M-4Sロケット

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M-4Sロケット(ミュー4エスロケット)は、東京大学宇宙航空研究所(以下、東大)が日産自動車宇宙航空事業部(以下、日産)と共同で開発し、日産が製造、東大が運用した4段式の固体燃料ロケットである。内之浦宇宙空間観測所から4基が打ち上げられ、3基が成功した。M-4Sの実機大予備試験機であるM-1,M-3Dについてもこの項で記述する。

技術的特徴[編集]

L-4Sロケットで構築された技術を元に開発された。全段が誘導装置を持たない固体燃料ロケットから構成され、重力ターン方式による衛星軌道投入を行う。打ち上げランチャーとの関係上、第2段目に尾翼を装着出来ず、打ち上げ後、第2段後端部に傘状に開くフレアによって姿勢安定を行う。また第一段目の尾翼も、ロケット本体との相対面積はL-4Sのそれより小さい。このためL-4Sより飛行安定性は低下しているが、推力の余裕による軌道設計の最適化により、衛星軌道投入確率は確保できている。M-4Sの各号機は、基本的に、すべての衛星が近地点700km付近、遠地点2500~4500km付近(遠地点は、衛星重量により大きく変化する)を「目標軌道」として打ち上げられた(この軌道の場合、風に流されたとしても衛星軌道が成立する可能性が最も高く、95%を越える)。投入した衛星の重量が、全てカタログ上の低軌道打ち上げ能力の半分以下であるのは、この為である。

初号機は1970年(昭和45年)9月25日に打ち上げられたが、衛星の軌道投入に失敗している。2号機から4号機は1971年(昭和46年)2月から1972年(昭和47年)8月にかけて打ち上げられた。

仕様[編集]

カッコ内は参考としてL-4Sのもの。

  • 全長:23.6m(16.5m)
  • 直径:1.41m(0.735m)
  • 重量:43.6t(9.4t)
  • 低軌道打ち上げ能力:180kg(26kg)

打ち上げ実績[編集]

名称 打上げ日時
(JST)
成否 積荷 重量(kg) 目標軌道
近-遠地点
軌道傾斜角
衛星の軌道
近-遠地点
軌道傾斜角
備考
1号機 1970年9月25日 失敗 科学衛星(MS-F1) 機体のスピン過大によって第4段点火以降のシーケンスが実行できず軌道投入に失敗
2号機 1971年2月16日 成功 たんせい(MS-T1) 63 近620km
遠4,338km
傾斜角31.2°
近989km
遠1,109km
傾斜角30°
試験衛星
3号機 1971年9月28日 成功 しんせい(MS-F2) 66 近707km
遠3,156km
傾斜角31.2°
近874km
遠1,871km
傾斜角32°
日本初の科学衛星
4号機 1972年8月19日 成功[1] でんぱ(REXS) 75 近710km
遠2,657km
傾斜角31.2°
近240km
遠6,570km
傾斜角31°
電波探査衛星
ランチャー設定角度と実際の角度に、約2°の誤差があったのが軌道誤差の主因

予備試験機[編集]

M-4Sの開発の為に2機の予備試験機によるシステム全体の飛翔試験が行われた。

M-1[編集]

1966年10月31日打ち上げ。第1段モータM-10,補助ブースター及びそれらの周辺システムの予備試験機。上段はダミー。高度50kmに到達した。

仕様
  • 全長:21.9m
  • 直径;1.41m
  • 重量:40t
  • 構成:SB-310 + M-10 + M-20D + M-30D + M-40D

M-3D[編集]

1969年8月17日打ち上げ。第2段モータM-20,第4段モータM-40及びそれらの周辺システムの予備試験機。第3段はダミー。高度160kmに到達した。

仕様
  • 全長:23.6m
  • 直径;1.41m
  • 重量:40t
  • 構成:SB-310 + M-10 + M-20 + M-30D + M-40

出典[編集]

外部リンク[編集]