RIDE ON TIME (山下達郎のアルバム)

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RIDE ON TIME
山下達郎スタジオ・アルバム
リリース
録音 CBS SONY ROPPONGI STUDIO A & B
NICHION STUDIO
ジャンル ファンク / ソウル[1]
ポップ・ミュージック[1]
ディスコ[1]
レーベル AIR ⁄ RVC
LP:RAL-8501
プロデュース 山下達郎
チャート最高順位
山下達郎 年表
TATSURO YAMASHITA FROM NIAGARA
1980年
RIDE ON TIME
(1980年)
ON THE STREET CORNER
(1980年)
『RIDE ON TIME』収録のシングル
  1. RIDE ON TIME
    リリース: 1980年5月1日 (1980-05-01), 2003年2月19日 (2003-02-19)
  2. MY SUGAR BABE
    リリース: 1980年10月21日 (1980-10-21)
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RIDE ON TIME』(ライド・オン・タイム)は1980年9月19日に発売された山下達郎通算5作目のスタジオ・アルバム

解説[編集]

アルバム『MOONGLOW[注 1]のレコーディング中の1979年夏、山下はオルガン・プレイヤー、ドン・ルイス[2]の来日公演に参加した吉田美奈子から、同じく参加メンバーだった当時まだ22歳のドラマー青山純を紹介された[3]。青山は、佐藤博のグループ“ハイタイムス”[4]で共にメンバーだったベーシスト伊藤広規と、山下のバンドメンバー・オーディションを兼ねたセッションに参加することになった。青山によれば“とにかくじゃあまずこの曲をやってみよう”と山下から渡された譜面には「ついておいで」とタイトルが書かれていたという。青山は“この曲ならちょっとは知っているし、好きなドラム・パターンだし”と思いその曲に始まりその後、数曲のセッションを終えてもう終わりかと思う頃、山下はその後も次々と譜面を出してきたが、それでも伊藤と共に演奏できない曲はほとんど無かったので助かったという。そんな中、曲名は忘れたというが6/8拍子のおよそロックしかやっていないドラマーだと叩けないようなバラード曲の譜面を出してきた。後に青山は“きっと若造だった我々にはおそらく無かったであろう渋さを試してみようと、達郎氏も期待はそんなにしていなかっただろうと思っていた”というが、当時からその手の音楽が好きだったがゆえ、演奏経験の乏しさは否めないが二人とも何の抵抗も無く、青山は“気持ちいいなぁ”と思いながら演奏を終えた。その直後、山下からかなり怖い顔つきで“ねぇ君、青山君だっけ? あのさぁ、歳いくつなんだっけ?”との問いに“22歳ですけど、何か? まずいッスかねぇ?”と返すと、“何で今やったような曲のドラムも叩けんのよ、おかしいよ、その歳で!”と言われたという[5]

雑多なパターンの曲を演奏したいという作家志向の強い山下は、それまでは多くのミュージシャンと演奏して来て、曲調に合わせてメンバーを使い分けてきた。スタジオではそれで十分でもライブ・ステージとなるとメンバーの選定によっては演奏できない曲調がどうしても出てしまったが、その点でどんなスタイルも自身の満足するグレードで演奏できるはじめてのコンビが青山純・伊藤広規だった。彼らとの出会いによって、ライブでの演奏レパートリーが飛躍的に増え、シュガー・ベイブ以来、自身の思い描いていたライブの理想パターンが初めて現実化する見込みが出てきた。結局その日のオーディションのようなセッションが一回行われた後、次回からはステージで演奏するためのリハーサルに突入した。彼等は1979年の暮れからライブの正式メンバーとなり、さらに年が明けてからはレコーディングのメンバーにもなっていった。こうして青山・伊藤の二人が、『GO AHEAD![注 2]からのメンバーである難波弘之椎名和夫に合流し、ようやくレコーディングとライブを共通の固定メンバーで行えるようになった。練習スタジオでパターンを練り上げ、スタジオに持って行ってレコーディングを行うという作業もメンバーが固定したこの頃から始まり、様々なリズム・パターンを実践的に試みて曲作りに反映させる方法は、家で一人で考えるそれまでのやり方からは思いつかない多くのアイデアを生み出した。

同じ頃、『MOONGLOW』[注 1]のロング・セラーに気を良くしていたディレクター小杉理宇造はいよいよ勝負に出る時だと、山下自身がテレビ・コマーシャルに出るという企画のタイ・アップを取ってきた。CM作曲家としてはすでにある程度のキャリアがあった山下にとって、小杉が持ってきたそのプロジェクトのコピーライター・演出家・広告代理店のプロデューサーたちいずれともずっと以前から面識があり、そこをうまく突かれてオファーを承諾してしまった。そこから生まれたシングル「RIDE ON TIME[注 3]は、山下にとって初のヒット曲となった。

シングル・ヒットを受けて制作が開始された本作は、音楽的な路線は前作『MOONGLOW』[注 1]の延長であるものの、一番の違いは制作予算だったとし、ヒットが出たことで売り上げが見込め、スタジオ代を気にせずに違うテイクやアレンジがトライできることが長年の夢で、それがこのときようやく実現できたという。それによってこの時期、数年前とは見違えるように曲が作れるようになったのだともしている。その反面、「RIDE ON TIME」[注 3]のヒット後に芸能メディアの酷悪さを垣間見たことから、その反動でこのアルバムは浮き足立ったりせず玄人受けする内容にするのだという意思が強く働いたという。その結果、出来上がった作品に対して当時近しい関係者からさえも“地味だ”などとずいぶん言われたが、今となればこの制作方針で正解だったとつくづく感じるという。山下のミュージシャン人生にとっての幸運は、もっとも大きな音楽的・商業的な転換時期に上り調子のミュージシャンとの出会いと彼らとの最良のコミュニケーションの中でレコーディングとライブを構築できたことだと思えるとしている。

初回盤LPはCM撮影時のスチール写真に、マクセルのロゴマークと「いい音しか残れない」のコピーが印刷された被せオビ仕様で発売された。

収録曲[編集]

SIDE A[編集]

  1. いつか (SOMEDAY)  – (5:47)
    吉田美奈子 作詞, 山下達郎 作曲・編曲
    練習スタジオで毎日のようにリズム・パターンを考えている中で、演奏メンバー各人にとっての必然的なフレーズが無理なく組み合わさってできた、お気に入りの一曲だという。
  2. DAYDREAM(デイドリーム)  – (4:28)
    吉田美奈子 作詞, 山下達郎 作曲・編曲
    山下によれば吉田美奈子が彼に提供した詞の最高傑作だとし、日本語の乗りにくい細かな譜割りのメロディーをクリアするために、アクリル・カラーのチャート表から詞を作り上げる発想は彼女以外には出来ないワザだという。ライブ映えする曲ということで、その後も数多く演奏されている。シングル「MY SUGAR BABE[注 4]のB面に収録された。
  3. SILENT SCREAMER(サイレント・スクリーマー)  – (5:28)
    吉田美奈子 作詞, 山下達郎 作曲・編曲
    アルバム『GO AHEAD!』[注 2]収録曲「BOMBER」から続くポリリズム・ファンクの一曲。山下によれば、ライブでの効果を意識した作品なのでさすがにサウンドはもう古い感じがするが、リズムの組み立て方はセオリーに基づいた正当なものだと思うという。
  4. RIDE ON TIME(ライド・オン・タイム)  – (5:52)
    山下達郎 作詞・作曲・編曲
    先行シングル「RIDE ON TIME[注 3]とは演奏が異なるアルバム・ヴァージョン。この当時はヒット・シングルをアルバム用に再録音するという手法がまだ十分に通用していた時代だったとし、アルバム・ヴァージョンはほんの少しテンポが遅く、シングル・ヴァージョンのスピード感が出せていない等、山下は結果から考えればあまり必要がなかったと思えるが、それでもコーダの部分の段取りや、最後に出てくるアカペラなどの聴きどころもあるという。

SIDE B[編集]

  1. 夏への扉 (THE DOOR INTO SUMMER)  – (4:41)
    from the novel “The Door Into Summer” by Robert Heinlein
    吉田美奈子 作詞, 山下達郎 作曲・編曲
    難波弘之のアルバム『SENSE OF WONDER』[注 5]への書き下ろし曲。アメリカの作家ロバート・A・ハインラインのSF小説のストーリーをもとに吉田美奈子が詞を作り、山下が曲を当てはめた。すでにステージで何度も演奏された後のレコーディングにより、練れたグルーヴだという。後に、ベスト・アルバムGREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA[注 6]にも収録された。
  2. MY SUGAR BABE(マイ・シュガー・ベイブ)  – (4:10)
    山下達郎 作詞・作曲・編曲
    山下がソロ以前に活動していたグループ、シュガー・ベイブをテーマにした歌。こうした歌を作ろうという思いはかなり以前から漠然とあったが、このアルバムを作るにあたり今こそがその時だと思い、書いた作品。それゆえ当時このアルバムで一番思い入れの強い曲だったという。日本テレビ系ドラマ『警視-K』の主題歌採用に際し、シングル・カットされた[注 4]
  3. RAINY DAY(レイニー・デイ)  – (5:19)
    吉田美奈子 作詞, 山下達郎 作曲・編曲
    吉田美奈子のアルバム『MONOCHROME[注 7]のために書き下ろされた曲だが、山下のヴァージョンが先にリリースされた。後にライブ・アルバム『JOY[注 8]にはライヴ・ヴァージョンが収録された。
  4. 雲のゆくえに (CLOUDS)  – (5:38)
    吉田美奈子 作詞, 山下達郎 作曲・編曲
    吉田美奈子のアルバム『LET'S DO IT -愛は思うまま-[注 9]への書き下ろし。山下によれば1970年代シカゴR&Bのスタイルを持ったこの曲は、青山純の正確なドラミングを得て、こうしたスイングの16ビートで初めて満足の行くトラックが出来上がって、とても嬉しかった思い出とともにある曲だという。この曲と「RAINY DAY」に参加している佐藤博は当時アメリカに居住していて、ふらっと帰ってきたところをつかまえてレコーディングされたという。
  5. おやすみ (KISSING GOODNIGHT)  – (1:34)
    山下達郎 作詞・作曲・編曲
    自身によるピアノと歌の一発録りにコーラスとシンセがダビングされた小品。山下によればコード進行、コーラス・アレンジなど、これも自分では好きな一曲だという。後に、RCA/AIRレーベル在籍時の7作品のリマスター盤再発にあわせ、RCA/AIR時代のレパートリーのみで構成された2002年のコンサート・ツアー“PERFORMANCE 2002 RCA/AIR YEARS SPECIAL”ではコンサートのクロージング・ナンバーとして演奏された。

クレジット[編集]

All songs arranged by TATSURO YAMASHITA except;
Background vocals on A-1,3,4 & B-1 arranged by Tatsuro Yamashita &
Minako Yoshida
 
PRODUCED BY TATSURO YAMASHITA for SMILE CO.
Associate Producer: Ryuzo “Junior” Kosugi
Recording & Remix Engineer: Tamotsu Yoshida
Assistant Engineer: Toshiro Itoh, Mikio Takamatsu
Recorded at CBS SONY Roppongi Studio A & B, Nichion Studio
Remixed at CBS SONY Roppongi Studio B
Disc Mastering Engineer: Tohru Kotetsu
Mastered at Victor Yokohama Cutting Studio
 
Recording Coordinator: Kenichi Nomura, Masayuki Matsumoto
Management: Kentaro Hattori
 
Special Thanks to: Tamotsu Yoshida & CBS SONY Studio People, Our great
AIR Records staff (Ryuzo “Junior” Kosugi, Masutaka
Nakayama, Tadashi Yokoshi & Hiromi Yoshizawa),
Shigeki Miyata, Our great concert tour staff (Hisashi
Chosokabe, Takashi Nakamura, Keisuke Tajima,
Yasuo Takahashi & Yoshiaki Shimada), Tsuyoshi Yamato,
Katsuo Shimizu, Yoshiro Okazaki, Kiyoshi Imaoka
(Hayakawa Publishing Ing.) & many many others,
Yoichi Muragaki, Hiromi Suzuki
Also Special Thanks to: The Great Rhythm Section (Jun Aoyama, Kohki Ito,
Kazuo Shiina & Hiroyuki Nanba), Minako Yoshida,
Akira Ikuta, Hidefumi Toki, Hiroshi Sato
& many many others
 
Minako Yoshida by the courtesy of Alfa Records.
Nov Saito, Shigeharu Mukai by the courtesy of Nippon Columbia
Jun Aoyama by the courtesy of Warner Pioneer Corporation.

CD:BVCR-17017[編集]

RIDE ON TIME
山下達郎スタジオ・アルバム
リリース
録音 CBS SONY ROPPONGI STUDIO A & B
NICHION STUDIO
ジャンル ロック
ポップス
レーベル AIR ⁄ BMGファンハウス
CD:BVCR-17017
プロデュース 山下達郎
チャート最高順位
EANコード
ASIN B00005UD3W,JAN 4988017607336
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解説[編集]

1990年、山下自身によるリマスタリングで再発されたが2002年、“山下達郎 RCA/AIRイヤーズ 1976-1982”として、『CIRCUS TOWN[注 10]から『FOR YOU[注 11]までの7タイトルが山下監修によるデジタル・リマスタリング、および、自身によるライナーノーツと曲解説。CDには各タイトル毎に未発表音源を含むボーナス・トラック収録にて再度リイシューされた。本作には「RIDE ON TIME[注 3]のシングル・ヴァージョンのほか、未発表曲を含む4曲をボーナス・トラックとして収録。また、本作を含むRCA/AIRイヤーズ対象商品7タイトル購入者に応募者全員への特典として、リマスター盤『COME ALONG』がプレゼントされた。また、2003年2月下旬から3月末まで鈴木英人書き下ろしイラストをあしらった、三方背ボックス仕様の期間限定スペシャル・パッケージで発売された。

収録曲[編集]

  1. いつか (SOMEDAY)
  2. DAYDREAM(デイドリーム)
  3. SILENT SCREAMER(サイレント・スクリーマー)
  4. RIDE ON TIME(ライド・オン・タイム) [アルバム・ヴァージョン]
  5. 夏への扉 (THE DOOR INTO SUMMER)
  6. MY SUGAR BABE(マイ・シュガー・ベイブ)
  7. RAINY DAY(レイニー・デイ)
  8. 雲のゆくえに (CLOUDS)
  9. おやすみ (KISSING GOODNIGHT)
    <Bonus Tracks>
  10. RIDE ON TIME(ライド・オン・タイム) [シングル・ヴァージョン]
    これまでシングル・ヴァージョンはベスト・アルバム『GREATEST HITS!』[注 6]でしか聴けなかった。山下はここにこうしてボーナス・トラックとして置いてやるのが一番自然だと思っていたというが、20年を経て実現した。
  11. INTERLUDE I(インタルード I)
  12. INTERLUDE II(インタルード II)
    「INTERLUDE I」「INTERLUDE II」とも、曲間に挟むために作られた短いインスト・ナンバー。未使用に終わったが、このアイデアはアカペラのインタルードに変更され次作『FOR YOU』[注 11]で実現した。
  13. MY SUGAR BABE [TV用インスト -TV Instrumental Version-]
    TVドラマ『警視-K』用にレコーディングされた、「雲のゆくえに」のリズム・パターンを用いた一発録りのテイク。

クレジット[編集]

スタッフ[編集]

Produced & Arranged by 山下達郎
Exective Producer : 小杉理宇造
Production Co-odinater : 内田宣政
 
Recording Engineer : 吉田保
Recorded at CBS SONY Roppongi & NICHION
Mixed at CBS SONY Roppongi B using STUDER A-80 24 Track Recorder
     & NEVE Mixing Console
   except  Track 10 Mixed at RVC
Track 11, 12 & 13 Mixed at PLANET KINGDOM in Sep. 2001
Assistant Engineers: 伊東俊郎 & 高松幹大
 
CD Mastering Engineer : 原田光晴 (On Air Azabu)
 
Original Art Direction : 奥村靫正
Original Design : THE STUDIO
Cover Photograph : 小暮徹
CD Design : 高原宏 & 上原加代
 
Originally Released in 1980/09/19 as AIR RAL-8501

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ a b c MOONGLOW1979年10月21日発売 AIR ⁄ RVC LP:AIR-8001
  2. ^ a b GO AHEAD!1978年12月20日発売 RCA ⁄ RVC LP:RVL-8037
  3. ^ a b c d RIDE ON TIME1980年5月1日発売 AIR ⁄ RVC EP:AIR-503
  4. ^ a b MY SUGAR BABE」 1980年10月21日発売 AIR ⁄ RVC EP:RAS-501
  5. ^ 難波弘之『SENSE OF WONDER』 1979年9月21日発売 KING LP:SKS(S)-1032
  6. ^ a b GREATEST HITS! OF TATSURO YAMASHITA』 1982年7月21日発売 AIR ⁄ RVC LP:RAL-8803
  7. ^ 吉田美奈子MONOCHROME』 1980年10月21日発売 ALFA LP:ALR-28006
  8. ^ JOY1989年11月1日発売 MOON ⁄ ALFA MOON 2CD:50MX-95/6
  9. ^ 吉田美奈子『LET'S DO IT -愛は思うまま-』 1978年10月25日発売 ALFA LP:ALR-6011
  10. ^ CIRCUS TOWN1976年12月25日発売 RCA ⁄ RVC LP:RVL-8004
  11. ^ a b FOR YOU1982年1月21日発売 AIR ⁄ RVC LP:RAL-8801

出典[編集]

  1. ^ a b c Tatsu Yamashita - Ride On Time at Discogs Discogs. 2018年8月25日閲覧。
  2. ^ Don Lewis Biography
  3. ^ Roland Music Navi Vol. 88
  4. ^ HIROSHI SATO OFFICIAL SITE内“BIOGRAPHY”
  5. ^ “PERFORMANCE 2002 RCA ⁄ AIR YEARS SPECIAL”コンサート・プログラム収載「MESSAGE from band members (Since RCA/AIR Years)」

外部リンク[編集]

SonyMusic

山下達郎 OFFICIAL SITE