m-CABI

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m-CABI
ポルノグラフィティスタジオ・アルバム
リリース
ジャンル
時間
レーベル SME Records
プロデュース
チャート最高順位
ゴールドディスク
  • プラチナ(日本レコード協会[3]
  • ポルノグラフィティ アルバム 年表
    • m-CABI
    • (2006年)
    『m-CABI』収録のシングル
    1. NaNaNa サマーガール
      リリース: 2005年8月3日
    2. ジョバイロ/DON'T CALL ME CRAZY
      リリース: 2005年11月16日
    3. ハネウマライダー
      リリース: 2006年6月28日
    4. Winding Road
      リリース: 2006年10月4日
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    m-CABI』(エム・キャビ)は、ポルノグラフィティの6作目のオリジナルアルバム。2006年11月22日にSME Recordsよりリリースされた。

    概要[編集]

    前作『THUMPχ』から約1年半ぶりのリリース。2005年から2006年にかけてのヒットシングル「ジョバイロ」「DON'T CALL ME CRAZY」「ハネウマライダー」、本作のリードシングル「Winding Road」など、全17曲が収録されている。

    アルバムタイトルの『m-CABI』は、曲のおもちゃ箱を意味する"music-CABINET"を略したもので[4]、他にも"mind-CABINET"という意味もある[5]。これらは本作の制作にあたり、色とりどりの楽曲をアルバム1枚の作品として楽しめるよう整えたことに由来するものとなっており、2006年のポルノグラフィティのMusicとMindが詰まったアルバムとなっている[5]

    1曲1曲が本作に収録されるための必然性を持ったアルバムにするために、楽曲を共通項や意味を持ったカテゴリーに分ける=各キャビネットに収納するというコンセプトがあり、キャビネットの仕切りとして「m-NAVI」と呼ばれる4曲のインタールードが収録されている。これらのアイデアは「6枚目のアルバムならではの特徴づけをしたい」「6枚目のアルバムに入っている曲たちを印象深いものにしたい」という思いから生まれたものだという[6]

    初回限定生産盤はキャビネットBOX仕様で、「NaNaNa ウィンターガール」を収録したエクストラトラックCDが付属する。

    2007年3月から6月にかけて、本作を引っ提げた自身初の全国アリーナツアー『8thライヴサーキット "OPEN MUSIC CABINET"』を開催[7]。同ツアーをナビゲートする楽曲として「m-NAVI」シリーズのフルバージョンにあたる楽曲「m-FLOOD」が2007年2月28日に配信限定リリースされた[8]

    収録曲[編集]

    編曲:ak.homma, Porno Graffitti(#1-#11, #13-#17)/Porno Graffitti, 野崎ブラザーズ(#12)

    #タイトル作詞作曲時間
    1.「m-NAVI 1 "Ride on!! Blue vehicle!"」 岡野昭仁
    2.ハネウマライダー新藤晴一ak.homma
    3.「BLUE SKY」岡野昭仁岡野昭仁
    4.「BLUE SNOW」新藤晴一ak.homma
    5.「m-NAVI 2 "Keep on having fun with the MUSIC CABINET"」 岡野昭仁
    6.Winding Road岡野昭仁岡野昭仁
    7.「休日」岡野昭仁ak.homma
    8.NaNaNa サマーガール新藤晴一新藤晴一
    9.DON'T CALL ME CRAZY新藤晴一新藤晴一
    10.ジョバイロ新藤晴一ak.homma
    11.「m-NAVI 3 "Ready? Silvia, Geronimo, and Lily?"」新藤晴一岡野昭仁
    12.「月明りのシルビア」岡野昭仁新藤晴一
    13.「Mr.ジェロニモ」岡野昭仁岡野昭仁
    14.「横浜リリー」新藤晴一ak.homma
    15.「m-NAVI 4 "Let's enjoy till the end"」新藤晴一岡野昭仁
    16.「ライン」新藤晴一岡野昭仁
    17.「グラヴィティ」新藤晴一新藤晴一
    合計時間:
    Extra-Track CD(※初回生産限定盤のみ)
    #タイトル作詞・作曲編曲時間
    1.「NaNaNa ウィンターガール」新藤晴一ak.homma, Porno Graffitti
    合計時間:

    楽曲解説[編集]

    1. m-NAVI 1 "Ride on!! Blue vehicle!"
      • 本楽曲からトラック4までが、メンバー曰く“乗り物青コーナー[9][10]
      • アルバムの始まりを告げるインストで、左右に振り分けられたエレキギターの音が特徴的なナンバー。
      • 「m-NAVI 1」に「ウェンディの薄い文字(本作のリードシングルの3曲目)」から繋がっている感じを出したいという岡野の希望により、イントロには「ウェンディの薄い文字」に引き続き、Julia Oshikによるセリフが入れられている[5]
      • アウトロバイクのエンジン音が聞こえると、流れるように次曲「ハネウマライダー」へと続く。このエンジン音は新藤のハーレーダビッドソンをわざわざ運んできて録った音である[5]
    2. ハネウマライダー
      • 20thシングル。
      • 歌詞のモチーフはバイク[11]
    3. BLUE SKY
      • 歌詞のモチーフはバス[11]。青(BLUE)がテーマの1曲。
      • ポップな曲調となっており、新藤曰く「曲は(岡野)昭仁っぽいけど、詞は昭仁っぽくない」。[要出典]
    4. BLUE SNOW
      • 歌詞のモチーフは。青(BLUE)がテーマの1曲。
      • ゲレンデで流れてそうな曲」という理由から、「Ski music」という仮タイトルが付けられていた[5]
      • 歌詞中には「天気職人」が登場しており、アウトロではうっすらと同曲のイントロがノイズ入りで流れるなど、遊び心が感じられる楽曲となっている[11]
      • 「天気職人」のイントロが流れた後、そのまま繋がるように次曲「m-NAVI 2」が始まる。
    5. m-NAVI 2 "Keep on having fun with the MUSIC CABINET"
      • 本楽曲からトラック10までが、メンバー曰く“シングルコーナー[注釈 1][10][12]
      • 前曲のアウトロによって繋がる形で本楽曲に入る。演奏時間は25秒と本作では最短。
      • 他の「m-NAVI」とは大きく曲調が異なるが、さりげなく流れているアコースティック・ギターのパターンは同様である。
    6. Winding Road
      • 21stシングル。
    7. 休日
      • フォーク・バラードナンバーで、岡野のダブル・ボイスで録音されている。[要出典]
      • 曲自体は「愛が呼ぶほうへ」と同時期に出来上がっており[13]、本作への収録にあたり歌詞が書き加えられている[14]
    8. NaNaNa サマーガール
      • 18thシングル。
    9. DON'T CALL ME CRAZY
      • 19thシングル(両A面)の2曲目。
    10. ジョバイロ
      • 19thシングル(両A面)の1曲目。
    11. m-NAVI 3 "Ready? Silvia, Geronimo, and Lily?"
      • 本楽曲からトラック14までが、メンバー曰く“架空の人物コーナー[15][10]
      • エレキギターの音が大きくなったことを除けば「m-NAVI 1」と変わりはないが、本楽曲には歌詞が付き、Bメロやサビも追加され、演奏時間が長くなっている。
      • タイトルにもあるシルビアジェロニモリリーは“架空の人物コーナー”の3曲のタイトルに含まれる人名から。また、これら人名は最後の歌詞に登場している。
    12. 月明りのシルビア
      • 切なくも美しい踊り子「シルビア」を題材としたハードロック調の楽曲[16]
      • アマチュア時代を思い出し、楽器やマイクのセッティングからレコーディングまで全て自分たちで行った。また、"質感の違い"を求め、カセットMTRで録音しているが[注釈 2]、これにはアマチュア時代からの成長ぶりを見るという要素があったという[5]
      • イントロとアウトロではレコーダーの録音ボタン停止ボタンを押す際に鳴る「ガチャッ」という音が使われている[5]。これはカセットMTRを愛用していた「アマチュア時代より機材自体の性能が上がっていた」「ベースとドラムの腕が良かった」ためにカセットMTRで録音したことがわかりづらかったことから加えられた演出である[5]
    13. Mr.ジェロニモ
      • 「勢いを大事にしたい」という意図から、あえてテイクを重ねていない楽曲となっている[17]
    14. 横浜リリー
      • 周りから「リリー」と呼ばれている女性の視点から描かれた楽曲[18]。また、歌詞中には「本牧」や「汽車道」といった横浜に関する単語が登場する。
      • イントロを始め、随所に使用されている印象的な音色は、シタールという楽器によるもの[5][16]。そのため、仮タイトルは「シタール」であった[5]
      • ベストアルバム『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER』にも収録された。
    15. m-NAVI 4 "Let's enjoy till the end"
      • 本楽曲からトラック17までが、メンバー曰く“最後まで楽しんでコーナー[19][10]
      • 基本的には「m-NAVI 1」や「m-NAVI 3」と曲自体に変わりはないが、エレキギターの音色がより歪み、打ち込み音が増えている。また、「m-NAVI 3」と同じく歌詞がついているが、こちらは英語詞であり、演奏時間も「m-NAVI 3」と比べるとずっと短い。また歌詞中にはThe BeatlesRadioheadMr.Childrenといったバンド名が登場している。
    16. ライン
      • 情感あふれるギターと切ないストリングスが哀愁漂うミディアム・バラード[20]
      • 「良い歌詞が書けそうだというニオイがした」という理由から、新藤が作詞を担当した[6]。タイトルはなかなか良いものが思い浮かばず、仮タイトルは「友達のままで」「Dear My Friend」など約20個に及び[5]、4ヶ月もの長考の末、候補にはなかった「ライン」となった[5]
      • 本作リリース直後に出演したテレビ朝日系『ミュージックステーション[21]で披露され、ベストアルバム『PORNO GRAFFITTI BEST ACE』にも収録された。
    17. グラヴィティ
      • 本作リリース前の『横浜ロマンスポルノ'06 〜キャッチ ザ ハネウマ〜』で披露したギターインストをアレンジした楽曲[22]
      • 音源化こそされていないが、日本のミュージカルシーンで活躍中の女性3人によるユニット「gravity」への提供曲である[23]
      • 歌詞を書く際、新藤はいしいしんじの『ぶらんこ乗り』に影響を受けたという。大サビはコーラスがメインとなっており、岡野はフェイクを入れている。
      • アウトロでは3拍子となり、新藤が初めてメロディオンに挑戦している。アウトロはフェードアウトしていき、終わりに「m-NAVI 1」同様にJulia Oshikiの声が入り、アルバムを締めくくる。
      • ベストアルバム『PORNO GRAFFITTI BEST JOKER』にも収録された[注釈 3]

    Extra-Track CD

    1. NaNaNa ウィンターガール
      • NaNaNa サマーガール」の続編[注釈 4]
      • メンバー曰く大滝詠一の「君は天然色」のオマージュソングで、曲・アレンジはナイアガラ・レーベル(大滝詠一の主宰していたレーベル)に捧げたものだという[6]。歌詞中には「君は天然色」というフレーズが登場するなど、同楽曲を意識した楽曲となっている[注釈 5][6]
      • イントロは「グラヴィティ」のアウトロと同一のメロディで、エキストラトラックとして『m-CABI』の一部であるということがアピールされている。
      • 本作の収録曲としては最後にレコーディングされた楽曲で、レコーディングの打ち上げとして録った曲だという[6]。また、アレンジのコンセプトが「ウォール・オブ・サウンド(同じ楽器を何名かで演奏し、それを重ねて音に厚みを出し、音の壁を作るレコーディング方法)」であったことから、岡野と新藤がサブのドラムに挑戦している[5]
      • アウトロではテンポアップして曲調が変わってフェイドアウトしていく。アウトロのフレーズがいかにもその後に歌が始まるようなメロディーになったため、「架空の歌詞作っちゃおうか」と盛り上がったことから、フェードアウト寸前に岡野がアドリブで「カレーにも飽きたし…」と小さく呟いている[注釈 6][5]

    演奏参加[編集]

    Extra-Track CD収録の「NaNaNa ウィンターガール」は(ET)と表記。

    Porno Graffitti

    Additional Musician

    • Guitar Master:小倉博和(#8
    • Chromatic Harmonica Adviser:佐野聡(#6

    スタッフ[編集]

    収録作品[編集]

    既発曲の収録作品は各項目を参照

    アルバム[編集]

    横浜リリー

    ライン

    グラヴィティ

    • PORNO GRAFFITTI BEST JOKER

    ライヴ映像作品[編集]

    m-NAVI 1 "Ride on!! Blue vehicle!"

    BLUE SKY

    • "OPEN MUSIC CABINET" LIVE IN SAITAMA SUPER ARENA 2007

    BLUE SNOW

    • "OPEN MUSIC CABINET" LIVE IN SAITAMA SUPER ARENA 2007

    休日

    • "OPEN MUSIC CABINET" LIVE IN SAITAMA SUPER ARENA 2007

    Mr.ジェロニモ

    • "OPEN MUSIC CABINET" LIVE IN SAITAMA SUPER ARENA 2007

    横浜リリー

    ライン

    • "OPEN MUSIC CABINET" LIVE IN SAITAMA SUPER ARENA 2007

    グラヴィティ

    NaNaNa ウィンターガール

    • "OPEN MUSIC CABINET" LIVE IN SAITAMA SUPER ARENA 2007[注釈 8]

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ トラック7「休日」を除く。
    2. ^ クレジットには「Porno Graffittiと野崎ブラザーズ(真助(Dr) 森男(B))でアレンジと演奏をし、阪田くんに手伝ってもらいながら、メンバー自身がカセットMTRでレコーディングしました」との記載がある。
    3. ^ 同作にはフェードアウトが早く、ジュリアの声が省略されたアレンジで収録されている。
    4. ^ メロディも同一のものとなっており、『8thライヴサーキット "OPEN MUSIC CABINET"』では両楽曲をミックスした「 NaNaNa サマー&ウィンターガール」として披露された。
    5. ^ メンバー曰く、レコーディングの際は「(同楽曲が青春サウンドそのままであることから)大人たちが凄く喜んでいて、ウキウキしていた」という。
    6. ^ フェードアウト寸前のため「カレーにも飽き…」までしか聞こえない。ポルノチームは本作に限らずレコーディングの食事でカレーを食べることが多く、「カレーにも飽きたし・・・」というのは本作のレコーディング全体を表す象徴的な一言だという。
    7. ^ 表記はないが、1曲目の「ハネウマライダー」と繋がる形で収録。
    8. ^ 「NaNaNa サマー&ウィンターガール」として収録。

    出典[編集]

    1. ^ m-CABI|ポルノグラフィティ”. ORICON NEWS. 2018年9月1日閲覧。
    2. ^ アルバム 年間ランキング”. ORICON STYLE ランキング. オリコン. 2005年12月28日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月14日閲覧。
    3. ^ Gold Album+...認定」『The Record』第566号、日本レコード協会、2007年1月10日、10頁。 
    4. ^ “ポルノグラフィティのニューアルバムは「おもちゃ箱」!?”. ORICON NEWS (オリコン株式会社). (2006年10月13日). https://www.oricon.co.jp/news/37391/full/ 2022年4月30日閲覧。 
    5. ^ a b c d e f g h i j k l m n 公式ファンクラブ love up! 会報25号(2007年2月)
    6. ^ a b c d e 『PATi・PATi』2006年12月
    7. ^ [ポルノグラフィティ]2枚組DVDにたまアリ公演120%収録”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2007年9月11日). 2021年9月14日閲覧。
    8. ^ [ポルノグラフィティ]配信限定で「m-NAVI」完全版”. 音楽ナタリー. 株式会社ナターシャ (2007年1月31日). 2018年9月30日閲覧。
    9. ^ ポルノグラフィティ「m-NAVI 1 "Ride on!! Blue vehicle!"」”. レコチョク. 株式会社レコチョク. 2019年8月4日閲覧。
    10. ^ a b c d 市川哲史 (2006年11月16日). “Yahoo!ミュージック POWER PUSH ポルノグラフィティ「ポルノグラフィティ “心のサウンド”が結実した4つの箱」”. インタビュー. Yahoo!ミュージック. 2012年3月27日閲覧。[リンク切れ]
    11. ^ a b c ポルノグラフィティ「BLUE SNOW」”. レコチョク. 株式会社レコチョク. 2019年8月4日閲覧。
    12. ^ ポルノグラフィティ「m-NAVI 2 "Keep on having fun with the MUSIC CABINET"」”. レコチョク. 株式会社レコチョク. 2019年8月4日閲覧。
    13. ^ 田井裕規 (2006年11月22日). “ポルノグラフィティ『アーティスティックでユーザーフレンドリーな新作!』”. ORICON STYLE ミュージック. オリコン. 2008年6月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月14日閲覧。
    14. ^ ポルノグラフィティ「休日」”. レコチョク. 株式会社レコチョク. 2019年8月4日閲覧。
    15. ^ ポルノグラフィティ「m-NAVI 3 "Ready? Silvia, Geronimo, and Lily?"」”. レコチョク. 株式会社レコチョク. 2019年8月4日閲覧。
    16. ^ a b Porno Graffitti / m-CABI [2CD] [限定] - CDJournal”. artist.cdjournal.com. 2021年9月15日閲覧。
    17. ^ ポルノグラフィティ「Mr. ジェロニモ」”. レコチョク. 株式会社レコチョク. 2019年8月4日閲覧。
    18. ^ “関ジャニ∞新曲の作詞も担当 ポルノグラフィティ 新藤晴一が紡ぐ、“深読み”したくなる言葉の魅力”. リアルサウンド (株式会社blueprint). (2017年9月25日). https://realsound.jp/2017/09/post-112177.html 2019年3月29日閲覧。 
    19. ^ ポルノグラフィティ「m-NAVI 4 "Let's enjoy till the end"」”. レコチョク. 株式会社レコチョク. 2019年8月4日閲覧。
    20. ^ Porno Graffitti / m-CABI [2CD [限定] - CDJournal]”. artist.cdjournal.com. 2021年9月15日閲覧。
    21. ^ 出演者ラインナップ”. ミュージックステーション. テレビ朝日. 2021年9月14日閲覧。
    22. ^ 横浜ロマンスポルノ'06 〜キャッチ ザ ハネウマ〜 IN YOKOHAMA STADIUM
    23. ^ gravity (8 October 2010). gravity vol.4「gravity」. 2021年9月14日閲覧