ヤマハ・R1-Z

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R1-Z (アールワンズィー)とは、1990年ヤマハ発動機が発売し、1999年に生産を終了した2ストロークエンジンを搭載するネイキッドオートバイである。

名称の由来は、先代モデルであるヤマハ・RZと主に旧東海道を踏襲する国道1号線(Root1)を掛け合わせた造語である。 オートバイ雑誌を主体にした広告では、名称の由来となった所謂国1(こくいち)浜名バイパス浜名大橋を撮影ロケ地に採用している。尚、「アールワンズィー」という読み方は、カタログにも掲載されていた。

概要[編集]

R1-Z
基本情報
排気量クラス 軽二輪
車体型式 3XC
エンジン 249 cm3 
2ストローク水冷並列2気筒クランクケースリードバルブ
内径×行程 / 圧縮比 __ × __ / __
最高出力 45ps/9500rpm(3XC3は40ps/8500rpm)
最大トルク 3.7kg-m/8500rpm(3XC3は3.4kg-m/7500rpm)
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ライバル機種は2ストローク2気筒250ccロードスポーツや4ストローク4気筒400ccロードスポーツ。R1-ZはNSR250Rホンダ)、RGV250Γスズキ)などのレーサーレプリカとは明らかに異なる味付けがなされている。当時の2サイクルロードスポーツ車はレーサーレプリカタイプが主流で、高出力を追求したメッキシリンダー採用のV型エンジンを、軽量高剛性なアルミ合金製のフレームに搭載した車種がほとんどであった。対して、R1-ZはTZR250(1KT)と共通の鉄スリーブのパラレルツインエンジンをリセッティングし、フレームもスイングアームもスチール製のトラス構造である。初代TZR250(1KT)と同系のエンジンを搭載するが、細部には変更が加えられている。

2気筒分のサイレンサーが右側に設置されているなどの個性的なスタイルに加え、ヤマハ伝統の2ストロークパラレルツインエンジンが生み出す、絶対的な速さよりもライディングプレジャーを前面に押し出した加速特性が、先鋭化し過ぎた当時のレーサーレプリカをためらうユーザーを惹きつけた。1990年代に環境問題で2ストロークエンジンを搭載したモデルが次々に生産中止となるなか、R1-Zはマイナーチェンジを経て生産が続けられ、日本のバイクメーカーが2ストローク250ccバイクの生産販売を一斉に取り止める1999年まで新車販売されていた。

マイナーチェンジの内容は、馬力規制に伴ったCDIの変更、ハザードランプスイッチの追加、フレーム補強、ラジアルタイヤの採用、サスペンションの改良、シート形状の改良、ステップの振動対策のためのウエイト追加などが挙げられる。ちなみにセルスターターは装備されなかった。

構成部品はFZRなど他車種との部品共有が多く、RZのように全ての部品が専用設計であったわけではない。エンジンはTZR初期型と同型ではあるが、キャブレター口径を28mm→26mmへサイズダウン、点火時期の変更、ミッションギヤレシオや2次減速比を低速に設定したことなどにより、街中での扱いやすさが考慮されている。

2ストロークパラレルツインの「ヤマハRシリーズ」はR1から始まり、R2、R3、RX、RD、RZと続き、R1-Zで終わった。

R1-Zは二度のモデルチェンジを経たため、俗にいう三つの「型式」が存在する。フレーム番号で分類できる。

  • 3XC1(1990年6月発売):3XC-000101 - 白(シルキーホワイト)、黒(ブラック2)、赤(ビビッドレッドカクテル1)
  • 3XC2(1991年9月発売):3XC-030101 - 白(シルキーホワイト)、黒(ブルーイッシュブラック2)
  • 3XC3(1992年12月発売):3XC-040101 - 白(ブルーイッシュホワイトカクテル1)、ガンメタリック(フロストシルバー)

外部リンク[編集]

関連項目[編集]