PM1910重機関銃

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PM1910重機関銃
Maxim Maschinengewehr 1910.jpg
PM1910重機関銃
概要
種類 重機関銃
製造国 ロシア帝国の旗 ロシア帝国/ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
設計・製造 ツーラ造兵廠
性能
口径 7.62mm
銃身長 720mm
使用弾薬 7.62x54mmR弾
装弾数 ベルト給弾式(1連250発)
全長 1,100mm
重量 64,3kg
発射速度 550発/分
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PM1910重機関銃: 7.62 станковый Пулемет системы Максима образца 1910 года: Pulemyot Maxima na stanke Sokolova 1910)は、ロシア帝国で開発された重機関銃

開発経緯[編集]

19世紀に始まった産業革命以降、工作機械の発達と同時に世界各国では銃器兵器に関してもそれまでとは比べ物にならないほどの発展を遂げることとなった。中でも、それまで単発でしか撃てなかった小銃拳銃に変わり、自動式銃器の発達により機関銃自動式拳銃、さらには連発式ライフルといった銃器が生まれたのもこの頃である。

19世紀に開発された代表的な機関銃として「マキシム機関銃」が挙げられる。水冷式であるこの機関銃は1885年にアメリカ人であるハイラム・マキシムにより設計された。発射速度が速く(従来の連発式銃であるガトリング銃と比べると、ガトリング銃は発射速度が毎分350発に対しマキシム機関銃は毎分500発)、銃自体もガトリングに比べて軽く、しかも、機関部の故障も少なかったため、世界各国で機関銃の売り込みは成功、1890年イギリス陸海軍ヴィッカース重機関銃)で採用されたのを始め、その後世界各国で制式採用された。当時のロシア帝国も例外ではなく、マキシム機関銃を大量輸入し、さらに1902年にはイギリスから自国生産のためのライセンス権を取得し、国内生産を目指した。しかし、他国に比べてこの頃のロシアは工業力が乏しく、更に、同年始まった日露戦争などが重なり生産準備が遅れ、ライセンス取得後の1905年にようやくトゥーラ造兵廠においてPM1905重機関銃(マキシム機関銃の完全コピー版)の生産を開始することができた。

日露戦争では、ロシア軍はこのマキシム機関銃を要塞陣地に設置して使用し、対する日本軍に対して多大な損害を与えた。しかし、生産ラインが整ったばかりであり、ロシア軍に配備されたものは初期輸入した機関銃しか無く、配備数は少なかった。

PM1910重機関銃の登場[編集]

日露戦争以降、ロシアでは独自に開発した機関銃が存在せず、第一次世界大戦直前までの長い間、マキシム機関銃のコピー品であるPM1905重機関銃を使用してきた。しかし、実戦においてマキシム機関銃の有効性を再確認したロシア軍は、この機関銃の完全コピーであったPM1905を改良しPM1910重機関銃を改めて開発した。

PM1910は水冷式であったため、さえあれば何発でも連続射撃が可能であった。しかし、その分非常に重く、車両で牽引できるように機関銃自身に車輪を取り付けている。また、生産コストの削減の名目で、それまでで覆っていた銃身部を鋼鉄に変え、最前線で使用できるように防弾用の防盾も取り付けられた。もっとも、この防盾は銃自身がさらに重くなる事やライフル弾の直撃には耐えられなかった事から、実際は外されることが多かった。また、冷却水の補充口が銃身覆い上部に変更されたため、冬季にはを手づかみで放りこむことで冷却水補充の問題を簡単に解決できた。

その後[編集]

タチャンカに据えられたPM1910重機関銃

開発後、PM1910の頑丈さは前線兵士達には歓迎され、第一次世界大戦ロシア革命ロシア内戦フィンランド内戦ポーランド・ソビエト戦争)・第二次世界大戦冬戦争継続戦争独ソ戦)を通して使用され、ロシア帝国からソビエト連邦と国が変わっても防御陣地などで使用された。ロシア内戦時には白軍赤軍双方で使用され、特に、赤軍が用いた数頭立てのが曳く馬車の荷台に後ろ向きに本銃を搭載し、御者と銃手が乗り込む機動性を兼ね備えたタチャンカТачанка)と呼ばれる戦車が白軍相手に活躍した。

水冷式の構造により常に大量のが必要という欠点があったため、ソビエト赤軍ではPM1910の後継として1938年空冷機関銃の開発を開始し(DS1939重機関銃が開発されたが欠陥が見つかり、前線配備される前に姿を消している)、1943年に空冷式重機関銃としてゴリューノフSG-43重機関銃が制式採用されると、PM1910は順次世代交代となった。しかし、その後もPM1910はSG-43と共に使用され、1945年ベルリンの戦いや、同年8月の対日戦線でもPM1910は使用されている。

戦後、余剰兵器となったPM1910は東側諸国に供給され、朝鮮戦争では北朝鮮軍が、ベトナム戦争では北ベトナム軍が使用している。

登場作品[編集]

映画・テレビドラマ[編集]

地獄の黙示録
中盤、ワルキューレの騎行を流しながらベトコンの拠点を襲撃しに来たアメリカ軍UH-1に向けてベトコンが使用、1機を撃墜する。M2重機関銃銃身を改造するなどして制作された。
スターリングラード (2001年の映画)
序盤のソ連軍突撃において、督戦隊が退却してくる自軍将兵を射殺するのに使用。
戦争と人間 第三部・完結篇
ノモンハン事件のシーンで登場。敗走中の主人公が、遺棄された本銃の銃身部分に残されたで喉の渇きを癒す場面がある。
提督の戦艦
後半のロシア内戦での戦闘シーンで、白軍と赤軍の双方が使用。
バトル・オブ・ワルシャワ-大機動作戦-
ポーランド軍と赤軍の双方が使用。赤軍の方にはPM1910を4頭立て馬車の後席部分に据えつけたタチャンカも登場する。

漫画[編集]

『独立戦車隊』
「ウクライナ混成旅団~幻の豹」にて、赤軍機関銃として登場し、中盤の暴動鎮圧のシーンでは暴動を起こしたUPAらを数人射殺する。

その他[編集]

『Два Максима(二つのマキシム)』
ソ連マキシム機関銃兵士のマキシムを描いた歌。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]