卯城竜太(Chim↑Pom)
林靖高(Chim↑Pom)
松田修
出演者 
会田寅次郎
卯城竜太(Chim↑Pom)
林靖高(Chim↑Pom)
松田修
水野俊紀(Chim↑Pom)
エリイ(Chim↑Pom)
岡田将孝(Chim↑Pom)
稲岡求(Chim↑Pom)
明石玲奈
加藤愛、他
編集 
松田修
公開 
2015年7月18日〜10月12日
公開場所 
東京都現代美術館

制作[編集]

トラは物心がついた頃からパソコンや携帯電話で遊ぶ少年であった。小学校の一般クラスにも馴染めずに、たまに自宅に遊びに来るChim↑Pomのメンバーなどと映像を撮影することが趣味だった。両親ともに非常に酒飲みで、トラが人生で最も早く発した言葉のひとつであるタンタタタンは、酒の名前「鍛高譚」の言い間違えであった。しかしそれ以来トラはタンタタタンという響きから空想の世界を作り出し、それを中心とした世界の体系を頭の中で描くようになった。コンピューターに影響されたこともあり、タンタタタンに続く二つ目の世界は「ピクセルの世界」というインターネットを描写した世界であった。当時この撮影が9年にも及ぶことを誰も予期していなかったが、以来トラは11歳になるまで次々と物語や世界観を膨らませながら映画を制作していくことになる。トラの成長とともにその世界観は非常に複雑かつ細かいものへと発展していくが、「タンタタタン」の存在は一貫して物語を司っている。

世界観[編集]

物語を構成する世界は、地球や宇宙を含む「現実の世界Earth略してE」、コンピューター上の世界「ピクセルの世界略してP」、夢の世界「ドリームワールド略してDW」、魔法の世界「マジックワールド略してMW」、それらの世界全てに多大な影響を与えている「タンタタタン略してTA」の5つが基本となっている。それら全てをまとめた体系を「全部系」と言う。「全部系」は太陽系を参照されており、タンタンタタンは太陽のようにそのコアとして中心に存在し、他の世界はその周りを回っている。しかしその構造は部分的に入れ子状態となっており、例えばPはTAの衛星的な動きをしつつも、実はPが超高圧空間である為に時空がねじれてTAの中にも存在するなど複雑である。さらに各世界には細かな設定が存在し、例えばDWは「すべての空間から人々の夢を受け取り5つだけ厳選し、それを映像として夢を見た人のもとで上映するプロバイダーのような空間」など具体的である。基本的にはそれぞれの世界間の物理的横断は不可能となっているが、人間によるそれぞれの世界の知覚方法は以下のように考えられている。

  • 「E」 - 人間は現実的にすでにここに存在している。
  • 「EからDW」 - 人間は夢を見ることでそこにアクセスできる。
  • 「EからMW」 - 人間は魔法の使用によってそこにアクセスできる。
  • 「EからP」 - 人間は現実的にはそこにアクセスできないが、パソコンによって楽しむことはできる。
  • 「EからTA」 - 人間は絶対にそこにアクセスできないが、この映画によって知ることが出来る。

しかし物語にはそれら全ての世界を物理的に行き来するためのマスターキーと呼ばれる鍵が存在し、その描写からこの物語は始まることになる。映画の中でのマスターキーは、千葉県九十九里の片貝海岸で拾われた竹竿である。

ストーリー[編集]

P=0=1~2
「マスターキー」をEの片貝海岸で拾ったふつうの人・水野はピクセルの世界(P)へとたどり着く。Pの案内人・ピクセルマンの案内によってふつうの人・水野はPの王・ゼロ様に会いにいくことになる。マスターキーはゼロ様のもとから紛失していたものだったのだ。実は遥か昔、ピクセルの世界は大爆発を起こし、その際に海にピクセルが大量に流出、一緒にマスターキーも漂流してしまったのだ。ピクセルの世界と海、そしてマスターキーが流れ着いた日本の地理的関係は、「マウスの左クリックボタンがPの世界」「マウスの右クリックボタンが日本」「マウスの掌を乗せる部分が海」と説明されている。ちなみにPは基本的に数字で成りたつ世界であり、住民たちはいつも「6」と「3」についての歌を高らかに歌っている。その数字の究極体こそが「0」であり、ゼロさまはまさにこの世界の「素」であった。ゼロさまには1姫さまという娘がいて、この章は、1姫さまとどこからか現れたとりくんによるキスシーンと結婚式によって締められている。いろいろな出会いを経たふつうの人・水野がゼロ様にマスターキーを返そうとしていたちょうどその頃、「全部系」のコア・タンタタタン(TA)では、「S"P計画(ジーズパール計画)」と呼ばれるあるプロジェクトが計画されていた。
P=0=2
S"P(ジーズパール)会長、パール社長、副社長によって進められているその計画は、物理的に往来が不可能な「全部系」の世界間をどこでも行き来できるようにするためのプロジェクト「P=0計画」を最大のミッションとしたものだった。「P=0計画」は、TAのコントロール・センターであるASMとゼロさまがいるP=0間の物理的横断への挑戦を起源に名付けられたものだ。彼らはそのための転送機械ASM-4Dの発明と使用に携わるTAの要人である。彼らが働き住み着いているASMには、ASM-4Dはじめ重要な物がたくさんあり、下部には数え切れないほどの人々が暮らしている。ASMは、「錆びず、ダイアモンドの5億兆倍の硬さを持ち、しかし何にでもすぐに変形可能な」「生きている」金属10万50番元素によって作られていて、変形の指令はASM内のエクサコンピューターによって出されている。ASM内のPCには、Aコンピューター、Bコンピューター、Cコンピューターがあり、Dがなく、Eとしてのエクサコンピューターがある。頂上には超ファイナルエクサコンピューターがあり、これらによってASMは動き、TAをコントロールしているのだ。ちなみに映像の中ではカメラの三脚がASMの役をになっており、足の伸縮などによって10万50番元素が表現されている。10万50番元素の開発者・アルファ博士は現在マジックワールド(MW)にASMの機能を転送して支部を作る仕事に携わっている学者である。アルファが完璧主義者なのにたいし、ライバルでもあり、アルファによって10万50番元素にアップデートされる以前の特殊金属・5万番元素の開発をしたブルース博士は、より野心的な学者として登場する。
P=0=3
ピクセルの世界(P)。ある日突然、ゼロさまが住むP=0が浸水被害にあう。そしてまるでそれと同期するように、遠く離れたASMも浸水、ASMは一時的に電気系統をやられて停電を起こす。あげく浸水は津波のような勢いとなり、下部に住み着いていた住民1兆人の命を奪っていった。アルファはじめ、ニャパネットニャカタ(ASMの放送局)の社長たちなど最上階に住んでいたASMの上層部たちは無事だった。P=0計画はP=0とASMの往来を可能にするためのプロジェクトであったことから、この同期を推測するにその計画はすでに成功していたようだった。そして実はこの震災は、ブルースによるそのシステムの悪用と、Pのダムの決壊が原因の人災であることが判明、ダムが5万番元素で出来ていたことからブルースの仕業だとわかったのだ。ブルースの計画は実に入念で、あらかじめ5万番元素でノアの方舟を作っておいて、下層にいた一部の住民たちを救出、ASMから離れさせるという筋書きだった。野心家であるブルースは、じつは彼らを民衆とした新しい世界を作りたいと思っていたのである。そのことからASMを攻撃したブルースだが、策略はそれに留まらず、いつかはASMを滅ぼそうとまで考えていた。ノアの方舟で人々とMWに逃亡するブルースは、さらに新しい世界の建設場所として、全部系外であるパラレルワールドを意識していた。なぜならそこにはアルファがいないから…。
P=0=3=5
ブルースがMWに逃亡したのには目的があった。MWには10万50番元素と5万番元素を繋げられる物質・3LONA(スリーロナ)があったのだ。しかしそれを手に入れるためには2つのマスターキーが必要であった。ひとつはふつうの人・水野がゼロさまにわたしたものであり、もうひとつはアルファが持っていた。ブルースは巧妙にゼロさまに近づきマスターキーを獲得し、アルファには「2つあればあけられるし、あけてみようよ」と持ちかけた。決壊したダムが5万番元素で出来ていたことから水害がブルースの仕業だと確信していたアルファだが、ブルースのビジョンを知るためにもひとまずはその提案にのってみることにする。ついに2つ揃ったマスターキーによって扉は開けられ、2人はMWの大神殿に入る。ブルースは3LONAの獲得に成功するが、実は3LONAの使用にはさらなるセキュリティが組み込まれていて、使うにはふつうの人・水野がもっている「金庫の中の石」と3LONAを合体させなくてはいけなかったのだ。二人はふつうの人・水野を追ってPに向かう事になる。ブルースは石を盗むため、アルファはそれを阻止するためである。ブルースよりも先に水野に出会えたアルファは、石をもらうことに成功する。対して一足遅れて水野宅に侵入したブルースは、警報がなり逃亡することになってしまう。逆にブルースを追うことになったアルファは一計を案じ、にせブルースを使った囮作戦を敢行、「ブルースが逮捕された」とのニュースにみごとおびきだされたブルースは、その真意を確かめるべくアルファに会いにいく。ブルースは悪気のなかったことを証明するかのように、アルファに3LONAの一部とマスターキーの交換を提案するのだった。しかしこの提案には裏があり、これは実はマスターキーの素材が3LONAであることを掴んだブルースの策略だったのだ。マスターキーを手に入れ再度MWに逃げたブルースは、3LONAと水を使い「新しい鉄」の大量生産にとりかかる。だが一方TAでも、ASMの銀行EKTL(エクトル)の銀行員によって「新しい鉄」の大量生産はすでに成功されていた。指名手配犯となったブルース、それを追うEKTLとのあくなき闘い、さらにブルースの黒幕の登場によりMWは有事に陥るが、アルファの110番から動き出したTA警察の出動によって、ブルースと黒幕はMWから逃げ出すことになる。その後もASMのコンピューターにハッキングを仕掛けるブルースだが、難攻不落であるASMのセキュリティはなかなか崩しきれるものではなかった。
P=0=4=1
アルファの師匠であるファルトス博士は度重なるTAへのブルースの攻撃に危機感を感じ始めていた。アルファの才能を高く買っていたファルトスは、ブルース対策として、3LONAのさらにアップデート版である4LONAの設計図が書かれたメモをアルファにわたす。設計図には「虹色ダイアモンド」にこのメモをはめることで、さらに4LONAの進化版になることが書かれていた他、4LONAの進化版の増やし方や、虹色ダイアモンドの増やし方までありとあらゆることが書かれてあった。ファルトスは虹色ダイアモンドが隠されている場所をアルファに教え、MWを抜け出しPに逃亡中のブルースに「見えない発信機」をつけることに成功した。Pに移動してきたブルースはふつうの人・水野の家に再び忍び込み、虹色ダイアモンドを盗み出す。今度はそれを使って「新しい鉄」を作ろうとしているのだ。しかしその虹色ダイアモンドは、「見えない発信機」でブルースの行動を読んでいたファルトスによってすり替えられていた偽物だったのだ。その間にファルトスは更に予防線を張り、重要なものをクラウド上にアップロードしてアルファにたくそうとしていたのである。いよいよASMのセキュリティの中枢と戦うことになったブルースは、ハッキングに精通した「第二の黒幕」を呼び出した。第二の黒幕はファルトスのセキュリティをやぶってASMの秘密を握ろうと暗躍する。対してファルトスはコンピューターのアップデートを繰り返し、ついにEコンピューターをEEコンピューターにまで進化させる。幾度となく続いたハッキングとアップデートの応酬の末に勝利宣言を出したファルトスに対し、勝負に破れたブルースは、再度一度引くことを決断し、またMWに逃亡するのであった。
P=0=4=2
英気を養ったブルースの攻撃に破壊されたかに見えたASMであったが、数々の戦いを通してファルトスにアップデートされたEEコンピューターによって実はTAには新ASMが誕生していた。視覚的に見える本体はただの模型にすぎず、EEコンピューターはじめ機能の実態のほとんどは地下深くに移設されていた。さらに一見見えない透明のところ「バーチャル空間」が創設されて、そこに居住空間と本体が収められていた。映画の中ではカメラの3脚の足の間の何も無い空間が、バーチャル空間として描写されている。また、ASMはブルース対策として新たに「ファルトス機関」を設立、セキュリティの強化を宣言したのであった。いまだアルファの後ろにファルトスがいることに気づいていないブルースは、密かにTAに忍び込み、新ASMの実態を掴もうと視察を開始、あることからふとバーチャル空間の存在に気づく。その秘密を得ようと再度ハッキングをこころみるも失敗したブルースは、いよいよここにきてアルファの背後にある強力な敵「ファルトス機関」の存在に気づくのだった。「ファルトス機関」へのハッキングを開始したブルースは、第1のパスワード「ファルトス」を解読。第2のパスワードまでは開けなかったが、ファルトス機関やバーチャル空間などの情報の閲覧とコピーには成功した。ハッキングに気づいたファルトスは危機感を抱き、更なる対策「Pのアップデート」を実行するために、P=0へと向かうことにする。実はPは超高圧空間であることから時空がねじれていて、TAの中にも存在するという不思議な空間であった。そのためPのアップデートは直接TA自体のパワーアップにも繋がるのだ。しかし「Pのアップデート」には古代TA文明の力が必要で、その力を引き出すための「認証」には、現在のPの王の声が必要だった。Pの王が住むところP=0に到着したファルトス。そこでファルトスが見たものは、なんと現在のPの王として現れたふつうの人・水野の姿であった。古代TA文明の全ての知識が詰まった部屋に入るには、Pの王の声紋認証や生体認証などいくつもの鍵が必要なのだが、実はその最後の鍵こそは水野の胸に入っている(その昔エリイ(Chim↑Pom)に入れられた)タトゥー・「円」(読み:えん、しかしその実態は当時付き合っていた彼女の名前・まどかである)だったのだ。水野のタトゥー「円」で鍵を開けて部屋に入ったファルトスは、その知識をほとんど全てTAに持って帰る。かたやファルトス機関の情報をコピーして以来ファルトスを追いかけていたブルースも、同様に水野を拉致して一足遅れて部屋に入る。すでにファルトスによって空っぽになっていた部屋を見回したブルースは、とり残されていた1冊の本に気がついた。そこにはなんと10万50番元素の秘密などの最新情報をはじめ、セキュリティのロック解除など古代TA文明の重要なことまでが記述されてあった。意気揚々としたブルースは、再度ファルトスに挑戦することを決意する。古代TA文明の力でさらにパワーアップを遂げた新ASMに入り込んだブルースは、ファルトスによって仕掛けられた新たなセキュリティを本の知識にのっとって解除する。しかし実はこれこそがファルトスの罠だったのだ。ロック解除とともにセキュリティに仕組まれていた爆弾が爆発し、ついにブルースは爆死してしまうのであった。と思いきや、数々の闘いを通して用心深くなっていたブルースは実は影武者を立てていた。しかし無事だったとはいえファルトスの恐ろしさに改めて気がついたブルースは、「このままじゃファルトスに叶わない」と正面からの挑戦を諦めて、新たな策を考えることにする。そして「あまりに最近ファルトスが活躍しているからアルファが嫉妬してるのでは」との期待から、師弟割れという奥の手を講じるのである。天才2人が力を合わせればファルトスに勝てる…、ブルースにファルトス殺害をもちかけられたアルファは悩み出した。実はブルースの読み通りアルファはファルトスへの嫉妬心にさいまれていたのである。そして苦悩の末にブルースと手を組むことを了承したアルファは、ついにファルトスをよびだして殺害に及ぶ。しかし、ブルース同様日頃から用心深くなっていたファルトスも実は影武者を使っていた。影武者が殺されてアルファの裏切りに気づいたファルトスは、以後全ての日常を影武者のみで過ごすことにする。アルファとブルースの攻撃によって何人もの影武者が死ぬものの、全日常以外の時を見つけられない2人は本体を発見できずに立ち往生となった。このままではラチがあかないと2人は話し合い、ついに最後の作戦に出る。アルファの研究により、ふつうの人・水野が持っている王冠には不思議な可能性と力があることがわかっていたのだ。2人はそれを使い、ふつうの人・水野と、ふつうじゃない人・水野の「合体」を試みたのである。そしてスーパー水野を登場させたブルースとアルファは、スーパー水野にビームを放たせて、ついに最強の宿敵であったファルトスの命を絶ったのだった。
P=0=4=3(最終話)
ファルトスの死後、ブルースとアルファは2人で新時代を作ろうと話し合う。新ASMののっとりを画策する2人に対し、ASMの職員ハッピーとクレイジーが立ち向かう。しかしハッピーもクレイジーも所詮は凡人、天才2人にはとても叶わないと早々に直接対決を諦めて、大天才ファルトスの子であり神童の呼び声が高かったファルトスジュニアに応援を要請した。ファルトスジュニアは前向きに考えつつも、1人では荷が重いと悩みだす。どうしようかと使いの者に相談をしたところ、突然使いの者が「実は自分もファルトスの息子、お前の実の兄なのだ」とカミングアウトする。感動の再会を果たした2人はファルトス・ブラサーズを結成し、父のかたきであるブルースとアルファへの復讐を決意する。父にも負けず劣らない頭脳を生かし、新たなセキュリティを開発するブラザーズに対し、ブルースとアルファはハッキングを敢行、天才同士による熾烈なセキュリティ合戦が繰り広げられた。さらにブラザーズはジュニアの研究により、5つの不思議な物質を組み換えることで、最強のセキュリティが発動する物質を開発。ファルトスのかたみのサングラスも駆使し、ブラザーズはアルファとブルースにビームを放つ。しかしそれに対して歴戦の猛者アルファとブルースはすぐさま対抗、その5つの不思議な物質をコピーして新物質を再生産し、逆にブラザーズにビームを放ち、ファルトスブラザーズを殺害した。最後の戦いを制し、ついに新ASMの実権を握ったアルファとブルースは、新しい鉄の生産やいろんなことをしようと試みる。しかし、ここにきてなぜか、2人では新ASMを操りきることが出来ないことが判明した。2人のコントロール外で10万50番元素が変化し、新ASM自体がどんどん変化するのである。研究を重ねても答えが見つからず、2人はその謎をファルトスから解こうとファルトスが生きていた時間にまで時をもどそうとする。しかしそれも上手くいかない。2人は「実はファルトスはこうなることを知っていたのでは?」と危ぶむようになる。そうこうしているうちに新ASMは更にどんどん変化を続けだす。手のうちようが無くなってきたアルファは、ひとまずは観察することに決め込んだ。その一方で、ブルースはなぜか徐々に眠りにおちていく。そしてここから新ASMの変化と同期するように、映画の描写は抽象的な精神世界へと入っていく。禅問答のような会話の中で、アルファはブルースだと思われる人物に尋ねる。「きみはだれだい?」。ブルースだと思われる人物は答える。「僕はワールドマンだよ、」「にゅーわーるど!!!!」「にゅーわーるど!!!!」「びっくりしたかい?」「ウェルカム・トゥ・にゅーわーるど!!!!」。アルファには意味がわからない。これは眠りに落ちたブルースの夢なのだろうか?アルファはさらに熊のぬいぐるみに「きみはくまさんかい?」と尋ねる。くまのぬいぐるみは「熊だと思えばくまさんだよ、くまさんに見えているんだね?」と答える。アルファはくまのぬいぐるみに、「長い夢をみていたようだ・・・」と呟く。くまのぬいぐるみは、「きみはだれだい?むしろ、ゆめをみていたのはきみなのかい?」とアルファに尋ねる。アルファは「ASM…」と呟き、「ASMってなんだ?」と独り言をいう。アルファもブルースもくまのぬいぐるみも、自分が誰だか、そして誰が誰だかわからなくなっていき、ついには登場人物はみんな画面から姿を消してしまう。カメラに映るのは新ASMのみとなり、新ASMは語りだす。「僕がだれかも君がだれかもわからない。誰の夢かもわからないけれど、全てはドリームワールド(DW)でつながっているんだよ。つまりきみがみている夢はASMがみている夢で、ASMがみている夢はだれかがみている、全ての夢はドリームワールド(DW)でつながっているんだよ。」と。物語の中で初めてDWの存在が登場し、映画は終焉を迎える。

ラストシーンの解釈[編集]

9年間にも及ぶ撮影のなかで、最初から設定として存在していたドリームワールド(DW)はラストシーンにのみ登場する。それまで一度も出てこなかったことが驚きであるが、それが物語をさらに複雑なものとして作り上げている。そもそも物語のベースになっている、E、P、TA、MW、DWという本来物理的横断が不可能な5つの世界間の中で、DWのみは「すべての空間から人々の夢を受け取り5つだけ厳選し、それを映像として夢を見た人のもとで上映する空間」と、物理的ではないがすべての世界との相互関係や往来が最初から定義されていた。実はそもそもMWで全ては繋がっているという裏の設定が存在していたのだ。このことにより、Pでおきていることは、TAでおきていることは、Eでおきていることは、MWでおきていることは、全てバラバラではなく無意識のうちには共有されていたということが推測される。そのことが、物語が夢だったのか現実だったのかというよくある「夢オチ」のわかり易さを回避して、夢と現実は同一であるという仮設を与えている。むしろ「全部系」は入れ子状態になっていることから、もし現実の世界・Eの誰かがみていた夢だとしても、それはMWとEが並列に存在する限り、「夢であり、現実であり」、Pの誰かの夢だとしても、MWとPの関係から「夢であり、インターネット上の話である」というパラドックスを起こしているのである。つまり、インターネットで存在していることは現実に起きている事象であり、それは夢で超個人的・主観的な物語として再生産されるが、「きみがみている夢はASMがみている夢で、ASMがみている夢はだれかがみている」という、生きている金属10万50番元素で作られたASMの夢による個人たちの夢の媒介や、「MWでは全てが繋がっている」という共有によってそれらの夢は社会化され、ついにそれが夢とも現実とも言えるような物語として、EやTAやPにいる人たちが見ている……そんな物語として描かれているのである。MWは個人的な物語を集めて誰かに供給するべく整理しているプロバイダーのような存在だったのだ。要するに、まるで物語がいよいよMWの章に突入し、複雑化しただけのようなラストシーンであるとも言えるのだ。途中眠りに落ちるブルースの夢はMWで一度全世界から集まった夢とともに共有されているが、それはブルースに限らず、アルファの夢にもあてはまっている。そしてMWでの夢の共有やASMが見る夢として媒介されることによって、この物語の主観は最後の最後で消えていく。ブルース、アルファ、ASMなど皆の集合によって成り立つ話であるかのように客観的に(もしそれが新ASMの意思だとしたら、そこには間違いなく生みの親ファルトスのプログラムが関わっていそうだが)。これはこの世でおきていることなのか、夢なのか、インターネットなどのバーチャル空間も含むといよいよ現実が定かではなくなってきているこの世界で、私たちが実際に体験していることははたして誰による、何なのかという哲学的な問いを残し、物語は完結している。

主な登場人物[編集]

ストーリーテラー[編集]

会田寅次郎 (あいだとらじろう)
演:会田寅次郎
全ストーリーを通して登場し、この物語についての全てが古代TA語で書かれているロストブックを解読しながら、詩の朗読や歌なども用いて物語や世界観を主観的に語る。登場人物としての役名はとくにないが、たまにASM長、EKTLの職員として登場することもある。
ナレーター (なれーたー)
演:卯城竜太(Chim↑Pom)
トラが主観的に物語を進めるのに対し、客観的に物語の説明をナレーションとして行っている。たまにEKTLの職員として登場することもある。

タンタタタン連邦(TA連邦)[編集]

ブルース博士 (ぶるーすはかせ)
演:卯城竜太(Chim↑Pom)、林靖高(Chim↑Pom)、松田修
ASMがアルファによって10万50番元素にアップデートされる前の金属・5万番元素の開発者。ASMの転覆を目論む野心的な学者であり、ライバルであるアルファやその師ファルトスとの熾烈な争いを繰り広げる。基本的に3人によって演じ分けられているが、メインキャストは、前半は林靖高(Chim↑Pom)、後半は卯城竜太(Chim↑Pom)。
アルファ博士 (あるふぁはかせ)
演:卯城竜太(Chim↑Pom)、松田修
ASMを構成する新鉱物10万50番元素の開発者。ライバルのブルースがASMに反旗を翻してからは、その守りを固める要として働いている。基本的に2人によって演じ分けられているが、メインキャストは、前半は卯城竜太(Chim↑Pom)、後半は松田修。
ファルトス博士 (ふぁるとすはかせ)
演:林靖高(Chim↑Pom)、松田修
アルファの師であるとともに、ブルースによるASMへのサイバー攻撃に対応する「ファルトス機関」のリーダーである。ASMの10万50番元素を操るEコンピューターがファルトスの防衛によってEEコンピューターへとアップデートされたことにより、ASMは新ASMとして生まれ変わる。基本的に2人によって演じ分けられているが、メインキャストは林靖高(Chim↑Pom)。
S”P会長 (じーずぱーるかいちょう)
演:林靖高(Chim↑Pom)
お互いの往来が不可能とされている5つの世界を行き来するプロジェクト「S”P計画(ジーズパール計画)」の会長。
パール社長 (ぱーるしゃちょう)
演:卯城竜太(Chim↑Pom)
「S”P計画(ジーズパール計画)」に関わる偉い人。
副社長(ふくしゃちょう)
演:松田修
「S”P計画(ジーズパール計画)」に関わる偉い人。
ニャパネットニャカタの社長の娘 (にゃぱねっとにゃかたのしゃちょうのむすめ)
演:明石玲奈
ASMの放送局・ニャパネットニャカタの社長の娘。その後社長へと出世する。ニャパネットニャカタはASMの100050階に位置する、安い値段で高級な物を売っているASM一の会社。ちなみにニャパネットニャカタによる番組は、100時間を超える全映像素材の中でもっとも多く撮影されている。
EKTLの銀行員 (えくとるのぎんこういん)
演:会田寅次郎、卯城竜太(Chim↑Pom)、林靖高(Chim↑Pom)、松田修
ASMの銀行・EKTLの銀行員。「新しい鉄」の開発に成功しており、同時期に別の世界でそれに成功したブルースに熾烈な攻撃を加えている。また、EKTLはTAオリジナルの単位で作られた通貨を管理している組織であり、タンタタタンの映画の出演や編集に関わった人間には、このEKTL発行の紙幣がギャラとして支払われている。
ブルースの黒幕 (ぶるーすのくろまく)
演:林靖高(Chim↑Pom)
真の黒幕 (しんのくろまく)
演:林靖高(Chim↑Pom)
ブルースの黒幕が倒れたさいに「黒幕の黒幕」として登場するが、実は世界全ての黒幕として説明されている。
LAONSSTARの会長 (らおんすすたーのかいちょう)
演:松田修
TAの経済を動かしている組織「ラオンススター」の会長であり、TA連邦の会長も兼ねる。
ピクサー (ぴくさー)
演:会田寅次郎
ブルースとアルファの命令でふつうの人・水野の王冠をとりにいく超小型ロボット
ハッピー (はっぴー)
演:卯城竜太(Chim↑Pom)
ASMの職員
クレイジー (くれいじー)
演:松田修
ASMの職員
ファルトス・ジュニア (ふぁるとす・じゅにあ)
演:松田修<
神童の噂が高いファルトスの息子。ファルトスブラザーズとしてブルース・アルファと戦う。
ファルトス・ジュニアの使いの者 (ふぁるとす・じゅにあのつかいのもの)
演:卯城竜太(Chim↑Pom)
ファルトス・ジュニアに使えていたが、実はファルトス・ジュニアの実の兄。ファルトスブラザーズとしてブルース・アルファと戦う。

ピクセルの世界(P)[編集]

ピクセルマン (みぴくせるまん)
演:会田寅次郎
Pの案内人。マスターキーを拾ったことからPに迷い込んだ、ふつうの人・水野をゼロ様の元へと案内する。
アイダーマン (あいだーまん)
演:林靖高(Chim↑Pom)
ピクセルマンとともにPの歌「666」を歌うPの住人。
ゼロ様 (ぜろさま)
演:岡田将孝(Chim↑Pom)
Pの世界を司る王。数字で構成されるPの素として存在しているが、ふつうの人・水野にその座を明け渡すことになる。
ピクセル様 (ぴくせるさま)
演:卯城竜太(Chim↑Pom)
ゼロ様と同一人物。
とりくん (とりくん)
演:林靖高(Chim↑Pom)
突然現れた1姫さまの結婚相手。ゼロ様の後継ぎかと思われたが、物語への登場はこの一度だけであった。
1姫さま (いちひめさま)
演:稲岡求(Chim↑Pom)
ゼロ様の娘であり、数字の上では0の次を担う存在。
道端で見つけたえっちな人 (みちばたでみつけたえっちなひと)
演:マコ・プリンシパル
ピクセルジュニア (ぴくせるじゅにあ)
演:林靖高(Chim↑Pom)
Pの住人。ふつうの人・水野に最初に会う事になる。

現実の世界の地球(E)[編集]

ふつうの人・水野 (ふつうのひと・みずの)
演:水野俊紀(Chim↑Pom)
物語の最初の登場人物。千葉県の片貝海岸でマスターキーを拾ったことにより、Pの世界へと迷い込む。このことからタンタタタンの物語は始まるが、そのうちブルースとアルファ、ファルトスらによるASMの安全保障に関わる争いにも巻き込まれていく。すぐにEに帰るのかと思われたがPにとどまることになり、古代タンタタタン文明の力を引き出すための現在のPの王となった。最終的には、ふつうじゃない人・水野と合体してスーパー水野に変身し、ファルトスを殺害する。
愛まどんな (あいまどんな)
演:加藤愛
TAでのニャパネットニャカタの番組に登場するゲスト出演者。

脚注[編集]

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  1. ^ 削除間近?会田誠長男の作品に寄せた長文テキストがWikipediaに掲載 執筆はChim↑Pomの卯城竜太 - Art Annual Online 2015年07月13日 (2015年8月2日閲覧)
  2. ^ http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/whoseplaceisithis.html

外部リンク[編集]