MARCH (学校)

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MARCH(マーチ)とは、日本の大学群のひとつを示す通称。これらには以下の大学が含まれ、名称は各校英字表記の頭文字で構成される。

概要[編集]

大学受験就職活動等に際して使われることがある関東の上記私立大学5校を指した語である。この括りには実態はなく、この大学群を単位とした特別な交流や集会などは存在しない。MARCHの一部は東京六大学とも重複し、スポーツの連盟などで交流する大学もある。

学生スポーツでは関東大学リーグに加盟している。バスケットボールでは関東大学バスケットボール連盟アメリカンフットボールでは関東学生アメリカンフットボール連盟に加盟しているが、硬式野球では明治大・立教大・法政大は東京六大学野球連盟、中央大・青学大は東都大学野球連盟にそれぞれ加盟しているなど、同じリーグではないスポーツもある。またMARCHのみを対象としたカンファレンスは存在しない。

歴史[編集]

『MARCH』という大学グループ名は、旺文社で長く受験情報誌の編纂に関わり、受験専門誌『螢雪時代』の元編集長でもある代田恭之が1960年代に考案したとされる[1][2]

代田は当時、全国の高校や大学を回って大学受験についての講演をすることが多かった。講演で聴衆が眠くならないよう、また、大学を身近に感じてもらえるよう、などという思いから、いくつかの大学を合格の難易度、歴史と伝統、近隣地域などでグループ分けし、インパクトのある大学名の語呂合わせをよく考えた。「MARCH」もその1つであった[1][付記 1]。ただし、代田による最初の命名は、慶應義塾大学(K)と早稲田大学(Wa)も加え、映画音楽の『クワイ河マーチ』にかけた『KWaMARCH』(クゥワマーチ)という表記であった[1]。しかし、これは読みにくいので『WaKMARCH』(ワックマーチ)となり[付記 2]、講演やラジオで「ワックマーチ」と連呼したこともあるという。だがまもなく、「WaK」が切り離され「MARCH」となった[1]

「MARCH」は、その後一部の受験関係者の間では使われていたものの、それほど広まってはいなかった[1][付記 3]。『螢雪時代』の元編集者である田川博幸によれば、『螢雪時代』『私大合格』などの受験情報雑誌に「MARCH」を始めとする、大学をグループ分けした総称が載るようになったのは、バブル最盛期の昭和から平成に移る頃であるという[4][付記 4]

1980年代まで、「MARCH」がマスコミに登場することはほとんどなく[付記 5]、1980年代以前に大学受験を経験した世代にはあまりなじみがない言葉である[1]。しかし、1990年(平成2年)3月には、「MARCH」という大学グループ名が受験関連書籍のタイトルに登場し[6][付記 6]、1990年代末には「明青立法中」という表記も受験関連書籍のタイトルに登場した[8][9]。2000年代に入ってからは、「MARCH」がマスコミにも登場し始めるようになる[1]。川上徹也の調査によれば、「MARCH」という総称が一般誌の見出しに登場するのは、『週刊朝日』2004年4月30日号が最初とされる[3]。翌2005年は、『読売ウィークリー(2005年3月27日号)』『サンデー毎日(2005年5月1日号)』でも「MARCH」という総称を使い始めるようになった[4]

2016年現在では、大学受験に関わるものが誰でも、「MARCH」の後ろに校名をカッコ書きすることなく使えるようになり、進路指導教諭や人事採用担当者や受験生が「MARCHクラス」という言葉を普通に使うようになった[1]。また、文部科学省審議会の議事録[1]や、2011年に東京都教育委員会がまとめた報告書[1][10]などの公的な文書でも使用されるようになった[1]。『早慶MARCH』の著者小林哲夫は、「昨今は「MARCH」が一定の評価を得るブランド力を持ち得るようになった」と評している[1]

また、「MARCH」に学習院大学(G)を含めた6校とし、「GMARCH」(ジーマーチ)と呼ぶ例も多くなってきた[11][付記 7]。公的な資料にも使用され[12]、2015年現在においては、東京では小さな塾に通う中学生でも「ジーマーチ」という言葉を知っているとされる[13]

脚注[編集]

付記[編集]

  1. ^ 同じように代田が考えた大学名の語呂合わせとして、「日東駒専」(原型は成城大学、成蹊大学、神奈川大学を加えた「日東専駒成成神」であったという[3]。)「大東亜帝国」「関東上流江戸桜」などがある[1]
  2. ^ 代田は、「自分が早稲田出身なので早稲田を先に持ってきた」とも語っている[2]
  3. ^ コピーライターの川上徹也は、1960-1980年代後半、いわゆる昭和の『螢雪時代』バックナンバーを調べたが、そこにMARCHという総称を発見することはできず、「昭和30年代から螢雪時代にしばしば登場し、普及していったということは考えにくい」と結論している[4]
  4. ^ 『蛍雪時代』1989(平成元)年7月号の特集では、「MARCH」と同じ五大学の組み合わせを「CHARM」(チャーム)と表記している。ただしこの表記はこの一号限りであった[3]。また、『私大合格』1990(平成2)年8月号では、「JARWaK MarCH」という表記も使用されたが、「MarCH」の箇所は明治・中央・法政の3大学のみであり、現在の「MARCH」とは異なるものであった[3]
  5. ^ 言語学者の稲垣吉彦は1988年に新聞紙上で、「MARCH」「日東駒専」「TDK」(拓殖大学大東文化大学国士舘大学)などの略語について「受験雑誌が作った隠語で、わからなくても当然、問題にするようなものでもない」と評している[5]
  6. ^ 翌年11月にも、同様のタイトルで出版されている[7]
  7. ^ 代田は「GMARCH」について「大学の歴史と伝統に鑑みると「MARCH」の方がすっきりする」と感想を述べている[1]

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n 早慶MARCH, pp. 3-10
  2. ^ a b 『AERA』 2011年1月17日号, pp. 31-33
  3. ^ a b c d 川上 2017b
  4. ^ a b c 川上 2017a
  5. ^ 稲垣吉彦 (1988年10月22日). “世相語センサー 略語”. 読売新聞 夕刊: p. 9 
  6. ^ 永瀬昭典 『有名私大誰も教えてくれない逆転突破術 <MARCH><関・関・同・立><日・東・駒・専>』 二見書房〈サラ・ブックス〉、1990年3月ISBN 4576900196
  7. ^ 永瀬昭典 『有名私大誰も教えてくれない逆転突破術 <MARCH><関・関・同・立><日・東・駒・専> 1992年版』 二見書房〈サラ・ブックス〉、1991年11月ISBN 4576911392
  8. ^ 板野博行 『大学入試 明青立法中 漢字ドリル』 旺文社1999年ISBN 4010322535
  9. ^ 板野博行 『ハイパー現代文 明青立法中編』 アルス工房、1999年ISBN 4795206422
  10. ^ 東京都教育委員会 2011, p. 71,73,その他各校の合格目標欄に表記されている。
  11. ^ 週刊東洋経済 2015年6月27日号, pp. 48-51
  12. ^ 東京都教育委員会 2011, p. 57,58,その他各校の合格目標欄に表記されている。
  13. ^ “挑む 「ジーマーチ」への合格者増 中堅校頑張り公立復権”. 日本経済新聞 朝刊: p. 20. (2015年5月18日) - 日経テレコン21にて2018年03月13日閲覧。

参考文献[編集]

関連項目[編集]