KAGEROU

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KAGEROU
著者 齋藤智裕
発行日 2010年12月15日
発行元 ポプラ社
ジャンル 小説
日本の旗 日本
言語 日本語
ページ数 236
コード ISBN 978-4-591-12245-7
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KAGEROU』(カゲロウ)は齋藤智裕の長編小説。朝日新聞の取材により作者が俳優の水嶋ヒロだったことがわかっている[1]。齋藤はをテーマにしたこの作品で1200以上もの応募があった第5回ポプラ社小説大賞を受賞した。

あらすじ[編集]

会社をリストラされ、多額の借金を抱えた男・ヤスオは、絶望のあまり廃墟ビルのフェンスから投身自殺を図ろうとした所、黒服の男・キョウヤに阻止される。キョウヤは、裏社会の臓器提供グループ『全日本ドナー・レシピエント協会』の一員であり、彼の勧めでヤスオは、臓器提供の報酬を田舎の両親に送る契約を結ぶのだが…。

登場人物[編集]

ヤスオ/大東泰雄(おおひがしやすお)
本作の主人公。40歳(物語の途中で41歳になった)。会社で営業マンとして勤務していたが、会社のリストラと多額の借金を背負い投身自殺を図るも、キョウヤに止められ、臓器移植の話を聞く。彼は当初は移植することに反対していたが、キョウヤの勧めもあり、引き受けることになった。アカネに対しては看護師の『安田ヤスオ』という偽名を使っている(初対面の際に白衣を着ていたため)。
キョウヤ/京谷貴志(きょうやたかし)
本作の準主人公。『全日本ドナー・レシピエント協会(通称:全ド協)』のスペシャルコーディネーター。彼の右腕は事故で損傷し、移植条件が一致したレシピエントがアフリカ人だったため、通常の皮膚とは色が異なっている(彼いわく『ブラック・ジャックみたい』)。
アカネ/天木茜(あまきあかね)
『トランスターミナル』に搬送された少女。拡張型心筋症を患っている。
ヤシロ
ヤスオの高校時代の同級生。あだ名は『スッポン』で、イギリスのバンド『フィッシュ&チップス』のコピーバンド仲間。キョウヤと一緒のヤスオを偶然見かけ、顔を合わせようとするが、キョウヤに『人違い』と信じ込ませ、何とか納得できたらしい。
モーリー
『トランスターミナル』の看護師。大男であるが純粋な日本人ではなく、日本語はそれほど上手ではない。『モーリー』という名はヤスオが付けたあだ名だが、実際の名前は不明。

受賞と出版[編集]

第5回ポプラ社小説大賞を受賞したが賞金2000万円は辞退している。出版社および作者は応募者が水嶋ヒロであるということは隠して応募、受賞したものであり、受賞してから初めて分かったと主張しているが、詳細は不明[2]ゴーストライター説もあったが、作家の岩井志麻子は水嶋自身の手によるものだと推察している[3]週刊ポストは2011年1月1日・7日合併号にて八百長であり、水嶋ヒロのほうから売り込んだものであり、さらにゴーストを部分的に使っていると報じたが、ポプラ社はこれに抗議している[4]

発売を6日後に控えた2010年12月9日、物語のクライマックスシーン(232ページ)で主要登場人物の名前が別の人物の名前になっているという致命的な誤植が発覚した。この時点で発売前重版も含めて43万部という部数が決まっており、刷り直せば発売が翌年にずれ込むことは決定的だったため、ポプラ社は誤植部分に正しいシールを貼るという作業を、全社員総出、印刷会社や取次に力を借りて、全て手作業で行った。[5]

販売戦略としてポプラ社は返本がほぼ出来ない責任販売制という方式をとっている[6]。書店にはハイリスクハイリターンな方式であるため、新人作家でありながらこの方式をとったことには疑問が呈されている[7]

部数は発売前から増刷が繰り返されて43万部に達しており、加えて25万部の増刷が決定している。これは初版でも村上春樹の新作である「1Q84」の25万部を越えているが、ネットオークションでは発売してすぐに大量の出品があった上、数日で値崩れの様相を見せていた[7][8]。これについても出版社の思惑通りであるという見方もある[7]。部数については、このような大ベストセラーになったのは内容が優れているからではなく作者の知名度と話題性ゆえと評された[3]

評価[編集]

自殺臓器移植のような重い問題を扱いながら「イギリスならジンだな。イギリスジン」、「ヘブンでたぶん」、「まさかマッカーサー」、「でまかせで負かせ」といったいわゆるオヤジギャグを多用し、ユーモラスな語り口で書かれていることに特徴がある[2][9]。1ページあたりの文字数が少ないので読みやすいことも長所にあげられており、書評家の大森望は文章がこなれていないことも関係があるのではないかと述べている[9]

作品について、書評家や編集とは反対にタレントなどは比較的好意的な評価を寄せている。北斗晶は「凄く面白い内容」と述べている[10]。しかし一方で批判的な意見も多い。amazonには発売日から酷評が多く投稿された上[11]、岩井志麻子は「不幸が類型的」「苦しみの描写が脚本みたい」と苦言を呈している[3]。産経ニュースでも覆面座談会の形で内容については否定的な報道をしており、「深みのなさは致命的」や「ビジネスとしてはお見事」と述べている。ただし、こちらでは他の本も売れるという効用への期待も述べられている[12]。一方で「起爆剤になんて考えるなんてバカじゃないかと思う。」という声もある[11]

脚注[編集]

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  1. ^ “水嶋ヒロさんにポプラ社小説大賞 賞金は2千万円”. asahi.com (朝日新聞社). (2010年11月1日). オリジナル2010年11月2日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101102185050/http://www.asahi.com/culture/update/1101/TKY201010310356.html 
  2. ^ a b “水嶋ヒロ:既にベストセラー「KAGEROU」発売 話題の中身は?”. 毎日jp (毎日新聞社). (2010年12月15日). オリジナル2010年12月16日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101216044516/http://mainichi.jp/enta/geinou/news/20101214mog00m200043000c.html 
  3. ^ a b c “岩井志麻子、水嶋ヒロ処女小説に苦言!「主人公の不幸、類型的」 (1/2ページ)”. MSN産経ニュース (産経新聞社). (2010年12月15日). オリジナル2010年12月18日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101218194821/http://sankei.jp.msn.com/entertainments/entertainers/101215/tnr1012152052012-n1.htm 
  4. ^ “週刊ポスト「水嶋ヒロ受賞は八百長」 事実無根とポプラ社は抗議”. J-CASTニュース (ジェイ・キャスト). (2010年12月20日). http://www.j-cast.com/2010/12/20084024.html 2017年4月11日閲覧。 
  5. ^ 永江朗 「ご食事券、じゃなくて誤植事件」『本の雑誌』第38巻9号(2013年9月)、本の雑誌社2013年8月10日、10-13頁。ISBN 978-4-86011-325-4
  6. ^ “水嶋ヒロさん:小説「KAGEROU」刊行”. 毎日jp (毎日新聞社). (2010年12月15日). オリジナル2011年1月1日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110101001429/http://mainichi.jp/enta/art/news/20101215ddm012040079000c.html 
  7. ^ a b c “早くもバナナの叩き売り状態 水嶋ヒロ「KAGEROU]”. ゲンダイネット (日刊現代). (2010年12月18日). オリジナル2010年12月24日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101224050412/http://gendai.net/articles/view/geino/128025 
  8. ^ “水嶋ヒロの小説『KAGEROU』がYahoo!オークションに大量出品! 書店では買えないのに……”. ガジェット通信 (東京産業新聞社). (2010年12月20日). http://getnews.jp/archives/89699 2017年4月11日閲覧。 
  9. ^ a b 大森望 (2010年12月14日). “『KAGEROU』最速(?)レビュー”. WEB本の雑誌. 本の雑誌社. 2017年4月11日閲覧。
  10. ^ 北斗晶 水嶋本の感想「天は二物を与えるんだわな」”. J-CASTテレビウォッチ. ジェイ・キャスト (2010年12月20日). 2017年4月11日閲覧。
  11. ^ a b やっぱり酷評された水嶋ヒロの小説”. リアルライブ. フェイツ (2010年12月17日). 2017年4月11日閲覧。
  12. ^ “水嶋ヒロ「KAGEROU」人気を斬る! 緊急覆面記者座談会 (1/2ページ)”. MSN産経ニュース (産経新聞社). (2010年12月18日). オリジナル2010年12月21日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20101221102436/http://sankei.jp.msn.com/culture/books/101218/bks1012181801007-n1.htm 

書誌情報[編集]

関連書籍[編集]