Mind Walker

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Mind Walker(マインド・ウォーカー)とは、1986年シナプス・ソフトウェア英語版のビル・ウィリアムズが製作、コモドール社からリリースされたAmiga 1000用のコンピューターゲーム。Amigaにてリリースされた最初の商用ソフトであり、Amiga用にコモドール社から直々に発売された唯一のゲームでもある。

音楽やゲームデザインなどが極めてサイケデリックであり、『TV's TV』(1987年に放映されたメディアアートを紹介するフジテレビの深夜放送の特別番組)では「ドラッグ感覚のゲームソフト」と評された。

ストーリー[編集]

プレイヤーは発狂した物理学者となり、悪い細胞を倒したり、分裂した人格を再統合したりするなどして精神を取り戻してゆく。

ゲーム内容[編集]

ゲームとしては三人称視点で、第1フェーズは3D、第2フェーズは2Dとなっている。なお、第3フェーズはパズルである。

第1フェーズでは、まず、クリスタルから脳内のどこかに存在する次のステージの入り口(チューブ)まで正しい道(Path)を形成させなければならない。その為、人間、ウィザード、スプリガン、ニンフの4つのキャラクターを切り替えて進めていく。 道中出現する敵は、電撃で攻撃することがでる。しかし、攻撃している間キャラは動くことができない。敵にぶつかる又は目的地に近づくにつれて、敵の数は増加していく。

第1フェーズをクリアしたら、緑色のチューブに入ることで第2フェーズへ行くことが出来る。第2フェーズはニューロンの迷路となっており、プレイヤーは迷路の中にあるピラミッドをレーダー音を頼りに探し出さなければならない。

第3フェーズは、パズルである。パズルは静止画ではなく、幾何学的模様をしていて絶えず動いているため、非常に難易度が高い。どうしても分からない時には、左画面の顔をクリックすると頭からレーザーが出て、自動でパズルを当てはめてくれる。

しばらくすると第1フェーズに戻る。以後、パズルが完成するまでこれを繰り返す。

評価[編集]

「クソゲーハンター」を自称するライターの阿部広樹が『超クソゲー外伝』(2000年)で評したところによると、本作は「はっきりいってクソゲー」であるが、日本でもプレイステーション世代以降にいくつもリリースされた「出来の悪さを現代アートの文脈やサブカル風味で胡魔化したアート&こじゃれ系クソゲー」[1]の元祖であり、「AMIGAのカルチャーを決定付け」[2]たと評価されている[1](この評の存在は、KUSO文化の母体として2000年ごろに日本で隆盛を見たサブカルチャーの1ジャンルである「クソゲー批評」の界隈で本ソフトが知られていたことを示す)。

関連項目[編集]

  • シナプス・ソフトウェア英語版 - 当時ブローダーバンド社傘下の大手ゲームメーカーであったが、筋肉の張力をモニターするためのヘッドマウント型デバイスと、ユーザーをリラックスさせるためのオーディオテープが付属したソフト「relax」を1984年にApple II向けにリリースするなど、前衛的な製品を出すことでも知られていた。
  • 福原伸治 - 『TV's TV』のプロデューサーとして、「Mind Walker」を日本に紹介。後に、Amigaを全面的に用いたサイケデリックな子供番組「ウゴウゴ・ルーガ」を製作
  • 岩井俊雄 - 『TV's TV』の製作に関わる。後に、Amigaを用いたメディアアートの第一人者として「ウゴウゴ・ルーガ」などに関わる
  • LSD』 - 1998年にプレイステーション用にリリースされた同ジャンルのソフト(ドラッグ感覚のゲームソフト)

参照[編集]

  1. ^ a b 『超クソゲー外伝 企画屋稼業』阿部広樹、2000年、太田出版、p.69
  2. ^ 『超クソゲー外伝 企画屋稼業』阿部広樹、2000年、太田出版、p.41