SLぐんま よこかわ

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SL碓氷から転送)
SL・EL・DLぐんま よこかわ
SL・EL・DLレトロぐんま横川
D51 498牽引による「SLぐんま よこかわ」 (2020年11月 磯部駅)
D51 498牽引による「SLぐんま よこかわ」
(2020年11月 磯部駅)
概要
日本の旗 日本
種類 快速列車
現況 運行中
地域 群馬県
前身 快速「SL碓氷」「EL碓氷」「DL碓氷」
運行開始 2018年10月21日
運営者 東日本旅客鉄道(JR東日本)
路線
起点 高崎駅
停車地点数 4(起終点含む)
終点 横川駅
営業距離 29.7 km
運行間隔 1往復
列車番号 9135・9136
使用路線 信越本線
車内サービス
クラス 普通車
身障者対応 なし
座席 全車指定席
娯楽 旧型客車運用日にラウンジカーの連結あり
技術
車両 #使用車両を参照
軌間 1,067 mm
電化 直流1,500 V[注 1]
備考
臨時列車扱い
旧型客車使用時は「SL・EL・DLレトロぐんま横川」として運行
2021年令和3年)11月現在のデータ
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「ELぐんま よこかわ」
(2019年9月 磯部 - 松井田間)

SLぐんま よこかわは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が信越本線高崎駅 - 横川駅間で運行している蒸気機関車(SL)牽引による臨時快速列車2018年平成30年)10月21日に「SL碓氷」から改称された。

本項では、同じ区間を運行する電気機関車(EL)牽引による「ELぐんま よこかわ」およびディーゼル機関車(DL)牽引による「DLぐんま よこかわ」についても記述する。

概要[編集]

1999年平成11年)に「SL碓氷」として運行を開始し、以降ほぼ毎年設定されている。横川駅構内に転車台機回し線がないため[注 2]、当初は下り高崎発横川行き列車のみ客扱いを行い、上り横川発高崎行き列車は回送扱いとなっていた[1]。しかし2009年平成21年)以降は、上り列車についても営業するようになり、EL・DLを使用するものについてそれぞれ「EL碓氷」「DL碓氷」の名称が登場した。

その後2018年(平成30年)には、同じく高崎地区の「SLみなかみ」(現・SLぐんま みなかみ)と合わせてSLの周知を図るため、現名称に改名されている[2]

運行概況[編集]

夏休み期間や紅葉シーズンの土休日、ゴールデンウィークなどの連休を中心に1日1往復の運行である。午前の下り列車は高崎 → 横川間をELまたはDL牽引で、午後の上り列車は横川 → 高崎でSLで運行する形(プッシュプル運転)が基本である。この運行形態は、横川に向かって上り勾配が基調となる下り列車の場合、D51 498牽引での運転は問題が無いが、D51よりも牽引力の低いC61 20では補助機関車との協調が必要となり、運用しづらいことと、高崎に向かって下り勾配となる上り列車であれば、SLの負担が小さく、石炭と水の消費量を押さえられる利点がある。

上記が基本であるが、通常と逆に高崎 → 横川間をSL牽引とすることもある[3]。また、冬季などにはSLを休ませて、ELとDLだけで運行する場合もある。この場合、往復どちらにELが使用されるのか、あるいは、両端ともにDLとなるのかは日によって異なるため、事前に広報されている[4]

いずれの列車も全車普通車指定席

停車駅[編集]

高崎駅 - 安中駅 - 磯部駅 - 横川駅

使用車両[編集]

いずれもぐんま車両センター所属。「SL碓氷」「EL碓氷」「DL碓氷」時代を含めた、定期的に使用された車両のみ記載する。

SLおよび客車の使用車両の予定は、約1か月前からJR東日本の公式サイトで発表される。

蒸気機関車[編集]

  • D51形D51 498
    • 「SL碓氷」運行開始当初から使用されている。
  • C61形C61 20
    • 2011年(平成23年)に動態復元され、以降D51形とともに使用されている。

電気機関車[編集]

  • EF60形(EF60 19)
  • EF64形(EF64 37・1001・1052・1053)
  • EF65形(EF65 501)
    • 上記3形式は2009年(平成21年)の「EL碓氷」運行開始から使用されている。ただしEF60形は2019年令和元年)、EF64形の37・1052号機は2021年(令和3年)にそれぞれ廃車となった。

ディーゼル機関車[編集]

  • DD51形(DD51 842・895)
    • 営業使用は2009年(平成21年)の「DL碓氷」運行開始以降であるが、それ以前から横川駅からの回送に使用されていた。

客車[編集]

  • スハフ32形(スハフ32 2357)
  • オハニ36形(オハニ36 11)
  • スハフ42形(スハフ42 2173・2234)
  • オハ47形(オハ47 2246・2261・2266)
    • いわゆる旧型客車であり、上記7両を組み合わせて運行される。この場合、「SL (EL・DL)レトロぐんま横川」の列車名を使用する。冷房がないため、夏季の運行は原則として行わない。
    • 「SL碓氷」時代には、旧型客車を使用するものについて「SLレトロ碓氷」の列車名を使用していた。
    • 2020年(令和2年)にリニューアルを受け、スハフ42 2173がラウンジカーに改装された[5]。車内ではボードゲームの貸し出しなどが行われる。
  • 12系(オハ12 366・367・369、スハフ12 161・162)
    • 上記の6両は1995年頃に尾久客車区から転属してきたグループで、いずれも原型車であり、ラウンジカーは設けられていない。冷房があるため、夏季では必ず運行される。
    • 同系列は運行開始当初から使用されているが、1993年ごろから使用が増加している。なお、1995年頃に尾久客車区から転属してきた車両が使用開始される前は、原型車ながら座席モケットが赤系の色のものに、化粧板が茶系の色のものにそれぞれ交換された車両が使用されていた。
    • オハ12 368は2023年3月30日付で廃車された[6]

派生列車[編集]

碓氷[編集]

上野 - 横川間を電車で運行する臨時快速列車。「快速」を列車名に含めた「快速碓氷」として設定された年もある。当初は183系で運行された[7]が、2013年(平成25年)11月の運行からは185系が使用されていた[8]。いずれの列車も全車指定席であった。

2015年(平成27年)11月7日の運行を最後に、以降全く設定されていない。

停車駅[編集]

上野駅 - 赤羽駅 - 浦和駅 - 大宮駅 - 上尾駅 - 桶川駅 - 北本駅 - 鴻巣駅 - 熊谷駅 - 深谷駅 - 本庄駅 - 高崎駅 - 安中駅 - 磯部駅 - 横川駅

特別運行[編集]

ダイヤや使用車両を変更するなどして別の列車名で運行された事例を列記する。なお、以下はSLを基準とした列車名とし、それ以外の方を別に表記する。

SLググっとぐんま碓氷
2014年(平成26年)10月5日に運行[3]。「ググっとぐんま観光キャンペーン」に合わせ、D51 498牽引の本列車とC61 20牽引の「SLググっとぐんまみなかみ」が高崎駅を同時発車するイベントとして設定された。
横川 → 高崎間は「DLググっとぐんま碓氷」として運行された。
EL&SL碓氷
2014年(平成26年)10月12日甲府 - 横川間で運行された。片道5時間以上をかけた長距離運行であった。
甲府 → 横川間は高崎 → 横川間のみSLで運行。横川 → 甲府間は全区間EL牽引で、「EL碓氷」として運行された[3]
SL群馬県民の日
2014年(平成26年)10月28日(群馬県民の日)に運行[3]。以降は曜日に関係なく、毎年の群馬県民の日に設定されている。
EL・DL牽引列車については「EL群馬県民の日」「DL群馬県民の日」として運行される。
SLぐんまちゃん
2014年(平成26年)11月9日以降不定期に運行[3]。車内でぐんまちゃんによるおもてなしが行われる[9]
高崎 → 横川は「DLぐんまちゃん」として運行された。
SL碓氷物語
2015年(平成27年)4月1219日に運行[10]。客車には「SLばんえつ物語」の12系客車が使用された。
高崎 → 横川間は「DL碓氷物語」として運行された。
SL世界遺産1周年記念号
2015年(平成27年)6月21日に運行[10]富岡製糸場世界文化遺産登録1周年を記念した列車である。
高崎 → 横川間は「EL世界遺産1周年記念号」として運行された。
SL YOGISHA よこかわ
(2020年7月26日)
SL YOGISHA よこかわ
2015年(平成27年)5月15日に初めて設定され、以降年に数回ペースで運行されている臨時快速列車。当初の列車名は「SL YOGISHA 碓氷」であった[10]が、「SL碓氷」の改名に合わせて本列車も2018年(平成30年)10月以降は現名称で運行されている。
高崎発18時台(冬季17時台)、横川発20時台(冬季19時台)と「夜汽車」を意識した時間帯に設定される。なおEL・DL牽引列車についても「EL YOGISHA よこかわ」「DL YOGISHA よこかわ」となり、「夜汽車」の部分は変更されない。
SL横川ナイトパーク
2021年(令和3年)5月15日に初回が開催された、碓氷峠鉄道文化むらの夜間営業イベント「横川ナイトパーク」に合わせて運行される臨時快速列車[11][12]。当該イベントの開始時刻に合わせ、前述「YOGISHA」よりは早いものの通常よりも遅い時間に設定される。
EL・DL牽引列車については「EL横川ナイトパーク」「DL横川ナイトパーク」として運行される。

その他[編集]

駅弁「SLロクイチ物語」
  • 列車を牽引する2台のSLをイメージして考案された「SLロクイチ物語」・「上州D51弁当」という駅弁が販売されている。製造は高崎弁当[13][14]
  • 2014年(平成26年)からの約1年間、JR東日本高崎支社の公式サイトにてD51 498とC61 20を擬人化した「SL兄弟列伝」という漫画が連載されていた。それぞれ出五一郎(でご いちろう)と白井二郎(しらい じろう)という32歳の男性として描かれている[15]。その後各支社のホームページが統合されたため、閲覧不可能となっている。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 「ELぐんま よこかわ」のみ使用。
  2. ^ 1997年(平成9年)10月、長野新幹線の開業に伴い終着駅となり、現在の規模に縮小された。かつての広大な敷地の一部は碓氷峠鉄道文化むらとなっている。

出典[編集]

  1. ^ “SL碓氷”運転 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2008年4月28日
  2. ^ “SLぐんま みなかみ”運転開始 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2018年10月7日
  3. ^ a b c d e 秋の増発列車のお知らせ』(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2014年8月22日https://www.jreast.co.jp/press/2014/20140807.pdf2021年12月31日閲覧 
  4. ^ SLぐんま みなかみ/SLぐんま よこかわ 東日本旅客鉄道(2021年12月11日閲覧)
  5. ^ JR東日本,旧客を改装したラウンジカーを報道陣に公開 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp鉄道ニュース 2020年3月12日
  6. ^ 鉄道ファン編集部「JR旅客会社の車両配置表(別冊付録)」『鉄道ファン』2023年7月号、交友社、2023年7月、ぐんま車両センター pp.4, 14, 15, 34。 
  7. ^ “183系による快速“碓氷”号運転” (日本語). 鉄道ファン. (2007年11月13日). https://railf.jp/news/2007/amp/11/13/101300.html 2021年12月31日閲覧。 
  8. ^ “183系による快速“碓氷”号運転” (日本語). 鉄道ファン. (2014年4月13日). https://railf.jp/news/2014/04/13/202500.html 2021年12月31日閲覧。 
  9. ^ “【JR東】〈DLぐんまちゃん号〉・〈SLぐんまちゃん号〉 運転” (日本語). rail_hobidas. (2016年2月12日). https://rail.hobidas.com/rmnews/251163/ 2021年12月31日閲覧。 
  10. ^ a b c 春の増発列車のお知らせ』(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2015年1月23日https://www.jreast.co.jp/press/2014/20150115.pdf2021年12月31日閲覧 
  11. ^ 初の夜間営業 “横川ナイトパーク”の開催!』(プレスリリース)碓氷峠鉄道文化むら、2021年5月12日https://www.usuitouge.com/bunkamura/news/682/2021年12月31日閲覧 
  12. ^ 春の増発列車のお知らせ』(プレスリリース)東日本旅客鉄道、2021年1月22日https://www.jreast.co.jp/press/2020/20210122_ho01.pdf2021年12月31日閲覧 
  13. ^ Fun!Fan!SL! お楽しみ情報”. 東日本旅客鉄道高崎支社. 2017年12月17日閲覧。
  14. ^ たかべんの歩み”. 高崎弁当. 2017年12月17日閲覧。
  15. ^ 「SLみなかみ」5/30の乗客に、D51形擬人化キャラから熱い"アレ"が贈られる! マイナビニュース 2015年5月18日(2021年12月12日閲覧)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]