Simeji

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Simeji
作者 バイドゥ株式会社
開発元 バイドゥ株式会社
最新版 7.3.1 / 2014年8月4日(3年前) (2014-08-04[1]
プログラミング言語 Java(Android版) Swift(iOS版)
使用エンジン Baidu IME、Baiduのクラウド変換サーバ
プラットフォーム Android iOS
対応言語 日本語英語
種別 日本語入力システム
ライセンス フリーウェア
公式サイト simeji.me
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Simeji(シメジ)は、中国検索エンジンの大手である百度の日本法人バイドゥ株式会社により開発・運営されているAndroid・iOS向けの日本語入力アプリ(IME、キーボードアプリ)である。

前身であるinJap(インジャップ)というアプリまたはSimejiのバージョン4までは、プログラマーであるadamrockerこと足立昌彦とデザイナーである矢野りんの2名で開発していた[2](ほかにchekelaという人物の協力のもとリリースされた旧x86版の例外もある)。Simejiが2011年12月13日に中国百度の日本法人であるバイドゥ株式会社に買収されると同時に開発者2名も同社へ移籍した。

iOS 8でサードパーティ製のIMEが解禁されることを受けて、2014年8月6日にiOS版のSimejiを開発中であることが公表された[3][4]。開発言語はSwiftであるという。

対応機種[編集]

Simeji
Android 1.6以上の機種(ARM CPU)
Simeji (iPhone/iPod touch版)
iOS 8.0 以降の機種
Simeji classic
Android 1.5以下の機種(ARM CPU)、このバージョンはあまりメンテナンスされておらず2014年現在での最終更新日時が2011年9月13日となっている。[5]
Simeji for x86
Android 1.6以上のx86CPU搭載機種[6]

特徴[編集]

マッシュルームアプリ[編集]

Simejiに搭載されたマッシュアップ機能である[7]。これはSimejiで入力した確定前の文字をマッシュルームアプリに送り、マッシュルームアプリによって別の文字に入れ替えを行うものである。

例えば、漢字の読みを入力して呼び出すと入力した文字が人名用の旧字体の漢字に置き換わるアプリや、何も入力せず呼び出してAndroid端末内の画像データimgurに送り、その画像のURLを入力するアプリなどがある。

Google日本語入力[8]ATOK[9]POBox Touchなど他社製IMEでもマッシュルームをサポートするものが存在する[10]

不祥事[編集]

入力文字の不正送信問題[編集]

2013年12月26日、バイドゥ社のIMEであるBaidu IMEならびにSimejiが、入力された情報をユーザーに無断で外部に送信しているとの報道がなされた[11]。同日セキュリティ企業のネットエージェントも、解析の結果実際にSimejiが入力されたログをバイドゥのサーバーに送信していることを発表、バイドゥはログの送信は規約に同意したユーザーに対してのみ行っているとしつつも、確認の結果同年3月にリリースしたSimeji 5.6以降のバージョンにおいて不具合が見つかり、ログ送信をオフにしている場合も送信が行われていたことを認めた。翌27日には不具合の修正ならびにクラウド変換機能をデフォルトでオフにしたSimeji 6.6.2がリリースされた[12][13][14]

他社サービスのサーバーへの不正アクセス事件[編集]

2014年4月10日、同月9日にスマートフォンアプリ「みんなの顔文字辞典」のサーバーへ1秒間に80回にも上るアクセスがあったことが発覚し、みんなの顔文字辞典運営のIO.IncはこれをDoS攻撃と認定した。バイドゥ株式会社側はSimejiの顔文字辞書を拡張するために「みんなの顔文字辞典」のサーバーにある顔文字辞典のダウンロードを試みたわけではなく、顔文字を盗む意図はないことを説明。IO.Inc代表者とSimeji開発担当が第三者を交えて面会したが、双方間で問題の解決には至らなかった。
一般的な過剰なアクセスへの対応として特定のIPアドレスからのアクセスを拒否(ブロック)する方法が考えられるのだが、本件の過剰なアクセスでは複数のIPアドレスを利用することでブロックしにくくし「みんなの顔文字辞典」サーバーの負荷を高めた。また、この異常なアクセスを受けたアドレスは非公開であり、Google Chrome向けの拡張機能から抜き出して使用した。これら2点についてはSimejiのブログ記事で解説している。また、運営会社であるバイドゥ株式会社も本件に関するプレスリリースを発表している[15]
同年5月15日にリリースされたバージョン7.1.1にて「みんなの顔文字辞典」のへマッシュルーム連携を行わない更新が行われ[16]「みんなの顔文字辞典」の仕様変更によって連携が難しくなったため連携を拒否していると発表した。
@honyohonyoho ご返信ありがとうございます。みんなの顔文字辞典のことでしょうか?「みんなの顔文字辞典の仕様が変わってSimejiから使いにくくなってしまいましたので、開発側の判断でSimejiで利用不可とさせていただきました。 — @Simeji_jp、Twitter[17]
.@Simeji_jp "みんなの顔文字辞典がひらけなくなった"というレビューがあり、"みんなの顔文字の仕様が変更になり"と返答されてますが、SimejiMushroomPreference.javaに表示しないようにするコードが書いてありますよ。 ユーザーに嘘をつかないで下さい — @mitsuaki_i、Twitter[16]

概要及び開発経緯[編集]

Android 1.0において、日本語入力に対応していなかったため、足立昌彦がGoogleの検索語句を予測して表示する機能(サジェスト機能)を利用して文字が入力できるようにするアプリinJapを開発したことがSimejiの原型である[18]。このアプリはサジェスト機能によって得られる文字をクリップボード経由でコピペし、少なくともひらがなだけは入力できるようにとの目的で作成されたものである。

inJapでは変換の精度が非常に悪いため、情報源をGoogleからSocial IMEに切り替えたものがSimejiであり、2008年11月18日にSimeji初版がリリースされた[19]。命名の由来はSocial IME 字(JI)から取ったものである。当時のSimejiはハードウェアとしてのキーボードからアルファベットを入力し、Social IME経由で日本語に変換する機能をもったエディタであった。

2009年4月29日、バージョン2.1.0でQWERTY配列のソフトウェアキーボードに対応した。これはAndroid SDK 1.5でソフトウェアキーボードがサポートされたためである。当時は英語版のQWERTYをそのまま流用していたため、「ー」が入力できなかった。

沿革[編集]

ITProのインタビュー記事[20]などを参考に記す。

日本語入力アプリとして[編集]

2008年
11月17日 - Simejiの原型であるinJapリリース[21]
11月18日 - (Ver.1.0.0) 初版リリース[22]
11月25日 - (1.3.1) Android Market(現Google Play Store)に登録[23]

日本語IMEとして[編集]

2009年
4月29日 - (2.1.0) Android SDK 1.5のソフトウェアキーボードに対応[24]
5月6日 - (2.2.0) ハードウェアキーボードにIMEとして対応[25]
6月19日 - (2.5.0) ニコタッチ入力に対応。
7月9日 - (2.7.0) IME版をAndroid Marketに初めて登録[26]
7月16日 - (2.8.0) マッシュルーム対応[27]
7月19日 - (3.0.0) Open Wnnに対応[28]
11月18日 - (3.9.0) 独自の実装ではなくOpen Wnnベースに移植。このバージョンより正式に矢沢りんがデザインに参加。
2010年
1月1日 - 旧x86版リリース[29](このバイナリはBaidu版のSimeji for x86とは無関係)
5月25日 - (4.0) スキン対応などデザイン面での向上[30]
11月18日 - (4.5)音声入力対応、AZERTY配列対応[31]

Baidu売却後[編集]

2011年
12月13日 - Simejiをバイドゥへ売却し、開発者2名もバイドゥへ移籍。
2012年
5月11日 - (4.11) バイドゥのサーバーを経由して語句や顔文字を変換するクラウド変換機能を追加。クラウド変換はデフォルトでオンになる。[32]
7月31日 - Simeji for x86リリース[33]
8月21日 - (5.0) 変換エンジンをOpen WnnからBaidu IMEに変更。顔文字を大量に追加した[34]
2013年
3月26日 - バージョン4.8.1以前のSimejiにアクセス制限の不備による情報漏洩のバグが発覚[35]
5月9日 - バージョン 6.0リリース[36]
12月26日 - 入力情報をバイドゥに無断で送信しているとの報道がなされる[37]
12月28日 - 報道を受け、クラウド変換機能をデフォルトでオフにする緊急アップデート[38]
2014年
4月9日 - スマートフォンアプリ「みんなの顔文字辞典」のサーバーにDoS攻撃が発覚[39][40]
5月12日 - 「みんなの顔文字辞典」サーバーへの不正アクセス事件に対する釈明記事を公開[41]

関連項目[編集]

脚注[編集]

[ヘルプ]
  1. ^ Simeji(日本語入力キーボード)”. Google Play. 2014年8月13日閲覧。
  2. ^ [スマートフォンアプリ開発のツボ] 矢野りん氏に聞く、Simeji・スマホアプリのデザイン - ケータイ Watch
  3. ^ iOS 8向け日本語入力ソフト「Simeji」が開発中、最新画面と情報を入手”. 日経コンピュータ (2014年8月6日). 2014年8月13日閲覧。
  4. ^ 「期待に応えられるか少し不安も」iOS 8向けSimeji開発者に現状を聞く”. 日経コンピュータ (2014年8月7日). 2014年8月13日閲覧。
  5. ^ https://play.google.com/store/apps/details?id=com.adamrocker.android.simeji.classic&hl=ja
  6. ^ https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.baidu.simeji.x86&hl=ja
  7. ^ Simejiのマッシュアップ機能「マッシュルーム」を公開しました
  8. ^ Androidで快適に文字を入力するには?―――日本語入力アプリやマッシュルームアプリを活用しよう”. ITMedia (2014年4月21日). 2015年11月14日閲覧。
  9. ^ 絵文字・記号入力など便利機能”. ジャストシステム. 2015年11月14日閲覧。
  10. ^ 他IMEでマッシュルームアプリを利用する方法”. Simeji. [[バイドゥ (企業)|]] (2013年8月26日). 2015年11月14日閲覧。
  11. ^ 「中国最大手の検索サイト 入力情報を無断送信」 NHK 2013年12月26日[リンク切れ]
  12. ^ 入力情報を送信するIME”. ネットエージェント (2013年12月26日). 2014年3月29日閲覧。
  13. ^ 一部の報道に対する弊社の見解”. バイドゥ (2013年12月26日). 2014年3月29日閲覧。
  14. ^ 「Simeji」が入力ログ無断送信バグを修正 「クラウド変換」は初期設定でオフに”. ITmedia (2013年12月27日). 2014年3月29日閲覧。
  15. ^ 『みんなの顔文字辞典』への大量のアクセス報道につきまして” (2014年5月7日). 2014年8月13日閲覧。
  16. ^ a b mitsuaki_iのツイート (464277234576945153)
  17. ^ Simeji_jpのツイート (467224925288157184)
  18. ^ http://www.adamrocker.com/blog/235/injap_android_japanese_input.html
  19. ^ http://www.adamrocker.com/blog/236/simeji_android_japanese_input.html
  20. ^ http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100414/347015/
  21. ^ http://www.adamrocker.com/blog/235/injap_android_japanese_input.html
  22. ^ adamrocker (2008年11月18日). “Androidでちゃんと日本語入力するアプリ 「simeji」”. 2014年8月12日閲覧。
  23. ^ http://www.adamrocker.com/blog/241/publish_simeji_to_android_market.html
  24. ^ http://www.adamrocker.com/blog/253/simeji-for-android-sdk-15.html
  25. ^ http://www.adamrocker.com/blog/254/simeji-for-hardkeyboard-of-android-sdk-15.html
  26. ^ http://www.adamrocker.com/blog/268/publish-simeji-for-cupcake-in-android-market.html
  27. ^ http://www.adamrocker.com/blog/270/mushroom-mashup-with-simeji.html
  28. ^ http://www.adamrocker.com/blog/271/simeji-powered-by-openwnn.html
  29. ^ http://www.adamrocker.com/blog/286/simeji-for-x86.html
  30. ^ http://www.adamrocker.com/blog/299/simeji4.html
  31. ^ http://www.adamrocker.com/blog/309/enable-voice-input-with-simeji45.html
  32. ^ バイドゥ (2012年5月11日). “[http://www.baidu.jp/info/press/jp/120511.html バイドゥ株式会社 AndroidTM OS 向け日本語入力アプリケーション 『Simeji(シメジ)』にクラウド入力機能を提供 〜大幅に登録単語数を拡大し、変換精度を向上、快適な入力体験を提供〜]”. 2014年8月12日閲覧。
  33. ^ 斉藤 栄太郎 (2012年7月31日). “バイドゥ、x86系CPU搭載Android端末向けの「Simeji」を提供開始”. ITPro. 2014年8月12日閲覧。
  34. ^ バイドゥ. “Android向け日本語入力アプリ「Simeji Ver.5.0」”. 2014年8月21日閲覧。
  35. ^ Simeji におけるアクセス制限不備の脆弱性”. JVN (2013年3月26日). 2014年8月12日閲覧。
  36. ^ バイドゥ、スライドUIを採用した日本語入力システム「Simeji ver.6.0」をリリース”. 2014年8月12日閲覧。
  37. ^ 「中国最大手の検索サイト 入力情報を無断送信」 NHK 2013年12月26日[リンク切れ]
  38. ^ バイドゥ (2013年12月18日). “緊急リリース版について”. 2014年8月12日閲覧。
  39. ^ mitsuaki_iのツイート (454406140818763776)
  40. ^ YUHEI IWAMOTO (2014年5月2日). “「不自然な大量アクセス」の理由を説明しない百度、ユーザーはどこまで信じるべきか”. techcrunch. 2014年8月12日閲覧。
  41. ^ ユーザーのみなさまへ” (2014年6月10日). 2014年8月12日閲覧。

外部リンク[編集]