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LMP・ハンガリー緑の党

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
 ハンガリー政党
LMP・ハンガリー緑の党
LMP – Magyarország Zöld Pártja
共同党首 ウンガール・ペーテル
サボー・ケルナー・カタリン
成立年月日 2009年2月26日
国会議席数
3 / 199   (2%)
(2025年)
欧州議会
0 / 21   (0%)
(2025年)
政治的思想・立場 環境主義 
国際組織 グローバルグリーンズ
欧州緑の党(オブザーバー)(2024年3月25日から活動停止)
公式サイト LMP – Magyarország Zöld Pártja 
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LMP・ハンガリー緑の党(LMP・ハンガリーみどりのとう、ハンガリー語:LMP – Magyarország Zöld Pártja、Greens)は、ハンガリー環境主義政党。2009年設立。2020年に新しい政治の形 (Lehet Más a Politika) から改称された[1]

概要

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2009年2月に環境保護団体ヴェードエジュレト(Védegylet)の活動家らを中心にして結成された。政治的立場はリベラル左派環境保護にも力点を置いており、環境政党の国際組織であるグローバルグリーンズに加盟している[2]。政策として環境保護を主軸に置いている。また政治資金・政策決定過程の透明性確保、機会均等とロマ人貧困層の社会的統合、地方の振興、規律ある経済と財政政策、民主的で持続可能なヨーロッパの統合推進を政策の柱としている[3]。主な支持層は知識人青年層、首都ブダペスト住民の他、中道左派政党であるハンガリー社会党の元支持者などである。

沿革

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結成直後に行われた09年6月の欧州議会議員選挙では人道党と選挙連合を結成、2.61%の得票[4]を得るに留まり議席獲得はできなかったが、2010年4月に行われた総選挙では首都ブダペストを中心に善戦、阻止条項である得票率5%を突破して16議席(政党得票7.48%[5])を獲得した[6]。しかし10月に行われた統一地方選挙では、ブダペスト市長選挙で擁立した候補が惨敗、県議会議員選挙でもバラニャ県バーチ・キシュクン県の各1議席に留まる厳しい結果となった。選挙後には結党時からのメンバーで先の地方選挙における首長選挙でLMP公認候補として唯一当選した議員(ハンガリーでは国会議員と地方首長の兼職が認められている)が離党と議員団からの離脱を表明した[7]

2012年11月に行われた党大会では、2014年総選挙方針としてバイナイ前首相を中心とした左派系政治運動「共に2014年」を含む現在国会で議席を有している政党とは選挙協力を行わない事、過去に首相を務めた政治家が率いる政権には参加しない事などを決定した。この方針に反発した一部議員が党内会派「ハンガリーのための対話」(PMP)を結成して「共に2014年」など他政党とオルバーン政権退陣に向けた対話を続けていく旨の姿勢を示した[8]。そして2013年1月の党大会でも前年11月大会における方針が維持された事を受け、PMPに参加していた議員らはLMPからの離脱と新党結成を表明した[9]。この結果、LMPは分裂、議員数は15名から7名に減少し国民議会において単一政党が議員団を組織するために最低限必要な12名を下回ったため、LMPとしての議員団は消滅する事となった[10]。しかし、国会憲法委員会は同年6月、LMPから5月に提出された再結成申請を認める決定を下した。また議員団結成要件を12名から3名に引き下げ、9月1日付での議員団再結成を許可したことにより、議員団が復活することになった[11][12]

2014年4月に行われた議会選挙では議席確保が危ぶまれたが、5.34%の得票を得て阻止条項を僅かに上回り議席確保(5議席)に成功した[13]。続く欧州議会議員選挙でも阻止条項を僅かに上回って1議席を獲得した[14]。当選したメセリチ・タマーシュは欧州緑グループ・欧州自由連盟 (Greens/EFA) に入会した[15]

2014年の統一地方選挙では、社会民主主義政党の4K!・第四共和国!とブダペストのいくつかの選挙区で選挙協力を行った[16]。ブダペスト市長選挙では公認候補が得票数で4位につけたが、全国での得票数は4年前の前回を5万票下回り、依然として地方への浸透が十分でないことを露呈した[17]

2018年の総選挙では、新党の「新たなスタート」と選挙協力を行い、得票率7.06%で8議席を得た[18]。選挙後、党内対立が生じ、共同代表のセール・ベルナデットの辞任に発展した。これによって党勢は衰え、翌年の欧州議会議員選挙でも有していた唯一の議席を失った。

2020年、LMP・ハンガリー緑の党に改名した。

2022年4月に行われた議会選挙では、親EUで「打倒オルバン」を掲げる野党連合に参加し、野党連合全体で得票率34.4%で57議席を得て、LMP単独では5議席を獲得した。[19][20][21]

2024年度のブダペスト市長選では、LMPはフィデスとつながりのある候補者、ダーヴィド・ヴィテジを支持したことにより、2024年3月25日に欧州緑の党がLMPとの政治協力を停止すると表明した。[22]

2024年の地方選挙と欧州議会選挙の後、党内の数人の人物が離党した。[23]この結果2025年3月にはLMPの議席数は3議席に減少し、議員団を組織するために必要な5議席を満たなくなった。[24][25]

主要な選挙における党勢推移

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国民議会選挙

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国民議会選挙
選挙 得票数 得票率 議席数 備考
2010年選挙 383,876 7.48%
16 / 386
2014年選挙 269,414 5.34%
5 / 199
2018年選挙 404,429 7.06%
8 / 199
2022年選挙[26][27] 1947,331 34.44%
5 / 199
野党連合との選挙連合

欧州議会議員選挙

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選挙 得票数 得票率 議席数 備考
2009年欧州議会議員選挙 75,522 2.61%
0 / 22
人道党との選挙連合
2014年欧州議会議員選挙 116,904 5.04%
1 / 21
2019年欧州議会議員選挙 75,498 2.18%
0 / 21
2024年欧州議会議員選挙 39,646 0.87%
0 / 21
出典:“中東欧・旧ソ連諸国の選挙データ「ハンガリー」選挙結果”

脚注

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  1. ^ 日本語訳について外務省では「新しい政治の形」としているが、文献によっては「政治のもう一つの可能性」としている場合もある
  2. ^ Green Parties around the world.Grobal Greens(グローバルグリーンズ)2012年1月7日閲覧
  3. ^ 先週のハンガリー  2010.02.10-21ハンガリー文化センター)2013年1月11日閲覧
  4. ^ 第2回欧州議会選挙.中東欧・旧ソ連諸国の選挙データ(北海道大学スラブ研究センター)2012年1月7日閲覧
  5. ^ 2010年議会選挙結果.前掲サイト。2012年1月7日閲覧
  6. ^ 在ハンガリー日本国大使館作成『ハンガリー政治・経済月報(2010年4月号)』 (PDF) 9頁。2012年1月7日閲覧
  7. ^ 在ハンガリー日本国大使館作成『ハンガリー政治・経済月報(2010年10月号)』 (PDF) 5-6頁。2013年4月5日閲覧
  8. ^ 在ハンガリー日本大使館作成『ハンガリー政治・経済月報(2012年11月号)』 (PDF) 5-6頁。2013年4月5日閲覧
  9. ^ 在ハンガリー日本国大使館作成『ハンガリー政治・経済月報(2013年1月号)』 (PDF) 9-10頁。2013年4月5日閲覧
  10. ^ 在ハンガリー日本大使館作成『ハンガリー政治・経済月報(2013年2月号)』 (PDF) 4-5頁。2013年4月5日閲覧
  11. ^ 在ポーランド日本国大使館 (2013年6月). “政治・経済月報(5月号)” (PDF). 日本外務省. 2014年5月6日閲覧。
  12. ^ 在ポーランド日本国大使館 (2013年7月). “政治・経済月報(6月号)” (PDF). 日本外務省. 2014年5月6日閲覧。
  13. ^ 在ハンガリー日本大使館 (2014年5月). “政治・経済月報(4 月号)” (PDF). 日本外務省. 2014年5月20日閲覧。
  14. ^ 在ハンガリー日本国大使館 (2014年6月). “政治・経済月報(5月号)” (PDF). 日本外務省. 2014年7月6日閲覧。
  15. ^ Kezdődik az MSZP végjátéka” (2014年5月26日). 2014年5月27日閲覧。
  16. ^ Kiteljesedik egy régi liezon, összejön az LMP és a 4K!” (2014年8月4日). 2014年10月15日閲覧。
  17. ^ Megmaradt a Fidesz egyeduralma” (2014年10月13日). 2014年10月15日閲覧。
  18. ^ Zrt., HVG Kiadó (2017年12月2日). “Összeállt az LMP és az Új Kezdet” (ハンガリー語). hvg.hu. http://hvg.hu/itthon/20171202_lmp_uj_kezdet 2017年12月2日閲覧。 
  19. ^ 和正, 板東 (2022年4月4日). “ハンガリー選挙 オルバン氏勝利 強権主義に懸念も”. 産経新聞:産経ニュース. 2025年3月14日閲覧。
  20. ^ Opposition Vows End to Orban's Autocratic Rule in Hungary” (英語). Voice of America (2022年4月2日). 2025年3月14日閲覧。
  21. ^ ハンガリー議会総選挙、政権与党が2010年以来4回連続で勝利(ハンガリー) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース”. ジェトロ (2022年4月6日). 2025年3月14日閲覧。
  22. ^ European Green Party supports Budapest mayor Gergely Karácsony” (英語). European Greens. 欧州緑の党 (2024年3月25日). 2025年3月14日閲覧。
  23. ^ Ungár Péter: „Bukjon Orbán, de nem bármi áron”” (ハンガリー語). hvg.hu (2024年9月13日). 2025年3月14日閲覧。
  24. ^ Zrt, HVG Kiadó (2025年2月17日). “Csárdi kilépett az LMP-frakcióból, Ungáréknak találniuk kell egy beugrót, vagy inkább kettőt” (ハンガリー語). hvg.hu. 2025年3月14日閲覧。
  25. ^ Zrt, HVG Kiadó (2025年2月19日). “Megszűnt az LMP-frakció, Csárdi után szerdára a többiek is átültek a függetlenek közé, tízmilliókat veszít a párt” (ハンガリー語). hvg.hu. 2025年3月14日閲覧。
  26. ^ 2022年度の得票数、得票率は野党連合のもの
  27. ^ Nemzeti Választási Iroda - Országgyűlési Választás 2022.” (ハンガリー語). vtr.valasztas.hu (2022年4月16日). 2025年3月14日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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