Okta (アイデンティティ管理)
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種類 | 公開会社 |
|---|---|
| 市場情報 | NASDAQ: OKTA |
| 業種 | ソフトウェア、コンピュータセキュリティ |
| 設立 | 2009年(Saasure Inc.として)[1] |
| 創業者 |
トッド・マッキノン フレデリック・ケレスト |
| 本社 |
サンフランシスコ(100 First Street) 、 |
事業地域 | 全世界 |
主要人物 |
トッド・マッキノン(CEO・取締役会長) エリック・ケレハー(社長・COO) ブレット・タイ(CFO)[2] |
| 製品 |
Okta Platform(ワークフォースアイデンティティ) Auth0 Platform(カスタマーアイデンティティ) |
| 売上高 | 29億1,900万米ドル(2026年1月期)[1] |
営業利益 | 1億4,900万米ドル(2026年1月期)[1] |
利益 | 2億3,500万米ドル(2026年1月期)[1] |
従業員数 | 6,366人(2026年1月31日時点)[1] |
| 子会社 | Okta Japan株式会社 ほか |
| ウェブサイト |
www |
Okta, Inc.(オクタ)は、アメリカ合衆国サンフランシスコに本社を置くアイデンティティおよびアクセス管理(IAM)企業である[3]。従業員や取引先の認証を扱う「ワークフォースアイデンティティ」と、企業が自社の顧客向けサービスに組み込む「カスタマーアイデンティティ」の2つの領域で、シングルサインオン、多要素認証、ユーザーアカウントのライフサイクル管理、アイデンティティガバナンス、特権アクセス管理などの機能をSaaSとして提供する[1][4]。主力製品はOkta PlatformとAuth0 Platformの2系統で、後者は2021年に買収したAuth0に由来する[1][5]。
2009年にSaasure Inc.として設立され、2010年に現社名となった[1]。2017年4月にNASDAQへ上場し[6]、2021年5月にはAuth0を約65億ドル相当の株式交換で買収した[7][5]。2026年1月31日時点の顧客数は2万社超、従業員数は6,366人で、2026年1月期の売上高は29億1,900万ドルである[1]。
日本では2020年9月に日本法人のOkta Japan株式会社を設立し、パートナー企業を通じた販売を中心に事業を展開している[8][9]。
概要
[編集]社名
[編集]社名は、気象観測で雲量を表す単位「オクタ」(okta)に由来する。同社の最高マーケティング責任者ライアン・カールソン(Ryan Carlson)は、空の雲量が0オクタ(快晴)から8オクタ(全天が雲)までで表されることにちなみ、クラウド上でアイデンティティを扱う事業と結び付けた命名だと説明している[10]。
事業モデルと規模
[編集]Oktaは複数年のサブスクリプション契約を主な収入源とするSaaS事業者で、2026年1月期の売上高の98%をサブスクリプション収入が占める[1]。顧客は従業員100人未満の組織からFortune 50企業、大学、非営利団体、政府機関まで幅広く、2026年1月31日時点で2万社超、うち年間契約額が10万ドルを超える顧客は5,100社である[1]。2020年の日本法人設立時点で公表された顧客数は8,950社超であった[11]。
| 会計年度 | 売上高(百万米ドル) | 顧客数(各年1月31日時点) |
|---|---|---|
| 2020年1月期 | 586 | |
| 2021年1月期 | 835 | |
| 2022年1月期 | 1,300 | 1万5000社超 |
| 2023年1月期 | 1,858 | 1万7600社超 |
| 2024年1月期 | 2,263 | 1万8950社超 |
| 2025年1月期 | 2,610 | |
| 2026年1月期 | 2,919 | 2万社超 |
| 出典: 各年度のForm 10-K[12][13][14][1] | ||
市場での位置づけ
[編集]同社は自らを「独立系のアイデンティティパートナー」と位置づけ、特定のクラウド事業者やアプリケーションにアイデンティティ管理を束ねない中立性を強調している[1][15][11]。調査会社ガートナーの「アクセス管理のマジック・クアドラント」では、2024年版でマイクロソフト、Ping Identity、Okta、IBMがリーダーに位置づけられ[16]、2025年版でOktaは9年連続でリーダーに選ばれたと同社は発表している[17]。ガートナーの推計では、アクセス管理市場の規模は2023年に58億5,000万ドル(前年比17.6%増)であった[16]。
沿革
[編集]創業と成長(2009年 - 2016年)
[編集]Oktaは2009年、セールスフォース・ドットコムの出身であるトッド・マッキノン(Todd McKinnon)とフレデリック・ケレスト(Frederic Kerrest)によって、Saasure Inc.としてカリフォルニア州で設立された[1][18][19]。マッキノンはピープルソフトを経て、セールスフォース・ドットコムで開発担当上級副社長を5年以上務めた人物である[18]。2010年にデラウェア州法人のOkta, Inc.として再法人化し、現在の社名となった[1]。
初期の投資家にはアンドリーセン・ホロウィッツ、グレイロック・パートナーズ、コスラ・ベンチャーズ、セコイア・キャピタルが名を連ねる[6]。2014年6月にはセコイア・キャピタルの成長投資部門が主導する約7,500万ドルの資金調達を行い、同社のパット・グレイディが取締役に加わった[20]。2015年9月にはアンドリーセン・ホロウィッツ、グレイロック・パートナーズ、セコイア・キャピタルから7,500万ドルを調達し、評価額は約12億ドルとなった[21]。
同社は毎年、顧客事例や新製品の発表を行うユーザー会議「Oktane」を開催しており[1]、2022年11月のOktane22が第10回の年次会議とされている[22]。
株式公開と事業拡大(2017年 - 2020年)
[編集]2017年3月、開発者向けの認証APIを提供していたStormpathのチーム35人を受け入れ、同社技術のライセンスを取得した[23]。同月、NASDAQへの上場を申請し[24]、4月7日にティッカーシンボル「OKTA」で取引を開始した。公開価格は仮条件(15〜17ドル)の上限である17ドルで、1,100万株の売り出しにより約1億8,700万ドルを調達した[6][18]。初値は23.56ドルで、初日の時価総額は約22億ドルに達した[25]。上場時点の顧客数は3,100社超で、アドビ、アメリカン・エキスプレス、LinkedInなどが含まれていた[25]。上場時の筆頭株主は21.2%を保有するセコイア・キャピタルであった[26]。
2018年5月のOktane18ではバラク・オバマ元大統領が基調講演を行った[27][28][29]。同年7月にはサーバーへのアクセス管理を手がけるScaleFTを買収した(金額非公開)[30]。2018年にはJetBlueが顧客向けサービスの認証基盤にOktaを採用したことが発表された[31]。
2019年1月、登録ユーザー数が1億人を超えたと発表した[32]。同年3月には、コードを書かずにアプリケーション間の処理を自動化するAzuqua(シアトル、2013年創業)を5,250万ドルの現金で買収すると発表し、当時としては同社最大の買収となった[33][34]。2020年9月には日本法人Okta Japanを設立した(後述)[8]。
Auth0買収と製品体系の再編(2021年 - 2023年)
[編集]2021年3月3日、開発者向けのアイデンティティ管理プラットフォームを提供するAuth0を、約65億ドル(当時約7,000億円)相当の株式交換で買収すると発表した[7][35]。Auth0は2013年にエウヘニオ・パーチェ(Eugenio Pace)とマティアス・ウォロスキ(Matias Woloski)がワシントン州ベルビューで創業した企業で、買収発表時点で9,000社超の法人顧客を70か国以上に持っていた[5][36][7]。買収は2021年5月3日に完了し、Auth0はパーチェの下で独立した事業部門として運営された[5]。
同年4月のOktane21では、開発者向けの無償利用枠を月間1万5,000アクティブユーザーまで拡大した「Okta Starter Developer Edition」を発表するとともに[37]、特権アクセス管理(PAM)製品「Okta Privileged Access」とアイデンティティガバナンス(IGA)製品「Okta Identity Governance」を発表し、新市場への参入を表明した[38][39]。同年8月にはアクセス申請のワークフローを手がけるatSpokeを買収し、IGA製品の構成要素とした[40]。
2022年11月、第10回の年次会議Oktane22で、ワークフォース向け製品群を「Okta Workforce Identity Cloud」、Auth0を中核とするカスタマー向け製品群を「Okta Customer Identity Cloud」として再編した[22]。
経営体制では、共同創業者のケレストが2022年3月時点で執行副会長兼最高執行責任者(COO)を務めていたが、2023年3月時点では執行副会長、2024年3月時点では取締役となった[12][13][14]。その後、エリック・ケレハー(Eric Kelleher)が社長兼COOを務めている[41][2]。
2023年8月、個人向けの無料パスワードマネージャー「Okta Personal」を米国とカナダで公開し[42]、同月にはインドのベンガルールに拠点を開設した[43]。同年12月には、アイデンティティ脅威検知・対応(ITDR)を手がけるSpera(パロアルト・テルアビブ)の買収を発表した[44]。
AIエージェント時代への対応(2024年 - )
[編集]2024年10月のOktane 2024では、SaaSの共有アカウントを集中管理する「Secure SaaS Service Accounts」、Okta AIを用いたガバナンス分析機能「Governance Analyzer」、本人確認事業者との連携、端末とアイデンティティを結び付ける「Extended Device SSO」を発表し、OpenID Foundationと共同でSaaS横断のアイデンティティセキュリティ標準(IPSIE)を策定する取り組みを表明した[45]。同年12月には、Amazon Web Services(AWS)の2024年パートナーアワードで「Global AWS Marketplace Partner of the Year」(Wizと同時受賞)と「Non-Profit Organization Technology Partner of the Year」を受賞した[46]。
2025年1月、マクラーレンF1チームの公式パートナーとなる複数年契約を結んだ[47]。同年3月には、2020年12月のAWS Marketplace初掲載からの累計売上高が10億ドルに達したと発表した[48]。6月には、AIエージェントとアプリケーションの間の認可を組織のアイデンティティ基盤で管理するための仕様「Cross App Access(XAA)」を提唱した[49]。8月にはイスラエルの特権アクセス管理企業Axiom Security(2021年創業)の買収を発表し、9月4日に完了してOkta Privileged Accessへ統合した[50][51][52]。9月のラスベガスでのOktane 2025では、人間・AIエージェント・機械のアイデンティティを一体で扱う「アイデンティティセキュリティファブリック」の構想を示し、AIエージェント向けの製品群と、改ざん耐性のあるデジタル資格情報を発行・検証する機能を発表した[53][54]。
2026年5月、Okta for AI AgentsがAWSのAmazon Bedrock AgentCoreで構築されたエージェントに対応し、Okta以外のアイデンティティプロバイダーも利用できるようになった[55][56]。6月にはGoogle Cloudとの提携を拡大してGemini Enterprise Agent PlatformおよびChrome Enterpriseとの連携を発表し[57]、XAAの採用企業が25社を超えたと公表した[49]。7月30日には、アイデンティティ脅威検知のPermiso Securityを買収することで合意した(完了予定は2027年1月期第3四半期)[58][59]。8月には、AIエージェント向けのシングルサインオン機能「Agent SSO」の一般提供を開始した[60][61]。
製品とサービス
[編集]Oktaの製品は、従業員・契約社員・取引先を対象とするワークフォースアイデンティティと、顧客向けアプリケーションに認証を組み込むカスタマーアイデンティティの2つの用途に分かれる。ワークフォース向けはOkta Platformが、カスタマー向けはOkta PlatformとAuth0 Platformの双方が担う[1]。2022年に導入された「Okta Workforce Identity Cloud」「Okta Customer Identity Cloud」の呼称は[22]、その後それぞれ「Okta Workforce Identity」「Okta Customer Identity」に改められた[62][63]。開発者向けには、2021年に月間1万5,000アクティブユーザーまで無償で利用できる「Okta Starter Developer Edition」が用意された[37]。
Okta Platform(ワークフォースアイデンティティ)
[編集]Okta Platformは、利用者が一度のログインでGmail、Workday、Salesforce、Slackなどの複数のサービスにサインインできるシングルサインオンを中核とし[64]、次のような製品で構成される[1]。
- シングルサインオンと適応型多要素認証(Adaptive MFA) - 社内からのアクセスと社外からのアクセスで要求する認証を変えるなど、利用状況に応じた認証制御を行う[1][65]。
- Universal Directory - 利用者、アプリケーション、端末のプロファイルを保存する、クラウド上の中央ディレクトリ[1]。
- Lifecycle Management - 入社・異動・退職に伴うアカウントの作成・変更・削除(プロビジョニング)を自動化する[1][65]。
- Okta Workflows - コードをほとんど書かずに、アカウント発行などアイデンティティに関する業務プロセスを組み立てるツール[1]。
- Okta Identity Governance - アクセス申請、アクセス権の定期確認(棚卸し)、報告書作成などのガバナンス機能[1]。2021年に発表され[38]、買収したatSpokeの申請ワークフロー技術を取り込んでいる[40]。
- Okta Privileged Access - サーバーやクラウド基盤、非人間アイデンティティに対する特権アクセスの管理[1]。2025年に買収したAxiom Securityの技術が統合された[50]。
- Okta Device Access - パソコンなど端末へのログインにOktaの認証情報と多要素認証を適用する[1]。
- Identity Threat Protection - Oktaが持つシグナルと連携する他社セキュリティ製品のシグナルを組み合わせ、リスクを継続的に評価して自動的に対処する[1]。
- Okta Access Gateway - 社内に設置するWebプロキシソフトウェアで、オンプレミスのアプリケーションをシングルサインオンの対象に加える[11]。
Active Directoryとはエージェントによる同期で連携し、既存のオンプレミス環境の認証基盤を維持したまま導入できる[11][65]。2024年には、SaaSの共有アカウントの認証情報を保管・ローテーションする「Secure SaaS Service Accounts」や、Okta AIを利用してアクセス権の承認判断を支援する「Governance Analyzer」が追加された[45]。
Auth0 Platform(カスタマーアイデンティティ)
[編集]Auth0 Platformは、企業や行政機関が顧客・市民向けのウェブ、モバイル、クラウドのアプリケーションに認証・認可機能を組み込むための開発者向けプラットフォームである[1]。買収前のAuth0は、開発者がウェブやモバイルのアプリケーションに認証機能を組み込むためのプラットフォームとして提供されていた[36][7]。
パスワードを使わない認証としては、FIDOの仕様に基づくパスキーに対応し、2023年10月の早期アクセスを経て2024年初めに一般提供された[66]。2026年には、AIエージェントが利用者の代理として外部サービスへアクセスするためのトークンを保管・更新する「Token Vault」などを備えたAuth0 for AI Agentsが、Google CloudのGemini Enterprise Agent Platformと連携した[57]。
Okta Integration Network
[編集]Okta Integration Network(OIN)は、Oktaと事前に接続を検証したアプリケーションやIT基盤のカタログである。2026年1月31日時点で7,000を超える連携が登録されており、AWS、Atlassian、Google、Microsoft 365、Oracle、Salesforce、SAP、ServiceNow、Slack、Splunk、VMware、Workday、Zoomなどが含まれる[1]。連携の方式にはSAML、OpenID Connect、SCIMによるプロビジョニングなどがあり、同社のカタログは2026年9月時点で8,000超の連携を掲載している[67][68]。
日本発のSaaSでは、サイボウズの製品(サイボウズ Office、kintone、Garoon)が2020年時点で連携済みで[11]、その後Sansan、SmartHRなどが対応し[9]、2026年8月にはLINE WORKSがSCIM連携で登録された[68]。
AIエージェント向け機能と標準化活動
[編集]Oktaは2025年以降、AIエージェントを人間と同じく管理対象のアイデンティティとして扱う「アイデンティティセキュリティファブリック」の構想を掲げている[53][69]。主な要素は次の通りである。
- Okta for AI Agents - 組織内のAIエージェントを発見・登録し、人間の所有者を割り当てて、アクセス権の付与・監査・停止を行う[53][55]。2026年5月にAmazon Bedrock AgentCoreで構築されたエージェントに対応し、OINを通じてAgentCoreからエージェントを取り込めるようになった[55][56]。
- Auth0 for AI Agents - 開発者がエージェント型アプリケーションに認証・認可を組み込むための機能群[1][57]。
- Cross App Access(XAA) - OAuthを拡張し、エージェントとアプリケーション間、アプリケーション同士のアクセスの認可を個々のアプリケーションではなく組織のアイデンティティプロバイダーが判断できるようにする仕様で、Model Context Protocol(MCP)の認可拡張として位置づけられている[1][49]。2026年6月時点でAsana、Atlassian、Cloudflare、Datadog、Slack、Zoom、AnthropicのClaude、Canva、Docker、Figma、Visual Studio Codeなど25社超が採用を表明している[49]。
- Agent SSO - XAAに対応したエージェントをUniversal Directoryに登録し、人間の従業員と同じ管理画面でアクセスポリシーを適用する機能で、2026年8月に一般提供が始まった[60][61]。
標準化活動では、2024年にOpenID Foundationと共同で、リスクシグナルの共有やセッション終了などをSaaS間で標準化する「Interoperability Profile for Secure Identity in the Enterprise(IPSIE)」の策定を始めた[45][1]。また、Okta MCPサーバーを公開しており、AIエージェントから自然言語でユーザー情報の照会やグループの分析などのアイデンティティ操作を行える[70]。
Okta Personal
[編集]2023年8月、個人向けの無料パスワードマネージャー「Okta Personal」を公開した。ウェブブラウザの拡張機能として動作し、パスワードの自動生成・保存・自動入力や他社製品からの移行機能を備え、公開時点では米国とカナダで利用できた[42][54]。
調査レポート
[編集]Oktaは、OINを通じて集まる匿名化された利用データに基づく年次調査「Businesses at Work」を公表している。2024年版では1社当たりの業務アプリケーション数が米国で105、日本で35と報告され、顧客数の伸びが最も大きかったアプリケーションは1Passwordであった[71]。2026年版は2024年11月から2025年10月までのデータに基づき、日本法人が国内向けに結果を発表している[72]。2026年7月には、2万社超のアクセスデータから企業でのAIツール利用動向をまとめ、企業アカウントの純増数で見た成長率ではAnthropicが首位で、成長率上位10ツールのうち企業アカウント数が最も多いのはMicrosoft 365だったと発表した[73]。
技術基盤とパートナー
[編集]クラウド基盤とAmazon Web Servicesとの関係
[編集]Oktaのサービスは、2017年の上場申請時点でAmazon Web Services(AWS)のクラウド上に構築されていた[24]。OINにはAWS IAM Identity Center(旧AWS Single Sign-On)向けの連携が登録されており、OktaをアイデンティティプロバイダーとしてSAML認証とSCIMによる利用者同期を構成し、複数のAWSアカウントへのアクセスを一元管理できる[74][75]。2023年には、AWSとOktaの技術者がAWS管理者権限への「必要な時だけ」の最小権限アクセスをOktaとIAM Identity Centerで構成する手順をAWSの公式ブログで共同解説した[76]。
AWSのパートナーアワードでは、2024年に「Global AWS Marketplace Partner of the Year」(Wizと同時受賞)と「Non-Profit Organization Technology Partner of the Year」を受賞し[46]、2025年3月には、2020年12月にAWS Marketplaceへ初めて製品を掲載してからの累計売上高が10億ドルに達したと発表した[48]。2026年にはAWSがOkta MCPサーバーと自社のAI開発環境Kiroの連携手順を公開し[70]、Okta for AI AgentsがAmazon Bedrock AgentCoreに対応した[55]。
Google CloudおよびMicrosoftとの関係
[編集]Google Cloudとは2026年6月に提携を拡大し、Auth0 for AI AgentsとGemini Enterprise Agent Platformの連携、Okta for AI AgentsとGemini Enterpriseの連携、Chrome Enterpriseとの連携を発表した[57]。マイクロソフトは、アクセス管理市場でOktaと並ぶリーダーに位置づけられる競合である一方[16]、同社の2024年版の利用動向調査ではMicrosoft 365が顧客数の最も多いアプリケーションであり[71]、Visual Studio CodeはXAAの採用企業の一つに挙げられている[49]。
セキュリティ・監視ツールとの連携
[編集]Oktaの認証・操作イベントを記録するシステムログは、各社のSIEMや監視サービスから取り込むことができる。Splunkは「Splunk Add-on for Okta Identity Cloud」でシステムログのイベントを収集し[77]、ElasticはOkta System Log APIから収集するインテグレーションを[78]、マイクロソフトはMicrosoft Sentinel向けの「Okta Single Sign-On」コネクタを提供している[79]。Datadogは、Oktaのセキュリティイベントログを自社のログ管理機能に取り込むインテグレーションと、Datadogへのログインに用いるSAMLアイデンティティプロバイダーとしてOktaを構成する手順を公開している[80][81]。エンドポイント保護やクラウドアクセス制御の分野では、CrowdStrike、Netskope、Proofpointとの連携が日本法人設立時に紹介されている[11]。
競合
[編集]アイデンティティ管理を他のサービスと束ねて提供する大手クラウド事業者に対し、Oktaは専業であることを差別化点としている[11]。同じく独立系のIDaaS事業者としてはPing IdentityやOneLoginが比較対象に挙げられ[11]、ガートナーのマジック・クアドラントではマイクロソフト、Ping Identity、IBMとともにリーダーに位置づけられている[16]。
日本での展開
[編集]Okta Japanの設立と沿革
[編集]Oktaは2020年9月2日、日本法人Okta Japan株式会社の設立を発表し、代表取締役社長に渡邉崇が就任した[8][11][82]。渡邉はアドビやSAPを経てアピリオの日本法人社長を務めた人物で、2020年7月に社長に就いた[82][83]。設立発表に合わせてウェブサイトの日本語ページを4ページから200ページに拡充し、発表時点の販売パートナーは日立ソリューションズ、NTTデータ、マクニカネットワークスの3社であった[83][11]。
その後、2022年2月にAuth0の日本法人を統合し、同年3月に国内データセンターを稼働させ、同年10月に東京オフィスを渋谷ヒカリエへ移転した。2023年9月には大阪オフィスを開設し、2024年9月には日本を担当する最高セキュリティ責任者(リージョナルCSO)として板倉景子を任命した[84][9][85]。国別のCSOを置くのは同社で初めての取り組みである[9]。設立5周年の2025年9月時点でパートナー企業は130社に増え、売上高は2020年比で20倍になったと同社は説明している[84][9]。2025年11月には東京でイベント「Oktane on the road」を開催した[69]。
パートナーと協業
[編集]日本では米国と異なりパートナー経由の販売が中心である[9]。2024年2月にはソフトバンクと協業し、同社の法人向け端末管理サービス「ビジネス・コンシェル デバイスマネジメント(BCDM)」にOkta Workforce Identity Cloudのシングルサインオンなどの機能を組み込んで中堅・中小企業向けに提供することを発表した。両社はマルチテナント型のマネージドサービスプロバイダー契約を締結し、日本国内で2年間の独占契約とされた[86][87]。
2026年4月にはラックがOkta Workforce Identityの導入支援を定額パッケージ化した「Oktaスターターパック」を発売し[62]、同年5月の「FY26 Partner Award Japan」ではNTTデータが「Auth0 Platform Partner of the Year」を受賞した[88][89]。同年8月にはSky株式会社がAWS Marketplaceのチャネルパートナープライベートオファー(CPPO)を通じてOkta製品のライセンス提供を始め[90]、LINE WORKSがOINにSCIM連携で登録された[68]。開発者向けには、2026年1月に国内のAuth0開発者を認定する「Auth0 Heroes Program」を開始している[91]。
国内の導入事例
[編集]カスタマーアイデンティティの分野では、セガが2025年2月に自社開発の認証システムからAuth0へ移行したことが発表され[92]、セイコーエプソンは同年10月に、顧客向けサービスの共通認証基盤「Epson Global ID」をAuth0上に構築し、会員サイト「MyEPSON」に2段階認証を導入したと発表した[93]。清水建設は、最大6,000社・1万7,000人が利用する協力会社向けシステムのID管理をOkta Customer Identityで一元化し、日立ソリューションズが導入を支援した(2026年3月発表)[63]。
ワークフォースアイデンティティの分野では、スーパーマーケットのオーケーがマクニカの販売とネクストモードの支援によりOkta Workforce Identityを導入し、2024年5月に本部社員と外部スタッフ約1,500ユーザーへの展開を完了した[65]。
セキュリティインシデント
[編集]2021年3月9日、ハッカー集団「Advanced Persistent Threat 69420」が、同社のVerkada製カメラのセキュリティ上の欠陥を突き、Oktaのオフィスネットワークに侵入した[94]。彼らはカメラからセキュリティ映像をダウンロードすることができた[95]。グループのメンバーの一人であるマイア・アーソン・クライムは、グループがネットワークへのルートシェルアクセス権限を得たことも明らかにした[96]。翌日のブログ投稿で、Oktaの最高セキュリティ責任者であるデビッド・ブラッドベリーは、ルートシェルをカメラメーカーVerkadaの「内部サポートツール」であるとして、その影響を軽視した[95]。 しかし、このシェルを利用し、ハッカーが権限昇格することでネットワーク上で任意のコマンドを実行する完全なアクセス権を与えるものであり、Cloudflareは、同社のネットワークに対する同グループによる同様のハッキングで、同レベルのアクセス権が提供されたことを認めている[97]。ブラッドベリーはまた、脅威は隔離されたネットワークに封じ込められたと述べた。
2022年3月22日、ハッカーグループのLAPSUS$が、Oktaの内部システムからとされるスクリーンショットを投稿した[98]。翌日、Oktaは最大で366社の顧客データが影響を受けた可能性があると結論付け、さらに、この侵害はハッカーがアクセスしたOktaのサードパーティのカスタマーサポートエンジニアが使用していたコンピュータに起因すると述べた[99]。
2022年12月、ハッカーがOktaのGitHubリポジトリにアクセスし、同社のソースコードが盗まれた[100]。
2023年10月初旬、OktaはBeyondTrustから、ハッカーがOktaのサポートプラットフォームからHTTPアクセストークンを盗み出したという侵害の通知を受けた。Oktaは数週間にわたりこのインシデントを否定したが、後に侵害が発生したことを認めた[101]。このOktaの侵害によって影響を受けた顧客には、シーザーズ・エンターテインメント、MGMリゾーツ・インターナショナル、1Password、Cloudflareなどが含まれる[102][103][104]。2023年11月29日、このセキュリティインシデントがOktaの全顧客に影響を与えたことが判明した[105][106]。
関連項目
[編集]脚注
[編集]- 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 “Okta, Inc. Form 10-K for the fiscal year ended January 31, 2026” (英語). U.S. Securities and Exchange Commission (2026年3月5日). 2026年9月6日閲覧。
- 1 2 “Leadership” (英語). Okta. 2026年9月6日閲覧。
- ↑ Rivas, Teresa (2017年12月6日). “Okta CEO Is Feeling Optimistic. Looks Like Investors Are Too”. Barron's (英語). 2018年4月8日閲覧.
- ↑ Bridgwater, Adrian (2018年5月23日). “Okta Insists Identity 'Goes Beyond' Passwords”. Forbes (英語). 2019年3月6日閲覧.
- 1 2 3 4 Soper, Taylor (2021年5月6日). “Auth0 CEO Eugenio Pace on the $6.5 billion deal with Okta and his advice for entrepreneurs”. GeekWire (英語). 2026年9月6日閲覧.
- 1 2 3 Balakrishnan, Anita (2017年4月7日). “Okta skyrockets more than 38% after IPO” (英語). CNBC. 2026年9月6日閲覧.
- 1 2 3 4 Condon, Stephanie (2021年3月4日). “ID管理のOkta、Auth0を買収へ--約7000億円”. ZDNET Japan. 2026年9月6日閲覧.
- 1 2 3 渡邉, 利和 (2020年9月3日). “ID管理のOktaが日本法人を設立--国内での事業展開を本格化”. ZDNET Japan. 2026年9月6日閲覧.
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外部リンク
[編集]- 公式ウェブサイト
- Okta Japan(日本語)